運営:一般社団法人コーチング心理学協会 協会公式サイト↗ 講座・イベントサイト↗
AI×コーチング心理学研究所AI COACHING PSYCHOLOGY LAB 講座を見る

08  /  CASE & GLOSSARY

ケーススタディ6例
と用語集

説明を読んでも動けないのは、1周の全体像が見えていないからです。6つの例で、最初から最後までをたどります。

いずれも、AIに何を入力し、AIが何を返し、本人が何を決め、1週間後に何が起きたかまでを含めています。ページの後半には、本サイト全体で使う用語をまとめた用語集を掲載しました。

AIコーチング 事例1on1 AIAI キャリア相談AI 自己分析 AI 学習 習慣化チーム 停滞AI用語集コーチング心理学 用語

一般社団法人コーチング心理学協会 / AI×コーチング心理学研究所 / ケーススタディと用語集

01 / 事例

6つのケーススタディ

いずれも、AIとの対話1周分を、最初から最後までたどっています。

結論:6つの例に共通しているのは、①問いを立て直している ②AIに結論を出させていない ③変更点を1つに絞っているの3点です。
CASE 01

管理職|部下とのコミュニケーションに悩む

状況:40代・課長。部下との1on1が進捗確認だけで終わり、相談してもらえないと感じている。

使った枠組み:GROW(R・Oを厚く)

段階やりとりの要点
ASK|問いを決めるAIへ:「私が今日いちばん考えたいことを明確にする質問をしてください」→ AIの問い:「相談されないことで、あなたが困っているのは何ですか?」→ 本人:「問題が起きてから知ることになる」
THINK|現状(R)AIの問い:「1on1で、あなたが話している時間の割合は?」→ 本人:「たぶん7割」。事実として、進捗確認の質問から始めていることを確認
THINK|選択肢(O)AIに15案を列挙させる。「冒頭の問いを変える」「議題を相手に決めてもらう」「頻度を上げて時間を短くする」など。本人が思いつかなかった案として「面談の目的を一度言葉にして共有する」が挙がる
ACT|行動(W)選択:冒頭の問いを「最近どうですか」から「いま気になっていることを1つ教えてください」に変える。来週火曜から全員に実施
CHECK|1週間後事実:4人中3人で実施。うち2人が業務外の懸念(異動の不安・後輩指導の悩み)を話した。1人は変化なし
LEARN|学習うまくいった要因の候補:問いが具体的だったこと、沈黙を待ったこと。次の変更:話す割合を記録する(1つだけ変える)

この例のポイント:AIを面談中には使っていません。前(論点整理)と後(振り返り)だけで使い、対話そのものは人と人で行っています。

CASE 02

大学生|自分に向いている仕事がわからない

状況:大学3年。就職活動を控えているが、志望業界が決まらない。

使った枠組み:GROW(G・Oを厚く)

段階やりとりの要点
ASK|問いを決める「向いている仕事は何か」ではなく「私は何を大切にしたいのか」に問いを変換
THINK|強みの言語化AIに、時間を忘れて取り組めた場面/感謝された場面/自分では当たり前なのに驚かれることを、それぞれ1つずつ質問させる。3つの場面から共通点を「可能性として」提示させる
THINK|価値観「その3つに共通して、あなたが満たされていたものは何ですか?」→ 本人:「人が理解できていなかったことを、わかる形にすること」
THINK|選択肢(O)AIに、その価値が満たされうる職種を業界横断で20挙げさせる。実現可能性は問わない指示つき。「教育」「編集」「UI設計」「研修」「行政の広報」などが並ぶ
ACT|行動(W)選択:20案のうち3つについて、実際に働いている人の話を1人ずつ聞く。今月中に1人目に連絡する
LEARN|学習「向いている仕事」という問い自体が答えを出しにくい問いだったと気づく。次のサイクルでは、聞いた話から価値の言葉を更新する

この例のポイント:AIに適性を判定させていません。場面を集めてから共通点を探す順序にすることで、根拠のある言語化になります。

CASE 03

会社員|転職すべきか迷っている

状況:30代・営業職。転職を考えているが決めきれず、1年以上迷っている。

使った枠組み:GROW(Wを厚く)

段階やりとりの要点
ASK|問いを決める「転職すべきか」→「この迷いは、私の何を守ろうとしているのか」に変換
THINK|前提の検証ソクラテス式:「転職しないと成長できないと考える根拠は?」「反対の証拠は?」→ 現職でも新規領域を任されている事実が出る
THINK|選択肢(O)「転職する/しない」の2択から、「現職で異動を希望する」「副業で試す」「1年後に再検討する条件を決める」など8案に拡張
ACT|行動(W)選択:「1年後に再検討する条件を決める」。条件=新規領域の担当が来期も続くか/年内に社外の人と月1回会えているか
CHECK|1か月後事実:社外の人と2回会った。新規領域の担当は継続の見込み
LEARN|学習「決められない」のではなく「決める条件が言語化されていなかった」と整理。迷いの正体が変わった

この例のポイント:AIに「転職すべきか」を判断させていません。判断基準を言語化する作業に限定しています。

CASE 04

社会人|資格の勉強が続かない

状況:30代。3か月後の試験に向けて勉強したいが、着手できない日が続く。

使った枠組み:PDCA(1週間周期)

段階やりとりの要点
PLAN「毎日1時間」を「毎朝20分、起床後すぐ」に変更。if-then:「もし23時を過ぎたら、教材を開いて置いてから寝る」
DO|記録AIには評価を禁止して事実だけ記録。7日中4日実施、平均18分
CHECK|差分予定7日/実際4日。できた4日は、すべて前夜に教材を開いていた日だった
CHECK|要因AIが候補を3つ提示(断定なし):前夜の準備、就寝時刻、時間設定の長さ
ACT|変更1つ変えるのは「20分→15分」だけ。前夜の準備は継続。判断基準は「7日中5日以上」
次の周期6日実施。基準を満たしたため、次は時間を20分に戻して再検証

この例のポイント:変更点を1つに絞ったことで、何が効いたのかがわかりました。3つ同時に変えていたら、この学習は得られません。

CASE 05

チーム|会議で意見が出ない

状況:リーダー。週次会議で発言が偏り、同じ人しか話さない。

使った枠組み:GROW(R・O)+PDCA

段階やりとりの要点
ASK「発言を増やすには」→「発言しにくくしている条件は何か」に変換
THINK|現状(R)事実:会議は60分、議題は前日共有、発言は上位2名で8割。1年目の2名は0回
THINK|選択肢(O)AIに12案。「議題を事前に問いの形で配る」「最初の5分は全員が一言話す」「否定しない時間を明示する」など
ACT選択:「最初の5分、全員が今週の気がかりを一言ずつ話す」。4週間続ける
CHECK|4週後事実:1年目2名の発言が0回→平均3回に。会議時間は変わらず
LEARN「意見が出ない」は能力ではなく順番の問題だった可能性。次は議題の配り方を検証

この例のポイント:チームの記録をAIに入力する際、メンバーの氏名は使っていません。「1年目の2名」という形に一般化しています。

CASE 06

支援職|自分が消耗している

状況:対人支援の仕事。人の話を聴く側で、自分の状態を扱う機会がない。

使った枠組み:PERMA+レジリエンス(週次)

段階やりとりの要点
週次のCHECKPERMAの5要素で1週間を振り返る。スコアはつけない。「意味」は高く、「没頭」と「関係」が薄いことに気づく
LEARN|資源の棚卸し過去に回復できた場面を3つ挙げ、共通点を探す→「一人で外を歩く時間」が共通していた
ACT週2回、昼休みに15分歩く。予定に入れる
CHECK|3週後実施は6回中4回。歩いた日は午後の集中が続いたという主観的な変化
境界の確認眠れない日が続いていないか、食欲はあるかを毎週確認。該当したらAIではなく受診する、と事前に決めておく

この例のポイント:支援職がAIを使う場合、クライアントの情報は一切入力していません。扱っているのは自分自身の状態だけです。

これらのケースは、解説のために構成した架空の事例です。特定の個人の記録ではありません。数値や結果も、典型的な流れを示すための例示であり、効果を保証するものではありません。
02 / 共通点

うまくいったケースに共通する5つのこと

ケースを比べると、パターンが見えてきます。

結論:6つのケースを横断すると、成否を分けているのはAIの性能ではなく、問いの立て方と、決め方だとわかります。
01

問いを立て直している

「どうすればいいか」を「私は何を大切にしたいのか」「何が条件なのか」に変換しています。この変換だけで、答えの出どころが自分の中に移ります。

02

AIに結論を出させていない

AIは選択肢を広げ、事実を整理し、問いを出す役割にとどめています。選ぶのは必ず本人です。

03

事実と解釈を分けている

「うまくいっていない」ではなく「4人中3人で実施した」という形で記録しています。事実がないと、次に何を変えればよいかがわかりません。

04

変更点を1つに絞っている

同時に複数を変えると、何が効いたのかが不明になります。1つずつ変えることで、学習が積み上がります。

05

境界を守っている

他者の氏名や評価をAIに入力していません。支援職のケースでは、受診の基準を事前に決めています。

逆に、うまくいかないパターン

表1:よくある失敗と修正の方向
失敗のパターン起きること修正の方向
AIに「どうすればいい?」と聞く一般論が返り、納得して終わる「私は何を大切にしたいか」に問いを変える
長い回答をもらって満足する記憶に残らず、行動が起きない自分の言葉で1行だけ書き出す
記録を残さない振り返る材料がない決めたことだけをコピーして残す
変更点を一度に3つ決める何が効いたかわからない1つに絞り、次の周期に持ち越す
AIが出した分析を事実として扱う根拠のない自己像が固定される「可能性として」提示させ、経験で検証する
毎回ゼロから相談する同じ話を繰り返す前回の記録を冒頭に貼る
03 / 用語集

AI×コーチング心理学 用語集

はじめて読む方が引っかかりやすい言葉を中心に集めました。

結論:本サイト全体で使う用語を、AI・技術/コーチング/心理学/本サイト独自の用語の4分類で整理しました。

AI・技術

用語説明
生成AI文章や画像などを生成するAI。ChatGPT・Gemini・Claudeなど。入力された文の続きとして、もっともらしい文を確率的に生成する仕組み。
大規模言語モデル(LLM)大量の文章で学習した言語モデル。生成AIの中核となる技術。
プロンプトAIへの指示文。役割・目的・制約・出力形式を指定するほど、出力が安定する。
ハルシネーションAIが、存在しない研究・統計・書籍などをもっともらしく生成する現象。事実確認は人が行う必要がある。
バイアス学習データに含まれる偏りが出力に現れること。特定の価値観が望ましいものとして語られることがある。
コンテキストAIが一度に扱える文脈の範囲。長い対話では、過去のやりとりが参照されなくなることがある。
カスタムAI/GPTs特定の役割や指示をあらかじめ設定した生成AI。毎回同じ前提で対話できる。

コーチング

用語説明
コーチング対話を通じて、本人が答えを見つけ、行動を決めることを支援する関わり方。教える(ティーチング)とは区別される。
コーチング心理学心理学の理論と研究にもとづいてコーチングを行う分野。学習・目標達成・ウェルビーイングの促進を扱う。
GROWモデルGoal(目標)・Reality(現状)・Options(選択肢)・Will(意思)の4段階で対話を進める枠組み。
セルフコーチング自分自身に問いを立てて考えを進める方法。AIはこの問いの生成と記録を外部化する道具になる。
1on1上司と部下が定期的に行う一対一の対話。進捗確認ではなく、本人のための時間として設計される。
フィードバック行動や結果について情報を返すこと。人格ではなく行動に焦点を当てることが基本。
Iメッセージ主語を「私」にして伝える方法。「あなたは〜だ」ではなく「私は〜と感じた」と表現する。
アサーション相手を尊重しながら、自分の考えや気持ちを適切に伝える方法。

心理学

用語説明
ポジティブ心理学人の強み・良い状態・成長を科学的に研究する心理学の分野。問題の除去だけでなく、良い状態の増進を扱う。
PERMAウェルビーイングを、前向きな感情・没頭・関係・意味・達成の5要素で捉える枠組み。
ウェルビーイング身体的・心理的・社会的に良好な状態。単なる快感情ではなく、意味・関係・達成を含む多面的な概念。
VIA強み誠実さ・好奇心・思いやりなど、性格上の強み。発揮する機会を増やすことが推奨される。
自己効力感自分にはできるという見込み。行動の開始と持続を左右する。
レジリエンス困難な状況から回復し、適応していく力。生まれつきの性質ではなく、獲得できるものとされる。
メタ認知自分の思考や感情を一段上から眺める働き。
リフレーミング出来事の意味づけの枠組みを変える技法。事実を変えずに解釈の選択肢を増やす。
ソクラテス式質問思い込みを否定せず、根拠や反証を問うことで本人自身に検証させる質問技法。
心理的柔軟性つらい感情があるままでも、自分の価値にそった行動を取れる状態。
実行意図「もし〜のときは〜する」の形で行動を事前に決めておく方法。実行率が上がるとされる。
解決志向アプローチ問題の原因ではなく、うまくいっている例外に注目する支援の枠組み。
心理的安全性対人リスクを取っても罰せられないとメンバーが信じている、チームの状態。

本サイト独自の用語

用語説明
AI×コーチング心理学心理学の理論と研究にもとづいて、AIの使い方そのものを設計する立場。どんな問いを、どの順番で、なぜ立てるのかに根拠を置く。
AI Coaching Cycle本サイトが整理した5段階のフレーム。ASK(問いをつくる)→THINK(AIと考える)→ACT(行動する)→CHECK(結果を確認する)→LEARN(学習する)。
AI質問法10の型探索・明確化・深掘り・視点転換・選択肢生成・例外・実行・振り返り・学習・メタ認知の10分類。対話が行き詰まったときに、足りない型を選ぶために使う。
AIコーチング活用タイプ自己理解型・目標達成型・キャリア探索型・ウェルビーイング型・リーダーシップ型・学習成長型・対人関係型の7分類。
04 / FAQ

よくある質問

ケースについて

掲載されているケースは実在しますか?

いいえ。解説のために構成した架空の事例です。特定の個人の記録ではなく、数値や結果も典型的な流れを示すための例示です。効果を保証するものではありません。

自分のケースはどれに近いか、どう判断すればよいですか?

扱っているのが自分自身のことか、他者との関係かで大きく分かれます。他者との関係が主題なら管理職やチームのケース、自分の方向性が主題ならキャリアや大学生のケースが近いでしょう。

うまくいくケースに共通することは何ですか?

問いを立て直していること、AIに結論を出させていないこと、事実と解釈を分けていること、変更点を1つに絞っていること、境界を守っていることの5つです。

どのくらいの期間で変化が出ますか?

個人差が大きく、断定はできません。掲載したケースでは1週間〜1か月の周期で1周していますが、これは説明のための設定です。

1on1・チームでの活用

1on1の前後でAIをどう使いますか?

面談の前に「この面談で本当に確認したいことは何か」を整理し、面談後に「自分は指示と質問のどちらに偏っていたか」を振り返ります。面談中は使わない運用を推奨します。

メンバーの情報をAIに入力してもよいですか?

氏名・評価・人事情報は入力しないでください。掲載したケースでは「1年目の2名」のように一般化した表現に書き換えています。

チームの会議改善にも使えますか?

使えます。ポイントは「意見が出ない」という解釈ではなく、「発言は上位2名で8割、1年目は0回」という事実から始めることです。事実がないと、何を変えればよいかが決まりません。

用語について

コーチングとカウンセリングの違いは何ですか?

コーチングは主に健康な範囲での目標達成や成長を扱い、カウンセリングは不調や症状からの回復を扱います。生活に支障が出ている場合はカウンセリングや医療が優先されます。

コーチング心理学とは何ですか?

心理学の理論と研究にもとづいてコーチングを行う分野です。学習、目標達成、ウェルビーイングの促進を対象とし、経験則ではなく研究知見を基盤に置く点が特徴です。

ポジティブ心理学は前向きに考えることですか?

違います。ポジティブ心理学は、人の強みや良い状態、成長を科学的に研究する分野です。つらい状況を無理に前向きに解釈することとは異なります。

心理的安全性とは何ですか?

対人リスクを取っても罰せられないと、メンバーが信じているチームの状態を指します。仲がよいことや、居心地がよいこととは別の概念です。

05 / 次に読む

次に読むページ

AI時代のコーチング心理学を、体系的に学ぶ

AIを使いこなす鍵は、AIの操作方法ではなく「どんな問いを立て、何を振り返るか」です。コーチング心理学協会では、質問・目標設定・フィードバック・強みの活用を、演習中心のワークショップで学べます。

ご相談・ご提案の段階で費用はかかりません。

AI時代のコーチング心理学を、体系的に学ぶ。講座を見る