計画的偶発性理論とコーチング心理学の統合 運や偶然を味方にする技術 認定資格取得の参考に

計画的偶発性理論とコーチング心理学の統合

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偶然の出来事をチャンスに変え、人間の強みを活かして人生とキャリアを豊かにする革新的なアプローチ
なぜ、このアプローチが重要なのかについて、予測不可能な現代社会において、偶然の出来事を積極的に活用し、個人の強みを最大化する統合的なアプローチが求められています。

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計画的偶発性理論

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Planned Happenstance Theory

スタンフォード大学のクランボルツ教授によって提唱された理論。キャリアの約8割が偶発的な出来事によって決まるという知見に基づいています。

計画された偶然性理論の英語表記は Planned Happenstance Theory です。この理論は、スタンフォード大学の ジョン・D・クランボルツ 教授によって提唱されました。

この理論によると、個人のキャリアの約 8割 は予期しない偶然の出来事によって決定されるとされており、その偶然を積極的に活用することで、より良いキャリアを築くことができるという考え方です。

この理論を実践するために重要な行動特性として、以下の5つが挙げられています:

  • 好奇心(Curiosity): 新しいことに興味を持ち続ける
  • 持続性(Persistence): 失敗しても諦めずに努力する
  • 楽観性(Optimism): 何事もポジティブに考える
  • 柔軟性(Flexibility): こだわりすぎずに柔軟な姿勢をとる
  • 冒険心(Risk Taking): 結果がわからなくても挑戦する


5つの特性が重要あるとされています。

特性 説明
好奇心 新しい知識や経験を求め、探求する姿勢。他者の視点を理解しようとすることも含まれる。
持続性 困難に直面しても諦めず、目標達成のために努力を続ける能力。粘り強さが成功を支える。
柔軟性 変化や予想外の状況に適応し、適切に対応できる力。考え方や行動を調整する能力。
楽観性 前向きな視点を持ち、挑戦や課題をポジティブに捉える態度。希望を持って行動できる力。
リスクテイキング 不確実性を受け入れ、計算された挑戦をする勇気。失敗を恐れずに新しい試みに挑む姿勢。

こうした特性を活かせば、より充実した人生やキャリアを築くことができそうですね!どれか特に意識しているものはありますか?

5つの行動特性とコーチングの質問

コーチングで各特性を活用するための質問を以下の表にまとめました。これらの質問を通じて、自己理解を深めたり、成長の機会を探ることができます。

 

特性 コーチングの質問
好奇心 最近、何に対して強く興味を持ちましたか? どのように新しい視点を取り入れていますか?
持続性 途中で諦めたくなったとき、何があなたを前進させましたか? モチベーションを維持するための方法は?
柔軟性 予期しない変化があったとき、どのように対応していますか? 過去の経験から学んだ柔軟な考え方はありますか?
楽観性 困難な状況でもポジティブな視点を持つために、どのような工夫をしていますか? 自分の成功パターンをどう活かせますか?
リスクテイキング これまで挑戦してよかったと感じたリスクは何ですか? 新しい挑戦をする際、どんな準備をしていますか?

 

ポジティブ心理学

Positive Psychology

セリグマン博士によって創設された心理学の分野。人間の強みや幸福感に焦点を当て、問題解決よりも可能性の拡大を重視します。

PERMAモデル

これは、心理学者 マーティン・セリグマン によって提唱された、幸福と充実した人生を構成する5つの要素です。

要素 説明
ポジティブ感情 (Positive Emotions) 喜び、感謝、希望などの前向きな感情が幸福感を高め、人生の満足度を向上させる。
エンゲージメント (Engagement) 何かに夢中になり、没頭することで、充実した時間を過ごし、深い満足感を得る。
関係性 (Relationships) 他者との良好な関係が幸福を支え、サポートや共感が心の安定をもたらす。
意味 (Meaning) 自分の行動や人生の目的を見出し、社会や他者に貢献することで生きがいを感じる。
達成 (Accomplishments) 目標を達成することで自己成長を実感し、成功体験が自信につながる。

これらの組み合わせが、人の幸福や充実感を高める基盤となります。

コーチング心理学

Coaching Psychology

心理学の科学的知見をコーチング実践に応用する分野。個人の成長と可能性の実現を支援する実践的なアプローチを提供します。目標設定と達成支援、認知的リフレーミング、自己認識の向上、行動変容の促進、パフォーマンス向上との関連性を見てみましょう。

主要な要素

各特性とポジティブ要素を、目標設定や行動変容などの支援要素と関連付けてまとめました。

特性 関連するポジティブ要素 関連する支援要素 説明
好奇心 ポジティブ感情 (Positive Emotions) 認知的リフレーミング 新しい視点を持つことで、困難をチャンスと捉え直し、ポジティブな感情を育む。
持続性 達成 (Accomplishments) 目標設定と達成支援 長期的な目標を設定し、計画的に取り組むことで達成感を得られる。
柔軟性 エンゲージメント (Engagement) 行動変容の促進 変化に対応しながら行動を調整することで、新たな習慣やパターンを構築しやすくなる。
楽観性 意味 (Meaning) 自己認識の向上 自分の価値観や目標を明確にし、前向きな視点で人生の目的を捉える。
リスクテイキング 関係性 (Relationships) パフォーマンス向上 挑戦することで他者とのつながりが生まれ、成長を促しながら成果を高める。

 

統合アプローチの革新性

3つの理論を統合することで生まれる相乗効果と実践的な価値

統合によって実現すること

偶然を活かす力の向上

計画的偶発性理論の5つの行動特性を、ポジティブ心理学の強み発見アプローチで強化し、コーチング心理学の実践的手法で習得します。

ポジティブな偶然性は、セレンディピティと表現することも可能です。

**セレンディピティ(Serendipity)**とは、偶然の出来事が思わぬ良い結果をもたらす現象のことです。計画通りに進めたわけではないのに、素晴らしい発見や出会いが生まれることがあります。

セレンディピティをさらに、計画された偶然性理論を活かすためには、チャンスを見逃さず、柔軟に対応できる姿勢が重要ですね。以下のような方法で、偶然の出来事を成長や成功につなげられるかもしれません。

セレンディピティ

ポジティブな偶然性(セレンディピティ)を活かすためには、チャンスを見逃さず、柔軟に対応できる姿勢が重要。偶然の出来事を成長や成功につなげる。

  1. 好奇心を持つ
    • 新しい情報や出会いにオープンでいることで、偶然のチャンスに気づきやすくなる。
    • 興味のある分野以外にも視野を広げることで、思わぬ発見につながる。
  2. 柔軟に対応する
    • 予期しない出来事に対して、「なぜこうなったのか?」ではなく「これをどう活かせるか?」と考える。
    • 変化を楽しむことで、新たな機会にスムーズに適応できるようになる。
  3. ポジティブな視点を持つ
    • 一見ネガティブに思える偶然の出来事も、良い方向へ活かせる可能性を探す。
    • 「これがきっかけで何か面白いことが起こるかも」と期待する気持ちを持つ。
  4. 人とのつながりを大切にする
    • 偶然の出会いが大きなチャンスになることもあるため、積極的に人と交流する。
    • 他者との会話を通じて、新しい視点やアイデアが生まれる可能性がある。
  5. 行動を起こす
    • 偶然を待つだけでなく、小さな挑戦を繰り返すことで、セレンディピティが生まれる機会を増やす。
    • 思いついたアイデアをすぐに試すことで、新しい可能性を開拓できる。

ポジティブな偶然を活かすには、意識的にチャンスを引き寄せる工夫が大切

 

持続的な幸福感の構築

PERMAモデルの各要素を偶発的な出来事の中で発見し、コーチング技法を通じて日常的に実践できる形にします。

適応力と回復力の強化

予期せぬ変化に対する柔軟性と楽観性を育て、ポジティブな感情と意味を見出す力を高めます。

計画的偶発性 + ポジティブ心理学 + コーチング心理学 統合モデルの構造

🛠 実践フレーム:3理論の統合による「偶然を活かすコーチング法」
STEP 1|🌱 好奇心を刺激する【計画的偶発性 × ポジティブ心理学】

自分の強み・価値観・好きなことを棚卸し(強みやパーソナルビジョン)

「最近ワクワクしたことは何か?」を振り返る

「こんなこと、ちょっと面白そう」と感じた分野に、意図的に一歩踏み出す

✅ ワーク例:

VIA、ストレングスファインダーなどチェックリスト+「今週、その強みを使って小さな冒険をしてみる」

「チャレンジ・リスト10」作成 → 1つ試してみる

 

STEP 2|小さな実験をする【計画的偶発性 × コーチング心理学】

完璧を目指さず、小さな行動を「実験」として設定する

実験後にリフレクション(振り返り)を行い、気づきを言語化

✅ コーチング質問例:

「このアイデアを“試す”としたら、どんな行動ができそうですか?」

「やってみて何に気づきましたか? 意外だったことは?」

 

STEP 3|偶然を意味づける【偶発性 × ナラティヴ × ポジティブ心理学】

偶然の出来事に「意味づけ」を加えて、自分のストーリーとして統合する

ネガティブな経験も「学び」「転機」としてリフレーミング

✅ 活用ワーク:
-「○○という偶然が起きたとき、私の中で何が変わった?」
-「その出来事は、今の自分にどうつながっている?」

 

STEP 4|🛤 ビジョンと方向性を描く【ポジティブ心理学 × コーチング心理学】

偶然から得た経験・気づきをもとに「意味のある目標」を明確化

ウェルビーイングや貢献を意識した未来の方向性を描く

✅ コーチング質問:
-「5年後、どんな“偶然”があったら嬉しいですか?」
-「その未来に向けて、今日どんな小さな一歩が踏み出せますか?」

🗣️ 対話型ワーク例|偶然を味方にするコーチング

〜計画的偶発性 × ポジティブ心理学 × コーチング心理学〜 実施する際の質問のワーク例としました。

◉ 導入:今日のテーマ

「私たちは、予想外の“偶然”からも多くを学び、道を切り拓く力を持っています。
今日は、その力を引き出すワークを一緒にしてみましょう。」

【STEP 1】好奇心と強みに火をつける
💬 Q1. 最近「ちょっと気になったこと」や「ワクワクした瞬間」はありますか?

(行動・出来事・本・人との会話など)

👉 例:「何気なく見た記事に心が動いた」「友人の話で興味を持った」など

💬 Q2. その中に、あなたらしさ(強みや価値観)が表れていたとしたら、どんな点でしょう?

👉 対話のヒント:「どんな自分が表れていますか?」「その時、どんな気持ちでしたか?」

【STEP 2】 “実験”という名の小さな行動
💬 Q3. それを踏まえて、今週ちょっと“試してみたい”行動はありますか?

(あくまで軽やかに・挑戦というより“好奇心の実験”)

👉 例:「気になるイベントに参加してみる」「話しかけてみる」「記事をシェアしてみる」

 

【STEP 3】偶然に気づき、意味を見出す

※このパートは「次回のセッション」や「1週間後のふり返り」で活用

💬 Q4. 実験してみて、どんな「偶然」や「予想外のこと」がありましたか?

 

💬 Q5. そこから得た気づきや学びは何でしたか?

👉 対話のヒント:「新しい出会いや感情の動き」「気づかなかった自分の力」など

 

【STEP 4】🛤 ストーリーをつくり、未来につなげる
💬 Q6. この経験は、あなたのキャリアや人生のどんな方向にヒントをくれそうですか?
💬 Q7. 次の一歩として、どんなことを試してみたいですか?

✅ 活用ポイント(コーチ・ファシリテーター向け)

 

「正解を導く」より、「好奇心を開く対話」に重きを置く

感情や直感にも注目して深掘りする

小さな行動を「実験」と捉えることで、失敗への恐れを減らす

偶然を“意味づける”ことで、本人のストーリーを豊かにする

 

主要参考文献

計画的偶発性理論
• Mitchell, K. E., Levin, A. S., & Krumboltz, J. D. (1999). Planned happenstance: Constructing unexpected career opportunities. Journal of Counseling & Development, 77(2), 115-124.
• Krumboltz, J. D. (2009). The happenstance learning theory. Journal of Career Assessment, 17(2), 135-154.
ポジティブ心理学
• Seligman, M. E. P., Steen, T. A., Park, N., & Peterson, C. (2005). Positive psychology progress: Empirical validation of interventions. American Psychologist, 60(5), 410-421.
• Seligman, M. E. P. (2011). Flourish: A visionary new understanding of happiness and well-being. Free Press.
コーチング心理学
• Grant, A. M. (2003). The impact of life coaching on goal attainment, metacognition and mental health. Social Behavior and Personality, 31(3), 253-264.
• Palmer, S., & Whybrow, A. (Eds.). (2018). Handbook of coaching psychology: A guide for practitioners. Routledge.
統合アプローチ
• Robertson, P. J. (2017). Positive psychology and career development. British Journal of Guidance & Counselling, 46(2), 241-254.
• Bimrose, J., & Hearne, L. (2012). Resilience and career adaptability: Qualitative studies of adult career counselling. Journal of Vocational Behavior, 81(3), 338-344.

投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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