認知行動療法を医療現場で活かす！看護師向け資格取得・実践ガイド

アセスメント：患者の認知と行動の把握

患者さんの認知と行動を把握することは、認知行動療法の第一歩です。

まず、患者さんの現状を詳細に理解することが重要になります。

アセスメントでは、患者さんの主訴、症状、生活状況、過去の経験などを丁寧に聞き取り、患者さんの全体像を多角的に捉え、問題点を明確化していきます。

例えば、患者さんが「最近眠れない」と訴えている場合、睡眠・休息パターンに着目します。

しかし、不眠の原因がストレスにある場合は、ストレス対処・耐性パターンも合わせて評価する必要があります。

このように、複数の健康パターンを組み合わせてアセスメントを行うと、患者さんの状態をより深く理解できるのです。

患者さんと一緒に問題点を整理し、共有すれば、治療へのモチベーションを高めることにも繋がるでしょう。

問題の特定と目標設定：患者との協働

認知行動療法では、患者さんと協働して問題を特定し、目標を設定することが重要です。このプロセスは、患者さんの主体性を尊重し、治療への積極的な参加を促す上で欠かせません。まず、患者さんが抱える問題を明確にするために、丁寧にアセスメントを行います。

現在の状況、問題となっている行動（頻度、程度、状況など）、その行動に関連する思考や感情、行動のきっかけや誘因などを詳しく聞き取ります。その際、患者さんの気持ちに寄り添い、安心できる雰囲気を作ることを心がけましょう。

次に、特定された問題に基づいて、患者さんと一緒に目標を設定します。目標は具体的で、達成可能なものである必要があります。

例えば、「毎日行っている行動を週3回に減らす」「行動の程度を半分にする」「行動したい気持ちをコントロールするスキルを身につける」など、具体的な行動目標を設定します。

目標設定においては、以下の点に注意してください。

• 患者主導
• 具体的かつ測定可能
• 達成可能
• 時間制限付き
• 行動指向

目標設定後も、定期的に患者さんの状況を確認し、必要に応じて目標を修正していきましょう。目標達成に向けて、患者さんの努力を認め、励ますことも重要です。焦らず、信頼関係を築きながら、患者さんが安心して治療に取り組めるようサポートしていきましょう。

モニタリングと評価：効果測定と継続的な支援

認知行動療法において、モニタリングと評価は極めて重要です。モニタリングは介入の効果を随時確認し、必要に応じて修正を行うために欠かせません。評価は、介入の最終的な効果を測定し、今後の治療方針を決定する上で重要な役割を果たします。

モニタリングでは、患者さんの状態を定期的に確認します。継続的な支援は、認知行動療法の効果を維持するために不可欠です。治療終了後も、患者さんが再発を防ぎ、自立した生活を送れるようサポートを継続しましょう。

定期的な面談や電話連絡、セルフヘルプグループへの参加支援など、患者さんの状況に合わせた継続的な支援を提供することが重要です。認知行動療法の効果を最大限に引き出すためには、モニタリング、評価、継続的な支援を三位一体で行和なければいけません。これにより、患者さんの状態を的確に把握し、適切な介入と継続的なサポートを提供して、患者さんの回復と自立を支援できます。

医療現場活用のためのポイント

認知行動療法を医療現場で効果的に活用するためには、以下のポイントに留意しましょう。

対象となる患者さんの状態を的確にアセスメントする

認知行動療法は、うつ病や不安障害などの精神疾患だけでなく、慢性疼痛や生活習慣病など、幅広い疾患に適用できます。

しかし、患者さん一人ひとりの病状やニーズは異なるため、画一的な介入ではなく、個別の状況に合わせた柔軟な対応が必要です。

患者さんとの良好な信頼関係（ラポール）を築くことが不可欠

認知行動療法では、患者さん自身が問題解決に向けて積極的に取り組むことが求められます。

そのため、看護師は傾聴や共感を通して患者さんの気持ちに寄り添い、安心して治療に取り組めるような環境づくりに努めましょう。

認知行動療法では、患者さんの考え方や行動を変容させることが目的となりますが、患者さんの価値観や自律性を尊重し、押し付けにならないよう注意しなければなりません。

常に患者さんの立場に立ち、倫理的な観点から介入内容を検討することが大切です。