| 研究 | デザイン | 結果 |
|---|---|---|
| Terblanche ら(2022)[1] | 10か月の縦断RCTを人間版とAI版で比較 | AIコーチも人間コーチも統制群より有意。AIは人間と同等の目標達成効果 |
| Terblanche ら(2022)[2] | 6か月・実験群75名/統制群94名 | 有意だったのは目標達成のみ。レジリエンス・心理的ウェルビーイング・ストレスは有意でない |
| de Haan ら(2026)[3] | 認定コーチとAIを直接比較した3群RCT(N=114/人間38・AI 37・待機統制39) | 有意な効果が出たのは人間コーチのみ。目標達成 d=0.75、ストレス低下 d=−0.52 |
3つのうち最も新しく、認定コーチとAIを同じ条件で並べた唯一の試験です。設計が丁寧なぶん、結果の重みも大きくなります[3]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 教育系多国籍企業(従業員約5万人・110か国)のリーダー114名。約30か国出身 |
| 群 | 人間コーチ38名/AIチャットボット37名/待機リスト統制39名(無作為割付) |
| 介入 | 週1回1時間×4回。人間はZoom、AIはWhatsApp上のテキスト対話 |
| コーチ | 74名の認定コーチ(ICF PCC/MCC または Ashridge認定、経験5年以上) |
| AI | 台本型+生成AIのハイブリッド。DAICフレームワークに基づき目標達成のみに特化して設計。実利用は平均4.79セッション・1回平均17分55秒 |
| 評定者 | 本人・コーチ・上司の3者が重なる尺度で評定。脱落を防ぐため全員に回答を徹底させた |
| 変数 | 人間コーチ vs 統制 | AI vs 統制 |
|---|---|---|
| 目標1の達成度 | d=0.63(p=.007) | 有意差なし(p=.39) |
| 目標2の達成度 | d=0.75(p=.001) | 有意差なし(p=.35) |
| 知覚ストレス | d=−0.52(p=.025) | 有意差なし(p=.96) |
| 認知的ハーディネス | 群間では有意差なし(群内では d=0.45, p=.05) | 有意差なし |
| 一般性自己効力感 | d=0.58(p=.012) | d=0.66(p=.005) ただし群内の前後比較では消失(d=0.05, p=.82) |
この研究で使われた9つの尺度の構成(成果・状態・予測因子・プロセスの4層)は、心理アセスメントにまとめました。効果測定の設計をそのまま参考にできます。
592名を対象とした実験では、生成AIのチャットボットが台本型(ルールベース)を、技術の受け入れやすさと自己決定の感覚では上回った一方、目標達成そのものには有意差がありませんでした[4]。
また、GROW・解決志向・認知行動の3つをAIチャットボットとして実装し比較した研究(N=592)では、認知行動ベースが他の2つを上回りました。人間のコーチングで見られる傾向とは異なる結果であり、AIを介した対話では働く心理的プロセスが違う可能性が示唆されています[5]。
| 場面 | AIに向く | 人間の領分 |
|---|---|---|
| セッション前 | 考えの整理、話したいことの言語化、問いの候補出し | — |
| セッション中 | — | 関係の構築、感情の扱い、沈黙、文脈判断 |
| セッション後 | 記録の要約、振り返りの言語化、次の行動の整理 | 継続的な関係、責任の引き受け |
| 継続支援 | 行動の記録、リマインド、小さな進捗確認 | 行き詰まりの打開、意味づけ |
AIに答えを出させるのではなく、問いを出させて自分で答えるのが、コーチング的な使い方です。
一般社団法人コーチング心理学協会では、心理学の理論を土台にした認定資格講座と、団体・法人向け研修を提供しています。