Practical Wisdom Coaching
A Guide to Theory and Practice Shane McLoughlin実践知のコーチング
「賢さ」は訓練できるのか。徳と判断をコーチングでどう扱うか
本ガイド:実存的コーチング →コーチング心理学を学びたいとき、最初の壁は「何から読めばいいか分からない」ことです。ここでは、日本語で読める入門教科書と、国際・世界で学ぶための専門書あわせて5冊を、読む順序・役割の違い・全45章の日本語マップつきで紹介します。あわせて、Routledge「コーチング心理学」シリーズ全13冊(編者 Stephen Palmer/第8作が『ガイドブック』の原書)も一覧にしました。
いきなり分厚い専門書から入ると、ほぼ挫折します。次の順序を推奨します。
『コーチング心理学ガイドブック』(北大路書房)。協会が監訳した日本語の入門教科書です。ここが標準の出発点。
『The Coaching Psychology Handbook』(Wiley, 2026)。45章・928ページ。通読ではなく、必要な章だけ引く使い方を推奨します。
職場でのポジティブ心理学なら『Positive Psychology Coaching in the Workplace』(Springer, 2021)。詳しく見る
技法を実務の視点で棚卸しするなら『Handbook of Coaching Psychology』第2版(Routledge, 2019)。詳しく見る
Routledge「コーチング心理学」シリーズ全13冊。編者は Stephen Palmer、第8作が『ガイドブック』の原書です。テーマ別に1冊ずつ足していけます。一覧を見る
原題:Introduction to Coaching Psychology/シヴォーン・オリオーダン+スティーブン・パーマー 編著/徳吉陽河 監訳/森谷 満・フジモトマナブ 訳/一般社団法人コーチング心理学協会 協力
コーチング心理学を日本語で体系的に学べる、標準的な入門教科書です。国際的にこの分野を牽引してきた執筆陣が、信頼関係の築き方、カウンセリングとの違い、エビデンスに基づく専門性という基礎から、組織やスポーツへの応用、そしてコーチング心理学の限界と未来までを一冊で解説しています。
コーチング心理学をこれから学ぶ方、すでにコーチングを実践していて理論的な裏づけを持ちたい方、人事・管理職・対人支援職として体系的な知識が必要な方。大学・大学院のテキストとしても使われています。
副題:Integrating Psychological Theory, Practice and Research/Jonathan Passmore・Andrea Giraldez-Hayes 編
2026年時点のコーチング心理学の理論・研究・実践を、45章・928ページにまとめた国際的な専門書です。編者は序文で、この20年で分野が急速に発展した一方、多くの教科書が最新の研究に追いついていないことを指摘しており、本書は「現代のコーチング心理学を学ぶための新しい標準テキスト」として企画されています。
8部45章を日本語で整理し、各章が答えている問いを1文にしました。右側は、その内容を本サイトのどのカテゴリーで扱っているかの対応です。部を選ぶと絞り込めます。
※ 章タイトルの日本語表記と要約は、当協会による整理です。原書の翻訳ではありません。
副題:Catalyzing Excellence in Organizational Leadership/Vicki V. Vandaveer・Michael H. Frisch 著
アメリカ心理学会(APA)が刊行する Fundamentals of Consulting Psychology シリーズの1冊です。202ページと薄く、扱う範囲を組織のリーダーを対象とした1対1のコーチングに絞り込んでいます。前の2冊が「分野の地図」だとすれば、こちらは1件の依頼を最初から最後まで進めるための手順書にあたります。
| 章 | 原題/日本語での主題 | ページ | この章が答えている問い |
|---|---|---|---|
| — | Introduction 序論 | 3 | この本は誰に向けて、何を扱うのか |
| 1 | Coaching Psychology: Individualized Leader Development コーチング心理学とは——個別化されたリーダー育成 | 11 | 集合研修ではなく1対1でリーダーを育てることに、どんな意味があるのか |
| 2 | A Closer Look: The Coaching Psychology Engagement 1件の依頼を、詳しく見る | 31 | 最初の問い合わせから終結まで、実際には何が起きるのか |
| 3 | Coaching Psychology Tools, Methods, and Techniques 道具・方法・技法 | 53 | 何を、どう使うのか。本書で最も厚い章(約54ページ) |
| 4 | How Effective Is Executive Coaching? エグゼクティブ・コーチングは、どれくらい効くのか | 107 | 効果はどこまで確かめられているのか |
| 5 | How Psychologists Can Prepare for Coaching Leaders 心理職は、どう準備すればよいか | 119 | 心理学の訓練を受けた人が、組織のリーダーを支援するために何を足す必要があるか |
| 6 | Ethical and Professional Issues in Coaching Psychology 倫理と専門職としての課題 | 139 | 多重関係、守秘、そして自分自身の持続可能性をどう扱うか |
※ 目次の日本語表記と「この章が答えている問い」は、当協会による整理です。原書の翻訳ではありません。ページ数は目次に記載された開始ページからの算出で、全202ページには引用文献・索引が含まれます。
Wendy-Ann Smith・Ilona Boniwell・Suzy Green 編/Springer Cham
ポジティブ心理学とコーチング心理学、そして組織心理学が職場という一点で交わるとどうなるかを、30章・587ページで扱った国際的な論集です。編者はいずれも欧州・豪州でこの領域を牽引してきた研究者・実践者で、序文では「研究から実践へ(research-to-practice)」という位置づけが明示されています。
本書の特徴は、ポジティブ心理学コーチングを「前向きに励ますこと」から明確に切り離している点です。測定・倫理・スーパービジョン・臨床領域との境界といった、実務を支える地味な論点に相当の分量が割かれています。
原書の目次を日本語で整理しました。右端は、その内容を本ガイド・ガイド内のセクションのどこで扱っているかの対応です。
| 章 | 原題/日本語の主題 | この章が答えている問い | 対応 |
|---|---|---|---|
| 第1部 ポジティブ心理学・組織心理学・コーチング心理学の合流 | |||
| 1 | PPC in the Workplace: The Business Case 職場のPPC——事業上の根拠 | 会社がこれに投資する理由は何か | ビジネス・組織 |
| 2 | The Professionalization of Positive Psychology Coaching PPCの専門職化 | 誰が名乗ってよいのか。何をもって専門職とするか | 資格・学び方 |
| 3 | Coaching as the Missing Ingredient… 研究の適用と訓練に欠けていたもの | ポジティブ心理学の知見が現場に届かないのはなぜか | ポジティブ心理学コーチング |
| 4 | PPC and Industrial-Organisational Psychology 産業・組織心理学との融合 | 先の読めない時代に、持続可能な組織をどう作るか | ビジネス・組織 |
| 5 | Keeping with the Times: Coaching, Culture and Positive Psychology コーチング・文化・ポジティブ心理学 | 文化が違えば、同じ介入は同じように効くのか | 多様性と包摂 |
| 第2部 専門的・倫理的実践 | |||
| 6 | How Can PPC Help Us Instill a Positive Organisational Culture? 組織文化への働きかけ | 個人を変えるのではなく、文化をどう変えるか | ビジネス・組織 |
| 7 | Demonstrating the Value of Workplace PPC Using Robust Measures 堅牢な尺度で価値を示す | 「効果がありました」を、どう証明するか | 効果測定プロトコル |
| 8 | Supervision: Widening the Lens and Perspective スーパービジョン——視野を広げる技芸 | 実践の質を、誰がどう保つのか | スーパービジョンガイド |
| 9 | PPC: Consolidating and Extending the Gains 得た変化を定着させ、広げる | セッションが終わったあと、どう続くのか | 基本スキル |
| 第3部 レジリエンスとウェルビーイング | |||
| 10 | Coaching with Emotions and Creating High Quality Connections 感情を扱い、質の高いつながりを作る | 職場の関係の質は、どう上げられるのか | ウェルビーイング |
| 11 | Coaching for Workplace Wellbeing 職場のウェルビーイング | 個人の幸福と組織の成果は、どう両立するか | ウェルビーイング |
| 12 | Coaching for Resilience in the Workplace レジリエンス | 打たれ強さは訓練できるのか | レジリエンス(ウェルビーイング) |
| 13 | Coaching Interventions for Challenging Experiences and Post-traumatic Growth 困難な経験と心的外傷後成長 | つらい経験を、どこまで「成長」と呼んでよいのか | 倫理・限界 |
| 14 | Coaching to Develop Psychological Capital to Support Change 心理的資本(PsyCap) | 希望・自己効力感・レジリエンス・楽観を、どう蓄えるか | 背景理論 |
| 第4部 チームとシステム | |||
| 15 | Systemic Awareness Coaching: Film as a Coaching Tool 映像を使ったリーダーシップ開発 | システム全体を見る目を、どう養うか | ビジネス・組織 |
| 16 | Coaching Teams Positively from a Complex, Adaptive Systems Perspective 複雑適応系としてのチーム | チームは足し算ではない。ではどう扱うか | ビジネス・組織 |
| 第5部 リーダーシップ | |||
| 17 | Coaching for Positive Leadership During Disruption and Crisis 混乱と危機のなかのリーダーシップ | 平時の手法は、危機でも通用するのか | ビジネス・組織 |
| 18 | PPC for Career Transition and Management キャリア移行 | 役割が変わる時期に、何を支えるか | キャリア・コーチング |
| 19 | Adult Development and PPC 成人発達 | 大人は、どう変わっていくのか | 心理学の基礎 |
| 20 | Strength-Based Coaching and Sustainability Leadership 強みとサステナビリティ | 強みは、長期的な責任とどう結びつくか | 強みで橋を架ける |
| 第6部 道具 | |||
| 21 | Towards a Neuroscience-Informed Coaching Practice: Opportunities and Limitations 神経科学——機会と限界 | 「脳が」と言ってよいのは、どこまでか | 脳科学とコーチング |
| 22 | Encouraging Job Crafting through a Coaching Partnership ジョブ・クラフティング | 仕事の中身を、本人がどう作り替えるか | ビジネス・組織 |
| 23 | Tangible Tools for PPC 手に取れる道具 | カードなどの物理的な道具は、何をしているのか | カード・教材 |
| 24 | LEGO® SERIOUS PLAY® in 1–1 Coaching レゴを使った1対1 | 言葉にならないものを、どう外に出すか | 芸術・創造性 |
| 第7部 臨床的介入と徳の合流 | |||
| 25 | Coaching with Compassion コンパッション | 思いやりは、技法として訓練できるのか | コンパッション |
| 26 | Acceptance and Commitment Coaching in the Workplace ACT | 消せない思考や感情を、どう抱えて進むか | ACT |
| 27 | Appreciative Inquiry Coaching in the Workplace アプリシエイティブ・インクワイアリー | 「うまくいっている点」から始める組織開発 | 解決志向 |
| 28 | Coaching Wisdom in the Workplace 知恵の統合モデル | 知識ではなく「知恵」を、どう扱うか | 実存的 |
| 29 | Meaning-Centred Coaching in the Workplace 意味中心のコーチング | 仕事の意味は、どう見つかるのか | 実存的 |
| 第8部 結論と今後の方向 | |||
| 30 | PPC: Conclusion and Future Directions 結論と今後の方向 | この分野はどこへ向かうのか | 研究の現在地 |
※ 章タイトルの日本語表記と「この章が答えている問い」は、当協会による整理です。原書の翻訳ではありません。
副題:A Guide for Practitioners(第2版)/Stephen Palmer・Alison Whybrow 編/Routledge
初版(2007年)は、コーチング心理学という分野が立ち上がっていく時期に「実務家のための標準ハンドブック」として位置づけられた一冊です。第2版はそれを大幅に増補し、43章・630ページの構成になっています。
本ガイドにとって重要なのは、編者の一人である Stephen Palmer が、当協会が監訳した『コーチング心理学ガイドブック』(原題 Introduction to Coaching Psychology)の編著者でもあるという点です。日本語で読める入門教科書と、この英語のハンドブックは、同じ系譜の上にあります。ガイドブックで基礎を固めたあと、同じ編者の手による厚い実務書へ進む、という道筋が自然に描けます。
この分野には、コーチング心理学だけを扱う専門書シリーズが存在します。英国 Routledge の Coaching Psychology シリーズです。1冊ずつ見ると別々の本ですが、並べると「この分野がいま何を課題にしているか」が見えてきます。
刊行年の新しい順。各カードの「本ガイド:」リンクから、同じテーマを日本語で扱っているページへ移動できます。
実践知のコーチング
「賢さ」は訓練できるのか。徳と判断をコーチングでどう扱うか
本ガイド:実存的コーチング →
コーチングとセラピーが交わる灰色の領域
どこからが自分の担当範囲でないのか。境界と倫理の判断
本ガイド:倫理・限界 →
チームコーチングの自分なりの型をつくる
既成のモデルを借りるのではなく、自分の approach をどう育てるか
本ガイド:ビジネス・組織 →
スキーマ・コーチング
何度も同じところでつまずくとき、根にある枠組みをどう扱うか
本ガイド:精神力動的 →
芸術を使ったコーチング
言葉にならないものを、絵・音・物語でどう外に出すか
本ガイド:芸術・創造性 →
ニューロダイバーシティ・コーチング
神経発達の特性を、欠損ではなく才能とキャリアの可能性として支える
本ガイド:全12章の詳しい解説 →
メンタルヘルス領域のコーチング心理学
臨床の領域と、どう責任を分けて協働するか
本ガイド:倫理・限界 →
=『コーチング心理学ガイドブック』の原書
コーチング心理学とは何か。この分野を一冊で見渡す
本ガイド:ガイドブック(日本語版) →
構成主義のコーチング心理学
人は世界をどう意味づけているか。その枠組みごと扱う
本ガイド:ナラティヴ・コーチング →
構成主義コーチングの実践ガイド
「ありえたかもしれない別の未来」を、どう一緒に描くか
本ガイド:ナラティヴ・コーチング →
ポジティブ心理学コーチングの実践
強み・ウェルビーイング・マインドフルネスを、実務にどう落とすか
本ガイド:ポジティブ心理学コーチング →
対話そのものを技芸として扱う
情報交換ではない「変容をもたらす対話」とは何か
本ガイド:基本スキル →
学校現場のコーチング心理学
教員・チーム・学校組織に、解決志向と認知行動をどう持ち込むか
本ガイド:教育・キャリア →※ 書影は出版社(Routledge / Taylor & Francis)のサーバー上の画像を参照しています。日本語の主題と「この本が答えている問い」は当協会による整理で、原書の翻訳ではありません。表示されない書影がある場合は、出版社側のURL変更によるものです。
| 時期 | 何が中心だったか | 該当する巻 |
|---|---|---|
| 2016–2019 | 領域と技法を広げる。学校、対話、ポジティブ心理学、構成主義と、適用先と理論の幅を確保する時期 | 学校/対話の技芸/ポジティブ心理学/構成主義 |
| 2020–2021 | 土台を固める。入門教科書が出て、同時に臨床領域との関係が正面から扱われる | 入門/構成主義アプローチ/メンタルヘルス |
| 2023–2026 | 難しい問いへ向かう。ニューロダイバーシティ、芸術、根深い課題、コーチングとセラピーの境界、チーム、そして実践知 | 神経多様性/芸術/スキーマ/灰色の領域/チーム/実践知 |
| こんなとき | このシリーズの巻 | 本ガイドの該当ページ |
|---|---|---|
| コーチング心理学の全体像を知りたい | Introduction to Coaching Psychology(2021) | 日本語版=ガイドブック |
| 強みやウェルビーイングを実務で使いたい | Positive Psychology Coaching in Practice(2019) | ポジティブ心理学コーチング |
| 発達特性のある人を支援している | Neurodiversity Coaching(2023) | ニューロダイバーシティ(全12章の解説つき) |
| クライアントの状態が心配で、線引きに迷う | Coaching in the Grey Space(2025) Coaching Psychology for Mental Health(2021) | 倫理と限界 |
| チームを対象にコーチングしたい | The Wise Team Coach(2025) | ビジネス・組織 |
| 同じパターンが繰り返されて動かない | Schema Coaching(2024) | 精神力動的コーチング |
| 言葉にならないものを扱いたい | Arts-Based Coaching(2024) | 芸術・創造性コーチング |
| 教育現場で使いたい | Coaching Psychology in Schools(2016) | 教育・キャリア |
| 対話の質そのものを上げたい | The Art of Dialogue in Coaching(2018) | 基本スキル/フィードバックガイド |
| 実践の質を継続的に保ちたい | (シリーズ外) | スーパービジョンガイド |
5冊は competing する本ではありません。地図・辞書・手順書・テーマ別・実務ハンドブックという、役割の違う5冊です。
| コーチング心理学ガイドブック | The Coaching Psychology Handbook | Coaching Psychology(APA) | Positive Psychology Coaching in the Workplace | Handbook of Coaching Psychology(第2版) | |
|---|---|---|---|---|---|
| 役割 | 地図 | 辞書 | 手順書 | テーマ別の論集 | 実務ハンドブック |
| 言語 | 日本語 | 英語 | 英語 | 英語 | 英語 |
| 刊行 | 2023年 | 2026年 | 2022年 | 2021年 | 2019年(第2版) |
| 分量 | 336ページ・14章 | 928ページ・45章 | 202ページ・6章 | 587ページ・30章 | 630ページ・43章 |
| 出版社 | 北大路書房 | Wiley | APA | Springer | Routledge |
| 範囲 | 分野全体(応用領域まで) | 分野全体(最新研究まで) | 組織リーダーへの1対1に限定 | 職場×ポジティブ心理学に限定 | 分野全体(実務の視点から) |
| 向いている人 | これから学ぶ人/実践者/学生 | 指導者・研究者・研修設計者 | 実際に引き受けている実務家 | 人事・組織開発・ウェルビーイング担当 | 技法を一通り押さえたい実務家 |
| 強い領域 | 基礎・カウンセリングとの違い・応用領域 | 最新研究・AI・多様性・12技法の比較 | 契約から終結まで・使う道具・倫理 | 強み・レジリエンス・心理的資本・測定・チーム | 19のアプローチ・持続可能性・専門団体情報 |
| 読む順 | 1冊目 | 辞書的に随時 | 実務に入るとき | 職場テーマを深めるとき | 技法を棚卸しするとき |
本を読むだけでは対話は上達しません。一般社団法人コーチング心理学協会では、これらのテキストの内容を演習と実践に落とし込んだ認定資格講座・法人研修を提供しています。