結論から
コーチングとカウンセリングの主な違いは「対象」と「目的」です。
心理療法は主に症状や困難の軽減を、コーチングは主に健康な機能水準からのさらなる向上を扱います。ただし用いる技法(認知再構成、解決志向の質問など)には重なりがあり、境界は連続的です。明確な精神的不調が疑われる場合は、医療・臨床につなぐのが原則です。
5つの支援を比較する
技法は重なる「違い」は技法ではなく、目的・対象・答えの所在にあります。たとえば認知再構成は認知行動療法でも認知行動コーチングでも使われます。技法が同じでも、何のために使うかが違えば別の営みです。
使い分けの判断手順
迷ったら、上から順に確認してください。前の問いで止まったら、そこが答えです。
心身の不調が疑われるか
抑うつ・強い不安・希死念慮・不眠の持続などがあれば、コーチングの対象外。医療・産業保健・臨床につなぎます。
必要な知識やスキルがあるか
まだ持っていないものは、問いでは引き出せません。まず教える。そのうえでコーチングへ移ります。
答えを持っているのは誰か
専門知識がなければ判断できない問題ならコンサルティング。本人の中に材料があるならコーチング。
本人に変わる意思があるか
強制的に受けさせられている状態では機能しにくい。まず本人の目的を一緒に見つけるところから。
事例:同じ相談が、モードで別物になる
- 相談
- 「新しい役割に自信が持てません」
- ティーチング
- 役割に必要な知識と手順を教える。(知識がない場合に有効)
- コンサルティング
- 状況を分析し「まずこの3つに着手すべき」と提示する。
- コーチング
- 「自信が持てるとしたら、何ができている状態ですか」「過去に自信を持てた経験は何が違いましたか」と問い、本人が答えを出す。
- カウンセリング
- 不安が強く日常生活に影響している場合、その苦痛自体を扱う。
- 要点
- どれが正しいかではなく、いまどのモードにいるかを自分と相手が分かっていることが重要です。
境界をまたぐときの原則
- モードの切り替えを口に出す。「ここからは私の意見を言いますね」と宣言してから助言する。
- 上司が1on1でコーチングをする場合、評価と分ける。評価者であることは消えないため、扱わない話題を先に決めておく。
- 臨床領域に入りかけたら止める。「その話は私の役割を超えます」と伝え、つなぎ先を具体的に示す。
- 本人の選択を残す。「教えましょうか、それとも一緒に考えますか」と選んでもらう。
よくある質問
コーチングとカウンセリングの違いは何ですか?
主な違いは対象と目的です。 カウンセリングや心理療法は主に症状や困難の軽減を扱い、コーチングは主に健康な機能水準からのさらなる向上を扱います。技法には重なりがあり、明確な不調が疑われる場合は医療・臨床につなぎます。
コーチングとコンサルティングの違いは何ですか?
答えを誰が出すかが違います。 コンサルティングは専門家が分析して解を提示し、コーチングは問いと対話によって本人が答えを出すのを支援します。同じ人が両方を行う場合は、いまどちらのモードかを明示してください。
コーチングとティーチングの違いは何ですか?
知識やスキルが本人にまだない場合はティーチング、すでにある力を引き出す段階ではコーチングです。 順序としては、教えてからコーチングへ移るのが自然です。
コーチングとメンタリングの違いは何ですか?
メンタリングは経験者が自らの経験にもとづいて助言し、長期的に育てる関係です。 コーチングは経験の共有を前提とせず、相手の答えを引き出すことに焦点を当てます。
どう使い分ければよいですか?
「不調はないか → 知識はあるか → 答えを持つのは誰か」の順に確認します。 いずれにも当てはまらなければコーチングが適します。詳しくは上の判断手順をご覧ください。
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