結論から
コーチングの基本スキルは、傾聴・質問・承認・フィードバック・目標設定の5つです。
このうち傾聴が土台で、ほかの4つは傾聴が成り立って初めて機能します。関係の質が成果を左右することは研究でも繰り返し示されており、技法より先に整えるべきものがある、というのがこの分野の共通見解です。
1. 傾聴
傾聴とは、黙って聞くことではありません。受け取ったことが相手に伝わっている状態が傾聴です。黙っているだけでは、聞いてもらえたかどうかが相手には分かりません。
よくある失敗相手の話の途中で自分の経験を語り始める。よかれと思った共感が、話題を奪います。
2. 質問
良い質問は、相手の思考に「広がる」か「具体化する」のどちらかを起こします。
- 広げる:「ほかにはどんな可能性がありますか」
- 広げる:「もし制約が何もなかったら、どうしますか」
- 具体化する:「それは、いつ・どこで起きますか」
- 具体化する:「10点満点だと、いまは何点ですか」
- 視点を変える:「相手の立場からは、どう見えていますか」
避けたい2つ誘導尋問(「〜したほうがいいと思いませんか?」)は助言を質問の形にしたもので、この分野では典型的な失敗とされます。「なぜ」で始まる問いは相手を防御的にしやすいため、「いつ・どこで・何が」に置き換えると扱いやすくなります。
場面別の問いは質問ガイドにまとめています。
3. 承認
承認はほめることではありません。ほめるのは評価を伝えること、承認は事実を伝えることです。
4. フィードバック
言い方を、そのまま持ち帰れる形にしました「ちゃんとやって」「やる気ある?」「すごいね」——つい言ってしまう言葉を、動機づけ理論と実行意図にもとづいて置き換える
言い換えの5原則にまとめています。辞典(15場面105フレーズ)・下書きの点検ツール・印刷用カードは、専門サイト
フィードバックガイドに移しました。
原則は3つです。人柄ではなく行動について/解釈ではなく観察できた事実から/次の一手は本人が決める。
- 事実「昨日の会議で、最初の10分は発言がありませんでした」
- 影響「そのため、あなたの案が議題に乗るのが遅れました」
- 問い「次に同じ場面が来たら、どうしますか」
順番が要点先に解釈(「やる気がないように見えた」)を伝えると、相手は事実ではなく評価に反応します。事実 → 影響 → 問いの順を崩さないでください。
5. 目標設定
目標は「立てさせる」ものではなく、本人の言葉になった時点で機能し始めます。確認する点は4つです。
- 具体的か — 実現したことが何を見れば分かるか。
- 本人のものか — 誰かに決められた目標が混ざっていないか。
- いま大切か — 10点満点で何点の重要度か。理由は何か。
- 最初の一歩があるか — 明日できることが1つ決まっているか。
進め方の型はコーチングモデル(GROW・PRACTICEなど)を参照してください。
よくある質問
コーチングの基本スキルは何ですか?
傾聴・質問・承認・フィードバック・目標設定の5つです。 このうち傾聴が土台で、ほかの4つは傾聴が成り立って初めて機能します。
傾聴とは、ただ黙って聞くことですか?
違います。受け取ったことが相手に伝わっている状態が傾聴です。 うなずき、そのまま返す、要約して確認するといった行為を含みます。黙っているだけでは、聞いてもらえたかどうかが相手に分かりません。
良い質問とはどんな質問ですか?
相手の思考が「広がる」か「具体化する」かのどちらかが起きる質問です。 避けるべきは、助言を質問の形にした誘導尋問と、「なぜ」で始まり相手を防御的にさせる問いです。
承認とほめることは同じですか?
違います。ほめるのは評価を伝えること、承認は事実を伝えることです。 「よくやったね」より「締切の3日前に出してくれましたね」のほうが、相手の中に残ります。
フィードバックはどう伝えればよいですか?
事実 → 影響 → 問い、の順です。 人柄ではなく行動について、解釈ではなく観察できた事実から伝え、次にどうするかは本人に考えてもらいます。
次に読む