運営一般社団法人 コーチング心理学協会
コーチング心理学ガイドCOACHING PSYCHOLOGY GUIDE
ホーム / コーチング心理学ガイド / 読むだけで、終わらせないために
START | 次の一歩

読むだけで、終わらせないために

知っていることと、できることのあいだには、練習とフィードバックがある。

結論から 知識は必要ですが、それだけでは行動は変わりません。 支援スタッフ107名の研究では、助ける行動を有意に予測したのは「知識」だけでした[1]。 一方で、研修そのものの効果を調べたメタ分析では、効果が「反応」と「学習」に偏り、行動の変化まで届いた研究は少ないと報告されています[2]。 この2つを合わせると、答えは1つです。学ぶ。そのうえで、使い、フィードバックを受ける。

読むことと、できることの差

研修の効果は、4つの水準に分けて考えられてきました。上から順に、達成するのが難しくなります。

水準何が変わるか読むだけで届くか
1. 反応「よかった」と感じる届く
2. 学習知識が増える・理解が変わる届く
3. 行動実際の関わり方が変わる届きにくい
4. 成果相手や組織に変化が起きる届きにくい

多様性研修を対象としたメタ分析では、全体の効果量は g=.38 でしたが、その効果は上の1と2に偏っており、3と4に届いた研究は限られていました[2]。読むことや聞くことは、2までを確実に運びます。3から先に進むために必要なのは、次の3つです。

実際に使う場面をつくる

読んだ翌週に1回でも使わないと、知識は使われないまま沈みます。今日の問いを1つ保存して、次の面談で使ってみるところからで十分です。

他の人から見てもらう

自分の関わり方は、自分では見えません。録画でも同僚でもよいのですが、第三者の目が入るかどうかが、3の水準に届くかの分かれ目になります。

続けられる仕組みを持つ

1回の研修より、戻ってこられる場のほうが効きます。事例を話せる相手が1人いるだけで、続き方が変わります。

この3つが、講座を選ぶ基準になります逆に言えば、演習がない・見てもらえない・修了したら終わりという講座は、2の水準で止まりやすい、ということです。下の「5つの確認点」は、この基準を具体化したものです。

目的別・3つの入口

同じ「学びたい」でも、目的が違えば入口が変わります。まず自分がどれに近いかを選んでください。

ENTRY A

自分自身のために学ぶ

考えの整理、目標の立て方、落ちこみからの戻り方。まず自分に使うところから始める道です。

順序:はじめに → レディネス・セルフチェック → 質問ガイド → 基礎の講座

ENTRY B

仕事で人を支援する

1on1、面談、教育・キャリア支援、発達特性のある人への関わり。相手がいる人の道です。

順序:5つの基本スキル → 12技法から1つ選ぶ → 作業同盟セルフチェック → 倫理と限界 → 技法別の認定講座

ENTRY C

組織に導入する

管理職研修、1on1の制度設計、離職防止、多様性の推進。仕組みごと変える立場の道です。

順序:ビジネス・組織 → 多様性と包摂 → 効果測定プロトコル → 法人研修のご相談

入口が決まったら

それぞれの入口に対応する講座は、協会の公式サイトにまとまっています。費用・日程・開催形式(対面/オンライン)も、そちらが最新です。

開催中の講座・日程を見る 認定資格の一覧 法人研修のご相談

セルフチェックの結果から選ぶ

本ガイドのコーチング・レディネス・セルフチェックを受けた方は、その結果から入口を絞れます。点数の高低で講座の内容が変わるわけではありません。いま何を必要としているかの手がかりとして使ってください。

低く出た軸いま起きていそうなこと向いている進め方
できそうの感覚やり方は知っているが、実際にやる場面で止まる演習量の多い講座。小さな成功体験を、安全な場で重ねる
見通しをつくる力何を目指すかが定まらないまま学び続けている基礎の体系を扱う講座。全体像が見えると道筋が描ける
立て直す力負荷が続いていて、学ぶ余力そのものが少ない講座より先に負荷を減らす設計。回復してからで遅くありません
支えのつながり一人で学び、一人で実践している事例を話せる場がある講座。この軸は、講座がいちばん直接効きます
「立て直す力」が低い場合は、急がないでください消耗している時期に新しい学習を足すと、負担が増えるだけになることがあります。休むことは後退ではなく、続けるための手順です。詳しくは支援する人が続けられるためにをご覧ください。

講座選びの5つの確認点

当協会のものに限らず、どの講座を検討する場合でも使える基準です。ここを聞いて答えられない講座は、避けたほうが安全です。

より詳しい比較の観点は資格・学び方にまとめています。

当協会の認定資格

一般社団法人コーチング心理学協会では、心理学の理論を土台にした認定資格講座を提供しています。扱う理論と場面によって分かれていますので、上の3つの入口と照らして選んでください。

認定資格土台となる理論・領域本ガイドの対応ページ
コーチング心理士®コーチング心理学の全体はじめに/12技法
サイコロジカルコーチ®心理学を土台にした支援全般心理学の基礎
認知行動コーチ®認知行動アプローチ認知行動コーチング
解決志向コーチ®ソリューションフォーカスト解決志向コーチング
ナラティヴ・コーチ®ナラティヴ・アプローチナラティヴ・コーチング
フィードバックスキルコーチ®フィードバックと対話5つの基本スキル
ポジティブ心理学コーチポジティブ心理学・強みウェルビーイング

※ 各資格の受講要件・カリキュラム・費用・日程は、協会の認定資格ページおよび講座・イベントページが最新です。本ページでは資格の位置づけのみを示しています。

申込みまでの流れ

1. 入口を決める

自分のためか、仕事で使うか、組織に導入するか。上の3つから選びます。迷う場合は、いま関わっている相手を1人思い浮かべてください。相手がいるなら B です。

2. 対応する講座を見る

協会の講座・イベントページで、開催日程と形式を確認します。費用と時間の総額もここで分かります。

3. 5つの確認点で照らす

とくに演習の量と修了後に戻れる場があるかの2点は、申込み前に確認しておく価値があります。

4. 申し込む・相談する

個人の講座は各ページから、法人研修は法人研修ページから。迷う場合はお問合せで、いまの状況を書いてご相談ください。

5. 受講前に、いまの状態を記録しておく

レディネス・セルフチェックを受講前に1回とっておくと、修了後に比べられます。前の状態を記録していないと、変化は語れません。測り方は効果測定プロトコルにまとめています。

よくある質問

読むだけでは身につかないのですか?
知識は必要条件です。ただし、それだけでは行動の水準に届きにくいことが示されています。 支援スタッフ107名の研究では、助ける行動を有意に予測したのは知識だけでした[1]。一方で研修のメタ分析では、効果が反応と学習に偏っていました[2]。学ぶ、使う、見てもらうの3つがそろって初めて、関わり方が変わります。
どの講座から受ければよいですか?
目的によって変わります。 自分自身のために学ぶなら基礎から、仕事で人を支援するなら扱う相手と場面に近い技法から、組織に導入するなら法人研修から検討するのが現実的です。このページの3つの入口で絞り込めます。
費用や日程はどこで確認できますか?
協会の公式サイトの講座・イベントページが最新です。 本ガイドには費用や日程を掲載していません(更新のずれで誤った情報が残ることを避けるためです)。講座・イベントページをご確認ください。
資格を取らないと使えませんか?
使えます。 本ガイドの内容は無料で公開しており、質問ガイドやセルフチェックもそのまま実務に使えます。資格は、体系的に学び、第三者に説明できる形にしたい場合の選択肢です。
講座を選ぶときに確認すべきことは何ですか?
理論の裏づけ、演習とフィードバックの量、倫理と限界の扱い、修了後に事例を話せる場、費用と時間の見通し——この5点です。 とくに倫理と限界を扱わない講座は、適用外のケースを判断できないまま現場に出ることになります。詳しくは5つの確認点をご覧ください。

次に読む

学んだことを、使えるようにする

一般社団法人コーチング心理学協会では、心理学の理論を土台にした認定資格講座と、団体・法人向け研修を提供しています。演習と事例検討を含む形で、行動の水準まで届く設計にしています。

認定資格を見る 講座・イベント日程 法人研修のご相談

参考文献

  1. Wishart, J. G., et al. (2013). Staff responses to behaviour that challenges: The role of knowledge, attributions, and emotion regulation style. Journal of Intellectual & Developmental Disability, 38(3), 267–277. doi:10.3109/13668250.2013.787589
  2. Bezrukova, K., Spell, C. S., Perry, J. L., & Jehn, K. A. (2016). A meta-analytical integration of over 40 years of research on diversity training evaluation. Psychological Bulletin, 142(11), 1227–1274. doi:10.1037/bul0000067
  3. Graßmann, C., Schölmerich, F., & Schermuly, C. C. (2020). The relationship between working alliance and client outcomes in coaching: A meta-analysis. Human Relations, 73(1), 35–58. doi:10.1177/0018726718819725
  4. オリオーダン, S.・パーマー, S.(編)徳吉陽河(監訳)(2023). コーチング心理学ガイドブック 北大路書房
監修
一般社団法人 コーチング心理学協会
公開日
2026年8月31日
最終レビュー
2026年8月
注記
本ページは教育・情報提供を目的としたもので、医学的診断・治療の代替ではありません。心身の不調が疑われる場合は医療機関にご相談ください。