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コーチング心理学ガイドCOACHING PSYCHOLOGY GUIDE
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04 THEORY

理論・アプローチ

12の技法。それぞれ何を前提にし、どんな場面に向くのか。

結論から コーチング心理学には複数のアプローチがあり、国際的な標準テキストでは12の技法として整理されています。 重要なのは、どれが正しいかではなくどれをいつ使うかです。研究上は、単一の手法に固執するより複数の枠組みを統合したアプローチのほうが効果が大きいと報告されています(統合型 g=0.71 対 単一手法 g=0.45)[1]。

12の技法一覧

『The Coaching Psychology Handbook』(Wiley, 2026)第7部の構成に対応しています。上から順に、土台となるものから専門性の高いものへ並べました。

技法ひとことで言うと向く場面
パーソンセンタード助言せず、聴き、相手の力を信じるすべての土台。関係づくりの段階
認知行動コーチング考え方を点検し、行動を試して確かめる思い込みが行動を止めているとき
ソリューションフォーカスト原因より「うまくいっている場面」を探す原因追及が行き詰まっているとき
マインドフルネス今ここに注意を戻し、反応の前に一拍おく反応的になりやすいとき
コンパッション・フォーカスト思いやりを自分に向ける練習自分に厳しすぎる人
ACT苦しさを消さず、大切な方向へ動く不安や迷いを抱えたまま進みたいとき
ナラティヴ語りなおすと、出来事の意味が変わる過去の解釈が現在を縛っているとき
システミック個人ではなく関係の網の中で捉える本人だけでは動かせない問題
動機づけ面接説得せず、本人から変化の言葉を引き出す変わりたい/変わりたくないが同居するとき
実存的「何のために」「どう生きるか」を扱うキャリアや人生の転機
芸術・創造性絵・比喩・イメージで言葉にならないものを扱う言語化が難しいとき
精神力動的気づいていないパターンや過去の影響を扱う同じ失敗が繰り返されるとき
ポジティブ心理学コーチング強み・良い関係・意味を足場にして目標へ橋を架ける資源はあるが動き出せないとき

12技法の個別記事

それぞれの技法について、考え方・進め方・使う質問・研究で分かっていること・限界を1ページにまとめました。関心のあるところから読んでください。

全45章の対応表は書籍ガイドの章マップをご覧ください。

どれから学ぶか

STEP 1

パーソンセンタード

すべての対話の土台になる姿勢。ここが崩れると、他の技法は機能しません。

STEP 2

認知行動コーチング

最も研究の蓄積が多く、手順が明確。「考え方 → 行動」の扱い方を型として身につけます。

STEP 3

ソリューションフォーカスト

原因追及が行き詰まったときの逃げ道になります。短時間で使え、効果を実感しやすい技法です。

STEP 4

関心のある領域へ

ACT・ナラティヴ・動機づけ面接など。扱う相手と場面に合わせて足していきます。

技法より効いているもの

個別の技法どうしを比較すると、明確な優劣が出ないことが多いと報告されています。むしろ効果に効いているのは、技法を超えた共通要因です。

実務への含意「どの流派を名乗るか」より、関係を築けているか、相手に選んでもらえているかのほうが結果に効きます。技法の学習は必要ですが、それだけでは足りません。

よくある質問

コーチング心理学ではどんな理論を使うのですか?
認知行動、解決志向、ポジティブ心理学、人間性心理学、ナラティヴ、ACT、動機づけ面接、マインドフルネス、コンパッション、システミック、実存的、精神力動的などです。 国際的な標準テキストでは12の技法として整理されています。
どれか1つを選んで学ぶべきですか?
研究上は、単一の手法に固執するより複数の枠組みを統合したほうが効果が大きいと報告されています[1]。 まず1つを深く学び、そのうえで他を足していくのが現実的です。
最初に学ぶならどれがよいですか?
パーソンセンタード・アプローチと認知行動コーチングの2つです。 前者はすべての対話の土台になる姿勢、後者は最も研究の蓄積が多く手順が明確なためです。
技法によって効果に差はありますか?
個別の技法どうしの比較では、明確な優劣が出ないことが多いと報告されています。 効果に効いているのは技法そのものより、関係の質などの共通要因である可能性が指摘されています[2][3]。
相手によって使い分けるのですか?
はい。 原因の分析が有効な人もいれば、うまくいっている場面を広げるほうが動く人もいます。本人と一緒に進め方を選ぶこと自体が、効果を高めうると報告されています[3]。

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参考文献

  1. Wang, Q., Lai, Y.-L., Xu, X., & McDowall, A. (2021). The effectiveness of workplace coaching: A meta-analysis of contemporary psychologically informed coaching approaches. Journal of Work-Applied Management, 14(1). doi:10.1108/JWAM-04-2021-0030
  2. Graßmann, C., Schölmerich, F., & Schermuly, C. C. (2020). The relationship between working alliance and client outcomes in coaching: A meta-analysis. Human Relations, 73(1), 35–58. doi:10.1177/0018726718819725
  3. de Haan, E. (2024). How can coaches choose their approach and their interventions based on the evidence we now have? Consulting Psychology Journal. doi:10.1037/cpb0000276
監修
一般社団法人 コーチング心理学協会
公開日
2026年8月31日
最終レビュー
2026年8月
注記
本ページは教育・情報提供を目的としたもので、医学的診断・治療の代替ではありません。心身の不調が疑われる場合は医療機関にご相談ください。