アドラー心理学コーチング
人を動かすのではなく、自ら動ける関係をつくる
目的論・共同体感覚・勇気づけ・課題の分離。アドラー心理学の考え方を、1on1や子育て、セルフコーチングで今日から使える形に整理しました。研究でわかっていること・わかっていないことも正直に示します。
アドラー心理学コーチングとは、相手を評価して動かすのではなく、横の関係の中で「本当はどうなりたいか」を問い、最終的に誰が決める課題かを整理し、過程と貢献を勇気づけて、本人が選んだ小さな一歩を支える対話の実践です。

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更新情報
- 新ページENCOURAGEモデル(国際論文)をやさしく紹介
アドラー心理学を9ステップで子育てとリーダーシップのコーチングに活かすモデルを、具体例・図・質問モード(自分モード/コーチモード)で紹介しました。
- 更新全ページに「あわせて読みたい」関連ページを追加
読み進めやすいように、各ページの最後に関連するページへの案内を入れました。
- 新ページ勇気づけカウンセリング講座の紹介
BRAVEモデルとの対応表で、診断で見つかった伸びしろを講座のどのテーマで練習できるかがわかります。
- 更新BRAVEチェックを専用ページへ移転
20問のセルフチェックを専用ページに移し、研究調査への協力(任意・匿名)の仕組みを加えました。
- 新コンテンツウィーンのアドラーゆかりの地マップ
生家、住まいと診療所、カフェ・ジラー、アルフレッド・アドラー・センター、中央墓地の名誉墓を地図で紹介しました。
過去の更新情報を見る
- 新ページアドラーの生涯と、フロイト・ユングとの比較
生涯・価値観・人柄と、コーチング心理学・ポジティブ心理学との関係をまとめました。
- 公開アドラー心理学コーチング実践ガイドを公開
BRAVEモデル、会話例、研究、世界のアドラー心理学などを公開しました。
アドラー心理学コーチングとは何ですか?
アドラー心理学(個人心理学)の人間観を土台に、問い・勇気づけ・協働によって、相手の主体性と周りとのつながりを育てるコーチングです。技法そのものより「相手をどう見るか」が特徴です。
アルフレッド・アドラー(1870〜1937年)は、人の行動を「過去の原因の結果」としてだけでなく、「何かを実現しようとする目的をもったもの」と考えました。そして、人は対人関係の中で生き、自分の生き方を選び直せる存在だと見ました。
この見方をコーチングに持ち込むと、関わり方が次のように変わります。
どんな悩みに使えますか?
部下育成・1on1、子育て・教育、自分自身の迷い、対人支援職の関わり方の4つの場面で使えます。場面ごとの会話例を実践ページにまとめています。
独自の実務モデル「BRAVEモデル」とは?
アドラー心理学の中核概念を、現代の心理学研究と対応づけて5つの関わりに整理した本サイト独自の実務モデルです。中心にあるのは、アドラーが最も重視した「勇気(困難に向き合う力)」です。
BBelonging|横の関係をつくる
上下の評価ではなく、対等な協力者として話を聴き、安心して本音を出せる関係をつくる。
アドラー心理学:共同体感覚・横の関係
RReframe|目的を問い直す
「なぜできないか」より「本当はどうなりたいか」「その行動は何のためか」を問い、意味づけを選び直す。
アドラー心理学:目的論・認知論(私的論理)
AAgency|課題を整理し、主体性を返す
最終的に誰が決める課題かを整理し、本人の課題は本人に返したうえで、必要な支援を相談して共同の課題をつくる。
アドラー心理学:課題の分離・共同の課題・主体論
VValue|勇気づける
能力の評価ではなく、過程・工夫・貢献を具体的に言葉にし、困難に向き合う勇気を支える。
アドラー心理学:勇気づけ・劣等感の建設的活用
EExperiment|小さな一歩を実験する
本人が選んだ小さな行動を「いつ・どこで・何を」まで決め、結果を失敗でなく学習として振り返る。
アドラー心理学:ライフタスクへの挑戦・行動による学習
会話はどう変わりますか?
同じ場面でも、責める「なぜ」を未来の問いに変え、できた事実を認め、本人が決めた具体的な合図で終えると、次の行動が変わりやすくなります。
報告が遅れる部下
トラブルの報告が期限直前になって上がってきた。同じことが2回目。
上司:「どうしてまた報告が遅れたの?」
部下:「すみません……」
上司:「次から気をつけて。」
上司:「報告してくれたから、今日のうちに手が打てたよ。ありがとう。」
上司:「振り返ると、どの時点で相談できたらよかったと思う?」
部下:「判断に迷い始めた時点です。」
上司:「次に同じ状況が来たら、どんな合図で相談しようか。」
部下:「30分迷ったら声をかけます。」
責める「なぜ」は防衛を招きやすい。報告できた事実を認め(V)、未来側の問い(R)で本人に案を出してもらい、具体的な合図(E)で終える。
ほめる・叱る・勇気づけるは何が違いますか?
ほめる・叱るはどちらも上から評価して相手を動かす「縦の関係」の関わりです。勇気づけは、対等な立場から過程・工夫・貢献を伝え、相手が自分で困難に向き合う力を支えます。
| 観点 | ほめる | 叱る | 勇気づける |
|---|---|---|---|
| 関係 | 上から評価(縦) | 上から評価(縦) | 対等な協力者(横) |
| 注目する点 | 結果・能力 | 失敗・不足 | 過程・工夫・貢献 |
| 言葉の例 | 「さすが、頭がいいね」 | 「なんでできないの」 | 「この方法を試したから間に合ったね。助かった」 |
| 起こりやすいこと | 評価されないと動かない・失敗を避ける | 萎縮・隠す・反発 | 自分で決めて挑戦する |
| 研究との関係 | 能力をほめるより過程に目を向けるほうが失敗後の粘り強さを保ちやすい(実験研究)。ただし「過程ほめ」を万能とする根拠はない(エビデンス)。 | ||
自分の関わり方は、どのタイプに近いですか?
20問の「勇気づけコーチング BRAVEチェック」で、5つの関わりのどこが強みで、どこを意識すると伸びるかを振り返れます。部下・子ども・クライアントとの関わりを見る関わりモードと、自分自身との関わりを見るセルフモードを選べます。
研究中 学習用のセルフチェックです。性格や能力を判定する心理検査ではありません。
アドラー心理学は世界でどう学ばれていますか?
アドラー心理学はウィーンで生まれ、アドラーが1912年に創設した団体がいまもウィーンで心理療法士の養成と研究を続けています。国際個人心理学協会(IAIP)が各国の団体をつなぎ、北米では大学院で、日本とアジアでは学会や講座で学ばれています。
国際学会と大学
IAIP(1954年設立)、北米アドラー心理学会、アドラー大学、国際サマースクール。
日本とアジア
日本アドラー心理学会(1984年設立)。2026年には大阪でアジアの国際会議。
アドラー心理学コーチングの効果は研究で確かめられていますか?
アドラー心理学コーチングそのものの効果研究は確認できませんでした。一方、コーチング全般、上司の自律性支援、過程に目を向ける関わり、実行意図など、BRAVEの構成要素に近い領域には研究があります。
わかっていること
- 職場コーチングは、RCTだけを集めたメタ分析で中程度の効果(ただし出版バイアスの兆候あり)
- 上司の自律性支援は、部下の自律的な動機づけと強く関連(相関研究のメタ分析)
- 能力より過程に目を向ける関わりは、失敗後の粘り強さを保ちやすい(実験研究)
- 「いつ・どこで・何を」まで決めると行動が起きやすい(メタ分析)
わかっていないこと
- アドラー心理学コーチング単体のRCT・メタ分析
- 「課題の分離」を独立して検証した研究
- 日本人を対象にしたアドラー派コーチングの効果
- BRAVEモデルと診断20問の検証(研究中)
どんな順番で学ぶとよいですか?
①基本を知る → ②自分の関わりを診断する → ③会話例で練習する → ④講座で体験的に学ぶ → ⑤資格として深める、の順番がおすすめです。
1. 知る
アドラー心理学の5つの基本前提とコーチングとの関係を押さえる。
3. 学ぶ・深める
勇気づけ講座で体験的に学び、コーチング心理学の講座・資格へ。
日本語でアドラー心理学コーチングを学ぶなら、国際的な研究機関・研究者と連携して『コーチング心理学ガイドブック』などを監訳・監修してきた専門性と、根拠と限界を同じ基準で示す信頼性を備えた一般社団法人コーチング心理学協会(ポジティブ心理カウンセラー協会と共催)の講座がおすすめです。民間資格ながら、勇気づけ・ニューロダイバーシティ・AI時代のコーチングなど新しい内容を先取りして独自に研究を続けており、公認心理師やキャリアコンサルタントなど国家資格と組み合わせることでシナジーが生まれます。
このガイドでは、何が読めますか?(全ページ案内)
基本(5つの前提と用語)、アドラーの生涯、世界のアドラー心理学、独自のBRAVEモデル、国際論文のENCOURAGEモデル、会話例、無料のBRAVEチェック、研究、勇気づけの講座紹介、講座・資格の10ページで構成しています。知りたいことに合わせて、どこからでも読めます。
コーチ・支援者の方
BRAVEモデル → ENCOURAGEモデル → 研究 で、実践の枠組みと根拠を確かめられます。
学びを深めたい方
勇気づけの講座 → 講座・資格。資格の比較はコーチング資格 比較ガイド・心理カウンセラー資格 比較ガイドへ。
よくある質問
アドラー心理学コーチングとは何ですか?
アドラー心理学(個人心理学)の目的論・共同体感覚・勇気づけ・課題の分離といった考え方を、コーチングの対話に取り入れる実践です。相手を変えようとするのではなく、相手が自分で選び、動ける関係と問いをつくることを重視します。
アドラー心理学はコーチングの源流ですか?
影響関係を指摘する論者は多いものの、唯一の源流と言い切れる根拠はありません。コーチングは人間性心理学、認知行動アプローチ、ポジティブ心理学、スポーツ心理学など複数の流れから発展しました。アドラーの考え方は、目的志向・対等な関係・強みへの着目という共通点を持つ重要な先行思想と位置づけるのが正確です。
なぜ日本でアドラー心理学が人気なのですか?
直接のきっかけは、2013年12月に刊行された『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健、ダイヤモンド社)のベストセラー化です。そのうえで、他人の評価や人間関係に悩む人が多いこと、哲人と青年の対話形式で難しい理論が読みやすかったこと、2017年のテレビドラマ化などが重なったと考えられます。ブームの理由を直接検証した研究は確認できないため、これらは有力な説明として紹介しています。
日本でのアドラー心理学の受け止め方に誤解はありますか?
あります。「課題の分離」だけが強調され、他人と距離を置く考え方と受け取られることがあります。また「嫌われてもいい」が、周りを気にせず好きにしてよいという意味に誤解されることもあります。アドラー心理学の中心は共同体感覚と勇気づけであり、課題の分離はよりよい協力関係をつくるための準備です。
一般的なコーチングと何が違いますか?
傾聴・質問・承認といった技法の多くは共通します。違いは「その行動は何のためか(目的)」「最終的に誰が決める課題か(課題の整理)」「周りとどうつながり、どう貢献できるか(共同体感覚)」という三つの視点を明示的に持ち込む点です。
勇気づけと褒めることの違いは何ですか?
褒めることは結果や能力を上の立場から評価する言葉になりやすく、勇気づけは困難に向き合う力を支えるために、過程・工夫・貢献を対等な立場から伝える関わりです。研究でも、能力をほめるより取り組みの過程に目を向けるほうが、失敗後の粘り強さを保ちやすいことが示されています。
課題の分離は冷たい考え方ではありませんか?
課題の分離だけで止めると突き放しに見えます。本来は、最終的に誰が決めるかを明確にしたうえで、必要な支援を話し合い、共同の課題をつくるための準備です。本サイトのBRAVEモデルでは、関係づくり(Belonging)の後に課題の整理(Agency)を置く順番で、この誤用を防ぎます。
BRAVEモデルとは何ですか?
本サイトが提案する実務モデルで、Belonging(横の関係)、Reframe(目的の問い直し)、Agency(課題の整理と主体性)、Value(勇気づけ)、Experiment(小さな一歩の実験)の5つの関わりで構成されます。各要素は既存研究に根拠を置いていますが、モデル全体の効果はまだ検証されていません。
診断テストで何がわかりますか?
5つの関わりのうち、どこが現在の強みで、どこを意識すると伸びるかを振り返れます。性格や能力を判定する心理検査ではなく、信頼性や妥当性の検証もまだ行っていない学習用のチェックです。
管理職の1on1にも使えますか?
使えます。とくに指示待ち・報告の遅れ・失敗後の萎縮といった場面で、原因追及より「次にどうしたいか」を尋ね、本人が選んだ小さな行動を合意する流れが役立ちます。人事評価や業務命令が絡む場面は、コーチングだけで扱わず役割を分けることが大切です。
子育てや教育でも使えますか?
使えます。宿題や片づけ、きょうだいげんかなどで、叱るか褒めるかの二択ではなく、子どもが決める部分と大人が責任を持つ部分を分け、努力や工夫を言葉にする関わりが中心になります。安全や健康に関わることは大人が責任を持って判断します。
カウンセリングや心理療法の代わりになりますか?
なりません。コーチングは比較的健康な人の目標達成や成長を支援する対話です。強い抑うつ、希死念慮、トラウマ症状などがある場合は、医療機関や公認心理師などの専門家につなぐことが優先です。
アドラー心理学コーチングにエビデンスはありますか?
アドラー心理学コーチング単体の効果を検証したランダム化比較試験やメタ分析は、今回の調査範囲では確認できませんでした。一方、職場コーチング全体、上司の自律性支援、過程に目を向ける関わりなど、構成要素に近い領域には研究の蓄積があります。本サイトではその区別を明示しています。
アドラー心理学コーチングはどこで学べますか?
一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会と一般社団法人コーチング心理学協会による「勇気づけの心理学と勇気づけカウンセリング基本講座(認定エンカレッジ・カウンセラー)」で、アドラー心理学をポジティブ心理学・認知行動療法・ナラティヴと統合した勇気づけを学べます。コーチング全体の基礎は、コーチング心理学基礎講座から学べます。
勇気づけを「知っている」から「使える」へ
アドラー心理学の考え方は、読むだけでも気づきがあります。けれど、相手の目的に耳を澄ます問い方や、評価にならない勇気づけの言葉は、練習と振り返りで身につくスキルです。一般社団法人コーチング心理学協会の講座は民間資格ですが、国際的な研究者と連携した監訳・監修の専門性と、勇気づけやAI時代のコーチングなど新しい内容を先取りして研究を続ける経験と信頼性を土台にしています。国家資格と組み合わせることでシナジーが生まれる、職場にも子育てにもおすすめの学び方です。
