「社員をやる気にさせる研修」は、
もう限界かもしれません。
意味・強み・つながりから、
自ら動く組織へ。
コーチング心理学 × ポジティブ心理学 × マタリング(Mattering)を統合し、エンゲージメントを「測って・対話して・行動を変えて・また測る」ところまで設計する研修です。学びを社内に残したい方には、認定資格に対応したエンゲージメント・コーチング基本講座もご用意しています。
エンゲージメント向上研修とは、従業員の「仕事への活力・熱意・没頭」を、満足度施策ではなく意味づけ・強み・つながり・自律性・成長・マタリング(自分は重要な存在だという感覚)という心理的要因から高め、その変化をアセスメントで検証する研修です。当協会では、コーチング心理学とポジティブ心理学のエビデンスにもとづき、管理職の1on1・フィードバック行動の変化までを設計します。
認定エンゲージメント・コーチ®(Basic)対応講座
「どうすれば社員はやる気になるか」ではなく、「どの心理的要因が、どの職場課題を生み、どの行動を変えれば、何で測れるのか」。ここまで具体化することが、研修を“やって終わり”にしないための条件です。
このページの読み進め方
研修の検討担当者と、個人で学びたい方の両方に向けて構成しています。上から順に読めば「知る→測る→設計する→動く」が一続きになります。
30秒でわかる結論
結論:エンゲージメントは「気持ちの問題」ではなく、職場の構造と管理職の対話行動から生まれる測定可能な状態です。だから、施策の順番は「福利厚生 → 満足度調査」ではなく、「測る → 管理職の対話を変える → 仕事の意味づけを変える → 再測定する」になります。
| よくある問い | 短い答え |
|---|---|
| 満足度を上げれば解決する? | しません。満足は「不満がない状態」、エンゲージメントは「活力・熱意・没頭がある状態」で別物です。待遇改善は不満を減らしますが、活力は増やしません。 |
| 誰から手をつける? | 管理職です。世界の管理職エンゲージメントは2022年の31%から2025年に22%へ低下し、全体の低下の主因になっています(Gallup 2026)。 |
| 1on1をやっているのに効かない | 回数ではなく質の問題です。上司のコーチングスキルが低い場合、面談を増やすと目標達成がむしろ下がるという研究があります(Dahling et al., 2016)。 |
| 研修だけで変わる? | 変わりません。研修は「行動のきっかけ」であり、1on1・フィードバック・仕事の任せ方という日常の運用に接続して初めて効果が残ります。 |
| 効果は測れる? | 測れます。エンゲージメント/心理的安全性/マタリング/自己効力感/1on1の質などを、研修前・直後・3か月後の3時点で測定します。 |
| 社内に担い手を残したい | エンゲージメント・コーチング基本講座(2日間・認定エンゲージメント・コーチ®対応)で、研修設計・1on1導入・サーベイ活用まで学べます。 |
こんな状態になっていませんか?
エンゲージメントの低下は、まず「言葉にならない小さな変化」として現れます。以下は、研修のご相談でよく挙がる12の状態です。
言われたことしかやらない
指示待ちが常態化し、提案が上がってこない。
1on1が形骸化している
雑談か進捗確認で終わり、対話が行動に変わらない。
若手が定着しない
入社2〜3年で「成長できない」と言って辞めていく。
管理職が疲弊している
プレイングマネジャー化し、育成に手が回らない。
静かな退職が増えた
辞めないが、最低限しかやらない層が広がっている。
サーベイが活用されていない
点数は出るが、次の打ち手に翻訳できていない。
感謝や承認が流通しない
できて当たり前。誰が何に貢献したか見えない。
会議で本音が出ない
反対意見や失敗の報告が上がらず、後で問題化する。
リモートで分断している
雑談と偶発的な相談が消え、孤立感が強まっている。
評価面談が苦痛
フィードバックが伝わらず、双方が身構えている。
ベテランが停滞している
役割が固定化し、挑戦する理由を見失っている。
理念が現場と接続していない
掲げた言葉と日々の業務がつながって見えない。
これらは性格や世代の問題として語られがちですが、心理学の観点では「意味づけ」「マタリング」「自律性」「つながり」のいずれかが欠けているサインとして読み解けます。どこが欠けているかは 7要素チェック で確認できます。
エンゲージメントとは何ですか?
結論:エンゲージメントとは、仕事に対して活力(Vigor)・熱意(Dedication)・没頭(Absorption)を感じている、持続的でポジティブな心理状態のことです。「会社が好きか」ではなく「仕事に自分を注ぎ込めているか」を指します。
ワークエンゲージメントと従業員エンゲージメントは違うのですか?
視点が違います。ワークエンゲージメントは「仕事そのもの」への心理状態で、学術研究(ユトレヒト大学のUWESなど)で用いられる概念です。従業員エンゲージメントは「組織との関係」を含む、より経営・人事寄りの概念です。研修では両方を扱いますが、行動を変える設計には、ワークエンゲージメント側の理論(JD-Rモデル、ジョブ・クラフティング)が実務的に有効です。
| 概念 | 問い | 高いとどうなるか | 限界 |
|---|---|---|---|
| 従業員満足度 | 不満はないか | 離職の一部を抑える | 「不満がない=がんばる」ではない。上げても活力は増えにくい |
| モチベーション | いま、やる気があるか | 短期の行動量が増える | 変動が大きく、外的報酬に依存すると持続しにくい |
| エンゲージメント | 活力・熱意・没頭があるか | パフォーマンス・定着・創造性と関連 | 測り方と打ち手を誤ると「精神論」になる |
| ウェルビーイング | 心身と人生が良好か | エンゲージメントの土台になる | 高めても、意味や貢献実感がなければ活力に変わらない |
注意:エンゲージメントが高いこと自体は、無条件に良いこととは限りません。仕事の要求度が過大なまま熱意だけを高めると、ワーカホリズムや燃え尽きに転化するリスクがあります。本研修では、ウェルビーイング・回復(リカバリー)・心理的安全性を同時に扱い、「熱意だけを煽らない」設計を徹底します。
なぜ、いまエンゲージメントなのですか?
結論:世界の従業員エンゲージメントは2025年に20%まで低下し、その主因は現場社員ではなく管理職の急激な低下でした。つまりこれは「社員のやる気」の問題ではなく、管理職と組織システムの問題です。
低下の主因は管理職
Gallupの2026年版レポートでは、管理職のエンゲージメントが2022年の31%から2025年に22%へ低下。一方で非管理職は20%→19%とほぼ横ばいで、かつて存在した管理職の「エンゲージメント・プレミアム」が消失しました。
コストが可視化された
同レポートは、低いエンゲージメントによる生産性の損失を年間約10兆米ドル(世界GDPの約9%)と試算しています。人事の課題から、経営・取締役会レベルの論点へ移行しました。
人的資本開示と接続した
日本でも人的資本情報の開示が進み、エンゲージメント・研修・定着は「説明責任のある指標」になりました。だからこそ、測定と効果検証のない研修は選ばれにくくなっています。
出典:Gallup (2026). State of the Global Workplace: 2026 Report. 対象は140以上の国・地域、2025年データは約141,000人の就業者を含む263,810人の回答にもとづきます。
従来のエンゲージメント施策は、なぜ効きにくいのですか?
結論:多くの施策が「本人の気持ち」に働きかけようとして、気持ちを生み出している条件(仕事の設計・対話・関係性)に触れていないためです。原因ではなく症状に投薬している状態といえます。
| 論点 | エンゲージメント1.0 | エンゲージメント2.0(本研修) |
|---|---|---|
| 目的 | 満足度を上げる | 仕事の意味と貢献実感を高める |
| 動機の捉え方 | モチベーションを注入する | 自律性を支援し、内側から動くようにする |
| 働きかけ | 福利厚生・イベント | 仕事の設計とウェルビーイング |
| 組織との関係 | 帰属意識・愛社精神 | マタリング(自分は重要な存在だという感覚) |
| 上司の役割 | 管理し、指示する | 問い、聴き、フィードバックする |
| 研修の形 | 知識を提供して終了 | 日常の対話行動を変え、習慣化する |
| 対象範囲 | 個人 | 個人 × チーム × 組織 |
| 時間軸 | 一時的なイベント | 測定→実践→再測定の継続サイクル |
| 根拠 | 経験と感覚 | 心理尺度とメタ分析のエビデンス |
誤解されやすい点:「1.0が無駄」ということではありません。待遇・労働時間・安全衛生といった衛生要因は整っていないと2.0が機能しない前提条件です。本研修は、衛生要因が最低限整っている組織で、その先の活力をつくるための設計です。
新型エンゲージメントの7要素
結論:エンゲージメントは単一の感情ではなく、意味・マタリング・強み・つながり・自律性・成長・活力という7つの心理的要因の合成です。どれが欠けているかで、打つべき手はまったく変わります。
Meaning|意味・意義
この仕事は何のためにあり、誰の役に立っているのか。ジョブ・クラフティングで再定義します。
Mattering|重要感
「大切にされている」×「役に立っている」の両輪。承認と貢献の可視化で育てます。
Strengths|強み
できないことの矯正ではなく、持ち味が発揮される配置と任せ方に転換します。
Connection|つながり
安心して話せる関係と、助けを求められる関係。心理的安全性がここに含まれます。
Autonomy|自律性
やり方を選べる余地。自己決定理論が示す、内発的動機の中核条件です。
Growth|成長
できることが増えている実感。若手の定着に最も効きやすい要素です。
Vitality|活力・健康
心身のコンディションと回復。ここが崩れると他の6要素は機能しません。
7要素の使い方
全部を同時に上げようとしないこと。最も低い1〜2要素に絞って半年取り組むのが、最も再現性の高い進め方です。
要素ごとに、打ち手はこう変わります
| 要素 | 現場の症状 | 変える行動 | 測る指標 |
|---|---|---|---|
| Meaning | 作業としてこなしている | 「この仕事は誰の何を助けているか」を1on1で言語化する | ワークエンゲージメント(熱意) |
| Mattering | 静かな退職・承認欲求のこじれ | 成果ではなく「貢献の具体」を名指しで返す | 組織的マタリング尺度 |
| Strengths | 短所指摘が中心の面談 | 強みを起点にした役割の再設計とアサイン | 強み活用の自己評価 |
| Connection | 会議で本音が出ない | 反対意見・失敗報告に対する最初の反応を変える | チームの心理的安全性尺度 |
| Autonomy | 指示待ち・過剰な確認 | 目的と制約だけ渡し、手段の選択を任せる | 裁量認知・自律性支援 |
| Growth | 若手の早期離職 | できるようになったことを毎月ふりかえる | 自己効力感尺度 |
| Vitality | 疲弊・休職・回復不全 | 勤務時間外の切り離しと回復行動を仕組みにする | 統合的ストレスマネジメント/ウェルビーイング尺度 |
用語について:この7要素は、本ページで研修設計のために整理した枠組みです。既存モデルとの重複や商標の確認が済むまで、独自名称(略称モデル名)は用いていません。なお当協会の基本講座では、意義・成長・社会的支援・人間関係・自尊感情・心身の健康という「6つのエンゲージメント」を中核に扱っており、本ページの7要素はこれを研修設計向けに再配置したものです(Mattering は「自尊感情」と「貢献」を、Connection は「人間関係」と「社会的支援」を統合しています)。
コーチング心理学は、エンゲージメントにどう効くのですか?
結論:コーチング心理学は「本人の内側にある動機を、対話で引き出す」ための科学です。自律性・成長・意味づけという3要素に直接働きかけるため、エンゲージメント向上の中核技術になります。
コーチング心理学は、経験則ではなく問いかけ・傾聴・承認・フィードバックを訓練可能なスキルとして扱う点に特徴があります。管理職の関わり方が変われば、部下が経験する職場は変わります。
当協会の研修では、対話のスキルだけでなく「いつコーチングを使い、いつ教えるか」という判断基準まで扱います。
指示型マネジメントの限界
答えを与える関わりは、短期の実行速度を上げますが、自律性と成長実感を削ります。結果として「言われたことはやるが、それ以上はしない」状態を再生産します。ティーチングが不要なわけではなく、使い分けの判断基準を持たないことが問題です。
コーチング型の関わり
問いかけ・傾聴・承認・フィードバックによって、本人が自分の言葉で目標と手段を定めます。当協会では、これを感覚ではなくコーチング心理学の7大スキルとして構造化して訓練します。→ 7大スキルとは
研修で扱う対話の型
| 場面 | やりがちな関わり | コーチング心理学的な関わり |
|---|---|---|
| 目標設定 | 上から目標を割り当てる | 組織目標と本人の価値観の重なりを一緒に探す |
| 停滞している部下 | 「やる気あるの?」と問いただす | 「どんなときに手応えを感じた?」と例外を探す(解決志向) |
| 失敗の直後 | 原因を追及する | 事実→影響→次への依頼の順で返す(フィードバック) |
| 変わりたくない相手 | 説得する | 両価性を認め、本人の「変わりたい理由」を引き出す(動機づけ面接) |
| 能力不足が明らか | とにかく問い続ける | まず教える。習得後にコーチングへ切り替える |
重要:コーチングは万能ではありません。知識・技能が不足している段階では、ティーチングのほうが効果的です。また、心身の不調が疑われる場合は、コーチングではなく産業保健・医療につなぐ判断が必要です。研修ではこの「境界線」を明確に扱います。
ポジティブ心理学は、何を変えるのですか?
結論:「弱みを直す」から「強みが機能する条件を整える」へ、視点を反転させます。強み介入・ジョブ・クラフティング・心理的資本(PsyCap)は、いずれもワークエンゲージメントへの効果がメタ分析で確認されている実践群です。
強みの活用
持ち味が発揮される役割・任せ方に変える。強み介入はワークエンゲージメント(d=0.37)とパフォーマンス(d=0.27)への効果が報告されています。
ジョブ・クラフティング
仕事の範囲・関わる相手・意味づけを本人が調整する技法。介入研究のメタ分析でジョブ・クラフティング行動(g=0.26)とワークエンゲージメント(g=0.31)の向上が示されています。
心理的資本(HERO)
Hope・Efficacy・Resilience・Optimism。訓練可能な心理的資源で、介入によって高められることが示されています(d=0.34)。
「ポジティブに考えよう」という研修ではないのですか?
違います。ポジティブ心理学は、ネガティブな感情や課題を否認しません。むしろ「うまくいっている部分は何か」というデータを丁寧に集め、それを再現可能な条件に翻訳する science です。職場のポジティブ心理学介入の効果は、望ましい成果でg=.25、望ましくない成果の低減で−.34と小〜中程度であり、過大な期待は禁物であることも、研修では率直にお伝えします。
マタリング(Mattering)とは何ですか?
結論:マタリングとは、「自分は大切にされている(feeling valued)」と「自分は役に立っている(adding value)」が両立している状態のことです。どちらか一方だけでは成立しません。エンゲージメント施策で最も見落とされ、かつ最も差がつく要素です。
大切にされている(feeling valued)
存在を認識され、意見が聞かれ、困ったときに気にかけてもらえる。これだけだと「優しいが物足りない職場」になります。
役に立っている(adding value)
自分の働きが誰かの成果や助けになっている実感がある。これだけだと「必要とされているが、すり減る職場」になります。
なぜ当協会がマタリングを扱えるのか
組織的マタリング尺度(OMS)は、Reece らが2019年に発表した尺度で、その著者陣にはセリグマンとケラーマン(『Tomorrowmind』の共著者)が含まれています。当協会は『Tomorrowmind 日本語版(これからの生き方)』の翻訳・監修に関わり、あわせてOMS日本語版を公開しています。つまり理論の系譜と測定ツールの両方を、同じ源流からたどれるという位置にあります。
| 観点 | 心理的安全性 | 組織的マタリング |
|---|---|---|
| 問い | ここで発言しても大丈夫か | ここに自分がいる意味はあるか |
| 防ぐもの | 沈黙・隠蔽・学習の停止 | 静かな退職・燃え尽き・離職 |
| 主な担い手 | 上司の「最初の反応」 | 承認の具体性と貢献の可視化 |
| 足りないと | 問題が遅れて表面化する | 問題は起きないが、活力も生まれない |
| 関係 | 心理的安全性は「土台」、マタリングは「柱」。安全なだけでは、人は動き出しません。 | |
やりがい搾取への警戒:マタリングは「意味を持たせれば、待遇や労働時間の問題は不問にできる」という道具ではありません。研修では、意味づけを負荷の正当化に使わないことを倫理的な原則として明示し、労働条件の議論を回避する使い方を扱いません。
PRISMモデルとは何ですか?
――『これからの生き方』が示す「未来適応力」
結論:PRISMとは、ポジティブ心理学の創始者マーティン・セリグマンと、医学博士ガブリエラ・ローゼン・ケラーマンが提唱した「未来に適応するための5つの心理的資源」です。Prospection(未来予想力)・Resilience(レジリエンス)・Innovation(創造性)・Social Connection(つながり)・Mattering(重要感・意味)の頭文字で、いずれも生まれつきの才能ではなく後天的に育てられるスキルとされています。

当協会が監訳・解説を担当した書籍です
原著『Tomorrowmind』の日本語版『これからの生き方――揺らぐ世界で何度でも立ち直る力』は、当協会の徳吉陽河が監訳・解説を担当し、2026年6月23日に総合法令出版より刊行されました。
つまり本研修は、海外理論を伝聞で紹介しているのではなく、原典の翻訳・解説と、日本語版の心理尺度開発の両方を担っている立場からお伝えしています。
| 書名 | これからの生き方――揺らぐ世界で何度でも立ち直る力 |
|---|---|
| 原題 | Tomorrowmind: Thriving at Work with Resilience, Creativity, and Connection—Now and in an Uncertain Future |
| 著者 | マーティン・セリグマン(ペンシルベニア大学教授/ポジティブ心理学の創始者)& ガブリエラ・ローゼン・ケラーマン(医学博士/元BetterUp 最高製品責任者) |
| 監訳・解説 | 徳吉陽河(一般社団法人コーチング心理学協会 代表理事) |
| 発行・価格 | 総合法令出版/2,750円(税込)/2026年6月23日発売 |
| 日本語版の特典 | 監訳者まえがき、およびWEB連動の心理テスト(VUCA自己効力感尺度/組織的マタリング尺度/PRISM尺度)を収録 |
PRISMの5要素と、職場での育て方
Prospection|未来予想力
将来を見通し、可能性を前向きに捉える力。
育て方:1on1で「1年後どうなっていたいか」を本人の言葉にし、そこから逆算した今週の一手を決める。
Resilience|レジリエンス
困難や変化からしなやかに立ち直る回復力。
育て方:失敗の原因追及ではなく「何が効いたか/次に変える一点」を扱う振り返りを定例化する。
Innovation|創造性
新しいアイデアを生み出し、創造的に解決する力。
育て方:正解のない課題を意図的に任せ、途中の試行錯誤そのものを承認の対象にする。
Social Connection|つながり
周囲と信頼を築き、協力し合うつながりの力。
育て方:短時間で信頼をつくる「ラピッド・ラポール」を、会議の冒頭2分の設計として組み込む。
Mattering|重要感・意味
自分の存在や役割が価値あるものだと実感する力。
育て方:成果ではなく「誰の何を助けたか」を名指しで返し、貢献を可視化する。
なぜエンゲージメント研修に入るのか
エンゲージメントは「いまの仕事への活力」を扱います。PRISMはそこに「これから」の時間軸を足す枠組みです。AIと変化の時代には、現在の活力+未来への適応力の両方が要ります。
本ページの「7要素」とPRISMは、どう重なりますか?
| 本ページの7要素 | PRISM | 重なりと違い |
|---|---|---|
| Meaning|意味・意義 | Mattering & Meaning | ほぼ同一。PRISMは「意味」と「重要感」を一体で扱う |
| Mattering|重要感 | Mattering | 完全に一致。両モデルの結節点であり、当協会が尺度を公開している領域 |
| Strengths|強み | Innovation | 強みの発揮が創造的な問題解決に接続する。PRISMは「AIに代替されにくい力」として位置づける |
| Connection|つながり | Social Connection | 一致。PRISMは「短時間で信頼をつくる」実践(ラピッド・ラポール)を重視 |
| Autonomy|自律性 | 直接の対応なし | 7要素側の独自要素。PRISMは個人の心理的資源が中心で、職場の裁量設計は扱いが薄い |
| Growth|成長 | Prospection | 成長実感を「未来を構想する力」として捉え直すのがPRISMの特徴 |
| Vitality|活力・健康 | Resilience | 一致。回復と立ち直りを、心身のコンディションの土台として扱う |
使い分け:7要素は「いまの職場をどう設計するか」のチェックリスト、PRISMは「これからの変化にどう備えるか」の育成モデルです。研修では、まず7要素で現状を測り、中長期の人材育成テーマとしてPRISMを重ねます。
PRISMは測定できるのですか?
できます。当協会は、日本語版の開発としてPRISM Skills Scale(未来適応力診断)を公開しています。日本の成人4,775名の調査データにもとづき、確認的因子分析で良好な適合度(CFI=.986/TLI=.982/RMSEA=.044)と高い信頼性(Cronbach's α=.84〜.86)が確認されており、レジリエンスやワークエンゲージメントと有意な正の関連が示されています。総合スコアは15〜75点(参考平均46点)。個人利用は無料、教育・研究(非営利)も自由に利用できます(ビジネス利用は認定資格または法人契約が必要です)。

誠実にお伝えします:PRISMは「AIに負けない力」を約束するものではありません。原著が示すのは、変化の速い環境で人が消耗せずに働き続けるための心理的資源が何かという整理であり、その育成効果についての介入研究は今後の蓄積が待たれる段階です。PRISM尺度自体は日本のデータで因子構造と信頼性が確認されていますが、「尺度が妥当であること」と「介入が効果を持つこと」は別の問題です。研修ではこの区別を明示したうえで扱います。
1on1をやっているのに、エンゲージメントが上がらないのはなぜですか?
結論:1on1の効果は回数ではなく質で決まります。上司のコーチングスキルが低い場合、面談を増やすほど目標達成が下がるという研究結果もあり、「まず頻度」という導入は逆効果になり得ます。
| 形骸化の型 | その場で起きていること | 変える一手 |
|---|---|---|
| 雑談で終わる | 安心はするが、行動が決まらない | 最後の5分を「次の2週間で試すこと」の言語化に固定する |
| 上司が話しすぎる | 部下の思考が止まり、受け身になる | 話す:聴く=2:8を目安にし、沈黙を3秒待つ |
| 進捗確認になる | 評価の場と認知され、本音が消える | 業務・キャリア・関係性のテーマを事前に分けて設定する |
| 説教で終わる | 防衛反応が起き、学習が起きない | 事実→影響→依頼の順に切り分けて伝える |
| 私生活に踏み込む | 信頼ではなく警戒が生まれる | 本人が持ち出さない領域には入らないと決めておく |
| 記録が残らない | 前回の話が接続せず、毎回リセットされる | 本人が書く1枚のシートを引き継ぎ資料にする |
日本国内のデータ
金融機関の従業員677名を対象とした研究では、年5回以上の1on1を受けている群で心理的安全性が有意に高いことが示されています。また、大手IT企業の無作為化比較試験では、業務・キャリア・雑談を軸にした対話が部下の満足度を高めた一方、プライベートへの踏み込みは満足度を下げる結果が報告されています。
フィードバックの落とし穴
フィードバック介入の古典的メタ分析では、3分の1以上のケースでパフォーマンスがむしろ低下していました。「伝えれば伝わる」という前提は成り立ちません。何を、どの順番で、どんな関係性の上で伝えるかを訓練する必要があります。
社員より先に、管理職のエンゲージメントを立て直す
結論:管理職は「施策を届ける配管」ではなく、それ自体がケアと開発の対象です。管理職のエンゲージメントが落ちたまま部下向け施策を打っても、伝達の途中で熱が失われます。
いま管理職に起きていること
プレイングマネジャー化、評価・労務・ハラスメント対応の増加、正解のない意思決定。役割は増え続けているのに、裁量と支援は増えていません。
まず回復させる3点
①判断の拠り所(何を優先してよいか)②相談先(孤立の解消)③回復(勤務時間外の切り離し)。研修の前半をここに充てます。
そのうえでスキルへ
問いかけ・傾聴・承認・フィードバック・自律性支援。管理職自身の心理的資本が回復して初めて、これらのスキルは現場で使われます。
「管理職が変われば組織が変わる」という言い方は、しばしば管理職への責任転嫁になります。本研修が最初に扱うのは、管理職自身が何を優先してよいのかという判断の拠り所と、孤立を解く相談先です。
スキルの訓練は、その回復のあとに置きます。順番を逆にすると、学んだことは現場で使われません。
管理職向けコーチング研修に、効果を示す研究はありますか?
あります。スペインの製造業で行われた統制群つき研究では、強みベースのアプローチとRE-GROWモデルを用いたコーチング型リーダーシップ・プログラム(グループ研修+個別セッション3回・3か月)により、管理職のコーチングスキル、心理的資本、ワークエンゲージメント、役割内・役割外パフォーマンスが向上しました。360度評価(上司・部下を含む)で測定されている点が特徴です(Peláez Zuberbuhler et al., 2020)。
あなたの組織のエンゲージメント課題を3分でチェック
14の設問に答えると、7要素それぞれの充足度がメーターで表示され、最も手を打つべき領域と、対応する研修・講座がわかります。回答は端末の外に送信されません。
このチェックは対話のきっかけをつくるための簡易版です。標準化された心理検査ではありません。妥当性・信頼性が検証された尺度で測りたい場合は、当協会が公開している組織的マタリング尺度・チームの心理的安全性尺度・統合的ウェルビーイング・スキル診断をご利用ください(個人・非営利利用は無料)。
無料で使える、当協会の公式心理尺度3種
結論:エンゲージメントを「感覚」で語らないために、当協会は実際の調査データにもとづいて開発した心理尺度をWEB上で公開しています。個人利用・非営利の教育/研究利用は無料です。研修の事前アセスメントにも、まずご自身で試すためにもお使いいただけます。
組織的マタリング尺度
「自分は組織にとって重要な存在だ」という感覚を、承認と達成(貢献)の2つの側面から測ります。
無料で受検する → PSYCHOLOGICAL SAFETYチームの心理的安全性尺度
「ここで発言しても大丈夫か」というチーム単位の安心感を測ります。エドモンドソン(1999)の枠組みにもとづく短縮版です。
無料で受検する → WELL-BEING統合的ウェルビーイング・スキル診断
感情・心理・社会・身体・キャリア・時間・環境・デジタルなど10領域で、働く土台となるウェルビーイングを可視化します。
無料で受検する →| 職場で起きていること | まず測る尺度 | 読み取り方 |
|---|---|---|
| 辞めないが、最低限しかやらない | 組織的マタリング尺度 | 承認は高いのに達成(貢献実感)が低い、という形で現れることが多い |
| 会議で反対意見・失敗報告が出ない | チームの心理的安全性尺度 | 管理職の自己評価は高く出やすいため、必ずメンバー側でも測る |
| 疲弊・休職が増えている | 統合的ウェルビーイング・スキル診断 | 身体・時間・デジタルの領域が低い場合、他の施策より回復の設計が先 |
| 未来が描けず、動きが止まっている | PRISM 未来適応力診断 | Prospection(未来予想力)の低下は、成長実感の欠如として語られやすい |
| 上司の関わり方を見直したい | 心理的安全性リーダーシップ尺度 | 管理職本人の「最初の反応」を自己点検する用途に |
利用条件:いずれも個人での利用は無料、教育・研究(非営利)の場合も自由にご活用いただけます。ビジネス・商用でご利用の場合は、当協会の認定資格の取得または法人契約が必要です。研修導入をご検討の場合は、お問い合わせいただければ効果測定の設計からご相談いただけます。
エンゲージメント・コーチング基本講座
(認定エンゲージメント・コーチ®)
結論:研修を外部に発注し続けるのではなく、社内に「エンゲージメントを設計できる人」を育てたい方のための2日間講座です。当協会がこれまで実施してきた法人研修・管理職研修・新入社員研修の実践知を、体系として学べます。
この講座で得られるもの
- 個人・組織のエンゲージメントを高める支援スキル
- 離職防止・オンボーディング支援のスキル
- 1on1・コーチングの実践力
- エンゲージメント・サーベイの心理学的な活用法
- 研修プログラムの設計と、講師としての進め方
対象は新入社員研修から管理職・経営幹部までと幅広く、人材育成・組織開発・組織活性化・心理的安全性の向上・心理的資本(PsyCap)の強化・チームコーチングにも応用できます。

学ぶ内容(リニューアル版・18テーマ)
| テーマ | 内容 |
|---|---|
| エンゲージメントの定義と領域 | ポジティブ心理学、マーケティング、キャリア・人事、ライフ・コーチングにおけるエンゲージメント |
| ウェルビーイングとの関係 | エンゲージメントが幸福感や満足度に与える影響と活用法 |
| エンゲージメントのフレームワーク | 海外事例を含めた理論と実践的アプローチ |
| ワークエンゲージメント | ユトレヒト大学の研究など、世界的な動向 |
| 成果を出すためのエンゲージメント | モチベーション(やる気)とアウトカムの関係 |
| 学習する組織とエンゲージメント | 【LIKE】と【LOVE】モデルを活用した仕事への熱中 |
| エンゲージメントを高める質問法 | コーチングで活用できる質問の設計 |
| ポジティブワークエンゲージメント | ポジティブ心理学・組織行動論を活用した働きがいの向上 |
| ジョブ・クラフティングコーチング | 仕事の意味づけを変え、エンゲージメントを高める手法 |
| ROIを高める要素 | 行動経済学(EASTモデル、プロスペクト理論、認知バイアスなど) |
| マインドフルネスとエンゲージメント | 集中力と自己認識を高める実践法 |
| エンゲージメントマップ | エンゲージメントの測定と対話への活用 |
| 心理的資本モデル | HEROモデル、Coachモデルの活用 |
| 心理的安全性とエンゲージメント | 7つの心理的安全性とリーダーシップ |
| 職場の心理的安全性向上 | エンゲージメントを高める支援者になるための方法 |
| 心理的安全性スキルテスト | 組織内の心理的安全性を測定するツール |
| エンゲージメントとコンパッション | やる気と成果だけでなく、支え合う仕組みの構築 |
| エンゲージメントのカードワーク | 努力充実型傾向チェックと成果への転換 |
※内容は状況や参加者によって変更される場合があります。
学び方
カードワーク
対話を通じて価値観と貢献を可視化する教材を使います。
心理テスト・サーベイ
エンゲージメント・心理的安全性のスキルテストを体験します。
ワークシート
職場に持ち帰って、そのまま使える形式で提供します。
実践的質問法
1on1でそのまま使える問いの型を、演習で身につけます。
受講料
すべて税込。カラー資料・ワークシート・カードゲーム(ケース付き)・修了書が含まれます。キャンセルは資料準備の都合上、開催11日前までとなります。受講料・カリキュラムは変更される場合がありますので、最新情報は講座ページでご確認ください。
この資格は、どこにつながっていきますか?
本講座は「コンサルティング心理士®&エグゼクティブ・コーチ」の必修科目であり、コーチング心理士®の単位としても認定されます。まずBasicを取得し、実務で使いながら上位資格に進む方が多い構成です。認定証は標準でPDF、紙の証書・英文の国際証書はオプションで発行できます。資格の取得は必須ではありませんので、学びだけを目的にご参加いただけます。
法人・団体向け 研修プログラム(7ステップ)
結論:1日完結から半年の継続型まで、事前アセスメント → 研修 → 職場実践 → 再測定を一続きに設計します。オーダーメイドのため、以下は標準構成です。
エンゲージメントを科学する
定義、ワークエンゲージメントと従業員エンゲージメントの違い、モチベーション・満足度との違い、ウェルビーイングとの関係。共通言語をつくります。
自分を知る
強み、価値観、キャリアの軸、自己効力感、ポジティブ感情。他者を支援する前に、まず自分の状態を扱います。
仕事の意味を再発見する
Meaning、Mattering、ジョブ・クラフティング、キャリア・クラフティング。いまの仕事の枠組みを本人が調整する技法を扱います。
つながりをつくる
心理的安全性、信頼、共感、傾聴、1on1、フィードバック。反対意見や失敗報告に対する「最初の反応」を訓練します。
コーチング型マネジメント
質問・傾聴・承認・フィードバック、OARSとチェンジトーク、自律性支援。ティーチングとの使い分けの判断基準まで扱います。
チーム・エンゲージメント
チームの強み、組織的マタリング、相互支援、チームビルディング。個人の変化をチームの仕組みに変換します。
行動変容と習慣化
アクションプラン、リフレクション、1on1の実践設計、フォローアップ。「研修で終わらせない」ための運用を決めて解散します。

| 形式 | 時間 | 主な対象 | 重点 |
|---|---|---|---|
| 入門・半日 | 3時間 | 全社員 | 共通言語づくり(STEP1・3) |
| 標準・1日 | 6時間 | 管理職・リーダー | 対話行動の訓練(STEP1〜5) |
| 継続・3か月 | 1日+フォロー2回 | 管理職+チーム | 実践と再測定(STEP1〜7) |
| 組織開発・6か月 | 複数回+伴走 | 経営層・人事・現場 | 制度と運用への実装 |
オンライン(ZOOM)、対面のリアルワークショップ、現地出張・講師派遣に対応しています。ご相談・お見積りのご提案までは費用はかかりません。→ 団体・法人研修の概要/研修費用に使える助成金ガイド
効果測定:研修を「やって終わり」にしない
結論:測るのは満足度アンケートではなく、研修前・直後・3か月後の3時点で、心理状態と行動と組織指標の3層です。変化しなかった指標も含めて共有します。
| 層 | 測るもの | 手段 |
|---|---|---|
| 心理状態 | エンゲージメント、心理的安全性、マタリング、自己効力感、ウェルビーイング | 組織的マタリング尺度/チームの心理的安全性尺度/心理的安全性リーダーシップ尺度/統合的ウェルビーイング・スキル診断/統合的ストレスマネジメントスキル尺度 |
| 行動 | 1on1の実施率と質、承認・フィードバックの頻度、任せ方の変化 | 行動チェックリスト、1on1シートの記録、上司・部下双方からの評価 |
| 組織指標 | 離職意向、定着率、休職率、エンゲージメントサーベイのスコア | 既存の人事データ・サーベイと接続 |
誠実にお伝えします:3か月で組織指標(離職率など)が動くことは稀です。先に動くのは心理状態と行動で、組織指標はその後に遅れて追随します。短期で組織指標の改善を約束する提案には、注意が必要です。
科学的根拠:何が、どの程度わかっているのか
結論:エンゲージメント介入・強み介入・ジョブ・クラフティング・コーチングには、いずれもメタ分析レベルの効果が報告されています。ただし効果量は小〜中程度で、研究の質にもばらつきがあります。誇張せずに、わかっていることと未解明なことを分けて示します。
職場のワークエンゲージメント介入のメタ分析。グループ形式の介入では中〜大の効果が確認されています。
Knight et al. (2017) J. Organizational Behavior. doi:10.1002/job.2167ジョブ・クラフティング行動そのもの(g=0.26)とワークエンゲージメント(g=0.31)の双方に効果。
Oprea et al. (2019) European J. Work & Organizational Psychology. doi:10.1080/1359432X.2019.1646728強みを活用する介入により、ワークエンゲージメント(d=0.37)とパフォーマンス(d=0.27)が向上。
Vásquez-Pailaqueo et al. (2025) Int. J. Applied Positive Psychology. doi:10.1007/s41042-025-00215-3個人資源 r=.48、成長機会 r=.45、仕事の資源 r=.37、社会的資源 r=.36。エンゲージメントは職務満足(r=.60)・組織コミットメント(r=.63)と強く関連。
Mazzetti et al. (2021) Psychological Reports. doi:10.1177/00332941211051988管理職41名への3か月プログラム(研修+個別3回)で、コーチングスキル・心理的資本・ワークエンゲージメント・パフォーマンスが向上。360度評価で測定。
Peláez Zuberbuhler et al. (2020) Frontiers in Psychology. doi:10.3389/fpsyg.2019.0306641試験・N=3,911の介入メタ分析でd=0.34、レジリエンスではd=0.49。生まれつきの性質ではありません。
Lupșa et al. (2020) Applied Psychology. doi:10.1111/apps.12219組織的マタリング尺度(OMS)は2因子(承認/達成)構造。職務満足 r=.51、定着 r=.31と関連。
Reece, Yaden, Kellerman, Robichaux, Goldstein, Schwartz, Seligman, & Baumeister (2019) J. Positive Psychology. doi:10.1080/17439760.2019.168941630研究のメタ分析。エウダイモニックなウェルビーイングとはr=.55と、より強い関連。
Paradisi et al. (2024) J. Happiness Studies. doi:10.1007/s10902-024-00720-3136標本・22,000人超・約5,000グループのメタ分析。学習行動・パフォーマンスとの関連が一貫。
Frazier et al. (2017) Personnel Psychology. doi:10.1111/peps.12183N=32,870のメタ分析。上司の自律性支援は、動機づけ・ウェルビーイング・パフォーマンスと関連。
Slemp et al. (2018) Motivation and Emotion.古典的メタ分析。フィードバック介入の3分の1以上でパフォーマンスがむしろ低下しました。伝え方の訓練が不可欠である根拠です。
Kluger & DeNisi (1996) Psychological Bulletin. doi:10.1037/0033-2909.119.2.254営業職1,246名の研究。上司のコーチングスキルが低い場合、面談頻度が増えるほど目標達成が低下しました。
Dahling et al. (2016) Personnel Psychology.限界の明示:①職場のポジティブ心理学介入の効果量は、望ましい成果でg=.25、望ましくない成果の低減で−.34と小〜中程度です(Donaldson et al., 2019)。②職場コーチングのメタ分析では全体でg=0.44とされる一方、統制群を置いた研究の数(k=11)が少なく、コーチの資格・訓練の影響も未検討です(Cannon-Bowers et al., 2023)。③本ページの研究の多くは海外で実施されたもので、日本の組織文化での再現性は今後の課題です。「効果がある」ではなく「何について、どの程度の根拠があるか」でご判断ください。
なぜエビデンスにこだわるのかについては、コーチング心理学の資格比較・エビデンス特集もあわせてご覧ください。
一般的なエンゲージメント研修との違い
| 比較軸 | 一般的な研修 | 当協会の研修 |
|---|---|---|
| 理論の出所 | 講師個人の経験と持論 | コーチング心理学・ポジティブ心理学の査読研究とメタ分析 |
| 効果の説明 | 「効果があります」 | 効果量・限界・未解明の領域まで開示 |
| 測定 | 満足度アンケート | 公開されている心理尺度で3時点測定 |
| 中核概念 | モチベーションと帰属意識 | マタリング・意味づけ・自律性・強み |
| 管理職の扱い | 施策の伝達役 | それ自体がケアと開発の対象 |
| 研修後 | 実施報告書で終了 | 1on1・フィードバックの運用に接続 |
| 社内への定着 | 外部発注を継続 | 認定資格で社内に担い手を残せる |
| 倫理 | 言及なし | やりがい搾取・コーチングの限界・医療との境界を明示 |
2つの進み方
A. 社内に担い手を育てる(個人・少人数)
B. 組織に一気に展開する(法人・団体)
AとBは併用できます。実際には「まず人事・研修担当の方が基本講座を受講し、共通言語を持ったうえで全社研修を設計する」という進め方が、最も定着しやすいパターンです。
よくあるご質問(30問)
エンゲージメントの基礎から、研修の実施条件、基本講座・資格の詳細までをまとめています。
A. エンゲージメントの基礎
エンゲージメントとは何ですか?
仕事に対して活力・熱意・没頭を感じている、持続的でポジティブな心理状態のことです。「会社が好きかどうか」ではなく「仕事に自分を注ぎ込めているか」を指します。一時的な気分ではなく、比較的安定した状態として測定できる点が特徴です。
従業員満足度とエンゲージメントは何が違いますか?
満足度は「不満がない状態」、エンゲージメントは「活力がある状態」です。待遇や職場環境を改善すると不満は減りますが、それだけで熱意が生まれるわけではありません。満足度が高くてもエンゲージメントが低い組織は珍しくありません。
ワークエンゲージメントと従業員エンゲージメントの違いは?
ワークエンゲージメントは「仕事そのもの」への心理状態で、学術研究で用いられる概念です。従業員エンゲージメントは「組織との関係」を含む、経営・人事寄りの概念です。行動を変える設計にはワークエンゲージメント側の理論(JD-Rモデル、ジョブ・クラフティング)が実務的に有効です。
モチベーションとは何が違いますか?
モチベーションは「いま、やる気があるか」という比較的短期で変動しやすい状態です。エンゲージメントはより持続的で、仕事の意味づけや関係性に支えられています。モチベーション施策が長続きしにくいのは、この構造の違いによります。
エンゲージメントとウェルビーイングはどう関係しますか?
ウェルビーイングはエンゲージメントの土台です。心身が消耗している状態では、意味づけも強みの発揮も機能しません。一方で、ウェルビーイングが高くても、意味や貢献実感がなければ活力には変わりません。両方を同時に扱う必要があります。
エンゲージメントが高ければ高いほど良いのですか?
そうとは限りません。仕事の要求度が過大なまま熱意だけを高めると、ワーカホリズムや燃え尽きに転化するリスクがあります。当協会の研修では、回復(リカバリー)と心理的安全性を同時に扱い、熱意だけを煽らない設計を徹底しています。
「静かな退職」もエンゲージメントの問題ですか?
はい。辞めないが最低限しかやらないという状態は、マタリング(自分は重要な存在だという感覚)と意味づけが失われたサインとして読み解けます。処遇の問題ではなく、貢献が見えていないことが原因である場合が少なくありません。
B. どうすれば高まるのか
従業員エンゲージメントを高めるには、何から始めるべきですか?
まず測ることです。そのうえで、7要素(意味・マタリング・強み・つながり・自律性・成長・活力)のうち最も低い1〜2要素に絞って半年取り組むのが、最も再現性の高い進め方です。すべてを同時に上げようとすると、どれも中途半端になります。
管理職が部下のエンゲージメントを高めるには?
問いかけ・傾聴・承認・フィードバック・自律性支援の5つの行動を変えることです。ただしその前提として、管理職自身の消耗を回復させる必要があります。世界的にも管理職のエンゲージメント低下が全体の低下の主因になっています。
1on1でエンゲージメントを高めるには?
回数を増やす前に質を上げてください。上司のコーチングスキルが低い場合、面談頻度が増えるほど目標達成が下がるという研究があります。話す:聴く=2:8を目安に、最後の5分で「次の2週間で試すこと」を本人の言葉で決めるのが基本形です。
心理的安全性を高めればエンゲージメントは上がりますか?
土台としては必要ですが、それだけでは足りません。安全であることは「発言できる」を意味しますが、「動き出したくなる」を意味しません。安全性に加えて、マタリングと意味づけを扱う必要があります。
マタリング(Mattering)とは何ですか?
「自分は大切にされている(feeling valued)」と「自分は役に立っている(adding value)」が両立している状態です。どちらか一方だけでは成立しません。承認の具体化と貢献の可視化によって育てることができ、組織的マタリング尺度で測定できます。
強みとエンゲージメントには関係がありますか?
あります。強みを活用する介入により、ワークエンゲージメント(d=0.37)とパフォーマンス(d=0.27)が向上することがメタ分析で報告されています。短所の矯正よりも、持ち味が発揮される役割設計のほうが効率的です。
PRISMモデルとは何ですか?
ポジティブ心理学の創始者マーティン・セリグマンと医学博士ガブリエラ・ローゼン・ケラーマンが提唱した、未来に適応するための5つの心理的資源です。Prospection(未来予想力)・Resilience(レジリエンス)・Innovation(創造性)・Social Connection(つながり)・Mattering(重要感・意味)の頭文字で、いずれも後天的に育てられるスキルとされています。当協会は日本語版『これからの生き方』の監訳・解説を担当しています。
PRISMとエンゲージメントはどう違いますか?
時間軸が違います。エンゲージメントは「いまの仕事への活力・熱意・没頭」を扱い、PRISMは「これからの変化にどう適応するか」という未来志向の心理的資源を扱います。当協会の研修では、まず7要素で現状の職場を測り、中長期の人材育成テーマとしてPRISMを重ねる設計にしています。
ジョブ・クラフティングとは何ですか?
仕事の範囲・関わる相手・意味づけを、働く本人が主体的に調整することです。介入研究のメタ分析では、ジョブ・クラフティング行動(g=0.26)とワークエンゲージメント(g=0.31)の双方に効果が示されています。基本講座でも中核テーマとして扱います。
C. 研修について
エンゲージメント研修では何を学びますか?
エンゲージメントの科学的な定義、自己理解(強み・価値観・自己効力感)、仕事の意味の再発見、心理的安全性と1on1、コーチング型マネジメント、チーム・エンゲージメント、行動変容と習慣化の7ステップです。すべてオーダーメイドで調整します。
研修の効果測定はできますか?
できます。研修前・直後・3か月後の3時点で、心理状態(エンゲージメント・心理的安全性・マタリング・自己効力感)、行動(1on1の実施率と質)、組織指標(離職意向・定着率)の3層を測定します。変化しなかった指標も含めて報告します。
何人から実施できますか?
少人数から全社規模まで対応しています。ワークを重視する形式では12〜24名程度が対話の密度を保ちやすい人数です。人数と目的に応じて構成を変更しますので、ご相談ください。
オンラインでも実施できますか?
できます。ZOOMによるオンライン研修のほか、対面のリアルワークショップ、現地への出張・講師派遣にも対応しています。遠方の場合は交通費・宿泊費が別途必要となる場合があり、お見積り時に明示します。
管理職研修としても、新入社員研修としても使えますか?
使えます。管理職向けでは「部下のエンゲージメントを支える対話行動」、新入社員・若手向けでは「自分の仕事に意味を見いだし、強みを活かす力」に重点を置きます。両方を実施し、共通言語をそろえる進め方が最も効果的です。
研修だけで組織は変わりますか?
変わりません。研修は行動のきっかけであり、1on1・フィードバック・仕事の任せ方という日常の運用に接続して初めて効果が残ります。当協会が事後のフォローと再測定を標準に含めているのは、このためです。
費用の目安と、助成金は使えますか?
人数・日数・形式・アセスメントの有無によって変わるため、個別にお見積りします。ご相談・お見積りのご提案までは費用はかかりません。研修費用に活用できる助成金については、当協会の助成金ガイドもあわせてご覧ください。
D. 基本講座・資格について
エンゲージメント・コーチング基本講座とはどんな講座ですか?
個人や組織の働きがい・健康経営・成果を高めるための2日間(9:00〜17:30)のオンライン講座です。ポジティブ心理学・コーチング心理学・認知行動療法・解決志向アプローチを統合的に活用し、当協会がこれまで実施してきた法人研修・管理職研修の実践知を体系として学べます。
受講料はいくらですか?
1日入門コースが11,000円、2日間コースが22,000円、資格認定コースが11,000円+33,000円、再受講が11,000円です(すべて税込)。カラー資料・ワークシート・カードゲーム(ケース付き)・修了書が含まれます。変更される場合がありますので、講座ページで最新情報をご確認ください。
資格の取得は必須ですか?
必須ではありません。受講後に資格認定を申請することもできますし、学びだけを目的に参加することもできます。認定エンゲージメント・コーチ®は特許庁公認の商標登録資格で、取得は当協会のみで可能です。
初心者でも受講できますか?
できます。心理学やコーチングの学習経験は前提としていません。カードワーク、心理テスト、ワークシート、実践的な質問法を用いて、現場ですぐに使える形で習得する設計になっています。
この資格は、他の資格につながりますか?
つながります。本講座は「コンサルティング心理士®&エグゼクティブ・コーチ」の必修科目であり、コーチング心理士®の単位としても認定されます。まずBasicを取得し、実務で使いながら上位資格に進む方が多い構成です。
人事・研修担当者が受講する意味はありますか?
大きくあります。研修プログラムの設計、1on1制度の導入、チームコーチング、エンゲージメント・サーベイの心理学的な活用まで扱うため、外部に発注し続けるのではなく社内で設計・運用できるようになります。
キャンセルはできますか?
カラー資料・ワークシートなど準備するコンテンツが多いため、キャンセルは開催11日前までとなっています。詳細な条件は講座ページおよびお申し込み時のご案内をご確認ください。
ここにない疑問は、お問い合わせフォームまたは info@coaching-psych.com までお気軽にお寄せください。
関連する公開リソース
当協会が公開している尺度・解説・研修ページです。心理尺度は個人利用・非営利の教育利用であれば無料で受検できます(ビジネス利用は認定資格または法人契約が必要です)。
「やる気を出させる」から、
「意味が見える組織をつくる」へ。
まずは3分のチェックで自組織の弱点を確認し、社内に担い手を育てるのか、組織全体に展開するのかをお決めください。ご相談・お見積りのご提案までは費用はかかりません。
お問い合わせ:info@coaching-psych.com(受付 9:00–18:00/土日祝を除く)
オンライン(ZOOM)・対面のワークショップ・現地出張・講師派遣に対応しています。