フィードバックとフィードフォワードの違いとは? フィードバック心理学入門 認定各取得の参考に

フィードバックスキルコーチングは、コーチング心理学における必修講座となっています。
とくに、承認だけでなく、伝え方、話し方、交渉、指示などにも関わり、
また、フィードバックを受け取る側の自己受容の視点も重要になっています。
受け取る側の自己受容のトレーニングを含めて実施しています。
そこで、フィードバックの探究と研究のため、フィードバックとフィードフォワードについて紹介をいたします。
ビジネスにおいてフィードバックが必要とされる理由は、単なる「評価」ではなく、人と組織の成長を加速させるための重要なコミュニケーション手段だからです。以下にその主な理由を整理してみました。
コンテンツ一覧
✅ フィードバックがビジネスに必要な理由
| 観点 | 説明 |
|---|---|
| 1. 人材育成 | フィードバックは、社員が自分の強みや改善点に気づくきっかけとなり、成長の方向性を明確にします。特に若手社員にとっては、学びの羅針盤になります。 |
| 2. 生産性の向上 | 業務の進め方や成果物に対して具体的な改善点を伝えることで、無駄を減らし、効率的な働き方を促進します。 |
| 3. モチベーションの向上 | ポジティブなフィードバックは「認められている」という実感を与え、やる気やエンゲージメントを高めます。 |
| 4. チームの信頼関係構築 | 定期的なフィードバックは、上司と部下、同僚同士の信頼関係を深め、心理的安全性のある職場づくりに貢献します。 |
| 5. 目標達成の加速 | フィードバックによって方向性のズレを早期に修正できるため、個人・チームの目標達成がスムーズになります。 |
💡 補足:フィードバックの種類と効果
- ポジティブ・フィードバック:強みや成果を認める → 自信と継続意欲を高める
- ネガティブ・フィードバック:改善点を伝える → 行動修正と成長を促す
- クリティカル(建設的)フィードバック:良い点と改善点の両面をみて、建設的に伝える
決定的に相手の心に響くように伝えること。
フィードバックとフィードフォワードの違いを、より詳細かつ多角的に比較しました。
「過去 vs 未来」だけでなく、心理的影響や組織文化への影響まで掘り下げています。
🔍 フィードバックとフィードフォワードの詳細比較表
| 観点 | フィードバック (Feedback) | フィードフォワード (Feedforward) |
|---|---|---|
| 焦点 | 過去の行動・結果、振り返り | 未来の行動・可能性 |
| 目的 | 改善点の指摘、修正、評価 | 成長の促進、行動の提案、可能性の拡張 |
| 伝達のスタイル | 指摘・評価・批判的になりやすい | 提案・問いかけ・建設的で協働的 |
| 受け手の心理的反応 | 防衛的・羞恥・不安を感じやすい | 前向き・安心・自己効力感が高まりやすい |
| 上下関係の影響 | 上司→部下など、縦の関係に依存しやすい | 上下関係に縛られず、対等な関係でも可能 |
| 主観性・客観性 | 主観的になりやすく、誤解や反発を招くことも | 客観的・未来志向で受け入れやすい |
| タイミング | 行動の「後」に行う(結果に対して) | 行動の「前」に行う(未来に向けて) |
| 例文 | 「前回の資料は誤字が多かった」 | 「次回は、提出前に誰かに見てもらうのはどう?」 |
| 活用場面 | パフォーマンス評価、反省会、指導場面、過去を活かすコーチング | コーチング、1on1、目標設定、アイデア創出 |
| 文化的影響 | やや評価文化・減点主義に傾きやすい | 学習文化・成長志向を育てやすい |
| 成長への影響 | 目標への修正、改善 過去の失敗を教訓につなげる。 |
自発性・創造性・挑戦意欲を引き出す。ただし、過去の失敗を見としやすい。 |
このように、フィードフォワードは未来志向・対話的・可能性重視のアプローチであり、心理的安全性やモチベーションの向上にもつながります。
ただし、過去・現在・未来は総合的に関わっており、フィードバックとフィードフォワードの両面を有効活用していくことが望ましいです。
フィードフォワードとフィードバックのメリット・デメリット
フィードフォワードとフィードバックのメリット・デメリットを表にまとめてみました:
| 項目 | フィードフォワードの特徴 | フィードバックの特徴 |
|---|---|---|
| メリット | ・未来志向でポジティブな成長を促す ・受け手が受け入れやすい ・改善点に具体的な行動を示せる |
・過去の行動に基づき具体的なアドバイスが可能 ・成果や失敗の振り返りができる ・改善すべき点を明確にできる |
| デメリット | ・過去の行動に対する具体的な検証が難しい ・抽象的になることがあり誤解を招くことも ・受け手によっては「的外れ」と感じることもある |
・受け手が防衛的になりやすく、素直に受け取りにくい ・ネガティブな印象を与える可能性がある ・タイミングを誤ると逆効果になることがある |
フィードフォワードとフィードバックのメリットとデメリットをさらに深掘りしてみましょう。
| 観点 | フィードフォワード | フィードバック |
|---|---|---|
| 主な目的 | 未来の行動や成果をより良くするためのアドバイスや提案 | 過去の行動や成果を振り返り、評価し、改善点を伝える |
| タイミング | 行動・成果が起こる「前」に実施する | 行動・成果が起こった「後」に実施される |
| 心理的影響 | ポジティブに受け取られやすく、モチベーションを高めやすい | 否定的に受け止められる場合があり、防衛的になることも |
| 具体性 | 将来のシナリオをもとにするため、やや抽象的になることがある | 過去の事実や行動をもとにするため、具体性が高く受け入れやすい |
| 使われる場面 | コーチング、1on1、組織改革、キャリア開発、教育、リーダーシップ育成など未来志向の場面 | コーチング、1on1、評価面談、業績レビュー、問題行動への対応など反省・評価の場面 |
| 導入のしやすさ | 比較的導入しやすく、日常のコミュニケーションにも取り入れられる | 伝える側に高度なスキル(タイミング・言葉選び)が求められ、慎重さが必要 |
| 成長への効果 | 自発的な成長を促し、自信や行動の選択肢を広げる | 修正が明確なため、即時的な行動改善には効果的 |
フィードバック/フィードフォワードと、**洞察(Insight)/自己内省(Self-Reflection)**の関係性を、より詳細かつ体系的に整理した比較表を作成しました。
フィードフォワードとフィードバックのそれぞれで使える具体的な手法・テクニック
承知しました!以下にフィードフォワードとフィードバックのそれぞれで使える具体的な手法・テクニックを表にまとめました。現場ですぐ使えるよう、簡潔かつ実践的に整理しています👇
フィードフォワード
| 種別 | 具体的な手法 | 説明 |
|---|---|---|
| 未来志向質問 | 「次はどうしたい?」「どんな成果を目指す?」など前向きな問いかけで思考を促す | |
| ポジティブイメージの共有 | 相手の強みや理想の姿を言語化し、良い未来像を描かせる | |
| ストーリーテリング | 「以前こんな場面で成功したよね」と過去の成功からヒントを導く | |
| アクションプランの設計支援 | 「次のステップはどうする?」「優先順位は?」などで行動計画を一緒に考える | |
| 成長機会の提示 | チャレンジや新しい視点を提案し、行動意欲を引き出す |
フィードバック
| 種別 | 具体的な手法 | 説明 |
|---|---|---|
| SBIモデル(Situation-Behavior-Impact) | 「状況」「行動」「影響」の順で伝えると、客観的かつ建設的なフィードバックに | |
| Iメッセージの活用 | 「あなたは〜した」ではなく「私は〜と感じた」で主観を伝えることで対立を防ぐ | |
| サンドイッチ法 | ポジティブ→改善点→ポジティブの順に伝えて、受け手の抵抗感を和らげる | |
| 具体的事実にもとづく言語化 | 評価や印象ではなく、観察できる事実に基づいてフィードバックを行う | |
| タイミングを見極める | 行動後すぐに、落ち着いたタイミングで行うことで、効果的に伝わる |
これらは状況に応じて使い分けることで、相手の成長を支援し、信頼関係を築くコミュニケーションになります。
🔍 フィードバック・フィードフォワード × 洞察・自己内省の詳細比較表

| 観点 | 一般的なフィードバック | フィードフォワード |
|---|---|---|
| 焦点 | 過去の行動・結果に基づく評価 | 未来の行動・可能性に向けた提案 |
| 目的 | 改善点の明確化と修正 | 成長・変化の促進と行動の方向づけ |
| 情報源 | 他者からの観察・評価 | 他者からの提案・アイデア |
| 洞察との関係 | 自分では気づきにくい行動パターンや盲点を他者の視点から認識するきっかけになる(例:「無意識に話を遮っている」など) | 他者の提案を通じて、自分の可能性や新しい視点に気づく(例:「あなたの強みは○○だから、次はこうしてみては?」) |
| 自己内省との関係 | フィードバックを受けた後に「なぜそうなったか」「どう感じたか」「どう変えたいか」を内省する | 提案を受けて「自分はどうしたいか」「どんな未来を描きたいか」を内省する |
| 心理的影響 | 防衛的・羞恥・不安を感じやすいが、信頼関係があれば深い学びにつながる | 前向き・安心・自己効力感が高まりやすく、行動意欲を引き出す |
| 学習スタイルとの相性 | 分析的・反省的な学習者に適している(例:PDCA型) | 行動志向・未来志向の学習者に適している(例:アクションラーニング型) |
| 活用場面 | パフォーマンス評価、振り返り、業務改善 | コーチング、1on1、目標設定、キャリア支援 |
| 成長への寄与 | 現状の課題を明確にし、修正・改善を促す | 未来の可能性を広げ、挑戦と創造性を引き出す |
このように、フィードバックとフィードフォワードは、洞察と自己内省を引き出す「外部刺激」として補完的に機能します。特にコーチングや教育の現場では、両者をバランスよく活用することで、より深い学びと行動変容が期待できます。
⏰️時間軸(過去・現在・未来)とフィードバック/フィードフォワードの関係とは?
時間軸(過去・現在・未来)とフィードバック/フィードフォワードの関係性を整理した詳細な比較表を作成しました。時間の流れに沿って、それぞれがどのような役割を果たすかが一目でわかります。
⏳ 時間軸 × フィードバック/フィードフォワード 比較表
| 時間軸 | フィードバック (Feedback) | フィードフォワード (Feedforward) |
|---|---|---|
| 過去 | ・過去の行動や成果を振り返る ・「何がうまくいかなかったか」「どこを改善すべきか」を評価・指摘する ・反省や修正の材料となる |
基本的には過去には当てないが、過去の経験をすべて役立てて、未来にフォーカスする。 |
| 現在 | ・現在の状況や行動に対するリアルタイムなフィードバック(例:その場での指摘) ・「今、何が起きているか」を共有する |
・現在の目標や課題を踏まえて、未来に向けた提案を行う ・「今、何をすれば未来が良くなるか」を考える |
| 未来 | ・過去の経験をもとに、将来の改善に活かす(間接的) ・ただし、未来への具体的提案は少ない傾向 |
・未来の理想像や目標に向けて、具体的な行動提案を行う ・「これからどうするか」に焦点を当てる ・創造性や可能性を引き出す |
💡 補足ポイント
- フィードバックは「過去→現在→未来」の流れで改善を促す手法。
- フィードフォワードは「未来→現在」の逆算思考で行動を導く手法。
- 両者を組み合わせることで、より深い学びと行動変容が期待できます。
投稿者プロフィール

- 徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。
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