コーチングとカウンセリング・心理療法の違い

カウンセリングとコーチングの違いは何ですか?とよく質問を受けます。他、コンサルティングやメンタリングなどの違いについても同じような質問を受けます。

当協会では、コーチング心理学を扱っているため、コーチングとカウンセリングの違いは理解をしております。

1.コーチングとカウンセリングの決定的な違い

カウンセリングは、心身ともに健康でないクライエントに行うのに対して、コーチングは、心身ともに健康な人に対してのみ行うということです。

臨床的なレベルの心理的問題を抱えた人の問題解決は行わない
たとえコーチがカウンセラーやセラピストの資格を併せもつ場合でも同じ
心理治療は行わない ※そもそも治療という概念がない

引用:コーチング心理学概論 単行本西垣 悦代、堀 正、 原口 佳典 – 2015/9/20

そのため、コーチの役割は、心の問題や悩みを取り除く仕事をすることは望ましくないと考えられております。サイコロジストとしてアセスメント(心理的査定)のトレーニングを受けていない状態で、心理治療をしてしまうと、それこそ問題が生じてしまいます。

特に最近では、医療・看護・福祉業界の方がコーチングを受ける傾向が多く、コーチにもメディカルリテラシーが問われるようになってきました。そのため、コーチングを受けるのは、以下の方が望ましいと考えられています。

心身とも健康で大きな問題を抱えていない
自分をより成長させたいと願っている個人
能力やパフォーマンスを向上させたいと願っている個人

引用:コーチング心理学概論 単行本西垣 悦代、堀 正、 原口 佳典 – 2015/9/20

既に健全な状態であることが絶対条件です。その状態から、さらに飛躍を望む個人様向けにコーチングは機能します。

クリニカルサイコロジストの資格を持つカフマンはこういいます。

「心理治療法は人の苦痛を和らげ、コーチングは快適な安住に挑戦する」
「心理治療は涙と癒しの旅、コーチングは夢と繁栄の旅である」
引用:コーチング心理学概論 単行本西垣 悦代、堀 正、 原口 佳典 – 2015/9/20

 

2.しかし、現実はどうか?

前項では、コーチングとカウンセリングを分けて考えましたが、実際にこの分け方にも問題があると我々は考えております。その理由は、私たちの周りには心身とも健全そうで、実は健全ではない人たちがたくさんいるからです。

極論からも知れませんが、セッションを通して悩みや心の問題を打ち明けてくるクライアントは多くおります。本来であればカウンセリングの領域なのかもしれませんが、日本には気軽にカウンセリングを受けられる土俵が整っていないため、あえてコーチングを選ぶクライアントは実際にいるのです。

仕事の縦割りが明確な欧米なのでは、「私はコーチでありカウンセラーではない」という対応は取れますが、日本で行うと何かと支障がでます。そもそも、悩みや問題がない人がそれ相応のお金を払ってまで、コーチに相談をするとも思えません。

【結論】サイコロジストとして接することが望ましい

今回の問題に対しての我々の見解としては、「心理学の専門家」としての役割も視野に入れておくことです。サイコロジストは、アセスメントのトレーニングを受けているため、クライエントの心の悩みに対して対応できる職業になっています。コーチとカウンセラーの両方を持ち、状況に応じて使い分けができるの利点のひとつでしょう。

冒頭で指摘したように、コーチングのセッションではアセスメントはできませんが、コーチングのセッションが終わってから次のセッションにコーチングではなくアセスメントを提案することは可能です。

日本では、まだコーチという職業は確立しておりませんが、ひとつの専門性に拘らず総合的にクライエントを支援できる可能性を秘めている職業であることは確かです。だからこそ、こーちとして活躍したいとお考えの個人様には、是非とも幅広い対応ができるようになって頂きたく考えております。

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一般社団法人コーチング心理学協会事務局
一般社団法人コーチング心理学協会事務局

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