クリティカル・フィードフォワードとは? フィードバック心理学 資格取得の参考に

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イベント・資格情報

フィードフォワードは、受け手の成長や改善を促すために、相手を最大限に尊重し、建設的かつ具体的な指摘を行うフィードバックのことです。ただ単に批判をするのではなく、相手の心に響くような相手の行動やパフォーマンスに対して、具体的な改善点や提案を含めることで、相手がどのように行動を修正すべきか理解しやすくします。

ここでは、フィードフォワードの考え方を発展させたクリティカル・フィードフォワードについて紹介します。

クリティカル・フィードフォワードを「未来を決定的により良くするためのフィードフォワード」と捉え、通常のフィードフォワードとの違いを明確にしながら、自己内省・洞察・行動変容・心理的安全性と組み合わせて実施していくコーチング心理学協会が提唱している実践方法です。また、自分の専門や立場を超えて、また、異なる価値観や文化を受け入れ、社会課題に向き合う中で視野を広げる。個人の心に決定的なインパクトを与える働きかけ、フィードフォワードを実施していく方法です。


クリティカル・フィードフォワード(Critical Feedforward)とは

未来を決定的により良くするためのフィードフォワードとして位置づけられた、コーチング心理学協会が提唱する実践的アプローチです。


特徴とポイント

観点 内容
基本的な定義 単なる「未来志向の提案」ではなく、心理的安全性を確保したうえで、行動の定着化を含め内省や行動変容を促す決定的な働きかけであることが特徴。
通常との違い 従来のフィードフォワードが「未来への助言」にとどまるのに対し、本手法は本人の深層に響く実感、行動を重視する。
実施における要素 自己内省・洞察・行動変容・心理的安全性を組み合わせ、内的な動機づけと変容を支える構造を重視。
越境的視点 自身の専門や立場を越え、異なる価値観・文化・立場を積極的に受け入れ、社会的課題と向き合うプロセスを含む。
「クリティカル」とは クリチカルの意味は、単なる批判的という意味ではなく、あくまでも建設的であり、個人の心に決定的なインパクトを与える働きかけへの意図的な配慮を指す。
相手の心と行動にクリティカルヒットを促す。

 


🔍 フィードフォワード vs クリティカル・フィードフォワード × 関連概念 比較表

観点 フィードフォワード クリティカル・フィードフォワード
定義 未来に向けた建設的な提案や問いかけ 本質的・決定的な未来変容を促す深い提案と対話
目的 行動の改善・成長の促進 意識・信念・行動の根本的変容と未来創造
問いの深さ 行動レベルの問い(例:「次はどうする?」) 意識・価値観・アイデンティティレベルの問い(例:「あなたは何のためにそれをするのか?」)
自己内省との関係 行動の選択肢を考える内省を促す 自己の在り方や価値観を問い直す深い内省を促す
洞察との関係 新しい行動の可能性に気づく 自分の思考の枠組みや限界に気づき、再構築する
行動変容への影響 小さな改善や前進を促す 意識の転換を伴う持続的な変容を促す
心理的安全性 安心感のある対話を通じて前向きな行動を引き出す 安心と挑戦のバランスをとりつつ、変容への覚悟を引き出す
活用場面 日常の1on1、教育、マネジメント リーダーシップ開発、キャリア転機、変革支援、コーチング上級編

 

「クリティカル・フィードフォワード(Critical Feedforward)」の考え方に基づいた、実践的な研修構成の一例です。心理的安全性・越境学習・自己効力感などを含めた設計になっています。


🔹クリティカル・フィードフォワード研修プログラム(例:半日~1日)

セッション 内容 目的・キーワード
導入:イントロダクション – 趣旨・目的の共有
– 心理的安全性の確保(グランドルール確認)
安全な場づくり、共通理解
ステップ① 内省と強みの再認識 – 成功体験のふりかえり(FFI的アプローチ)
– 自己の強みマッピング
自己理解・ポジティブ感情の活性化
ステップ② 社会・組織との接点の再構成 – 越境体験・超越学習の視点の共有
– 他者の価値観や視点を取り入れるワーク
視野の拡張・共感・異文化理解
ステップ③ フィードフォワード対話 – 「未来をより良くするための提案」を対話形式で実践(ペア)
– クリティカルに響く問いの設計
洞察の深化・対話力・自己効力感
ステップ④ アクションプラン構築 – 気づきをもとに行動変容を設計する(3W1H)
– 意図と言葉の一致
実行力・変化の持続性
クロージング/ふりかえり – グループ共有
– 研修全体のメタ認知と心理的収束
学びの統合・内面化

🔸ポイント設計

  • 心理的安全性の確保:冒頭からペア・少人数対話を中心に構成
  • ワーク重視:一方向講義ではなく、90%以上が参加型ワーク
  • 批判でなく共感:クリティカル=「決定的に心に響く」働きかけ
  • 社会性の接続:自分→他者→社会というレベル移行を促進

 

投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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