フィードフォワードインタビュー実践 フィードバックの心理学 認定資格取得の参考に

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今回の記事の内容に関しまして、以下の講座に関係しています。フィードバック・フィードフォワードの実践されたい方は、こちらをおすすめいたします。
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このページでは、フィードフォワードの実践例の一つを上げて、考察と探究をしてまいります。

フィードフォワード(feedforward)は、教育、組織管理、医療、工学など多様な分野で活用されており、未来志向のアドバイスや事前対策によってパフォーマンスや満足度、効率を向上させる効果が明確に示されています。

教育・学習への効果

  • フィードフォワードは、従来のフィードバック(過去の誤り指摘)と異なり、学習者に将来の改善点や具体的な行動指針を与えることで、モチベーションや自己調整力を高め、学習成果を向上させます(Noroozi et al., 2021; Acharjee, 2025)。
  • ピア・フィードフォワード(学生同士の事前アドバイス)は、論述力や学習プロセスの質を高め、フィードバックと同等の効果があることが示されています(Noroozi et al., 2021)。

組織・人材開発への効果

  • フィードフォワード・インタビュー(FFI)は、従業員の強み発見や新しい行動の開発、パフォーマンス向上、心理的安全性やウェルビーイングの促進に寄与します(Rechter et al., 2025)。
  • フィードフォワードは、従来の評価や批判よりも前向きな組織文化を醸成し、協働や成長志向を強化します(Rechter et al., 2025; Acharjee, 2025)。

医療・看護現場での効果

  • フィードフォワード制御を導入することで、医療現場では患者の満足度や看護の質が向上し、業務効率や安全性(例:チューブの抜去防止、検体管理の精度向上)も改善されます(Hexing et al., 2023; Lu, 2024)。
フィードフォワードの効果例 分野 効果内容 出典
学習成果・論述力向上 教育 学習プロセス・成果の向上、自己調整力の強化 (Noroozi et al., 2021; Acharjee, 2025)
パフォーマンス・心理的安全性 組織・人材 強み発見、協働促進、ウェルビーイング向上 (Rechter et al., 2025; Acharjee, 2025)
業務効率・安全性向上 医療・看護 満足度・効率・安全性の向上、エラー低減 (Hexing et al., 2023; Lu, 2024)

フィードフォワードは、未来志向のアドバイスや事前対策を通じて、学習、組織、医療、工学など幅広い分野でパフォーマンスや満足度、効率、安全性を高める有効な手法です。従来のフィードバックと組み合わせることで、より高い成果が期待できます。

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🔍 ピックアップ:フィードフォワードインタビュー
Feedforward Interview(FFI)

『The Feedforward Interview』(Avraham N. Kluger & Dina Nir, 2010)

🎯 目的

Feedforward Interview(FFI)は、従来の「過去の評価(フィードバック)」ではなく、「未来の成長と可能性」に焦点を当てる面談法です。
Appreciative Inquiry(AI) の「ポジティブな過去の成功体験から学ぶ」アプローチを元に開発されました。


🧩 特徴と構造

FFIは以下の3ステップで構成されます:

Step 1:成功体験のストーリーを引き出す

  • 「自分が最も生き生きとしていた仕事の経験」を語ってもらう

  • 具体的な時間・場所・状況を含めて、エピソード記憶を活用

  • ポジティブな感情があったかどうかを確認(Win-Win体験の見極め)

Step 2:成功を生み出した条件を特定する

  • 「自分の内的資源(スキル・価値観・姿勢)」

  • 「他者(同僚・上司)の行動」

  • 「組織文化や物理的条件」
    → 成功体験を支えた「個人の成功コード(Success Code)」を明確化

Step 3:フィードフォワード質問(未来への転用)

  • 「この成功コードは、あなたの今後の行動計画にどれだけ組み込まれているか?」
    → 現在と理想のギャップ(内的基準 vs 現実)を自ら認識し、行動変容を促す


✅ 活用場面

  • 業績評価(Performance Appraisal)の代替または補完

  • 採用面接(Selection Interview)

  • 顧客インタビュー(Customer Insight)

  • キャリア開発、エンゲージメント促進、人間関係構築 など


💡 理論的背景

  • エピソード記憶:実体験ベースの具体性が新しい学習と気づきを促す

  • Win-Winの視点:自他をともに活かす成功体験に注目

  • アクティブリスニング:共感的に聴くことで心理的安全性が生まれる

  • 内的基準と未来行動の比較:フィードフォワード質問により、持続可能な行動変容が生まれる


🌱 効果・メリット

  • ポジティブ感情の増加(やる気・創造性・関係性の向上)

  • 面談後の自己成長感・内的納得感が向上

  • 従来の評価面談に比べ、対話が前向きで建設的になる

  • 組織としても、現場から“何がうまくいっているか”を発見できる


⚠️ 注意点・限界

  • 抑うつ傾向や自己肯定感の低い人には効果が限定的な場合も

  • 組織文化や上司の面談スキルによって成果が左右される

  • 全員に一律に適用するのではなく、柔軟に使う必要あり

簡潔なフィードフォワードインタビュー実践方法

フィードフォワードインタビュー(FFI)は、ヒーローインタビューに近い形式です。過去の成功体験に焦点を当て、未来の行動を前向きに設計するための対話手法です。以下のような3つのステップで進められます:

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フィードフォワードインタビューの基本ステップ

  1. 文脈の設定(はじめに)
    「今日はあなたのポジティブな経験に焦点を当てて話を聞かせてください」と伝え、前向きな対話の場をつくります。
  2. ステップ1:成功体験を思い出してもらう
    例:「仕事で最も充実していた瞬間を教えてください」
    → 具体的なエピソード(時間・場所・行動・感情)を引き出します。
  3. ステップ2:成功の条件を明らかにする
    例:「そのとき、あなたのどんな強みが発揮されていましたか?」
    → 環境・関係性・自分の特性など、成功を支えた要因を探ります。
  4. ステップ3:未来の行動に活かす
    例:「今後の仕事で、そのときの条件をどう活かせそうですか?」
    → 成功の再現性を高め、未来の行動計画へとつなげます。

*この件の研修のお問い合わせは、info[@]coaching-psych.com まで[]を外して、ご連絡をお願いします。一般社団法人コーチング心理学協会事務局

 

References

Rechter, E., Kluger, A., & Nir, D. (2025). The feedforward interview: A theoretical account. Human Resource Management Reviewhttps://doi.org/10.1016/j.hrmr.2024.101061

Noroozi, O., Talaee, E., & Latifi, S. (2021). Peer feedback or peer feedforward? Enhancing students’ argumentative peer learning processes and outcomes. Br. J. Educ. Technol., 52, 768-784. https://doi.org/10.1111/bjet.13054

Acharjee, I. (2025). Feedback vs Feedforward: Shifting the Paradigm in Learning and Performance. International Journal For Multidisciplinary Researchhttps://doi.org/10.36948/ijfmr.2025.v07i02.41266

Carrasco, D., & Goodwin, G. (2011). Feedforward model predictive control. Annu. Rev. Control., 35, 199-206. https://doi.org/10.1016/j.arcontrol.2011.10.007

Luyben, W. (2022). Comparison of additive and multiplicative feedforward control. Journal of Process Controlhttps://doi.org/10.1016/j.jprocont.2022.01.004

, H., Li, L., Dong, X., & Pan, H. (2023). An Empirical Study of Feedforward Control in Unplanned Extubation of Nasogastric Tube. Journal of Multidisciplinary Healthcare, 16, 1465 – 1471. https://doi.org/10.2147/JMDH.S408676

Lu, M. (2024). Application Effect of Feedforward Control in Outpatient Blood Specimen Management. Journal of Clinical and Nursing Researchhttps://doi.org/10.26689/jcnr.v8i6.7083

投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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