KGI / KPI / KSF / OKR エンゲージメントコーチングとビジネスコーチング入門講座 認定資格取得の参考に

grantg
entry 4

Engagementcoachingこのページでは、「エンゲージメントコーチング」 に関わる KGI / KPI / KSF / OKR の概要について、整理しました。これらは、エンゲージメントコーチングに関わり、ある程度事前に理解しておくほうが、実践しやすいこともあり、ここでも独自の視点で、さらに探究と考察していきます。

KGI,KPI,KSF,OKRなどは、実際の目標達成に関わるキーワードになっています。


✅ エンゲージメントにおける KGI・KPI・KSF・OKR 【概要+具体例】

項目 概要 エンゲージメント向上の具体例
KGI (Key Goal Indicator) 最終的なゴールを数値で示す成果指標。組織やプロジェクトの最終的な到達目標。 社員の業績を前年比で10%向上させる。
KPI (Key Performance Indicator) KGIを達成するための途中経過を測る指標。活動の進捗や状態を定量的に確認するもの。 社員アンケート回答率を90%以上にする上司-部下の1on1面談を月1回以上実施
KSF (Key Success Factor) 成功を左右する重要要因。どんな行動・要素が成否を分けるか。 – 経営層の本気のコミットメント- 双方向コミュニケーションの活性化- 評価や報酬制度の透明性
OKR (Objectives and Key Results) 目標(O)と、その達成を測る主要な成果指標(KR)をセットで設定する目標管理の手法。より挑戦的・定性的な目標と、測定可能な結果を両立させる。 O: 社員が「この会社で働きたい」と思える職場を作るKR1: 社員満足度調査で「働きがいあり」の回答比率を70%以上にする
KR2: 離職率を前年より2%低下させる
KR3: 部門間コラボの実施数を30件以上にする

✅ コーチングで使える質問例

項目 コーチング質問例
KGI ・理想のゴールはどのような状態ですか?・10%向上した状態を達成すると、どんな変化が起きていると思いますか?
KPI ・そのゴールを実現するために、どの数字を追いかけるのが効果的ですか?・進捗を可視化するために、どんな指標が必要ですか?
KSF ・その目標を達成するうえで、一番大切にすべきことは何でしょう?・どんな障害がありそうですか?それを乗り越えるために何ができそうですか?
OKR ・挑戦したい未来像はどんなものですか?・その目標の達成を測るには、どんな具体的成果が必要ですか?・達成したとき、どんな感情になっていたいですか?

ポイント

  • KGI → 最終ゴール
  • KPI → 中間チェックの数字
  • KSF → 成功のカギとなる要因
  • OKR → 未来志向+挑戦的な目標設定

 

コーチング心理学とKGI・KPI・KSF・OKR

以下の表は、エンゲージメント向上というテーマを軸に、KGI・KPI・KSF・OKR の概要と具体例を、コーチング心理学の視点でまとめたものです。

分類 概要(定義) コーチング心理学の視点での活用 具体例(エンゲージメント向上のケース)
KGI (Key Goal Indicator) 最終的に達成したい理想のゴールや成果を示す指標 クライアントが「理想の状態」や「ありたい姿」を明確に言語化することを支援する。ビジョン・価値観探求が重要。 – 社員のエンゲージメントスコアを80%以上にする – 離職率を5%以下に抑える
KPI (Key Performance Indicator) ゴール達成までの進捗を測る中間指標。行動や成果の具体的な数値化 クライアントが「何を測れば進んでいる実感が持てるか」を自覚し、モチベーションを維持できるよう支援する。小さな達成感を重視。 – 月次1on1実施率90%達成 – 社員アンケートで「上司との信頼関係」項目平均4.2以上(5点満点)
KSF (Key Success Factor) 成功を左右する重要な要素。達成のカギになる条件や要因 クライアント自身が「何が成功のカギか」を発見するよう問いかける。強みや心理的資源を活かす視点が重要。 – 上司の傾聴力とフィードバック力向上 – 心理的安全性の確保 – 経営層のコミットメント
OKR (Objectives and Key Results) チャレンジングかつ具体的な目標(Objectives)と、それを測る成果指標(Key Results)をセットで設定する仕組み クライアントが「理想を超える挑戦」を描き、自発的行動を促す。「ワクワクする目標」や自己効力感の向上と醸成が鍵。 Objective: 「全員が主体的に意見を言える職場にする」 Key Results: – 全社員が月1回以上の改善提案を出す – 社内イベントの企画数を前年比150%にする – 社員満足度調査で「心理的安全性」項目を4.5以上にする

コーチング心理学のポイント

  • KGI → クライアントの価値観や人生の意義を探る対話が大切(エンゲージメントの根源的動機づけ)
  • KPI → 小さな進捗を「できていること」として承認し、自己効力感を高める
  • KSF → 成功要因はクライアントの「強み」や「リソース」と関連づけて引き出す
  • OKR → 「挑戦したくなる目標」にすることで内発的動機づけを強化

もう少し具体的に検証してみましょう。
エンゲージメント向上のために KGI / KPI / KSF / OKR を使う際の 優先順位 は、次のように整理すると分かりやすいです。


✅ 優先順位の考え方

KGI(最終ゴール)
👉 一番最初に考えるべきもの

  • 理由:ゴールが曖昧だと、どの数値を追うか、どんな挑戦をするかが決まらない
  • :「社員のエンゲージメントスコアを10%上げる」

KSF(成功のカギ)
👉 次に大事

  • 理由:ゴールを達成するうえで、最も重要な行動・文化を特定するため
  • :「上司が傾聴できる文化」「心理的安全性の確保」

KPI(中間チェックの数字)
👉 3番目

  • 理由:KGIを現実的に達成するために、進捗を測る具体的な数字が必要になるため
  • :「1on1面談実施率90%」

OKR(挑戦的目標と結果指標)
👉 最後に設計するのがおすすめ

  • 理由:KGI・KSF・KPIがある程度定まってから、さらに挑戦する目標を作った方が一貫性が保てる

  • O: 「社員が自発的に動きたくなる職場をつくる」
    KR1: 「社員満足度スコア80以上」
    KR2: 「社員の改善提案件数を年間50件にする」

✅ 優先順位のまとめ

優先順位 項目 理由
KGI 目指す未来を決める基盤
KSF 成功のカギが分からないと動きが定まらない
KPI 成果へ向かう具体的な進捗確認が必要
OKR 他が固まった後に、挑戦的に設定する方が一貫性があるため

🎯 例:優先順位での進め方

  1. KGI →「社員のエンゲージメントスコアを10%上げたい」
  2. KSF →「心理的安全性が絶対に必要」
  3. KPI →「1on1実施率90%」
  4. OKR
    O: 「社員が自発的に動きたくなる職場をつくる」
    KR: 「満足度スコア80以上」「改善提案50件」

✅ コーチングでの進め方

  • 「まず理想の未来(KGI)は?」
  • 「そこに到達するカギ(KSF)は?」
  • 「何を測れば進んでいるか分かる?(KPI)」
  • 「理想を超える挑戦は?(OKR)」

 

📊 指標の構造と問いの意図

指標名 概要 意図・効果 質問例
KGI(Key Goal Indicator) 最終的な理想状態・到達したい未来 目的意識と心のエンゲージメントを高める 「まず理想の未来は?」
KSF(Key Success Factor) 成果につながる成功要因・行動のカギ 問題解決への主体性を引き出し、行動変容を促す 「そこに到達するカギは?」
KPI(Key Performance Indicator) 過程の中での測定可能な進捗指標 小さな成功体験による継続的な動機づけを生む 「何を測れば進んでいるか分かる?」
OKR(Objectives and Key Results) 理想を超える挑戦目標+主要成果 チャレンジ意欲を刺激し、自律的なエンゲージメントを促す 「理想を超える挑戦は?」

 

この順番で進めると、エンゲージメント向上の取り組みが 一貫性を持ち、具体的になり、現場が動きやすくなる のが大きなメリットです。

4つの質問(KGI、KPI、KSF、OKR)を軸に、それぞれがエンゲージメントに与える効果を整理し、具体例と実践例を示します。


✅ エンゲージメントにおける KGI / KPI / KSF / OKR の効果と具体例

項目 コーチング質問例 エンゲージメントへの効果 具体例 実践例
KGI(最終ゴール) 「あなたにとって理想の未来は?」 – 人が心から共感できる“意味”を示し、エンゲージメントを高める。- 組織やチームの方向性を共有し、目的意識を育む。 「社員が互いを尊重し合い、安心して挑戦できる職場をつくる」 経営層がビジョン共有セッションを開き、社員から理想の職場像を聴き取る。
KPI(途中経過の測定指標) 「何を測れば進んでいると実感できますか?」 – エンゲージメント向上の進捗を可視化し、安心感と達成感を与える。- 継続的な行動変容を後押しする。 「1on1面談を月1回実施し、実施率を90%以上にする」 1on1実施数をシステムで管理し、未達の場合はリマインドを送る。
KSF(成功のカギ) 「成功のカギは何だと思いますか?」 – エンゲージメント向上に不可欠な“行動”や“文化”を特定できる。- 問題解決の具体策を明確化できる。 「上司が聴く姿勢を持ち、心理的安全性を保つこと」 上司向けに「傾聴」や「承認」の研修を実施する。
OKR(挑戦的目標と成果指標) 「もし理想を超える挑戦をするなら?」 – チャレンジ精神を刺激し、エンゲージメントを飛躍的に高める。- 社員が自分事として目標に関わる動機づけを生む。 O: 社員が働きがいを実感できる職場をつくるKR1: 社員満足度調査スコア80以上KR2: 社員からの改善提案を年間50件以上集める チームごとにOKRを設定し、毎月の進捗レビューで「どんな挑戦ができたか」を話し合う。

✅ 4つの質問のエンゲージメント効果【まとめ】

  • KGI(最終ゴールを問う)
    → 社員に「なぜ働くのか」という目的意識を持たせ、心のエンゲージメントを高める。
  • KPI(進捗を問う)
    → 小さな成功体験を積ませ、関わり続ける動機づけを生む。
  • KSF(成功要因を問う)
    → 問題解決への主体性を引き出し、行動変容を促す。
  • OKR(挑戦を問う)
    → チャレンジ意欲を刺激し、自律的なエンゲージメントを引き出す。

以下のような表にまとめると、4つの指標の目的と効果が明確に比較

指標名 問う内容 主な目的 想定される効果
KGI 最終ゴール 「なぜ働くのか」という目的意識を持たせる 心のエンゲージメントが高まる
KPI 進捗 小さな成功体験を積ませる 継続的な関わりへの動機づけが生まれる
KSF 成功要因 問題解決への主体性を引き出す 行動変容につながる
OKR 挑戦 チャレンジ意欲を刺激する 自律的なエンゲージメントが引き出される

 

✅ 実践例

ケース:A社のエンゲージメント向上プロジェクト

  • KGIを問う
    → 経営層「理想の未来は?」
    社員「安心して挑戦できる職場にしたい」
  • KPIを問う
    → 人事「そのために何を測る?」
    社員「月1回の1on1実施率を追うのが良い」
  • KSFを問う
    → マネージャー「成功のカギは?」
    社員「上司の聴く姿勢が絶対必要」
  • OKRを問う
    → 経営層「理想を超える挑戦は?」
    社員「満足度スコア80以上、改善提案50件集めたい」
指標・枠組み 問いかける人 問いの内容 社員の答え
KGI 経営層 「理想の未来は?」 「安心して挑戦できる職場にしたい」
KPI 人事 「そのために何を測る?」 「月1回の1on1実施率を追うのが良い」
KSF マネージャー 「成功のカギは?」 「上司の聴く姿勢が絶対必要」
OKR 経営層 「理想を超える挑戦は?」 「満足度スコア80以上、改善提案50件集めたい」

これ以降は、学術研究等の基づくエンゲージメントコーチングにおける上級者向けです。

KGI・KPI・KSF・OKRの効果に関する最新研究 2025年 まとめ

項目 KPI KGI KSF OKR
定義・理論的特徴 ・Key Performance Indicator
・組織目標の達成度を定量的に測る指標・業績評価や改善活動の基盤 (He, 2018 ほか)
・Key Goal Indicator
・最終成果やゴール達成度を示す指標・KPIと連動して運用されることが多い (Iwakami et al., 2021 ほか)
・Key Success Factor
・成功に不可欠な要素を特定
・戦略策定やBSC等で重視 (Moores et al., 2022 ほか)
・Objectives and Key Results
・目標と主要成果をセットで設定
・柔軟性、透明性、自律性を促進 (Rompho, 2023 ほか)
効果・活用事例 ・業績可視化、改善サイクル推進
・SCM、プロジェクト管理、リーン経営で活用 (Helmold, 2021 ほか)
・KPI達成度を成果に結びつける役割
・ベイズネットワークで因果可視化 (Iwakami et al., 2021 ほか)
・非営利や災害復興など多様な現場で活用
・成功要因の特定と戦略的意思決定 (Moores et al., 2022 ほか)
・モチベーション向上・組織のアラインメント強化
・知識共有促進、アジャイル組織と親和性 (Rompho, 2023 ほか)
比較・統合運用 ・安定性・定量性が強み・静的な管理に適する (He, 2018 ほか) ・KPIを最終成果に紐づける役割 ・戦略策定との親和性高い
・KSFを特定後、KPI設計に活用されるケースも多い
・柔軟性
・参加型目標設定
・透明性が強み
・動的管理に適する (Dovbnya et al., 2024 ほか)
・KPIとの統合的運用(例:KIRs)も提案されている (Семененко, 2024 ほか)
課題・限界 ・指標の形骸化リスク
・数値目標が先行し行動や創造性が犠牲になる懸念 (Nurakhim et al., 2025 ほか)
・KPIとの因果関係設定の難しさ ・特定が曖昧だと効果が薄れる
・状況による変動リスク
・すべての組織に万能ではない・目標設定の妥当性、文化適応が課題・KPIとの併用やカスタマイズが必要 (Dovbnya et al., 2024 ほか)

上記の表は以下の内容に基づいて整理したものです。

1. Introduction

KGI(Key Goal Indicator)、KPI(Key Performance Indicator)、KSF(Key Success Factor)、OKR(Objectives and Key Results)は、現代の経営管理やパフォーマンスマネジメントにおいて広く用いられる指標・枠組みです。

それぞれの効果や特徴については多くの研究が行われており、KPIは定量的な業績評価に強みがあり、OKRは柔軟性や従業員のエンゲージメント向上に寄与することが示されています (He, 2018; Rompho, 2023; Criado et al., 2025; Dovbnya et al., 2024; Zasa & Buganza, 2022)。

KSFは組織の成功に不可欠な要素を特定し、KGIは最終的な目標達成度を測る指標として機能します (Moores et al., 2022; Ferreira et al., 2012; Ahmed & Garvin, 2022)。近年は、KPIとOKRの統合的運用や、KSF・KGI・KPIの相互関係を可視化するフレームワークの提案も進んでいます (Семененко, 2024; Iwakami et al., 2021; Akhtar & Sultan, 2023)。

本レビューでは、これら4つの指標・枠組みの効果や活用事例、相互作用、導入時の課題や限界について、最新の研究成果をもとに総合的に整理します。

2. Methods

本レビューでは、Consensusの検索エンジンを用いて、Semantic Scholar、PubMedなどを含む1億7千万件以上の論文データベースから関連文献を網羅的に検索しました。

合計1047件の論文を特定し、重複除去後733件をスクリーニング、389件が適格と判断され、最終的に本レビューには最も関連性・質の高い50件の論文を含めました。

本レビューでは、7つの検索グループ・21の個別検索を通じて多角的に文献を抽出しました。

3. Results

3.1 各指標・枠組みの定義と理論的特徴

KPIは、組織の目標達成度を定量的に測定する指標であり、業績評価や改善活動の基盤となります (He, 2018; Sangwa & Sangwan, 2018; Villazón et al., 2020; Cai et al., 2009)。

KGIは最終的な成果やゴールの達成度を示し、KPIと連動して運用されることが多いです (Iwakami et al., 2021; Yaohui et al., 2025)。

KSFは、組織やプロジェクトの成功に不可欠な要素を特定し、戦略策定やバランスト・スコアカード(BSC)などの枠組みで重視されています (Moores et al., 2022; Ferreira et al., 2012; Ahmed & Garvin, 2022)。

OKRは、目標(Objectives)と主要な成果(Key Results)をセットで設定し、柔軟性や透明性、従業員の自律性・エンゲージメント向上に寄与する新しい目標管理手法です (Rompho, 2023; Criado et al., 2025; Dovbnya et al., 2024; Zasa & Buganza, 2022)。

3.2 KPI・KGI・KSF・OKRの効果と活用事例

KPIは、業績の可視化や改善サイクル(PDCA)の推進、サプライチェーンやプロジェクト管理、リーン経営など多様な分野で効果的に活用されています (Helmold, 2021; Sangwa & Sangwan, 2018; Villazón et al., 2020; Cai et al., 2009)。

KGIは、KPIの達成度を最終的な成果に結びつける役割を持ち、ベイズネットワーク等を用いた因果関係の可視化も進んでいます (Iwakami et al., 2021; Yaohui et al., 2025)。

KSFは、非営利組織や災害復興プロジェクトなど多様な現場で、成功要因の特定と戦略的意思決定に活用されています (Moores et al., 2022; Ferreira et al., 2012; Bahmani & Zhang, 2021; Ahmed & Garvin, 2022)。

OKRは、従業員のモチベーション向上、組織のアラインメント強化、知識共有の促進、アジャイル組織との親和性などが報告されています (Rompho, 2023; Criado et al., 2025; Dovbnya et al., 2024; Kanket, 2019; Zasa & Buganza, 2022)。

3.3 指標・枠組みの比較・統合的運用

KPIとOKRの比較研究では、KPIは安定性・定量性に優れる一方、OKRは柔軟性・参加型目標設定・透明性に強みがあるとされます (He, 2018; Семененко, 2024; Dovbnya et al., 2024; Zasa & Buganza, 2022)。両者の統合的運用や、KPI・KGI・KSF・OKRを組み合わせた新たなフレームワーク(例:KIRs)も提案されており、状況に応じた使い分けや補完的活用が推奨されています (Семененко, 2024; Akhtar & Sultan, 2023; Dovbnya et al., 2024)。

3.4 導入時の課題・限界・批判的視点

KPIやOKRの導入には、目標設定の妥当性、指標の形骸化、報酬制度との連動、組織文化や従業員の理解度など多くの課題が指摘されています (Nurakhim et al., 2025; Rompho, 2023; Dovbnya et al., 2024; Kanket, 2019)。特にOKRは、全ての組織や業務領域に普遍的に適用できるわけではなく、KPIとの併用や状況に応じたカスタマイズが重要とされています (Dovbnya et al., 2024; Zasa & Buganza, 2022)。

 

4. Discussion

KGI・KPI・KSF・OKRは、それぞれ異なる強みと限界を持ち、組織の目的や状況に応じて使い分けや統合的運用が重要です。KPIは定量的な業績評価や改善サイクルに不可欠であり、KGIは最終成果の測定に有効です (He, 2018; Iwakami et al., 2021; Sangwa & Sangwan, 2018; Villazón et al., 2020)。KSFは戦略策定や非営利分野での成功要因特定に役立ちます (Moores et al., 2022; Ferreira et al., 2012; Ahmed & Garvin, 2022)。OKRは柔軟性や従業員のエンゲージメント向上、組織のアラインメント強化に寄与しますが、全ての組織に万能ではなく、KPIとの併用やカスタマイズが推奨されます (Семененко, 2024; Rompho, 2023; Dovbnya et al., 2024; Zasa & Buganza, 2022)。

一方で、指標の形骸化や目標設定の妥当性、報酬制度との連動、組織文化への適合性など、導入時の課題も多く指摘されています (Nurakhim et al., 2025; Rompho, 2023; Dovbnya et al., 2024; Kanket, 2019)。今後は、状況に応じた最適な指標・枠組みの選択や、複数手法の統合的運用、実証的な効果検証が求められます。

Claim Evidence Strength Reasoning Papers
KPIは業績の可視化・改善サイクル推進に有効 多様な分野での実証・長期運用実績 高い 組織運営やプロジェクト管理での広範な導入実績があり、業務改善に寄与することが確認されている He, 2018; Sangwa & Sangwan, 2018; Villazón et al., 2020; Cai et al., 2009
OKRは従業員エンゲージメント・組織アラインメント向上に寄与 多国籍・多業種での比較研究・実践報告 高い 透明性・柔軟性が従業員の主体性を引き出し、組織の方向性統一に貢献している Rompho, 2023; Criado et al., 2025; Dovbnya et al., 2024; Zasa & Buganza, 2022
KSFは戦略策定や非営利分野での成功要因特定に有効 BSCや災害復興等での応用事例 高い 事業やプロジェクト成功の必須要素を特定することで戦略的意思決定を支援する Moores et al., 2022; Ferreira et al., 2012; Bahmani & Zhang, 2021; Ahmed & Garvin, 2022
KPIとOKRの統合運用で相互補完的効果が期待できる 理論的提案・一部実証 中程度 KPIの定量性とOKRの柔軟性を融合させることで、動的かつ安定的な管理が可能になるとされる Семененко, 2024; Akhtar & Sultan, 2023; Dovbnya et al., 2024
指標の形骸化や目標設定の妥当性が課題となる場合がある 導入事例・批判的論考 高い 過剰な数値管理や現場との乖離が問題視され、慎重な運用が求められている Nurakhim et al., 2025; Rompho, 2023; Dovbnya et al., 2024; Kanket, 2019
OKRは全ての組織・業務領域に普遍的に適用できるわけではない 限界・適用範囲に関する議論 高い 組織文化や業務特性によってはOKRが機能しにくい場合があり、導入前の適合検討が必要とされる Dovbnya et al., 2024; Zasa & Buganza, 2022

5. Conclusion

本レビューでは、KGI・KPI・KSF・OKRそれぞれの効果や特徴、活用事例、導入時の課題について最新の研究成果をもとに整理しました。KPIは定量的な業績評価、OKRは柔軟性やエンゲージメント向上、KSFは成功要因の特定、KGIは最終成果の測定に強みがあり、状況に応じた使い分けや統合的運用が重要です。今後は、実証的な効果検証や複数手法の最適な組み合わせに関する研究が期待されます。

5.1 Research Gaps

現状、KGI・KPI・KSF・OKRの統合的運用や、非営利・公共分野での実証研究、導入時の組織文化・報酬制度との連動に関する研究が不足しています。また、OKRの長期的効果や、KGI・KPI間の因果関係の定量的分析も今後の課題です。

 

5.2 Open Research Questions

今後は、KGI・KPI・KSF・OKRの最適な組み合わせや、非営利・公共分野での実証的効果検証、組織文化や報酬制度との連動メカニズムの解明が重要な研究課題です。

Question Why
KGI・KPI・OKRの統合運用はどのような条件下で最も効果的か? 組織特性や業務内容に応じた最適な指標運用を明らかにするため
OKR導入による長期的な組織パフォーマンスへの影響は? 短期的効果だけでなく持続的成果を検証するため
KPI・KGI・OKRと報酬制度・組織文化の連動メカニズムは? 指標の形骸化防止や従業員モチベーション向上のため

本レビューは、KGI・KPI・KSF・OKRの効果と課題を俯瞰し、今後の実証研究や実務への示唆を提供します。

 

References

He, Y. (2018). Comparative Study of OKR and KPI. DEStech Transactions on Economics, Business and Management. https://doi.org/10.12783/dtem/eced2018/23986

Nurakhim, B., Astuti, I., Slamet, R., & Naser, H. (2025). Integrity Of OKRS And KPIS In Corporate Performance Appraisal System In Jakarta. EKOMBIS REVIEW: Jurnal Ilmiah Ekonomi dan Bisnis. https://doi.org/10.37676/ekombis.v13i2.7146

Семененко, Ю. (2024). РОЛЬ KPI ТА OKR В ЕФЕКТИВНОСТІ ДІЯЛЬНОСТІ КОМПАНІЇ. Herald of Khmelnytskyi National University. Economic sciences. https://doi.org/10.31891/2307-5740-2023-324-6-37

Moores, S., Sayed, N., Lento, C., & Wakil, G. (2022). Leveraging the balanced scorecard to reformulate the strategy of a performing arts theater: a stakeholders’ perspective. Journal of Applied Accounting Research. https://doi.org/10.1108/jaar-11-2021-0308

Rompho, N. (2023). Do objectives and key results solve organizational performance measurement issues?. Benchmarking: An International Journal. https://doi.org/10.1108/bij-07-2022-0464

Akhtar, E., & Sultan, M. (2023). “Key Performance Indicators (KPIs), Key Result Indicator (KRIs) and Objectives and Key Results (OKRs)” A New Key Incorporated Results (KIRs) Approach. Information and Knowledge Management. https://doi.org/10.7176/ikm/13-2-01

Criado, J., Gutiérrez, G., Garzás, J., Cano, E., De Lena, M., & Moguerza, J. (2025). Exploring the Effectiveness of OKRs in Enhancing Company Objectives: A Comparative Study. IEEE Engineering Management Review, 53, 110-121. https://doi.org/10.1109/EMR.2024.3426327

Helmold, M. (2021). Management Objectives, KPI and OKR. Management for Professionals. https://doi.org/10.1007/978-3-030-77661-9_10

Ferreira, P., Shamsuzzoha, A., Toscano, C., & Cunha, P. (2012). Framework for performance measurement and management in a collaborative business environment. International Journal of Productivity and Performance Management, 61, 672-690. https://doi.org/10.1108/17410401211249210

Bahmani, H., & Zhang, W. (2021). Comprehensive Success Evaluation Framework for Socio-Natural Disaster Recovery Projects. Buildings. https://doi.org/10.3390/buildings11120647

Iwakami, Y., Takuma, H., & Iwashita, M. (2021). Analyzing Enterprise Attribute-Dependent KPIs/KGIs by Bayesian Network-Leveraging LDA. International Journal of Project Management and Productivity Assessment. https://doi.org/10.4018/IJPMPA.2021070103

Dovbnya, S., Pysmenna, O., & Pysmennyi, R. (2024). THEORETICAL PRINCIPLES OF MANAGEMENT BASED ON OKR IN THE CONTEXT OF PERSONNEL MOTIVATION. Market Infrastructure. https://doi.org/10.32782/infrastruct81-24

Sangwa, N., & Sangwan, K. (2018). Development of an integrated performance measurement framework for lean organizations. Journal of Manufacturing Technology Management, 29, 41-84. https://doi.org/10.1108/JMTM-06-2017-0098

Kanket, W. (2019). Experimental research on employee performance review using knowledge management oriented OKRs approach in comparison to KPI approach. **.

Zasa, F., & Buganza, T. (2022). Developing a shared vision: strong teams have the power. Journal of Business Strategy. https://doi.org/10.1108/jbs-04-2022-0065

Ahmed, M., & Garvin, M. (2022). Review of Critical Success Factors and Key Performance Indicators in Performance Assessment of P3 Transportation Projects. Journal of Management in Engineering. https://doi.org/10.1061/(asce)me.1943-5479.0001070

, Y., Hong, X., Zhang, S., Li, H., Zhu, Z., Luo, W., & , Z. (2025). ComprehendEdit: A Comprehensive Dataset and Evaluation Framework for Multimodal Knowledge Editing. **, 19323-19331. https://doi.org/10.1609/aaai.v39i18.34127

Villazón, C., Pinilla, L., Olaso, J., Gandarias, N., & De Lacalle, L. (2020). Identification of Key Performance Indicators in Project-Based Organisations through the Lean Approach. Sustainability. https://doi.org/10.3390/su12155977

Cai, J., Liu, X., Xiao, Z., & Liu, J. (2009). Improving supply chain performance management: A systematic approach to analyzing iterative KPI accomplishment. Decis. Support Syst., 46, 512-521. https://doi.org/10.1016/j.dss.2008.09.004

 

投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

こんな講座があります

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です