自尊感情(Self-Esteem)とは? 自尊感情とコーチング心理学 【コーチング心理学 用語】人事・組織・ビジネス・教育・福祉
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自尊感情とコーチング心理学
自尊感情は人間の機能や幸福において中心的な役割を果たし、コーチングの場面でも頻繁に取り上げられる重要な要素です。コーチング心理学は、個人の成長や変化を促進するために自尊感情をどのように活用できるかを探求しています。
自尊感情の役割とコーチング
- 自尊感情は、個人の学習能力や成長、変化に対する自己効力感を支える重要な要素です。コーチングの場面では、クライアントの自尊感情がコーチング関係を媒介する可能性があるため、コーチはその影響を理解することが求められます(Maxwell & Bachkirova, 2010)。
- 自尊感情は、コーチのリーダーシップスタイルにも影響を与え、特に民主的なスタイルやトレーニングと教育スタイルに逆相関することが示されています(Mariani & Morsanuto, 2020)。
コーチングの効果と自尊感情
- コーチングは、クライアントの自己反省や関係満足度を向上させることができ、特に自己表現能力が高いクライアントにおいては、自己反省が強く促進されることが示されています(Rank & Gray, 2017)。
- 高パフォーマンスのアスリートに対する動機付けコーチングは、心理的幸福感や自己効力感、自尊感情の向上に効果的であることが示されています(Romero et al., 2018)。
コーチング心理学の応用と未来の方向性
- コーチング心理学は、個人の強みの活用と心理的資本の向上を通じて、主観的および心理的な幸福感を高めることができるとされています(Govindji & Linley, 2007)。
- 短期的なポジティブ心理学的コーチングは、非管理職の従業員の個人的資源を開発し、目標達成を促進するための有効な方法であることが示されています(Corbu et al., 2021)。
まとめ
自尊感情はコーチング心理学において重要な役割を果たし、クライアントの成長や幸福感の向上に寄与します。コーチは、クライアントの自尊感情を理解し、それを活用することで、より効果的なコーチングを提供することができます。今後の研究では、特に自尊感情に焦点を当てたコーチングアプローチの開発とその長期的な効果の検証が求められます。
自尊感情を高めるコーチング心理学の視点は?
- 自分の価値観に基づいて行動する 自尊感情を高めるためには、まず自分の価値観を明確にし、それに基づいて行動することが重要です。価値観に沿った行動を取ることで、自分自身に対する信頼感が増し、自己評価が向上します。
- 現実的な目標を設定する 自分の能力に合った現実的な目標を設定することで、達成感を感じやすくなり、自尊感情が高まります。無理な目標を設定すると挫折しやすく、自己評価が低下する可能性があるため、達成可能なステップを踏むことが大切です。
- 小さな進歩を認める 小さな進歩を積み重ねることで、自己評価が高まります。毎日少しずつでも成長を実感し、自分の強みを活かすことが重要です。成功体験を積み重ねることで、自尊感情が強化されます。
- 自分を受け入れる 自尊感情を高めるためには、自分をありのままで受け入れることが必要です。完璧を求めるのではなく、自分の欠点も含めて受け入れることで、自己肯定感が高まります。
- 他人と比較しない 他人と比較することは、自己評価を低下させる原因になります。自分自身の進歩や成果に焦点を当てることで、他人の評価に左右されずに自分を認めることができます。
- 自分を認める 他人に認められることを求めずに、自分自身を認めることが重要です。他人の評価に依存せず、自分の価値を自ら肯定することで、自尊感情が高まります。
- 他人に無理に好かれようとしない 他人に無理に好かれようとすることは、ストレスの原因になります。自分らしくあることを大切にし、無理をせずに自然体でいることで、自己肯定感が高まります。
- 自己決定を尊重する 日常の些細な決断でも、自分自身で決めることが重要です。自分の意志で行動することで、自己効力感が高まり、自尊感情が強化されます。
- 自分の感情に目を向ける 自分の感情に意識を向け、それを受け入れることが大切です。感情を抑え込まずに表現することで、自己理解が深まり、自己肯定感が高まります。
- 意見をはっきりと表明する 自分の意見を思いきって言うことは、自己主張の一環です。自分の考えを表現することで、自己評価が向上し、自尊感情が高まります。
自尊感情の構成要素
- 自己評価・自己受容 自己評価とは、自分自身の価値をどのように評価するかを指します。自己受容は、自分の長所と短所を含めてありのままの自分を受け入れることです。この二つが高まることで、自尊感情が向上します。
- 関係の中での自己 対人関係における自己の位置づけや評価も、自尊感情に影響を与えます。他人からのフィードバックや対人関係の質が自己評価に反映されることがあります。
- 自己主張・自己決定 自己主張とは、自分の意見や感情を適切に表現することです。自己決定は、自分で決断し、行動する力を指します。これらの能力が高まることで、自尊感情が強化されます。
ポジティブ心理学の視点から
- 強みの活用: 自分の強みを認識し、それを日常生活や仕事に活かすことで幸福感や満足感が高まります。
- 成長マインドセットの促進: 能力や知識は努力と学びで向上できると信じる成長マインドセットを持つことを促します。
- ポジティブな関係の構築: 強い社会的な絆を築くことで、ストレスの軽減や幸福感の向上を図ります。
- 感謝の実践: 日常生活の中で感謝の気持ちを育むことで、ポジティブな視点を養います。
- 目的意識の明確化: 自分の人生の目的や目標を明確にし、行動に一貫性を持たせます。
自尊感情を高めるコーチング心理学の要点と具体例
- 自分の価値観に基づいて行動する
- 具体例: ある学生が環境保護に強い関心を持っているとします。その学生は、日常生活で環境に配慮した行動を取ることを選びます。例えば、リサイクルを徹底し、エコバッグを持ち歩き、公共交通機関を利用するなどの行動です。これにより、彼は自分の価値観に忠実な行動を取っていると感じ、自尊感情が高まります。
- 現実的な目標を設定する
- 具体例: 社会人のAさんは、毎日10ページの本を読むことを目標にしています。この目標は彼にとって現実的で達成可能です。毎日10ページを読み終えるたびに、彼は小さな成功体験を感じ、自信がついていきます。
- 小さな進歩を認める
- 具体例: ダイエット中のBさんは、毎日体重を記録しています。1キログラム減った際に、それを大きな進歩として認め、自分を褒めることで、モチベーションを維持し続けています。
- 自分を受け入れる
- 具体例: Cさんは完璧主義から抜け出すために、自分の欠点を受け入れる練習を始めました。彼は「失敗してもそれが自分の一部だ」と考えるようにし、自分自身をありのまま受け入れることで、自己肯定感が高まりました。
- 他人と比較しない
- 具体例: Dさんは同僚と自分を比較する癖がありましたが、次第に自分の成長や達成に焦点を当てることにしました。他人の成功を気にせず、自分自身のペースで進むことを意識することで、自信を持つようになりました。
- 自分を認める
- 具体例: Eさんはプロジェクトを完了した際に、上司や同僚からの評価を待たずに、自分自身で「よくやった」と認めるようにしています。これにより、他人の評価に依存せずに自己評価ができるようになり、自尊感情が高まります。
- 他人に無理に好かれようとしない
- 具体例: Fさんは友人グループ内で無理に自分を合わせるのをやめ、自分らしく振る舞うことに決めました。その結果、彼は真の友人関係を築くことができ、自分に自信を持つようになりました。
- 自己決定を尊重する
- 具体例: 高校生のGさんは、進路選択の際に自分の意志で学びたい分野を選びました。親や先生の意見を尊重しつつも、最終的な決断は自分で行い、その結果に自信を持っています。
- 自分の感情に目を向ける
- 具体例: Hさんは、感情日記をつけるようになりました。毎日感じたことや思ったことを書き留めることで、自分の感情に気づき、それを受け入れることができるようになりました。
- 意見をはっきりと表明する
- 具体例: Iさんは会議の場で積極的に自分の意見を発言するようになりました。最初は緊張しましたが、次第に自信を持って意見を述べることができるようになり、自己評価が向上しました。
自尊感情の構成要素と具体例
- 自己評価・自己受容
- 具体例: Jさんは、自分の絵が好きではなかったのですが、自分の成長を振り返り、改善点を見つけながら自分の作品を受け入れるようになりました。
- 関係の中での自己
- 具体例: Kさんは、友人からのフィードバックを大切にし、それを自己成長の機会として捉えるようになりました。これにより、対人関係が向上し、自尊感情が高まりました。
- 自己主張・自己決定
- 具体例: Lさんは、自分の意見を大切にし、重要な決断を自分で行うようになりました。これにより、自己効力感が高まり、自尊感情が向上しました。
References
Maxwell, A., & Bachkirova, T. (2010). Applying psychological theories of self-esteem in coaching practice. International Coaching Psychology Review. https://doi.org/10.53841/bpsicpr.2010.5.1.16
Rank, J., & Gray, D. (2017). The Role of Coaching for Relationship Satisfaction, Self-Reflection, and Self-Esteem: Coachees’ Self-Presentation Ability as a Moderator. Consulting Psychology Journal: Practice and Research, 69, 187–208. https://doi.org/10.1037/cpb0000082
Mariani, A., & Morsanuto, S. (2020). THE ROLE OF SELF-ESTEEM IN COACHES’ LEADERSHIP STYLE. **, 4. https://doi.org/10.32043/GSD.V4I4_SUP.261
Romero, J., Baidez, M., & Chirivella, E. (2018). Entrenamiento psicológico mediante el coaching motivacional en alto rendimiento: una experiencia en marcha atlética. Revista de Psicología Aplicada al Deporte y el Ejercicio Físico. https://doi.org/10.5093/rpadef2018a11
Govindji, R., & Linley, P. (2007). Strengths use, self-concordance and well-being: Implications for Strengths Coaching and Coaching Psychologists. International Coaching Psychology Review. https://doi.org/10.53841/bpsicpr.2007.2.2.143
Corbu, A., Zuberbühler, M., & Salanova, M. (2021). Positive Psychology Micro-Coaching Intervention: Effects on Psychological Capital and Goal-Related Self-Efficacy. Frontiers in Psychology, 12. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.566293