🌿 ナラティヴカード・ファシリテーションとは
― 物語をひらき、つながりと意味を育てる新しい対話の形 ―
「話す」ことが、人を癒し、チームをつなぐ。
ナラティヴカード・ファシリテーションは、
心理学・教育・コーチングの現場で注目されている対話支援型アプローチです。
単なる会話やワークではなく、
「語る・聴く・受け止める・再構成する」という心理プロセスを通して、
個人の経験や価値観を“意味のある物語”として再発見していく方法です。

🧭 ナラティヴ・ファシリテーション アプローチの基本理念
ナラティヴ・アプローチ(Narrative Approach)は、
人は「物語(ナラティヴ)」を通して自分や世界を理解すると考える心理学・カウンセリングの考え方です。
人が語るストーリーの中には、
自分でも気づいていない価値観・信念・感情・可能性が潜んでいます。
ファシリテーターは、その語りを尊重しながら、
- 問題を“外在化”し(自分そのものではなく、外に置く)
- 新しい視点で“物語を書き換え”
- 本来の力と希望を“再発見”するサポートを行います。
このアプローチは、心理的安全性を守りつつ、
自己理解・共感・成長を促す対話の場づくりに最適です。
🪶 ナラティヴカードとは

ナラティヴカードは、こうした対話と内省を支援するために開発された心理ツールです。
カードには、「物語の主人公」「問題の外在化」「影響」「リフレクティング」「希望」「ユニークな経験」など、
ナラティヴ心理学の核心概念が描かれています。
また、「感情のリフレーミング」「強み」「意味・意義」「レジリエンス」など、
ポジティブ心理学やコーチング心理学の要素も統合されており、
個人セッションからチームビルディングまで幅広く活用可能です。
💬 ナラティヴ・ファシリテーションのプロセス
🔹 1. 開く(Open)
カードを1枚選び、テーマに沿って自由に語ります。
例:「このカードを見て思い出した体験は?」「どんな意味を感じますか?」
🔹 2. 聴く(Listen)
他のメンバーやファシリテーターは評価せず、共感的に聴き、相手の語りの中の「価値」や「意図」を受け取ります。
🔹 3. 省察する(Reflect)
語りを聴いた他者が、「心に残った言葉」「感じた強さ」「可能性」を返します。
リフレクティングチームの手法を応用します。
🔹 4. 意味づける(Reframe)
カードを通して浮かび上がった感情や価値を再解釈し、新しいストーリーを紡ぎます。
問題中心の語りから、希望や成長を中心とした「代わりの物語」へ。
🔹 5. 共有する(Integrate)
最後に、グループで語りを共有し、「個人の物語」から「チームの物語」へと統合します。
この段階で、信頼・共感・一体感が自然に生まれます。
🌱 ナラティヴ・カード 活用シーンと実践例
🧩 1. コーチング・カウンセリング
- クライエントの“言葉にならない思い”を可視化
- 問題の外在化と再意味化を支援
- 自己効力感・レジリエンスを育てるツールとして活用
🧩 2. チームビルディング・組織開発
- メンバーの「語り」を通して相互理解を深める
- チームのビジョンや価値を「物語」として再構成
- 心理的安全性と信頼を育む対話型研修
🧩 3. 教育・キャリア支援
- 生徒・学生の“自分史”や“学びの物語”を可視化
- 自己理解・自己表現・キャリアアイデンティティの形成を支援
🧩 4. メンタルヘルス・ウェルビーイング支援
- 感情のリフレーミングによるストレスケア
- ポジティブ心理学×ナラティヴによる回復促進
- 自己受容・希望・意味づけの力を養う
💡 ファシリテーターに求められる役割
ナラティヴカード・ファシリテーションでは、
ファシリテーターは「指導者」ではなく「共創者」です。
- 安心して語れる場(心理的安全性)のデザイン
- 評価せず、価値を見いだすリスニング
- 対話を通して“気づきのプロセス”を見守る
- グループの中で物語を循環させる
AI時代において、人と人との「共感的対話」「意味づくりの力」を育てるこの方法は、
人間らしい支援・教育・組織開発の基盤として注目されています。
🌸 講座・研修プログラム(概要)
- 講座名:ナラティヴカード・ファシリテーション実践講座
- 内容:ナラティヴ心理学・コーチング心理学の理論と実践/ファシリテーション演習/カード実技
- 対象:コーチ・カウンセラー・教育者・リーダー・心理支援職
- 形式:オンライン/対面(少人数制)
- 講師:徳吉陽河(一般社団法人コーチング心理学協会 代表理事)
- 主催:コーチング心理学協会(Coaching Psychology Association of Japan)
🕊 AI時代のナラティヴ・ファシリテーションの意義
AIが情報を整理し、分析を自動化できる時代だからこそ、
人間にしかできない「意味を共に創る対話」が求められています。
ナラティヴカード・ファシリテーションは、
AI的な“分析”ではなく、“共感と意味づけ”によって変化を起こす技法です。
心理的支援・教育・チーム開発の現場において、
AI時代の“人間的対話力”を育てる新しい学びとして注目されています。
🌈 まとめ
ナラティヴカード・ファシリテーションは、
単なる「話し合い」ではなく、物語をひらく心理的アートです。
語ることで心がほどけ、
聴くことで他者への理解が深まり、
対話の中から新しい未来が見えてくる。
それが、ナラティヴの力であり、
今、AI時代にこそ必要とされる“人間らしいつながりの技法”です。
講座のキーワード
ナラティヴカード/ナラティヴ・アプローチ/ナラティヴ・セラピー/コーチング心理学/ファシリテーション/心理的安全性/ウェルビーイング/感情のリフレーミング/チームビルディング/対話/自己理解/レジリエンス/AI時代の対話
投稿者プロフィール

- 徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。
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