看護師の医療現場で活用できる認知行動療法と認知行動コーチング 認知行動療法とコーチング 資格について
認知行動療法(CBT)と認知行動コーチング(CBC)は、看護師が医療現場で患者のケアや自身のストレス管理に活用できる有効な手法ですこれらの手法は、看護師の心理的健康を改善し、患者の自己管理能力を高めることに寄与します。認知行動コーチングでは、クライエントの自立支援、動機づけ、ウェルビーイングの向上、ストレスマネジメントの強化に活用できます。
認知行動療法(CBT)の活用
看護師の心理的健康改善
認知行動療法(CBT)は、看護師の心理的な健康を改善する効果があります。例えば、Rababa et al. (2020)の研究によると、CBTは看護師が経験する年齢差別や死への不安を軽減し、自己評価や対人関係の改善に寄与します。また、Mardhiah et al. (2022)の研究では、CBTが看護師の仕事の質を向上させることが示されています。これにより、看護師自身のストレス管理や感情の調整が可能となり、患者ケアの質も向上します。
教育への統合
看護教育において、CBTのコンポーネントを教えることは、学生の学業成績や患者の治療結果に良い影響を与えます。Batterbee (2020)の研究によれば、CBTの技術を学ぶことで、学生は患者とのコミュニケーションスキルや問題解決能力を向上させ、実践においてもより効果的なケアを提供できるようになります。さらに、CBTの知識は看護師としての自己効力感を高め、臨床現場での自信を持って対応できるようになります。
認知行動コーチングの活用
患者の自己管理支援
看護師による健康コーチングは、患者の自己管理能力を最適化し、慢性疾患の予防や管理に役立ちます。Barr & Tsai (2021)の研究によると、CBTベースのコーチングは、患者が自身の健康状態をより良く理解し、適切な行動を取る手助けとなります。特に、高齢者に対する行動変容を支援する手法として有効であり、Bennett et al. (2005)の研究でもその効果が確認されています。看護師は、患者のライフスタイル改善や薬物療法の遵守をサポートすることで、健康状態の維持・改善に貢献します。
ストレス管理
認知行動コーチングは、職場でのストレスを軽減し、ウェルビーイングを向上させる効果があります。Lungu et al. (2020)の研究では、ビデオや電話を通じたCBTベースのコーチングが、職場でのストレス管理に効果的であることが示されています。このようなリモートでのサポートにより、看護師は時間や場所を問わず、ストレス軽減のための支援を受けることができます。
これにより、看護師は自己の心理的健康を維持しながら、患者への質の高いケアを提供することが可能となります。また、CBTの知識とスキルを持つ看護師は、医療チーム内での役割が拡大し、より多様なニーズに対応できるようになります。
認知行動療法(CBT)と認知行動コーチングを医療現場で活用するための看護師向け資格について、さらに詳細に説明します。
コンテンツ一覧
コーチング心理学協会に関わる 認知行動療法&コーチングの資格
認知行動療法の資格 認知行動療法 資格 種類 メリット
- 公認心理師: 2015年に制定された国家資格で、認知行動療法を専門的に行うためには、さらに、応用ができるにしていくためには、認知行動コーチングの資格を取得がおすすめです。
- 臨床心理士: 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格で、大学院で所定の科目を履修し、実務経験を積んだ後、資格試験に合格すると取得できます。
- 精神保健福祉士: 国家資格であり、精神疾患や精神障害のある方の社会復帰支援を行います。
- ポジティブ認知行動療法士:認知行動療法、ポジティブ認知行動療法及び認知行動コーチングをより前向きな支援に活用できる専門家です。
- 認知行動コーチ:認知行動療法をより前向きな支援にかつようできるようにした応用モデル。医療・福祉・リハビリテーションを始め、日常生活やビジネス、キャリアなどに活用できる
医療現場での認知行動コーチングの活用
認知行動療法の資格を持つ看護師は、患者さんの精神的な健康問題や慢性疾患への対応において、専門的な知識とスキルを活かし、より質の高いケアを提供できます。具体的な活用方法としては、以下のようなものがあります。
- アセスメント: 患者さんの認知と行動を把握し、問題点を明確化します。例えば、患者さんが「最近眠れない」と訴えている場合、睡眠・休息パターンに着目し、ストレス対処・耐性パターンも合わせて評価します。
また、認知行動コーチングでは、健康やリハビリテーションの改善向けたとりわけポジティブな側面について検討し、前向きに考え、行動できるように支援をしていきます。 - 問題の特定と目標設定: 患者さんと協働して問題を特定し、具体的で達成可能な目標を設定します。例えば、「毎日行っている行動を週3回に減らす」など。
認知行動コーチングでは、できることに焦点を当てて、前向進めるようにシていきます。 - モニタリングと評価: 介入の効果を随時確認し、必要に応じて修正を行います。治療終了後も、患者さんが再発を防ぎ、自立した生活を送れるようサポートを継続します。認知行動コーチングでは、前向きなモチベーション(動機づけ)に活用し、支援を行うことができます。
医療現場活用のためのポイント
認知行動療法を医療現場で効果的に活用するためには、以下のポイントに留意しましょう。
- 対象となる患者さんの状態を的確にアセスメントする: 認知行動療法は、うつ病や不安障害などの精神疾患だけでなく、緩和ケア慢性疼痛や生活習慣病など、幅広い疾患に適用できます。前向きな行動への動機づけの支援をお個々なっていきます。
- 患者さんとの良好な信頼関係(ラポール)を築く: k患者さん自身が問題解決に向けて積極的に取り組むことが求められます。看護師は傾聴や共感を通して患者さんの気持ちに寄り添い、安心して治療に取り組めるような環境づくりに努めましょう。
- 患者支援における認知行動療法資格を持つ看護師の強み: 認知行動療法の資格を持つ看護師は、患者さんの精神的な健康問題や慢性疾患への対応において、専門的な知識とスキルを活かし、より質の高いケアを提供できます。
これらのスキルを活かし、看護師は患者さんの生活の質の向上に大きく貢献できます。
詳細なイベント情報は、以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.coaching-psych.com/event/
References
Rababa, M., Alhawatmeh, H., Ali, N., & Kassab, M. (2020). Testing the Effectiveness of Cognitive Behavioral Therapy in Relieving Nurses’ Ageism Toward Older Adults: A Randomized Controlled Trial. Cognitive Therapy and Research, 45, 355 – 366. https://doi.org/10.1007/s10608-020-10167-4
Batterbee, R. (2020). The inclusion of cognitive behavioural therapeutic components in the undergraduate nursing curriculum. A systematic integrative review of the evidence.. Nurse education today, 94, 104567. https://doi.org/10.1016/j.nedt.2020.104567
Barr, J., & Tsai, L. (2021). Health coaching provided by registered nurses described: a systematic review and narrative synthesis. BMC Nursing, 20. https://doi.org/10.1186/s12912-021-00594-3
Mardhiah, M., Syam, B., Nasution, M., & Yusuf, E. (2022). Cognitive-Behavioral Therapy in the Group on the Quality of Nurse’ Work Life. Jurnal Aisyah : Jurnal Ilmu Kesehatan. https://doi.org/10.30604/jika.v7i2.884
Bennett, J., Perrin, N., Hanson, G., Bennett, D., Gaynor, W., Flaherty-Robb, M., Joseph, C., Butterworth, S., & Potempa, K. (2005). Healthy aging demonstration project: nurse coaching for behavior change in older adults.. Research in nursing & health, 28 3, 187-97. https://doi.org/10.1002/NUR.20077
Lungu, A., Boone, M., Chen, S., Chen, C., & Walser, R. (2020). Effectiveness of a Cognitive Behavioral Coaching Program Delivered via Video in Real World Settings. Telemedicine Journal and e-Health, 27, 47 – 54. https://doi.org/10.1089/tmj.2019.0313