ウェルビーイング政策に携わる方に 『これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)』をおすすめする理由

ウェルビーイング政策に携わる方に 『これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)』をおすすめする理由

PRISMフレームワークが切り拓く、未来の職場と社会のウェルビーイング
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イベント・資格講座の情報【ポジティブ心理学の第一人者 マーティン・セリグマン × 医学博士・脳科学・組織心理学者 ガブリエラ・ローゼン・ケラーマン による共著の話題作『Tomorrowmind』を監修・監訳・解説】
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📖 この記事で分かること

ウェルビーイング政策・制度設計・組織開発に関わる方が『Tomorrowmind』(日本語版:『これからの生き方』)を読むべき理由を、政策的視点・実践的視点・エビデンス的視点から詳しく解説します。PRISMフレームワークの活用方法から、日本の労働環境への応用まで、政策担当者・人事専門家・コーチ・研究者に向けて丁寧にお伝えします。

 

「ウェルビーイング」という言葉が政策文書に頻繁に登場するようになった今、私たちは問い直す必要があります。——私たちは本当に、ウェルビーイングの本質を理解しているのだろうか、と。

 

メンタルヘルス対策、エンゲージメント向上、働き方改革。それぞれの施策は重要です。しかし、それらがバラバラに実施されたままでは、根本的な変化は生まれません。

 

Tomorrowmind』(著者:マーティン・セリグマン、ガブリエル・ウォラン、日本語版タイトル:『これからの生き方』)は、そのような課題に対して、科学的根拠に基づいた統合的フレームワーク「PRISM」を提示する書籍です。本稿では、ウェルビーイング政策に携わる方がこの書籍から何を得られるのかを、具体的かつ丁寧に解説します。

 

コンテンツ一覧

1. なぜ今、「これからの生き方(Tomorrowmind日本語版)」なのか——政策の限界を超えるために

 

1-1. ウェルビーイング政策が抱えるジレンマ

日本政府は「ウェルビーイングの向上」を経済財政運営の基本方針に明記し、企業でも人的資本経営の文脈でウェルビーイング指標が注目されています。しかし現場では、こんな声が聞こえてきます。

 

  • 「施策を打っているのに、数値が上がらない」
  • 「ストレスチェックだけでは、本質的な変化が見えない」
  • 「何を目標に設定すればよいのか、基準がない」
  • 「担当者によって、ウェルビーイングの定義がバラバラ」

 

これらは、ウェルビーイングを「症状の除去」や「満足度スコアの向上」として捉えてしまっていることに起因します。ポジティブ心理学の創始者であるマーティン・セリグマンが長年の研究で示してきたのは、ウェルビーイングとは「欠如の解消」ではなく「繁栄(Flourishing)の実現」であるという視点です。

 

1-2. 「繁栄する人材」が社会を変える

Tomorrowmind』の中核にある問いは「AIと加速する変化の時代に、人間はどうすれば繁栄できるか?」です。政策立案者にとって、これは国家・企業・地域社会をどう設計するか、という問いに直結します。

 

個人のウェルビーイングは、組織の生産性と社会の持続可能性を支える基盤であり、福祉コストの削減にもつながります。「予防」ではなく「繁栄の促進」へと政策の軸足を移すこと——それが本書の中心的メッセージです。

 

2. PRISMフレームワーク——政策設計に使えるウェルビーイングの構造

 

Tomorrowmind』の最大の貢献の一つが「PRISMフレームワーク」です。これは個人・組織・社会のウェルビーイングを多面的に捉えるための科学的モデルです。

 

PRISM要素 内容と政策的意義
P — Prospection (未来展望) 未来を想像し、計画し、希望を持てる能力。キャリア支援・リスキリング政策と直結。
R — Resilience (レジリエンス) 逆境から回復し、適応する力。メンタルヘルス対策・危機支援政策の核心概念。
I — Inner Drive (内的動機) 自己決定による動機づけ。働き方改革・自律型人材育成の基盤。
S — Social Connection (社会的つながり) 孤立防止・コミュニティ形成。孤独・孤立対策政策と直接連動。
M — Mastery (熟達・有能感) スキルアップ・成長感。学び直し支援・教育政策の動機設計に活用。

 

💡 政策立案者へのポイント

PRISMの5要素は、それぞれが独立した政策領域(キャリア支援・メンタルヘルス・労働環境・孤独対策・学習支援)に対応しながら、相互に連動しています。単一施策ではなく「統合的ウェルビーイング政策」を設計するための共通言語として活用できます。

 

3. 日本のウェルビーイング政策課題とTomorrowmindの接点

 

3-1. 少子高齢化・人材不足時代の「人的資本」をどう守るか

日本が直面する最大の課題の一つは、労働人口の減少です。限られた人材が長く、健やかに、意欲を持って働き続けられる社会の設計は、単なる「福利厚生」の問題を超え、国家の競争力に直結します。

 

Tomorrowmind』はこの点について、「心理的健康な人材こそが最大の資本だ」という立場を一貫して取ります。特に「Prospection(未来展望)」——つまり変化の激しい時代にあっても希望を持って前を向ける力——は、リスキリング支援やキャリア支援政策に新しい視点を与えてくれます。

 

3-2. メンタルヘルス政策を「予防」から「繁栄」へ

日本のメンタルヘルス対策は、2015年のストレスチェック制度の義務化以降、一定の普及を見せています。しかし現場では「チェックするが、その後どうするか」「不調者への対応はできているが、健常者の活性化はどうする?」という声が絶えません。

 

本書はその問いに明確な方向性を示します。ウェルビーイングは「病気でない状態」の維持ではなく、「積極的に繁栄している状態(Flourishing)」を目指すものだ、と。

 

📊 政策的示唆:デュアルコンティニアムモデル

精神的健康は「病気/健康」の二元論ではなく、「精神疾患の有無」と「ウェルビーイングの高低」の二軸で捉えるべきです。ウェルビーイングが高い状態(Flourishing)を実現するための政策設計が、真の予防につながります。

 

3-3. 孤独・孤立問題とSocial Connectionの科学

日本では2021年に孤独・孤立対策担当大臣が設置され、2023年には「孤独・孤立対策推進法」が成立しました。『Tomorrowmind』が示す「Social Connection(社会的つながり)」の科学的根拠は、この政策の有効性と優先順位の正しさを支持するエビデンスとして機能します。

 

著者たちは、孤独が健康に与える影響は喫煙に匹敵するという研究を引用しつつ、つながりを「インフラ」として政策的に整備することの重要性を説いています。これは、孤独対策を「優しさ」ではなく「戦略的投資」として位置づける政策説明に使えるロジックです。

 

4. 組織・企業のウェルビーイング施策への実装

 

4-1. 人的資本経営とTomorrowmindの接続

2023年以降、上場企業には人的資本情報の開示が求められるようになりました。エンゲージメント、離職率、健康経営スコア——これらの指標をどのフレームで解釈し、向上させるか。PRISMフレームワークは、人的資本経営の設計思想として活用できます。

 

人的資本開示項目 PRISMフレームワークでの解釈と活用
従業員エンゲージメント Inner Drive(内的動機)+ Mastery(熟達感)の統合指標として設計
離職率・定着率 Social Connection + Prospectionが低下したシグナルとして早期検知
心理的安全性 Resilience + Social Connectionの組織的基盤整備として位置づけ
研修・スキル開発 Mastery + Prospectionを軸とした「未来型学習設計」として再定義
ウェルビーイング施策 PRISMの5要素を網羅するか評価・可視化するKPI設計に活用

 

4-2. 管理職・リーダー育成への応用

本書は「強さを基盤にしたコーチングとリーダーシップ」を強調しています。マネジャーがチームメンバーのPRISM要素を理解し、個別に支援できるようになることが、組織全体のウェルビーイング向上につながるという考え方は、管理職研修の新たな骨格となります。

 

特に「Prospection(未来展望)を育てるリーダー」という概念は、変化の激しい時代において部下の希望と方向性を育む上司像として、日本の企業文化に響くメッセージです。

 

5. 政策担当者・人事専門家が感じる「共感ポイント」

 

5-1. 「エビデンスはあるが、現場が変わらない」悩みへの答え

政策担当者や人事担当者が口にする共通の悩みが、「科学的知見は分かっているのに、現場の行動が変わらない」というものです。

 

Tomorrowmind』はその問いに正面から向き合います。知識が行動に変わらない理由は「意志の欠如」ではなく、「システム設計の問題」だと主張し、個人の変容と組織・制度のデザイン変更を同時に行う必要性を説きます。

 

5-2. 「現場の痛み」から政策を語る文体

この書籍の特徴の一つは、難解な心理学用語を並べるのではなく、読者が「そうそう、これが言いたかった」と感じるような具体的な場面描写から始まる構成にあります。テレワーク疲弊、燃え尽き症候群、若手社員のキャリア不安——それぞれの「痛み」に寄り添いながら、科学的解決策を提示するスタイルは、政策文書を読み慣れた方にも新鮮な読書体験を与えてくれます。

 

5-3. 「すぐに使える」フレームワークという希少性

学術書と実務書の間には、往々にして大きなギャップがあります。『Tomorrowmind』はそのギャップを埋めることに成功した数少ない書籍の一つです。PRISMの各要素には、個人・チーム・組織レベルでの具体的な介入策が示されており、政策立案から現場実装まで一貫して使えるロードマップを提供しています。

 

7. まとめ——「繁栄する社会」を設計するために

 

ウェルビーイング政策に携わる方が『Tomorrowmind』から得られるものを、最後に整理します。

 

  • ウェルビーイングを「欠如の解消」ではなく「繁栄の実現」として再定義する共通言語
  • PRISMフレームワークによる統合的政策設計の骨格
  • メンタルヘルス・孤独対策・人的資本経営・キャリア支援を繋ぐ横断的視点
  • エビデンスと現場の橋渡しをする実装ロードマップ
  • 管理職・政策担当者が「なぜ変わらないのか」の問いに答える組織設計論

 

変化の速度が増す時代に、「壊れない人」を作るのではなく、「変化に適応しながら繁栄できる人」を育む社会の設計へ。『Tomorrowmind』はその旅のための最良のコンパスです。

 

🔖 この書籍をおすすめする方

・ウェルビーイング政策・健康経営の担当者 ・人事・組織開発・EAPの専門家 ・キャリアコンサルタント・コーチ・産業カウンセラー ・ポジティブ心理学・コーチング心理学の学習者 ・「ウェルビーイングを組織に根付かせたい」リーダー・管理職

 

よくある質問(FAQ

 

  1. Tomorrowmindはウェルビーイング政策にどう活用できますか?
  2. PRISMフレームワーク(ProspectionResilienceInner DriveSocial ConnectionMastery)は、政策設計の5つの柱として活用できます。各要素がキャリア支援・メンタルヘルス・孤独対策・学習支援などの政策領域に対応しており、分散した施策を統合する共通フレームとして機能します。
  3. 日本語版「これからの生き方」と英語版の違いは?
  4. 日本語版(これからの生き方/マーティン・セリグマン+ガブリエラ・ケラーマン共著)は、日本の働き方・組織文化・社会課題に沿った文脈で読みやすく翻訳されています。特に解説版では,各専門性に関わる解説がついている。日本語版は有益な補完的視点を提供します。
  5. PRISMPERMAの違いは何ですか?
  6. PERMAはセリグマンが提唱したウェルビーイングの5要素(Positive Emotion, Engagement, Relationships, Meaning, Accomplishment)です。PRISMTomorrowmindで提示されたフレームワークで、AI時代・急速な変化・不確実性に特化してアップデートされた実装モデルです。政策設計での実用性を重視した構造が特徴です。
  7. コーチや人事担当者がすぐに実践できることはありますか?
  8. はい。本書ではPRISMの各要素を高めるための具体的介入策が示されています。たとえばProspection(未来展望)向上のための「最良の未来の自己」エクササイズ、Resilience強化のための認知再構成アプローチ、Social Connection促進のためのチームコミュニケーション設計などが実践的に紹介されています。
  9. 組織のウェルビーイング測定にPRISMは使えますか?
  10. PRISMは測定フレームとしても活用できます。各要素をサーベイ項目化することで、組織のウェルビーイングの強みと弱みを可視化し、人的資本開示の質向上にも寄与します。エンゲージメントサーベイとウェルビーイングサーベイを統合する設計基盤として機能します。

 

Q&A:よくある質問

Q.一般社団法人コーチング心理学協会では,Tomorrowmindに関わる内容について学べますか?

はい、コーチング心理学協会では,コーチングは,未来志向に関わるため,関連するいくつか講座で紹介しています。またナイトセミナーなども開催をしております。イラスト化したりして,各講座も工夫して,楽しめるような内容にしております。ぜひ,体験してみていただければ幸甚です。

coachingpphttps://www.coaching-psych.com/event/

Q. 一般社団法人コーチング心理学協会では,Tomorrowmind(これからの生き方)に対応できる団体研修・法人研修などを実施してますか?(新入社員・中途社員・管理職研修など)

はい,実施しております。もしご希望でしたら,お問い合わせまでご連絡をいただければ幸甚です。
各組織や会社によって異なりますので,内容に合わせて対応いたしますの。協働で研修なども可能です。
お問い合わせまでご連絡をいただければ幸甚です。

https://www.coaching-psych.com/contact/

 

 

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投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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