コーチングスクールとコーチング心理学協会の違い
以前にサイコロジカルコーチングの講座を開いたときに、受講者の方から「コーチング心理学協会様では、『コーチング』をどのように定義していますか?」と質問をされたことがありました。
その質問者様は、大手コーチングファームのコーチでした。また、そのコーチングファームでは、コーチングサービスのみならずコーチングスクールの運営も事業として行っております。コーチングの教育機関であれば、当然ながらコーチングの定義をお持ちなのは当然かと思います。しかし、我々、コーチング心理学協会には、『コーチングとは●●である』といった定義がございません。
そこにコーチングスクールと当協会の明確な違いがあります。
コンテンツ一覧
コーチング心理学協会のコーチングの定義
対して、我々はコーチング心理学を研究している機関であり、コーチングを育成する機関ではありません。そのため、「コーチング」の定義について明確に定義を定めているわけではないのです。なぜコーチング心理学を研究しているからコーチングの定義を定めないのか?と疑問を思う方もいるでしょう。
まずは、コーチングスクールがどんなものかをお尻下さい。
1.コーチングスクールとは?
コーチングスクールとは、プロ・コーチを育成する機関です。コーチングの場合、教師や教員のように国家資格のようなものがなければ、書籍と実践で勉強をするしかありません。しかし、独学では限界があるため、民間のコーチング・スクールなどに通い認定資格を取り、コーチとして独立・起業を行うのが今の流れでしょう。
そんな「コーチとして起業をしたい」という方のニーズにこたえて、コーチングのノウハウや手法を教えて、認定資格を与えて、独立・起業を支援しているのがコーチング・スクールです。料金は高めに思えるかもしれませんが、コーチング・スクールの多くは民間企業なので、営利を目的にしているからです。
コーチングの定義はコーチングスクールによってだいぶ異なる
各コーチング団体によって、コーチングの定義が様々だということです。
例えば、コーチングを「格闘技」として考えてみてください。格闘技を学びたいといっても、どのようなジャンルの格闘技を学ぶかによってだいぶ異なります。空手なのか、テコンドーなのか。そして、そのジャンルも細分化されています。
例えば、空手にも、●●流、●●流といった流派があるようにです。
コーチングも同じです。各団体の「流派」がコーチングの定義になっています。
コーチングは、様々なところで応用が効き、万能なツールですが、一方で定義や意味を確立させにくい側面があります。そのため、各団体が独自で「コーチング」を定義しやすいのです。
もちろん、批判しているわけではありません。
逆に、各コーチング・スクールは、コーチングの定義を持つべきです。もしも、「コーチングを行います」と掲げても、そのコーチングがどんなものかを説明できなければ、お客様は混乱してしまいます。
様々な「コーチング」を研究する機関
では、なぜコーチング心理学協会が、コーチングの定義を持たないのかというと、我々は様々なジャンルの「コーチング」を客観的な立場から研究をしている立場だからです。これは立場の違いです。
クライエントの話を「聴く」に徹したカウンセリング寄りのコーチングから積極的にクライエントに提案をするコンサルティング型のコーチングまであります。他にもティーチングを応用したコーチングもあります。その事業が得意とするセミナーや講座を行い、その後の個別フォローの中でコーチングを取り入れるケースなども最近は出てきましたね。
国内外に問わずコーチングの共通性や違い、効果、超短所などを研究と実践をすることを事業の主目的としているからです。そのため、「コーチング」そのものの定義を固めることもできなければ、ひとつのコーチング団体に傾倒することもできない立場なのです。
2.コーチング心理学とは何か?
コーチングの定義が多様化しやすい一方で、コーチング心理学の定義は明確です。
その理由は、コーチング心理学の立ち位置が、社会心理学、学習心理学、人間発達心理学、組織心理学などの心理学の諸分野に実存主義と現象学的哲学をあげた学術体系だからです。そのため、コーチングスクールやプロ・コーチが定めるのではなく、学会が定めております。
以下、コーチング心理学の定義です。
コーチング心理学は既存の成人学習理論と子供の学習理論、および心理学研究法に基づくコーチングモデルを援用し、個人生活や職場での幸福(well-being)とパフォーマンスを高めるものである
Grant&Palmer 2002年の発表コーチング心理学はポジティブ心理学の応用分野であり、確立された心理学研究法に基づき、それを発展させたものである。コーチング心理学は、行動科学を体系的に応用することで、臨床的に重大な心理的健康の問題をもたず、特別な苦悩の水準にない個人の生活経験、集団、組織のパフォーマンスを高め、よい状態に保つことに資する
Australian Psychology Society コーチング心理学入門 2007引用:コーチング心理学概論 単行本西垣 悦代、堀 正、 原口 佳典 – 2015/9/20
3.サイコロジストの育成機関
もしもコーチング・スクールがプロ・コーチ育成するための事業であるならば、コーチング心理学協会は、「サイコロジスト」を育成だといっても過言ではないでしょう。
サイコロジストとは、心理学の理論を理解して実践と実証研究ができる専門家を指します。
実際に、欧米では、このサイコロジストとプロ・コーチの専門資格を持ち活躍しているコーチもおります。もちろん、サイコロジストの資格とコーチの資格は併用ができますが、サイコロジストは、「コーチ」という職種に限らず、教育、医療、福祉、介護、組織などで他者支援が必要な場面で活用することができます。
そのため、クライエントにはコーチとしてではなく、心理学の専門家として接することになるでしょう。
投稿者プロフィール

最新の投稿
新着情報2019年1月14日コーチングとカウンセリング・心理療法の違い
資格情報2019年1月14日コーチングスクールとコーチング心理学協会の違い
新着情報2019年1月12日現役のプロフェッショナル・コーチやコーチング専門にされたい方への講座
新着情報2019年1月10日学生・就職・転職者向けのコーチング講座

