ポジティブ心理学を活用! 解決志向療法と解決志向コーチングとは 1on1

ポジティブ心理学を活用した

解決志向療法と解決志向コーチングとは

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〜 あなたの強みと可能性を引き出す、新しい心理的アプローチ 〜

はじめに:「問題」ではなく「解決」に目を向けるとは?

 

「どうしてうまくいかないんだろう」「なんでこんなに不安なんだろう」、こんなふうに、自分の問題や弱さにばかり目を向けてしまったことはありませんか?

多くの従来型の心理療法は、過去の傷やトラウマ、問題の原因を深く掘り下げることに焦点を当ててきました。それはそれで大切なアプローチですが、近年、全く異なる視点の心理支援が世界中で注目を集めています。

それが「解決志向療法(Solution-Focused Brief TherapySFBT)」と、それをコーチング領域に応用した「解決志向コーチング(Solution-Focused Coaching)」です。

この記事では、ポジティブ心理学との深いつながりも含めながら、解決志向アプローチの考え方・具体的な手法・日常生活への活かし方をわかりやすくご紹介します。

 

1. ポジティブ心理学とは? 〜 「強み」と「幸福」の科学

 

ポジティブ心理学の誕生

ポジティブ心理学は、1998年にアメリカの心理学者マーティン・セリグマン(Martin Seligman)が提唱した心理学の一分野です。それまでの心理学が「病気や障害を治す」ことに重点を置いていたのに対し、セリグマンは「人が健康的に幸福に生きるためにはどうすればよいか」を科学的に研究することを提案しました。

ポジティブ心理学が着目する主なテーマは以下の通りです。

  • 強み(Strengths):個人が持つ才能や美徳
  • 幸福感(Well-being):主観的な満足感と生きがい
  • レジリエンス(Resilience):逆境からの回復力
  • フロー(Flow):完全に没頭し最高のパフォーマンスを発揮する状態
  • 意味と目的(Meaning & Purpose):人生に意味を見出す力

 

「弱みの修正」から「強みの活用」へ

ポジティブ心理学の最も革新的な点は、「弱みを直す」ことより「強みを伸ばす」ことに注目したことです。たとえば、ギャラップ社の研究では、自分の強みを活かして働いている人は、そうでない人と比べて仕事への満足度や生産性が格段に高いことが示されています。

ポジティブ心理学のキーメッセージ:「何が欠けているか」ではなく「何がうまくいっているか」に注目することが、より豊かな人生につながる。

 

2. 解決志向療法(SFBT)とは?

 

SFBTの誕生と背景

解決志向短期療法(Solution-Focused Brief TherapySFBT)は、1980年代にスティーブ・ド・シェイザー(Steve de Shazer)とインスー・キム・バーグ(Insoo Kim Berg)がアメリカのミルウォーキーで開発した心理療法です。

従来の精神分析が「過去の原因探し」に多くの時間を費やすのに対し、SFBTは「これからどうなりたいか」「すでにうまくいっていることは何か」に焦点を当て、短期間での変化を目指します。

 

SFBTの三大原則

もし壊れていないなら、直すな(Don’t fix what ain’t broke

うまくいっていることは、変えようとする必要はありません。むしろ、うまくいっている部分を見つけ、そこを強化することが大切です。

 

うまくいっていることを見つけたら、それをもっとやれ(If it works, do more of it

問題を解決するとき、まったく新しい方法を探すよりも、過去に効果があったことを再活用するほうが効果的なことが多いです。

 

うまくいかないなら、違うことをやれ(If it doesn’t work, do something different

同じ方法を繰り返しても結果が変わらないなら、アプローチを変えることが必要です。

 

SFBTの主要な技法

SFBTにはいくつかの特徴的な技法があります。

 

【ミラクルクエスチョン(奇跡の質問)】 「もし明日、奇跡が起きてあなたの問題がすべて解決していたとしたら、あなたはどんな違いに気づくでしょうか?」というこの質問は、問題のない理想の未来を具体的にイメージさせ、解決への道筋を自ら描く力を引き出します。

 

【スケーリングクエスチョン(尺度質問)】 「今の状態を010のスケールで表すとしたら、何点ですか?では、1点上がったら何が変わりますか?」という質問で、現状を客観的に把握し、小さな変化に気づくことを促します。

 

【エクセプション(例外)の探索】 「問題が起きていないときは、どんなときでしたか?」。問題が常に存在するわけではありません。問題が起きなかった「例外」の状況を探ることで、解決の糸口が見つかります。

 

【コーピングクエスチョン(対処質問)】 「こんな大変な状況でも、あなたはなんとかやってきましたよね。どうやって乗り越えてきたのですか?」。クライアント自身のレジリエンスと対処能力を再認識させます。

 

3. 解決志向コーチングとは?

 

コーチングとSFBTの融合

解決志向コーチング(Solution-Focused Coaching)は、SFBTのアプローチとコーチングの実践を組み合わせたものです。主に「病気の治療」という文脈ではなく、「目標達成」「パフォーマンス向上」「自己成長」を求める健康な人々を対象としています。

ビジネスリーダー、アスリート、学生、親など、さまざまな立場の人が、解決志向コーチングを通じて自分の目標に向かって前進しています。

 

解決志向コーチングの特徴

  • 過去ではなく未来志向:「なぜできなかったか」より「どうすればできるか」に集中する
  • クライアントが答えを持っている:コーチは専門家として答えを与えるのではなく、クライアントが自分の中にある答えを見つけるのを助ける
  • 強みと資源に注目:クライアントがすでに持っているスキル・経験・人間関係を資源として活用する
  • 小さな変化を重視:大きな変革より「最初の一歩」を見つけることを重視する
  • 短期間で効果が出やすい:問題の掘り下げに時間をかけないため、比較的早期に変化が現れやすい

 

解決志向コーチングの活用シーン

 

ビジネス・職場 目標設定、チームマネジメント、リーダーシップ開発、職場のコンフリクト解決
教育現場 生徒の自己効力感向上、不登校支援、学習意欲の引き出し
スポーツ パフォーマンス向上、スランプ脱出、メンタル強化
育児・家庭 親子関係の改善、子どもの自立支援、夫婦間のコミュニケーション
自己成長 自信の回復、人生の方向性探し、習慣づくり

 

4. ポジティブ心理学と解決志向アプローチの共鳴点

 

ポジティブ心理学と解決志向アプローチは、根底にある哲学が非常に近いと言えます。両者の共通点を整理してみましょう。

 

①「強み」への着目

ポジティブ心理学が「強みの活用」を中心に置くように、解決志向アプローチも「クライアントがすでに持っているリソース(資源・能力)」を前提に話を進めます。問題を語るより、「あなたはどんな力を持っていますか?」を問うのです。

 

②「成長マインドセット」の促進

ポジティブ心理学者キャロル・ドゥエックが提唱する「成長マインドセット(Growth Mindset)」は、「能力は努力によって伸ばせる」という信念です。解決志向コーチングも、クライアントが「変われる」という希望を持てるよう働きかけます。

 

③「希望」と「エンゲージメント」

セリグマンのWELL-BEINGモデル(PERMAモデル)の中でも、特に「Positive Emotions(ポジティブな感情)」「Engagement(没頭・熱中)」「Meaning(意味・目的)」「Accomplishment(達成感)」は、解決志向アプローチが自然に引き出そうとする要素と重なります。

まとめると:ポジティブ心理学が「なぜ人は幸福になれるのか」を科学的に探求し、解決志向アプローチはその知見を実際の支援の「方法論」として活かしている、と考えることができます。

 

5. 解決志向アプローチの実践:日常生活で使えるテクニック

 

解決志向アプローチは、専門家によるセッションだけでなく、日常の思考習慣や人との会話にも活かすことができます。

 

【実践1】「奇跡の質問」を自分に問いかける

「もし明日、すべての問題が解決していたら、自分はどんな1日を過ごしているだろうか?」。この質問を毎朝ジャーナルに書いてみましょう。理想の未来を具体的にイメージすることで、今日すべき小さな行動が見えてきます。

 

【実践2】「例外」を探す

「最近うまくいかないな」と感じたとき、「でも、うまくいっていた時はあったな。あのとき、何が違ったんだろう?」と振り返ってみてください。例外の状況を分析することで、解決のヒントが見つかります。

 

【実践3】スケーリングで現状を客観視する

今の自分の状態を「0点(最悪)〜10点(最高)」で採点してみましょう。そして「今の状態が3点なら、4点になるために何が変わる必要があるか?」と問いかけます。大きな目標でなく、「1点の変化」に集中することで、行動が起こしやすくなります。

 

【実践4】「コンプリメント(承認・称賛)」を意識する

解決志向アプローチでは、セッションの中でクライアントを積極的に承認します。日常でも、家族や同僚、友人の「できていること」「頑張っていること」をきちんと言葉にして伝えることが、相手の自己効力感を高めます。

 

【実践5】問題ではなく「欲しい未来」を語る習慣

会話や思考の中で、「問題」ではなく「どうなりたいか」を中心に置きましょう。「もう疲れた」ではなく「ゆっくり休んで元気になりたい」。「うまくいかない」ではなく「こうすればうまくいくかもしれない」。この言葉の転換だけで、脳の向かう方向が変わります。

 

6. 解決志向療法・コーチングは誰に向いている?

 

解決志向アプローチは幅広い方に有効ですが、特に以下のような方に向いています。

  • 今の状況を変えたいが、何から始めればよいかわからない方
  • 過去のことを何度も掘り下げることに疲れた方
  • 短期間で具体的な変化を実感したい方
  • 自分の強みや可能性を再発見したい方
  • 職場や家庭でのコミュニケーションを改善したい方
  • コーチやカウンセラーとして新しいアプローチを身につけたい方

 

一方で、重篤なうつ病や精神疾患を抱えている場合は、まず精神科・心療内科での医学的なサポートを受けることが優先されます。解決志向アプローチはそれと並行して、あるいは回復後に活用するのが適切です。

 

7. 解決志向アプローチの限界と注意点

 

解決志向アプローチは非常に効果的なツールですが、万能ではありません。注意点も押さえておきましょう。

  • 深刻なトラウマや複雑な精神疾患には、より専門的な治療が必要な場合があります。
  • 「解決だけに焦点を当てすぎる」と、クライアントが本当に辛い気持ちや過去の痛みを十分に表現できないことがあります。共感的な傾聴とのバランスが大切です。
  • 専門家によるSFBTコーチングは、資格や訓練を持ったプロが行うことが望まれます。

 

まとめ:「解決」に目を向けることが、人生を変える力になる

 

ポジティブ心理学・解決志向療法・解決志向コーチング。これらは共通して、「あなたの中にすでにある力」を信じることから始まります。

問題を抱えているとき、私たちはつい「何がダメなのか」「なぜうまくいかないのか」に意識を集中させてしまいます。しかし、解決志向アプローチは問いかけます。「うまくいっていた時のことを思い出してください」「どんな自分になりたいですか?」「そのために今日、何ができますか?」

この小さな問いの転換が、思考を変え、感情を変え、行動を変え、やがて人生そのものを変えていくのです。

あなたはすでに、解決の力を持っている。解決志向アプローチは、その力を思い出すお手伝いをするものです。

 

この記事が、あなたやあなたの大切な人の人生を少しでもよい方向に変えるヒントになれば幸いです。

 

参考・関連キーワード

 

  • 解決志向短期療法(SFBT
  • ポジティブ心理学(Positive Psychology
  • マーティン・セリグマン
  • スティーブ・ド・シェイザー
  • インスー・キム・バーグ
  • ミラクルクエスチョン(奇跡の質問)
  • スケーリングクエスチョン(尺度質問)
  • PERMAモデル
  • 成長マインドセット(Growth Mindset
  • レジリエンス(回復力)
  • 強みを活かす心理学
  • コーチング資格・SFBT資格

 

よくある質問(FAQ

Q1. 解決志向療法とCBT(認知行動療法)はどう違うの?

CBT(認知行動療法)は、ネガティブな思考パターンを特定して修正することを重視します。一方、SFBTは思考パターンの分析よりも、「解決が実現した未来」と「うまくいっている例外」に注目します。どちらも科学的根拠に基づいた有効なアプローチであり、目的や状況に応じて使い分けることが理想的です。

  

Q2.一般社団法人コーチング心理学協会では,「解決志向アプローチ」や「エンゲージメント」の対応について学べますか?

はい、コーチング心理学は,解決志向コーチング講座などで,学ぶことが出来ます。科学的・現代的な視点で解決志向とエンゲージメントについて実践・研究を行っています。各講座も工夫して,楽しめるようなツールやアプリなどを活用しています。ぜひ,体験してみていただければ幸甚です。

解決志向療法と解決志向コーチング講座

 

Q3. 一般社団法人コーチング心理学協会では,「解決志向アプローチ」,「エンゲージメント」に関する団体研修・法人研修などを実施してますか?(新入社員・中途社員・管理職研修など)

はい,実施しております。もしご希望でしたら,お問い合わせまでご連絡をいただければ幸甚です。
各組織や会社によって異なりますので,内容に合わせて対応いたしますの。協働で研修なども可能です。
お問い合わせまでご連絡をいただければ幸甚です。

https://www.coaching-psych.com/contact/

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投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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