洞察力(インサイト)を高めるコーチング心理学入門 認知行動コーチング 認定資格取得の参考に


コーチング心理学の父 シドニー大学のアンソニー・グラント教授は、コーチング心理学の研究を絡め、INSIGHT(洞察)に関しても研究を行っていました。
洞察力は、コーチングや認知行動アプローチに深く関わるため、ここで探究しながら、紹介いたします。
そのため、気づき得られた段階で内容を更新いたします。
洞察力は、アイデア、問題解決、発見力に関わり、様々なメリットがあります。
コーチング、1on1では、気づきを促すことが重要になっています。
実践には全体的に関わり、具体的には、とくに認知行動療法・認知行動コーチング講座がおすすめです。
コンテンツ一覧
心理学における洞察(Insight)とは
「自己の思考・感情・行動に対する新しい感情的な理解」
洞察は単なる知的理解ではなく、体験的で感情を伴う発見プロセス。自己認識のただの分析とは異なり、より深いレベルでの「腑に落ちる」理解を意味します。
洞察の重要性:
洞察の重要性に関わる「意味のある行動変容」「自己成長の基盤」「自己制御と目標達成の促進要因」について、概要とコーチングで活用できる質問を表にまとめました。
| テーマ | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| 意味のある行動変容のカギ | 行動変容は単なる習慣の変更ではなく、深い動機づけと価値観に根ざすことで持続可能となる。自己認識と環境の調整が重要な要素。 | – 最近、どんな行動変化を意識していますか? – その変化を継続するために、どんな価値観や動機が支えていますか? |
| 自己成長の基盤 | 自己成長は、意識的な学習・経験・振り返りを通じて形成される。過去の経験から学び、自己の可能性を拡張するプロセス。 | – あなたにとって「成長している」と感じる瞬間はどんな時ですか? – 最近の経験の中で、新しい学びや気づきがあったものは何ですか? |
| 自己制御と目標達成の促進要因 | 自己制御は感情・衝動を適切に管理し、目標達成のための行動を維持する力。動機の明確化と環境の工夫が成功のカギ。 | – 目標を達成するために、どんな方法で自分をコントロールしていますか? – あなたの目標達成において、最も効果的だった習慣や工夫は何ですか? |
これらの問いを活用すると、行動変容の理由やプロセスをより深く理解し、持続可能な成長へとつながる視点が得られます。

Grant et al. (2002)による定義:
「インサイト(洞察)とは、自分の思考、感情、行動について明確に理解すること」
つまり、インサイト(洞察)とは「自分の思考、感情、行動の理由を明確に理解できている状態」を指します。
⏰️「洞察(Insight)」と「自己内省(Self-Reflection)」の違いとは何か?
シドニー大学のグラント教授は、洞察と自己内省を比較して分析を行っています。区別がつきづらいため、整理しました。以下の表は、「洞察(Insight)」と「自己内省(Self-Reflection)」の主な違いを整理したものです。

| 特徴 | 洞察(Insight) | 自己内省(Self-Reflection) |
|---|---|---|
| 定義 | 突然の気づきや深い理解、外部情報や状況から本質を見抜く瞬間的な認識。 | 自身の考え方、行動、感情を振り返り、理解や成長を促す意識的なプロセス。 |
| 時間軸 | 瞬間的または短期的に生じることが多い。 | 日々や長期間にわたり、定期的に実践されるプロセス。 |
| プロセス | 自動的な直感や、予期せぬ『ひらめき』に起因する、瞬間的な認識。 | 意識的に自己を振り返り、自己評価や反省を通じて内省的に行う考察。 |
| 焦点 | 状況やデータの背後にあるパターンや本質的な意味に気づくこと。 | 自分自身の価値観、信念、感情や行動について理解と改善を目指す。 |
| 目的 | 新たな視点や解決策を得るために、現状の背後にある要因や要素を認識する。 | 自己改善、個人の成長、感情の調整、次の行動をより良くするための学びを深める。 |
| 応用例 | 職場での問題解決、新たなアイディアの発見、戦略的な判断のきっかけとなる。 | 日常の振り返り、ストレスのマネジメント、長期的な目標設定や自己成長のための戦略立案。 |
このように、洞察は状況や情報を通して直感的に得られる気づきを重視し、自己内省は自分自身を客観的に振り返る過程に重きをおいているといえます。これらは、個人の成長や問題解決において相互補完的な役割を果たします。

☀️「洞察(Insight)」と「自己内省(Self-Reflection)」を高めるメリットは?
概要と具体例をまとめました。
| テーマ | メリット(概要) | ビジネスでの具体例 | 医療現場での具体例 |
|---|---|---|---|
| 洞察(Insight)を高める | 深い気づきを得ることで、より的確な意思決定が可能になり、問題解決能力や創造性が向上する | 競合分析を通じて業界の未開拓市場を発見し、新サービスを展開することで市場シェアを拡大した | 患者データを分析した結果、特定の症状の早期兆候を特定できることに気づき、診断・治療プロセスの改善につながった。 |
| 自己内省(Self-Reflection)を高める | 自分自身を客観的に見つめ直すことで、行動や考え方を改善し、より良い成果を生み出す | プレゼンの反省を通じて、自分の説明が抽象的すぎると気づき、次回からより具体的な事例を交えて話すようにした | 手術後の振り返りを行い、チームでのコミュニケーション不足が課題と判明したため、カンファレンスを増やし、連携を強化することにした。 |
*洞察を高めることで、より広い視野を持ち、戦略的な判断ができるようになりますし、自己内省を深めることで、持続的な成長につながるのが大きなメリットがあります。
☀️洞察力のカウンセリングとコーチングに対するメリットとは?
「洞察(Insight)」と「自己内省(Self-Reflection)」を高めるメリットをまとめました。
| テーマ | アプローチ | メリット(概要) | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 洞察(Insight)を高める | カウンセリング | 深層心理や感情を理解することで、自己認識を向上させ、より適切な行動や判断を導く | クライエントが過去のトラウマと向き合い、自分の行動パターンを理解したことで、人間関係の改善につながった。 |
| コーチング | 新しい視点を得ることで、問題解決能力を強化し、創造的な発想を促す | ビジネスリーダーが市場の変化に気づき、事業戦略を革新することで競争力を向上させた。 | |
| 自己内省(Self-Reflection)を高める | カウンセリング | 自己の感情や思考を整理することで、心理的な安定を得られ、より良い選択ができる | クライアントがストレスの原因を振り返り、日々の生活習慣を改善したことでメンタルヘルスが向上した。 |
| コーチング | 自己評価を深めることで、自己成長を促し、行動の最適化につながる | 若手社員が自身の働き方を振り返り、業務の優先順位を見直したことで生産性が向上した。 |
カウンセリングでは、過去の経験や感情に焦点を当て、自己理解を深めることがポイント。一方、コーチングでは、未来志向で行動を最適化することが重要。それぞれのアプローチを活用することで、より効果的な成長につなげます。
もしこの言葉を1on1やコーチングで活用したい場合、こんな質問が役立ちます。
コーチングでの質問例
- 「最近、自分の行動を振り返る時間をどれくらい取れていますか?」
- 「自分の感情の背景にある思考や価値観に気づいた経験はありますか?」
- 「自己理解が深まったと感じた瞬間は、どんなときでしたか?」
- 「その感情は、あなたにどんなメッセージを伝えてくれていると思いますか?」

☀️洞察力におけるポジティブ心理学とウェルビーイングへのメリットとは?
シドニー大学のグラント教授は、ポジティブ心理学の活用を重視していました。そのため、コーチング心理学はポジティブ心理学の大きな影響があります。以下の表に、セリグマンのPERMA理論の5つの要素に当てはめて、「洞察(Insight)」と「自己内省(Self-Reflection)」の概要とメリットを整理しました。
| PERMAの要素 | 洞察(Insight)との関係 | 自己内省(Self-Reflection)との関係 |
|---|---|---|
| P(Positive Emotion)ポジティブな感情 | 深い気づきを得ることで、新たな視点を持ち、ポジティブな思考が生まれる | 自分の感情を振り返ることで、ポジティブな体験に意識を向け、幸福感を高める |
| E(Engagement)エンゲージメント | 自分の強みを理解し、それを活かせる環境を見つけることで、没頭できる活動が増える | 自分が最も集中できる状況や要因を振り返ることで、より充実した仕事や活動に取り組める |
| R(Relationships)良好な人間関係 | 洞察を通じて相手の視点を理解し、共感力を高めることで、良好な関係を築く | 自分のコミュニケーションスタイルを振り返り、より良い関係を構築するための改善点を見つける |
| M(Meaning)意味・目的意識 | 自分の人生の意味や価値観を明確にすることで、やりがいを感じる活動を選択できる | 自分の経験を振り返り、人生の目的や意義を再確認することで、より納得感のある選択ができる |
| A(Achievement)達成・成功体験 | 現状について洞察することで、今ここでの目標達成に何が大切なのか理解できる。 | 失敗や成功を客観的に振り返り、より効果的な行動を導き出すことで、継続的な成長につながる |
洞察と自己内省をPERMA理論に基づいて活用することで、よりポジティブな心理状態を維持し、幸福度や充実度の高い人生を築くことができます。
📏洞察の心理尺度:Self-Reflection and Insight Scale(SRIS)
グラント教授は、Self-Reflection and Insight Scale(SRIS)という洞察に関わる尺度を開発しており、自己内省(Self-Reflection)と洞察(Insight)という2つの側面から、個人の自己認識の傾向を測定できます。
2002年にAnthony M. Grantらによって開発され、コーチング心理学や自己成長の研究で広く活用されています。

🧠 洞察の尺度 SRISの構成
SRISは以下の2つの下位尺度から構成されます:
| 下位尺度 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| Self-Reflection(自己内省) | 自分の思考・感情・行動について意図的に振り返る傾向 | 「私は自分の行動の理由をよく考える」 |
| Insight(洞察) | 自分自身についての明確な理解を持つ傾向 | 「私は自分がなぜそのように感じるのかを理解している」 |
「洞察(Insight)」と「自己内省(Self-Reflection)」について、概要とコーチングで活用できる質問を一覧にまとめました。
以下の表に「洞察(Insight)」と「自己内省(Self-Reflection)」の概要と具体例をまとめました。
| テーマ | 概要 | 具体例 |
|---|---|---|
| 洞察(Insight) | 深い理解や気づきを得ること。問題や状況の本質を捉え、革新や改善のアイデアを生み出す能力 | ある企業が顧客の購買データを分析した結果、特定の時間帯に購入が集中していることに気づき、店舗の運営時間を調整して売上を向上させた。 |
| 自己内省(Self-Reflection) | 自分の思考や行動を振り返り、自己理解を深めること。過去の経験から学び、より良い判断や行動を目指す | プロジェクトの失敗を振り返り、自分のコミュニケーションスタイルが原因の一つだったと気づき、改善策としてチームメンバーへのフィードバックを積極的に求めるようになった。 |
「洞察(Insight)」と「自己内省(Self-Reflection)」より詳細と質問では
| 概念 | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| 自己内省(Self-Reflection) | 自分の思考・感情・行動について意識的に振り返るプロセス。自己観察力を高め、行動の背景にある信念や価値観に気づくきっかけとなる。
自己内省は「振り返り」「問いかけるプロセス」 |
– 最近の行動や選択について、あとから振り返ってみたことはありますか? – そのとき、あなたはどんな感情や思考のパターンに気づきましたか? – 自己内省を通じて、これからどう行動したいと思いましたか? |
| 洞察(Insight) | 自己内省を通じて得られる「自分自身に関する明確な理解」。感情や行動の源に気づくことで、自己成長や行動変容が促される。
洞察は、現状からの「気づき」という結果 |
– 自分について「はっ」と気づいた体験はありますか? – その洞察が、あなたの価値観や目標とどう結びついていますか? – その気づきから、どんな行動をとっていきたいと思いますか? |
この2つは組み合わせて活用することで、コーチングの対話がより深く、変容に導くものになります。
📊 特徴と活用
- 目的:自己認識の深さや質を測定し、コーチングやカウンセリング、リーダーシップ開発などに活用。
- 形式:Likert尺度(たとえば1=まったく当てはまらない〜6=非常によく当てはまる)で回答。
- 短縮版:近年では12項目の短縮版も開発され、効率的な測定が可能になっています。
💬 コーチングでの活用例
- 「最近、自分の行動を振り返る時間をどれくらい取れていますか?」
- 「自分の感情の背景にある思考や価値観に気づいた経験はありますか?」
- 「自己理解が深まったと感じた瞬間は、どんなときでしたか?」
SRISは、単なる「内省好き」かどうかではなく、内省が洞察につながっているかどうかを見極めるためのツールでもあります。
洞察の特徴:
- 単なる知的理解(頭での理解)ではない
- 体験を通じて得られる「新しい、骨身に響くような」自己理解
- 感情的に共鳴する発見を伴う
- 自己制御と目標達成の基盤となる
洞察スコア高値の人の特徴(SRIS-IN尺度):
- うつ・不安・ストレス症状が少ない
- アレキシサイミア(感情認識困難)の程度が低い
- 認知的柔軟性と自己制御能力が高い
洞察が与える心理的メカニズム:
洞察が与える心理メカニズムとして、「内面的変化」「自己受容の促進」「行動変化の動機付け」に関する概要と、コーチングで活用できる質問を表にまとめました。
| テーマ | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| 認知的柔軟性の増加 | 既存の思考パターンや視点にとらわれず、多様な考え方を受け入れる能力を高めることで、新たな可能性や選択肢を見つけやすくなる。 | – 最近、自分の考えが柔軟に変化したと感じた瞬間はありますか? – 新しい視点を取り入れることで、どんな気づきや変化がありましたか? |
| 自己物語の再構築 | 自分の過去や経験を異なる視点で振り返り、より前向きで成長につながる物語として再解釈することで、自己認識を深める。 | – あなたの人生を物語として語るとしたら、どんなテーマがありますか? – これまでの経験を“別の視点”で振り返ると、どんな意味が見えてきますか? |
| 意味と自己効力感の向上 | 自分の行動や選択の意味を見出し、自分の力で状況を変えられるという感覚を高めることで、積極的な行動につながる。 | – 最近「これは意味がある」と感じた出来事は何でしたか? – 自分の行動が結果につながったと実感した瞬間は、どんな時でしたか? |
| 自己批判・羞恥心の減少 | 自己否定的な思考や過剰な羞恥心を手放し、自分自身を受け入れることで、より穏やかで前向きな心の状態を保つ。 | – あなたが最近、自分を許したり優しく接することができた瞬間はありましたか? – 自己批判が湧いたとき、その声をどう受け止めたら建設的になると思いますか? |
| 自己コンパッションの向上 | 自分に対する思いやりの気持ちを持ち、困難な状況でも自分を責めず、優しさをもって対処する姿勢を育てる。 | – 友人が同じ状況にいたら、どんな言葉をかけますか?それを自分自身にも言えるとしたら? – 自分に対してもっと優しく接するために、どんな工夫ができそうですか? |
| 新しい行動パターンへの移行意欲 | これまでの習慣や思考の枠を超え、新たな行動を試すことで成長を促す。 | – これまで挑戦したことがない行動を試したいと思う場面はありますか? – その行動を実践するために、どんな環境や工夫が役立ちそうですか? |
| 価値観に基づく方向転換の促進 | 自分の大切にしている価値観を再確認し、それに沿った行動選択を行うことで、充実感と達成感を得る。 | – あなたにとって、最も重要な価値観は何ですか? – その価値観をより意識して行動するために、今できることは何ですか? |
このような問いを活用することで、より深い自己理解を促し、行動変容へとつなげることができます。
出典: Grant et al. (2002), Psychology Today (2024)
最近の洞察力の動向
2020年代以降、洞察の促進は心理療法・コーチング・教育領域で重視されています。
心理療法での応用
深い対話を通して、クライアントの洞察を促し、自己理解と行動変容を支援
コーチングでの活用
「問題解決型自己省察」を取り入れ、目標達成のための洞察を促進
教育分野での展開
メタ認知スキルとして洞察を位置づけ、学習プロセスの質を向上
洞察を高める実践法①
体験を伴う内省
以下に「気づきのメモ」「マインドフルネス瞑想」「第三者視点からの自己観察」という体験型の自己理解法について、概要とそれぞれに活用できるコーチングの質問をまとめました。
| 方法 | 概要 | 質問 |
|---|---|---|
| 気づきのメモ | 日常の中で気づいた思考や感情を、その場で簡潔に書き留めることで、パターンや価値観を可視化し、自己理解を深める手法。 | – 最近書き留めた「気づき」の中で、特に印象深いものは何ですか? – その気づきから、どんな価値観や行動の傾向が見えてきましたか? |
| マインドフルネス瞑想 | 呼吸や身体感覚に意識を向けることで「今、ここ」の状態を観察し、思考・感情への気づきを高める実践。 | – 瞑想中にどのような思考や感情が浮かんできましたか? – それらを評価せずに観察したとき、どんな新たな理解が生まれましたか? |
| 第三者視点からの自己観察 | 自分の思考や行動を、第三者の視点(俯瞰的な立場)から見ることで、自己への客観的な理解を促す方法。 | – 今の自分を「他者の目線」で見たとしたら、どのように映っていると思いますか? – 第三者の視点から、自分にどんなフィードバックを送りたいですか? |
これらの体験は、頭で考えるだけでは得られにくい深いインサイト(洞察)につながります。1on1でも「気づきの質」を引き出すための問いとして非常に有効。
新しい経験の受容
「新しい体験に関わる自己理解の深め方」について、以下に概要とコーチングで活用できる質問をまとめました。
| 体験的アプローチ | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| 異文化・多様性との接触 | 異なる文化的背景や価値観を持つ人々との交流を通じて、自分の思考の前提や偏見に気づき、多角的な視点を養う。 | – 異なる価値観や文化に触れたとき、どんな気づきがありましたか? – その体験が、自分の考え方や行動にどんな影響を与えましたか? |
| ロールチェンジ(役割の変更)体験 | 普段とは異なる役割(たとえばリーダーシップ・フォロワー・サポーターなど)を体験することで、自分の強みや盲点に気づく。 | – 通常とは異なる役割を担った経験がありますか?そのとき、どんな新たな自分を発見しましたか? – その役割を通じて得た学びは、今の自分にどう影響していますか? |
| 身体性のある活動(自然体験・アート・スポーツなど) | 言語を超えた身体的な体験を通して、直感や感性への気づきを促し、内面とのつながりを深める。 | – 最近、身体を使った活動で印象的だった体験はありますか? – その活動中に感じたことや発見したことは、どんな意味を持ちましたか? |
フィードバックを柔軟に受け止める
他者からの視点を防衛的にならず受け入れ、新たな自己理解の機会として活用する
こちらに「他者からの視点を受け入れ、自己理解を深める」ためのアプローチと、コーチングで活用できる質問を含めた一覧表をまとめました。
| 体験的アプローチ | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| 他者の視点を自己理解に活かす | 他者からの意見や評価を防衛的にならずに受け入れることで、自分では気づきにくい思考・行動パターンや印象を理解する機会になる。 | – 最近受け取ったフィードバックで印象に残ったものは何ですか? – そのフィードバックを素直に受け入れることで、新たに気づいたことはありますか? – あなたは他者の視点をどう活かしていますか? |
| 多様なフィードバックの受け方 | 一方向的な評価だけでなく、ピアレビュー・360度評価・フィードフォワード・観察者からのコメントなど、さまざまな形式で意見を取り入れることで、より立体的な自己理解を得る。 | – 日常でどのような方法でフィードバックを受け取っていますか? – フィードフォワード(未来志向の助言)を受けた経験はありますか?それはどんな影響を与えましたか? – 自分を客観視するために、どのような人の意見を特に大切にしていますか? |
このような視点は、自己成長における「鏡」のような役割を果たします。意図的に受け取る・解釈する・活かすというプロセスを伴うことで、内省だけでは得られない貴重な学びにつながります。
「受け取り方のクセ」と「フィードバック疲れ」
コーチングで活用できる質問をまとめました。どちらも、自己理解やレジリエンスを高めるために重要なテーマです。
| テーマ | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| 受け取り方のクセ | フィードバックを受け取る際の反応パターン(例:すぐに自己否定に走る、防衛的になる、感情的に反応するなど)。このクセに気づくことで、より建設的にフィードバックを活かせる。 | – フィードバックを受けたとき、あなたはどのように反応する傾向がありますか? – その反応は、どのような思考や感情に基づいていると思いますか? – あなた自身の受け取り方を変えるとしたら、どんな工夫ができそうですか? |
| フィードバック疲れ | 頻繁な評価やアドバイスにさらされ続けることで、自信喪失やモチベーション低下を招く状態。情報過多や自己否定が背景にあることも。 | – 最近「もう十分だ」と感じたようなフィードバック体験はありましたか? – どのようなときに、自分のキャパシティを超えていると感じますか? – フィードバックを自分のペースで受け取り、活かすにはどんな方法がありそうですか? |
どちらのテーマも、フィードバックを「敵」ではなく「素材」として活かすヒントになります。必要に応じてセルフケアの視点や、信頼できる相手との対話も絡めて深めると効果的です。
「フィードバックを受け入れるマインドセット」についての概要と、コーチングで活用できる質問を表にまとめました。
| テーマ | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| フィードバックを受け入れるマインドセット | フィードバックを「攻撃」や「評価」として受け取るのではなく、成長や学びの材料として捉える心の姿勢。自己信頼、オープンネス(開かれた心)、目的志向などが土台となる。 | – あなたにとって、受け入れやすいフィードバックとはどんなものですか? – フィードバックを受けた際に、自分を守る反応ではなく「学びの材料」として捉えられた経験はありますか? – フィードバックを受け取る際に、自分のどんな価値観や信念が作用していると感じますか? – 今後、より建設的にフィードバックを活かすために、どんなマインドセットを育てたいと思いますか? |
身体・感情への気づき
日常で「なぜ今こう感じるのか」を身体感覚や感情変化から探索し、深層の理由に気づく練習
以下に、マインドフルネス以外で「なぜ今こう感じるのか」という問いに対して、身体感覚や感情の変化を通じて深層の理由に気づくための方法を表形式でまとめました。
| 方法 | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| ボディスキャン・チェックイン(身体への意識向け) | 一日の節目や状況の変化ごとに、頭・首・胸・腹・手足などに注意を向け、「今どんな感覚があるか」を観察することで、自分の内的反応に気づく手法。 | – 今この瞬間、身体のどこに違和感や緊張を感じていますか? – その身体感覚は、どんな状況や感情と結びついていると感じますか? |
| 感情のラベリング | 「なんとなくモヤモヤする」といった漠然とした感情を言語化することで、感情と状況のつながりを明確にする。 | – 今感じている感情を3つの言葉で表すと何になりますか? – それらの感情は、どんな出来事や思考と関係していますか? |
| イメージを用いた内面との対話 | 感情や身体感覚にイメージや比喩(例:重い石・もやもやした雲)を与えることで、自分の中の声やメッセージにアクセスしやすくする。 | – 今の感情をイメージで表すと、どんな形や色、動きになりますか? – そのイメージは、どんな言葉をあなたに伝えていると感じますか? |
| エンプティチェア・ダイアローグ | 感情や身体感覚の声を「もう一人の自分」として扱い、椅子や空間を使って対話することで深層のニーズや未完了の感情を明らかにする。 | – 今の違和感を“もう一人の自分”が語っているとしたら、何と言っていると思いますか? – その感情を受け止めると、どんな願いや欲求が隠れていると感じますか? |
これらの手法は、日常のなかで繰り返し行うことで、感情と身体を「気づきのアンテナ」に育てていくことができます。
洞察力(内面的変化、自己受容促進、行動変化の動機づけ)を高める実践法②
以下に、「内面的変化」「自己受容の促進」「行動変化の動機付け」に関連する具体的なワークをまとめました。実際のコーチングや自己成長の実践に活用できます。
🧠 認知的柔軟性を高めるワーク
ワーク名:視点切り替えジャーナリング
- 方法: 過去の出来事を振り返り、異なる立場(自分・他者・俯瞰視点)から書き直す。
- 目的: 自分の固定的な思考を広げ、違う視点を得る。
- 質問例:
- 「この出来事を、他者の立場から見たらどう感じると思いますか?」
- 「もしこの状況をポジティブな視点で解釈するとしたら?」
📖 自己物語の再構築
ワーク名:ライフストーリー・リフレーミング
- 方法: 重要な人生の出来事を「成長の物語」として書き直す。
- 目的: 自分の経験に新たな意味を見出し、自己理解を深める。
- 質問例:
- 「この経験を乗り越えた自分にタイトルをつけるなら?」
- 「過去の自分から今の自分に送るメッセージは?」
🌱 自己受容を促進するワーク
ワーク名:セルフ・コンパッション・レター
- 方法: 過去の失敗や自分に厳しくしていた経験に対して、優しく共感的な手紙を書く。
- 目的: 自己批判を減らし、自己受容を育てる。
- 質問例:
- 「もし親しい友人が同じ経験をしたら、どんな言葉をかけますか?」
- 「その視点を自分に向けると、どんな気づきがありますか?」
🔄 行動変化の動機付け
ワーク名:価値観アクションプラン
- 方法: 自分の重要な価値観を3つ選び、それに沿った行動目標を立てる。
- 目的: 価値観と行動を一致させ、意欲的な変化を促す。
- 質問例:
- 「あなたにとって最も大切な価値観は何ですか?」
- 「その価値観を日常でどう表現できますか?」
投稿者プロフィール

- 徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。
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