可能性療法から可能性コーチングの活用入門 解決志向コーチングとの関係 

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ここでは、解決志向療法と解決志向コーチングで取り上げ、実践している可能性療法・可能性コーチングについて探究していきます。また、可能性療法と解決志向療法の違い、ウェルビーイングについても探究します。必要に応じて、アレンジ、修正・加筆を行ってまいります。可能性療法などについて、現代的にリニューアルしたり、応用実践や研究を行ってまいりたいと思います。

ここでの内容は、解決志向療法と解決志向コーチング講座、ストレングスカウンセラー講座などに関わります。

解決志向療法と解決志向コーチング基本講座
SBCC

可能性療法とはなにか?

可能性療法(Possibility Therapy)について、さらに詳細に説明します。

概要

可能性療法は、個人が自分自身の持っている可能性を最大限に活かし、未来に向けて前向きに進むための心理療法です。従来の治療法がクライアントの問題や障害を解決することを中心に据えるのに対し、可能性療法は問題に焦点を当てるのではなく、クライアントの強み、資源、潜在的な可能性に着目し、それを活用することで自己実現と充実した人生を追求します。そのため、コーチングにも大変近いアプローチと言えます。

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可能性療法の背景

可能性療法(Possibility Therapy)が求められるようになった背景には、従来の心理療法への限界意識と、人間の持つ「変化する力」への信頼が深く関係しています。

  1. 従来のアプローチへの反動
    精神分析や行動主義といった伝統的な心理療法は、過去のトラウマや問題行動の原因に焦点を当てる傾向がありました。しかし、それらは「問題の分析」に終始し、クライエントの変化や成長を促すには限界があると感じる専門家が増えていきました。
  2. ミルトン・エリクソンの影響
    可能性療法は、精神科医ミルトン・エリクソンのアプローチに影響を受けています。彼は、クライエントの中にすでに変化の資源があると考え、それを引き出すことに重点を置きました。
  3. 人間性心理学の台頭
    マズローやロジャーズに代表される人間性心理学の流れの中で、「人は本来、成長しようとする力を持っている」という考え方が広まりました。可能性療法もこの流れを汲み、クライエントの中にある「未来への可能性」に焦点を当てます。
  4. 短期療法へのニーズ
    現代社会では、長期的な治療よりも、短期間で効果を出すブリーフ・セラピー(短期療法)が求められるようになりました。可能性療法は、クライエントとの協働を重視し、短期間での変化を目指す点で、現代のニーズに合致しています。
  5. ナラティヴ・アプローチの影響
    Possibility Therapy はより柔軟で、解決志向より、個人の希望や語り(ナラティブ)にも注目している点で特徴です。ただし、ナラティヴ・セラピーのように問題を外在化するのではなく、「あなたの中にすでにある可能性」に光を当てるという、より内的なアプローチをとります。

 

基本的なアプローチ

  1. 可能性志向(Possibility-Focused Approach):
    • 可能性療法は、クライアントが現在抱えている問題にどれだけ時間を費やすかよりも、未来に向けた「可能性」を見つけることに重きを置きます。問題を語るのではなく、どのようにしてそれを超えていけるかに焦点を当てます。
  2. 強みとリソースの発見:
    • 可能性療法では、クライアントが既に持っている潜在性的な「強み」や「リソース」に着目します。自分自身がどのような能力を持っているかを再発見し、それを積極的に活用することで、クライアントは問題を解決できる力を高めます。
  3. 未来志向:
    • 可能性療法は、過去の問題にとらわれることなく、クライアントが目指すべき未来の姿に焦点を当てます。これにより、クライアントは自分の目標や夢に向かって前進するための具体的な行動計画を立てることができます。

主要な技法

  1. 可能性の質問(Possibility Questions)
    これは、可能性にフォーカスするための質問です。様々な可能性・潜在性を広く理解し、固定観念や過去の制約から解き放ち、未来への希望や行動を促すために活用されます。
  2. 潜在性の質問(Potential Question)
    潜在性の質問とは、相手がまだ自覚していない欲求や可能性、価値観を探るための問いかけです。ポテンシャル・クエスチョンともされています。相手の潜在的な可能性や未開発の資源を引き出すための問いかけであり、現状の制限や問題に焦点を当てるのではなく、「まだ見えていない可能性」に光を当てる質問です。
  3. 奇跡の質問(Miracle Question)
    これは、クライアントが抱える問題が奇跡的に解決されたとしたら、どのような変化が起こるのかを問いかける技法です。解決志向アプローチでも活用されています。可能性療法では、可能性が高まるように質問を活用します。この質問を通じて、クライアントは自分が本当に望む未来を具体的にイメージし、そこに向かって行動を始めるきっかけを得ます。「奇跡的に、可能性が高まるとしたら?」「奇跡が起きて、あなたの可能性が広がったとしたら?」などと組み合わせることができます。
  4. 例外の質問(Exception Question)
    クライアントが普段の生活の中で問題が生じない瞬間を探し、その瞬間にどんな行動や思考をしていたのかを振り返らせます。これにより、クライアントは問題が発生していない「例外的な瞬間」を意識し、それを今後の行動に活かすことができます。
  5. 未来志向の言葉
    クライアントが問題に直面する場面を想像し、その中でどのようにしてポジティブな変化を起こせるかを言葉にすることで、前向きな行動を促します。
  6. リフレーミング
    物事の見方や考え方を変えることで、クライアントが直面している問題を新しい視点で捉え、ポジティブな方向に導きます。例えば、ネガティブな出来事を学びの機会と捉え、成長のチャンスとする方法です。
  7. 「問題の再定義」ではなく「語りの再構築」
    解決志向では「例外」や「うまくいったこと」に注目しますが、可能性療法ではクライエントの語る物語そのものを再構築し、「別の意味づけ」を生み出すことに重点を置きます。これはナラティヴ・セラピーに近い視点です。
  8. 「ラベルの解体」
    クライエントが自分に貼っている否定的なラベル(例:「私はダメな人間だ:→「私はダメじゃん人間」などユーモアに)を、ユーモアやメタファーを使って解体し、新しい自己イメージを提案します。これはビル・オハンロンの特徴的なスタイルです。
  9.  「可能性の言語」へのシフト
    「できない」「無理」といった言葉を、「まだ」「これから」「かもしれない」といった開かれた言葉に変えることで、思考の柔軟性を促します。
  10.  セラピストの自己開示や軽やかなユーモアの活用
    解決志向ではセラピストの自己開示は控えめですが、可能性療法では、セラピストが自分の経験やユーモアを交えて関係性を築くこともあります。
  11.  「問題の外在化」よりも「可能性の内在化」
    ナラティヴ・セラピーのように問題を外在化するのではなく、「あなたの中にすでにある可能性」に光を当てるという、より内的なアプローチをとります。

可能性療法の技法のまとめ

*可能性療法における主要な技法や視点を概要と具体的な方法に分けて表にまとめました。*少しアレンジしています。

技法・視点 詳細な説明 実践例・使い方
可能性の質問 クライエントの未来にある「まだ見ぬ可能性」に焦点を当て、希望や行動の選択肢を広げる質問。制限や問題から一時的に意識を外す効果がある。 「今できる可能性のあることは何ですか?」
「今できなくても、どんな可能性を感じますか?」
「今の状況に、どんな可能性が隠れていると思いますか?」
潜在性の質問 クライエントがまだ気づいていない価値観・欲求・強みを引き出す質問。自己理解を深め、内的資源を活性化する。 「あなたがまだ気づいていない、潜在的な強みは何だと思いますか?」
「あなたが本当に大切にしていることは何ですか?」
「まだ発揮されていない力があるとしたら、それは何でしょう?」
奇跡の質問 問題が一夜にして解決したと仮定し、その後の変化を具体的に描かせる。未来のビジョンを明確にし、行動のきっかけを作る。 「奇跡的に、あなたに可能性が見つかったら、どんなことをしてみたいですか?」
「奇跡を起こせるような可能性のあることは?」
(可能性と組み合わせ)
例外の質問 問題が起きなかった時の行動や状況を探り、再現可能なリソースとして活用する。成功体験の再発見にもつながる。 「最近、少しでも可能性が広がった瞬間はありましたか?その時、何をしていましたか?」(可能性と組み合わせ)
「最近、少しでも可能性を感じた瞬間はありましたか?」
「偶然、可能性があることにつながったことはありますか?」
(可能性と組み合わせ)
未来志向の言葉 問題の分析ではなく、望ましい未来の描写に言葉をシフトすることで、前向きな行動を促す。 「これから、どんなふうに変わっていきたいですか?」
「次に同じ状況が来たら、どう対応したいですか?」
リフレーミング 出来事や自分自身の捉え方を変えることで、意味づけをポジティブに再構成する。 「その失敗は、どんな可能性をもたらしてくれましたか?」
(可能性とリフレーミングの組み合わせ)
「その失敗は、どんな学びをくれましたか?」
「その“弱さ”は、どんな場面で役立つと思いますか?」
語りの再構築 クライエントの語る物語を別の視点から再構成し、新たな意味を生み出す。ナラティヴ・セラピーに近いが、より内的な可能性に焦点を当てる。 「その出来事を、別の主人公の視点で語るとしたら、どうなりますか?」
「その物語に“可能性”という章を加えるとしたら?」
(可能性のある物語へ)
ラベルの解体 否定的な自己ラベルをユーモアや比喩で再構成し、自己イメージを柔らかく変える。 「“ダメな人間”じゃなくて、“ちょっと迷子の探検家”ってどうでしょう?」
「“完璧主義”は“こだわりの職人魂”かも?」
可能性の言語へのシフト 「できない」「無理」といった閉じた言葉を、「まだ」「これから」「かもしれない」といった開かれた表現に変える。 「“無理”→“今は難しいけど、工夫すればできるかもしれない”」
「“できない”→“まだできていない”」
セラピストの自己開示とユーモア セラピストが自分の経験やユーモアを交えて関係性を築く。クライエントの緊張を和らげ、対等な関係を育む。 「私も昔、同じことで悩んでましたよ」
「それ、私なら“やらかし伝説”に認定ですね(笑)」
*ユーモアを交えて
可能性の内在化 問題を外在化するのではなく、「すでに自分の中にある力」に光を当てる。 「あなたの中に、すでに可能性があるとしたら、どこに感じますか?」
「その可能性は、どんな形で現れてきそうですか?」

これらの技法は、単なる質問のテクニックではなく、「人は変われる」「人の中にすでに力がある」という考え方に基づいています。単なるテクニックではなく、クライエントの中にある力を信じる姿勢そのものでもあります。

可能性療法の目的と目標

  • 自己実現の促進: クライアントが自分自身の潜在能力を最大限に活かし、望む人生を歩めるように支援すること。
  • ポジティブな変化の促進: 問題解決のアプローチを通じて、クライアントの思考や行動を前向きに変化させ、未来の可能性を広げること。
  • 心理的健康の向上: 自己肯定感、自己効力感、ストレス耐性を高め、クライアントが精神的に健康な状態を維持できるようにすること。

可能性療法の特徴

  • 問題ではなく可能性に焦点をあてる: 従来の治療法のように、過去の問題や痛みを掘り下げるのではなく、クライアントが未来の可能性に向けてどのように進むべきかに焦点を当てます。
  • クライアント主導のアプローチ: クライアント自身が自分の問題解決に向けた方法を見つけ出し、主体的に取り組むことを奨励します。
  • 未来のビジョンを描く: クライアントが希望を持ち、達成したい目標や夢に向かって行動を起こすよう導くプロセスです。

可能性療法の効果

  1. 自己肯定感と自信の向上: クライアントは自分の強みや資源を認識し、それを活かして問題に取り組むことで、自己肯定感が高まります。
  2. 前向きな思考の促進: 未来に対して希望を持ち、可能性を信じて行動できるようになるため、前向きな変化が促されます。
  3. 問題解決能力の向上: クライアントが自分の能力を最大限に活用する方法を学び、問題に柔軟かつ創造的に対応できるようになります。
  4. 精神的な回復力(レジリエンス)の強化: 逆境に対する耐性が高まり、ストレスや困難に直面したときに立ち直る力を養うことができます。

可能性療法の応用

  • 個人の心理療法: 自己成長、キャリア形成、対人関係の改善、ストレス管理、メンタルヘルスのサポートに役立ちます。
  • 組織やチーム支援: チーム内での協力やコミュニケーションの向上、組織の成長を促進するために活用できます。
  • 教育分野: 学生の自己肯定感を高め、学業や個人の成長をサポートするためのアプローチとして有効です。

 

解決志向療法と可能性療法の違いとは?

以下に、解決志向療法(Solution-Focused Therapy)と可能性療法(Possibility Therapy)の違いを表でまとめました。両者の背景は、とても共通点があるため、区別がつきにくい点がありますが、以下の点で少し違いがみられます。

特徴 解決志向療法(Solution-Focused Therapy) 可能性療法(Possibility Therapy)
基本的なアプローチ 問題ではなく、解決に焦点を当て、現在の困難に対して迅速で効果的な解決策を見つける。 クライアントの持つ潜在的な可能性に焦点を当て、ポジティブな変化を促進する。
焦点の対象 現在の問題ではなく、クライアントの強みや資源を活用して解決策を見つける。 問題ではなく、クライアントの未来の可能性に焦点を当て、ポジティブな成長を促進する。
目標設定 スピード志向、短期的な目標設定に重点を置き、現実的な解決策を見つけてクライアントが即座に行動できるようにする。 未来志向で、クライアントの理想的な未来を描き、そのビジョンに向けて前進する方法を見つける。
時間軸 過去の問題にとらわれず、現在から未来に向けた解決策を探す。 未来の可能性を広げ、クライアントが望む未来を実現するためにサポートする。
過去からの可能性も見つける。
質問方法 「奇跡の質問」「スケーリング質問」「例外の質問」など、具体的で即効性のある質問を使用。 「未来志向の質問」「可能性を探る質問」「可能性を高める質問」など、ポジティブな視点を促す。
セッションの流れ 解決のために、クライアントが現在できることに焦点を当て、すぐに実行可能な行動を見つける。短期的な視点、スピード志向 クライアントが自分の可能性や潜在性を認識し、それを活かして未来に向けて進む方法を見つける。
クライアントの役割 解決のためにクライアント自身が積極的に解決策を見つける役割を持ち、短期間で行動することが期待される。 クライアントは未来の可能性や潜在性を想像し、自己成長や自己実現に向けて積極的に進んでいく。
適用される分野 主にカウンセリング、教育、ビジネスでの短期的な問題解決に効果的。危機管理や意思決定においてスピードが求められる現場で有効 個人の成長、キャリア形成、リーダーシップ開発など、ポジティブな変化を促す分野で有効。特に可能性を見つけるなどに有効。
理論的背景 精神分析や行動主義といった伝統的な心理療法は、過去のトラウマや問題行動の原因に焦点を当てる傾向がありました。しかし、それらは「問題の分析」に終始し、クライエントの変化や成長を促すには限界があると感じる専門家が増えていきました。
従来の心理療法は、時間がかかり、また、保険点数などに制限が設けられるようになったことから、素早い解決が注目されるようになった。
 可能性療法は、ミルトン・エリクソンのアプローチに影響を受けています。彼は、クライエントの中にすでに変化の資源があると考え、それを引き出すことに重点を置きました。
現代社会では、長期的な治療よりも、短期間で効果を出す短期療法が求められるようになりました。可能性療法は、クライエントとの協働を重視し、短期間での変化を目指す点で、現代のニーズに合致しています。

主な違い

  • 解決志向療法は、具体的な「解決策」を見つけることに重点を置き、「スピード志向」で現実的かつ実践的な方法を提供します。
  • 可能性療法は、クライアントの「可能性」や「潜在性」に焦点をあて、資源や強みを引き出し、未来の可能性に向かって成長するプロセスを重視します。

このように、資源や強みに焦点をあてるなど、両者は似たアプローチを取る部分もありますが、焦点の当て方や質問の仕方、クライアントへのサポートの方法が少し異なります。

つぎに、コーチング心理学で活用するメリットと現代意義について探究します。

可能性コーチングへの応用

以下に、コーチング心理学のける可能性療法を統合するメリットと現代的意義を表にまとめました。

項目 メリット 現代的意義
自己成長の促進 クライアントの持つ強みや潜在能力を引き出し、自己成長を促進する。 現代社会では個人の成長と自己実現が重要視されており、コーチングを通じてクライアントが自分の力を最大化することが求められています。
未来志向のアプローチ クライアントが未来に向けて自分の可能性を広げることができる。 現代の不確実な時代において、未来に向けたポジティブなビジョンと行動計画が重要です。
解決志向とポジティブ心理学の融合 問題解決だけでなく、クライアントの強みを活かしてポジティブな変化を促進するアプローチが可能。 問題解決だけではなく、ポジティブな成長を促進するために強みを活用するアプローチが広く求められています。
柔軟な目標設定 可能性療法のアプローチを活用して、柔軟かつ個別化された目標設定が可能。 個人の特性やニーズに合わせた目標設定が重要となっており、柔軟な対応が可能です。
クライアントの自己効力感の強化 自分の強みやリソースを活用する方法を学び、自己効力感を高めることができる。 自己効力感が高いと、クライアントは自分の行動を信じて積極的に行動するため、現代の多様な社会で成功するために不可欠です。
行動の変容を促進 クライアントが自分の強みを活かして具体的な行動を起こすことができる。 行動の変容が求められる現代社会で、持続可能な行動変容を促すための支援が非常に重要です。
レジリエンス(回復力)の強化 困難な状況においても、クライアントが自分の強みを使って前向きに対処できるよう支援する。 現代のストレスフルな社会で、個人が持つレジリエンスを高めることが、仕事や生活の質を向上させるために不可欠です。
クライアントのモチベーション向上 強みを認識し、未来に向けて前向きに進むためのモチベーションを引き出す。 モチベーションを高めることは、現代の職場や個人の目標達成において重要な要素です。
多様な状況に対応可能 可能性療法は、ライフキャリア支援、教育、リーダーシップ開発などさまざまな分野に応用可能である。 多様な分野でのコーチングのニーズが増加しており、幅広い状況に対応できる可能性療法は非常に価値があります。
クライアント主導のプロセス クライアント自身が自己の可能性を発見し、主体的に行動できるようになる。 現代のコーチングでは、クライアント主導で進むプロセスが重要視されており、クライアントの自主性を尊重することが求められています。

まとめ

可能性療法コーチングに統合することで、クライアントの強みを活かし、前向きな行動変容を促進することができます。現代社会では、自己成長、レジリエンス、柔軟な目標設定が重要視されるため、可能性療法とコーチングの融合は非常に有益であり、クライアントが自分の可能性を最大限に引き出し、目標達成に向けて前進できるようサポートすることができます。

可能性療法とウェルビーイングの関係

温故知新の視点で、現代的ウェルビーイングとの関係性とメリットを探究しました。
可能性療法(Possibility Therapy)と7つのウェルビーイング(主観的・心理的・社会的・身体的・スピリチュアル・キャリア・経済的)の関係性とそのメリットを整理しました。


🌱 可能性療法 × 7つのウェルビーイング 関係性とメリット表

ウェルビーイングの側面 関係性(可能性療法の視点) 具体的なメリット
1. 主観的(幸福感・満足感) 問題ではなく「可能性」を語ることで、ポジティブな感情や未来への希望を育む 自己肯定感が高まり、日常の幸福感が持続する
2. 心理的(自己実現・強み) クライアントのリソースや強みに焦点を当てる 自己効力感が向上し、自己成長を実感できる
3. 社会的(つながり・支援) 他者との建設的な関係性(ナラティブ・リフレーミング)を支援 支援ネットワークの再構築や共感的な関係が深まる
4. 身体的(健康・活力) 「できること」に注目することで、生活改善や健康的な選択が促進される ストレス軽減・睡眠や運動など行動改善が起きる
5. スピリチュアル(意味・価値) 困難の中にも意味や価値を見出す問いかけ(例:「今の経験から得たことは?」) 自分らしさの再発見・人生の方向性への納得感
6. キャリア(成長・貢献) 成功経験・リソースの活用により、可能性あるキャリア選択を促す 自信ある選択と成長志向の維持が可能になる
7. 経済的(安心・自立) 問題の枠にとらわれず、現実的かつ創造的な解決策に目を向ける 金銭不安の軽減・実行可能な行動計画が立てられる

🔑 補足ポイント

  • 可能性療法は、「何が問題か」ではなく、「何が可能か」に焦点を当てる短期療法。
  • ビル・オハンロンは「未来志向」「リソース志向」「希望志向」「つながり志向」を核にしている。
  • 7つのウェルビーイングと統合することで、対話だけでなく全人的な変化と成長を支援できる。

 

可能性療法の名言

ビル・オハンロン(Bill O’Hanlon)の名言が挙げられます:

ちなみに、ウィリアム・オハンロン(William H. O’Hanlon)とビル・オハンロン(Bill O’Hanlon)は同一人物だそうです。「ビル」は「ウィリアム」の愛称で、英語圏ではよく使われるニックネームです。彼はアメリカの心理療法家で、可能性療法(Possibility Therapy)の提唱者として知られています。日本語の文献や翻訳書では「ビル・オハンロン」と表記されることが多いですが、英語の原著や学術資料では「William H. O’Hanlon」や「Bill O’Hanlon」と表記されるようです。

 

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「問題を語るのではなく、可能性を語ろう。」
これは、解決志向療法の中心的な考え方を表す言葉です。問題に焦点を当てるのではなく、その先にある可能性や解決策に焦点を当て、クライアントが前向きに考えるよう導きます。

「クライアントの強みと可能性に注目することが、最も大きな変化を生む。」
これは、クライアントが自分の内なる力を再発見し、それを活用して前向きに変化を起こすことに関するものです。強みに注目し、それを伸ばすことで、ポジティブな変化を実現するというアプローチを示しています。

「未来に向かって進むために必要なのは、過去の失敗を繰り返さないこと。」
過去の失敗や問題にとらわれず、未来に向かって前進することの重要性を示しています。クライアントには未来に向けて新たな可能性を見つけることが大切であるというメッセージが込められています。

「どんな小さな進歩でも、それは大きな変化の始まりである。」
小さな変化でも積み重なれば大きな成果を生むということを強調する名言です。少しの進展でも、クライアントにとっては大きな一歩であることを伝えています。
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「悩む人は、すでに悩みを解決する能力を持っている」
 これは、可能性療法の根幹にある考え方で、クライエントの中に答えがあるという信念を示しています。

「過去よりも未来に目を向け、失敗よりも成功の経験に学ぶ」
問題の原因ではなく、解決の兆しに注目する姿勢が表れています。

「自分の可能性を信じることが、成功への鍵」
可能性を信じることで、行動の変化を促すという考え方です。

 

投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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