前向きな人生脚本へ交流分析とナラティヴコーチング 認定資格取得の参考に
前向きな人生脚本へ交流分析とナラティヴコーチング
人生脚本の書き換え 新しい交流と人生を歩む物語 コンテンツ一覧

交流分析とナラティヴコーチングの統合アプローチ
はじめに:人生の物語を書き換える力
私たちは誰もが自分の人生について「物語」を持っています。この物語は幼少期から形成され、無意識のうちに私たちの思考や行動に影響を与え続けています。交流分析では、これを「人生脚本」と呼び、人間の行動パターンを理解する鍵として研究してきました。
一方で、ナラティヴコーチングは、人々が自分自身の物語を再解釈し、新たな視点を得ることで成長を促す手法として注目されています。
このWEBサイトでは、交流分析の人生脚本理論とナラティヴコーチングを組み合わせた革新的なアプローチについて紹介します。あなたが自分の人生脚本を理解し、より自由で充実した人生を選択できるよう、具体的な実践法とエクササイズをお伝えします。
🙆このサイトが対象とする方
- 自分の繰り返してしまうパターンを変えたい方
- 対人関係や仕事で同じような問題が起きる方
- 心理カウンセラー、コーチ、セラピスト
- 人間関係やコミュニケーションに関心がある方
- 自己成長に興味がある方
💡このアプローチで得られるもの
- 自分の人生脚本への深い理解
- 自己の制限的な思い込みからの解放
- 新しい自己物語の創造と実践
- より健全な関係性の構築
- 自分らしい人生の選択と実現
👨💼交流分析とコーチングの統合するメリットは?
交流分析とコーチングを統合するメリットと、その概要、具体例をまとめました。
| テーマ | メリット(概要) | 具体例 |
|---|---|---|
| 交流分析とコーチングの統合 | コミュニケーションのパターンを理解し、効果的な対話と成長を促すことで、個人や組織のパフォーマンスを向上させる | 経営者が自分の対話スタイルを分析し、過去は指示型だったが、コーチングの手法を取り入れることで、部下の主体性を引き出し、チームの生産性を向上させた。 |
| 自己認識の向上 | 交流分析を通じて自身の思考や行動パターンを理解し、コーチングを活用することで望ましい変化を促せる | 営業担当者が自己の「批判的な親」スタイルに気づき、コーチングで積極的傾聴を実践することで、顧客との関係改善に成功した。 |
| 対人関係の改善 | 人間関係の中での役割やパターンを認識し、より良い対話を構築することが可能 | チーム内の衝突が多かった職場で、メンバーが交流分析を用いて相手のコミュニケーションスタイルを理解し、コーチングで相互理解を深めることで、円滑な協力体制を確立した。 |
| 変化への適応力向上 | 無意識の思考や行動を理解することで、自己変革を促し、状況に応じた柔軟な対応ができるようになる | 新任リーダーが自分の「養育的な親」スタイルと「自由な子供」スタイルのバランスを取ることで、チームメンバーの自律性を尊重しつつ、適切な指導ができるようになった。 |
👨⚕️医療・看護・福祉などの現場でのメリット
交流分析とコーチングを統合するメリットについて、医療・看護・福祉の現場に特化した内容を追加しました。
| テーマ | メリット(概要) | 医療・看護・福祉現場での具体例 |
|---|---|---|
| 交流分析とコーチングの統合 | 患者や利用者との関係を深め、より良いケアを提供するために、適切なコミュニケーションと自己成長を促進する | 医療スタッフが患者のコミュニケーションスタイルを理解し、患者の不安を軽減するために対話の工夫を行うことで、治療への前向きな姿勢を引き出した。 |
| 自己認識の向上 | 医療・福祉従事者が自身の対話スタイルや感情反応を把握し、より共感的な対応が可能になる | 看護師が自身のストレスが患者対応に影響を与えていることに気づき、コーチングを活用して感情管理を学び、より落ち着いた対応ができるようになった。 |
| 対人関係の改善 | チームの相互理解を深め、円滑な連携を可能にすることで、より質の高い医療・福祉サービスを提供できる | 介護施設のスタッフが交流分析を通じて、お互いの役割やコミュニケーションスタイルを理解し、チームワークを強化することで、利用者へのケアの質が向上した。 |
| 変化への適応力向上 | 予期せぬ状況や困難なケースに対して柔軟に対応できるようになり、適切な判断やケアを行える | 病院の緊急対応チームが自身の意思決定プロセスを見直し、コーチングの手法を活用することで、ストレス下でも冷静な判断を下せるようになった。 |
交流分析とコーチングの統合によって、医療・看護・福祉の現場では、患者や利用者とのコミュニケーションの質を向上させるだけでなく、スタッフ自身の成長やチームの連携強化にもつながります。
交流分析と人生脚本の基本概念

交流分析とは
交流分析(Transaction Analysis, TA)は、1950年代後半に精神科医エリック・バーン(Eric Berne)によって提唱された心理学理論です。人格と個人の成長と変化における体系的な心理療法であり、人間関係や自己理解のための優れたフレームワークを提供しています。
交流分析には主に4つの基本理論があります:
| 項目 | 概要 | 質問 |
|---|---|---|
| 構造分析 | 人格を「親・大人・子ども」の3つの自我状態に分類し、個人の思考や行動の傾向を分析する。 | 「あなたの行動や考え方に影響を与えている要素は何だと思いますか?」 |
| ゲーム分析 | 人間関係における隠れたパターンを特定し、繰り返される問題の原因を明らかにする。 | 「あなたが繰り返し経験している対人関係のパターンはありますか?」 |
| やり取り分析 | コミュニケーションの流れを分析し、対話の質を向上させるための方法を探る。 | 「相手とのやり取りで、どのような反応を引き出したいですか?」 |
| 脚本分析 | 幼少期から形成された人生脚本を特定し、より適応的な生き方へと修正する。 | 「あなたの人生に影響を与えている信念や価値観は何ですか?」 |
人生脚本とは
🚫12の禁止令
禁止令とは「〜してはいけない」という思い込みです:
交流分析の視点とコーチング心理学の視点からの概要と質問例を表にまとめた。
| 項目 | 交流分析の視点 | コーチング心理学の視点 | 質問 |
|---|---|---|---|
| 存在するな | 自己否定の禁止令。幼少期の経験から「自分はいてはいけない」と感じる。 | 自己肯定感の低下につながるため、自己受容を促す必要がある。 | 「あなたが自分の存在を肯定できる瞬間はどんなときですか?」 |
| 成長するな | 成長や変化を恐れ、現状維持を選ぶ心理的傾向。 | 成長の機会を見つけ、変化への抵抗を軽減するアプローチが必要。 | 「あなたが成長を感じた経験はありますか?」 |
| 成功するな | 成功を避けることで安心を得ようとする心理的パターン。 | 成功への恐れを克服し、前向きな挑戦を促す。 | 「成功したとき、どんな気持ちになりますか?」 |
| 重要であるな | 自分の価値を認めることを避ける傾向。 | 自己価値を認識し、自己肯定感を高める支援が必要。 | 「あなたが大切にしている価値観は何ですか?」 |
| 感情を感じるな | 感情を抑制し、表現することを避ける心理的パターン。 | 感情の認識と表現を促し、自己理解を深める。 | 「今、どんな感情を感じていますか?」 |
| 健康であるな・正気であるな | 健康や精神的安定を持つことに対する抵抗。 | 健康的な生活習慣や心理的安定を促進する。 | 「あなたが心身ともに健康だと感じる瞬間は?」 |
| 仲間になるな | 他者との関係を築くことを避ける傾向。 | 人間関係の構築を支援し、孤立を防ぐ。 | 「あなたが安心して話せる人は誰ですか?」 |
| 実行するな | 行動を起こすことに対する恐れや抵抗。 | 行動の重要性を理解し、実践を促す。 | 「小さな一歩を踏み出すために、何ができそうですか?」 |
| 子供であるな | 子供らしさを抑え、大人のように振る舞うことを求められる。 | 自然な自己表現を促し、柔軟な思考を育む。 | 「あなたが自由に楽しめる瞬間はどんなときですか?」 |
| 信用するな・愛するな | 他者への信頼や愛情を避ける心理的パターン。 | 信頼関係の構築を支援し、安心感を高める。 | 「あなたが信頼できると感じる人は誰ですか?」 |
| 男であるな・女であるな | 性別に関する自己認識を否定する傾向。 | 自己のアイデンティティを尊重し、受容を促す。 | 「あなたが自分らしさを感じる瞬間は?」 |
| 考えるな | 自分の思考を抑制し、深く考えることを避ける傾向。 | 思考の自由を促し、自己決定を支援する。 | 「あなたがじっくり考えたいテーマは何ですか?」 |
🚗5つのドライバー
ドライバーとは「〜しなければならない」という強迫的な思い込みです。認知行動療法にも関係する内容です。
| 項目 | 交流分析の視点 | コーチング心理学の視点 | 質問 |
|---|---|---|---|
| 完璧でなければ! | 完璧主義の禁止令。ミスを許さず、常に高い基準を求める傾向。 | 適切な目標設定を促し、柔軟な思考を育む。 | 「完璧でなくても良いとしたら、どんな気持ちになりますか?」 |
| もっと努力しなければ! | 努力を続けることが重要とされ、休むことに罪悪感を抱く傾向。 | 効果的な努力と休息のバランスを支援する。 | 「努力を続けることで、どんな影響を感じていますか?」 |
| 人を喜ばせなければ! | 他者の期待を優先し、自分のニーズを後回しにする傾向。 | 自己の価値を認識し、健全な人間関係を築く支援を行う。 | 「あなた自身の気持ちを大切にするには、どうすればよいですか?」 |
| もっと急がなければ! | 常に時間に追われ、焦燥感を抱く傾向。 | 時間管理とマインドフルネスを活用し、落ち着いた行動を促す。 | 「急がずに取り組むことで、どんな変化があると思いますか?」 |
| 強くあらねば! | 感情を抑え、弱さを見せないようにする傾向。 | 感情の認識と表現を促し、自己受容を支援する。 | 「あなたが本当に感じていることを表現するとしたら、どうなりますか?」 |
📕4つの人生脚本パターン
親から受けたストロークの影響によって、人生脚本は大きく4つのパターンに分けられます:
| パターン | 特徴 | 形成要因 |
|---|---|---|
| 成功者の人生脚本 | 自己肯定感が高く、自分の夢や希望を叶え続けようとする | 褒められ、守られ、大切にされた経験 |
| 平凡な人生脚本 | 自己否定と自己肯定を繰り返し、一般的で普通の状態を維持する | ある程度の愛情と挑戦へのリスク体験 |
| 敗者の人生脚本 | 自己否定的で、失敗から学べず、言い訳が多い | 「あなたはダメだ」などの否定的ストローク |
| 破滅型の人生脚本 | 自分の価値を見出せず、自己破壊的な行動を取りやすい | 親からの愛情(プラスのストローク)が極めて少ない |
📕脚本分析と人生脚本の書き換え可能性
人生脚本は、絶対に変えられないわけではありません。交流分析では「脚本分析」を通じて、人生脚本を書き換えることが可能だと考えます。
脚本分析では、人生脚本は遺伝などの影響ではなく、あくまで生まれた後、親との関係で身に付けた「習慣」にすぎないと捉えます。よって「人生脚本は『習慣』である以上、『新しい習慣』へと書き換えることは可能である」と考えます。
このことが、ナラティヴコーチングとの融合の可能性を開きます。
ナラティヴコーチングの特徴と手法
ナラティヴコーチングの概念
ナラティヴコーチング(Narrative Coaching)は、人生の「物語(ストーリー)」に関わる語りの手法です。個人の物語を中心に据え、その物語を再構築することで、新たな視点や可能性を見出すことを目指します。
物語的なアプローチを活用し、自分の人生を物語の「主人公、人生の専門家」として見立て、「問題」を人間や人間関係に当てるのではなく、問題そのものを除外(外在化)します。また、個人にある希望を掘り当て、自ら物語を構築し、より希望ある人生を歩めるように応援する手法です。
ナラティヴセラピーとの違い・・・使い分けが重要
| 項目 | ナラティヴセラピー | ナラティヴコーチング |
|---|---|---|
| 目的 | 不安・心配、トラウマの対処、希望の発見 | 個人の成長・自己実現、希望の構築、能力開発、強みの活用 |
| 対象 | 問題を抱える人、個人、家族 | 成長や自己実現を目指す人、個人、家族、組織、社会 |
| 焦点 | 問題から離脱(外在化)、より最適な環境への移行 | 個人や組織、社会の強みや資源、ポジティブなストーリーの構築 |
ナラティヴコーチングの手法
以下の表に、各概念の概要とコーチングで活用できる質問をまとめました。
| 概念 | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| 外在化 | 問題を個人の一部とみなすのではなく、問題と個人を切り離して客観的に捉えることで、問題への対処が容易になる。 | – 問題を擬人化するとしたら、どんな特徴を持っていますか? – その問題があなたの人生の外側にあるとしたら、どのように関わりますか? |
| コーチング質問 | クライアントが自らの物語をより深く理解できるように促す質問を用いることで、自己認識を高める。 | – この経験を物語として語るとしたら、どのように始まりますか? – あなた自身の価値観が、この物語にどのような影響を与えていますか? |
| リストーリーテリング | 過去の出来事を、より望ましい物語に再構築することで、意味づけを変え、前向きな視点を得る。 | – もし過去を新しい視点で描き直すとしたら、どんな物語になりますか? – どのような強みを活かして、その出来事を乗り越えましたか? |
| ストレングス | クライアントの強みや資源を活かすためのワークを通じて、自己肯定感を高め、行動を促す。 | – あなたの持っている強みを3つ挙げ、それを日常でどう活かせますか? – あなたが困難を乗り越えた時、どんなリソースが助けになりましたか? |
| ナラティヴ・フィードバック | クライアントの物語をより望ましい方向に導くためのフィードバックを行い、成長を支援する。 | – あなたの物語に新たな視点を加えるとしたら、どのような要素が必要ですか? – 今の物語の展開を、より希望に満ちたものにするためには何ができますか? |
サビカスのキャリア構築理論との交流分析コーチングとの関連性
サビカス(Mark Savickas)によるキャリア構築理論も、ナラティヴアプローチの一種と考えられます。キャリアを固定的なものではなく、個人の物語の中で絶えず構築されるものと捉えています。
サビカスのキャリア構築理論の要点:
- キャリア適応性:「関心」「コントロール」「好奇心」「自信」の4つの側面
- ライフテーマ:個人がキャリアを通じて追求する核心的な価値観や目標
- 物語の統合:個人が自身のキャリアを物語として捉え、その中での役割や意味を見出すこと
サビカスのキャリア構築理論とTAの関係
| 観点 | サビカスのキャリア構築理論(CCT) | 交流分析(TA) | 関連性・共通点 |
|---|---|---|---|
| 基本理論 | 社会構成主義的キャリア理論。個人は物語を通じて職業的アイデンティティを形成する | 心理療法理論。自我状態(P/A/C)や人生脚本を通じて人間関係や行動を理解する | 両者とも「物語(ナラティブ)」と「構成された意味」に注目 |
| 自己理解の枠組み | キャリアアダプタビリティ(関心・統制・好奇心・自信)を用いて自己の適応性を評価 | エゴグラム(CP・NP・A・FC・AC)を用いて自我状態を評価 | 自己の内面構造と環境適応に注目 |
| 過去の体験の扱い | キャリア・ストーリーインタビューで過去の重要なエピソードから自己の価値観や意味づけを抽出 | 人生脚本分析を通じて、幼少期の経験が現在の生き方にどう影響しているかを探る | 「意味づけ」「人生の物語」の再構築という共通点 |
| 介入の方法 | ナラティブ手法により、クライエントが新しい職業的物語を作り直す | 再決断療法により、非合理的な人生脚本の書き換えを促す | 自己物語の再編集・再決断を通じた変容 |
| 発達と変化の捉え方 | キャリア発達は線形ではなく、社会的文脈に応じた再構築が必要 | 人は脚本に基づき繰り返し行動するが、自覚と介入により自由に選択可能になる | 発達・変容を「自己編集的プロセス」として捉える視点が共通 |
| 目的・ゴール | 「意味ある人生」や「社会的貢献」を自らの語りで構成し、統合された職業的アイデンティティを形成 | 「OKな自分」「自律した生き方」「脚本からの自由」を獲得する | 自己の統合と主体的選択による生き方の実現 |
ナラティヴコーチングの特徴
物語の再構築
人々は自分の人生を物語として認識し、その物語を再構築することで新たな視点を得ることができます。
エピソードの選択
クライアントが語るエピソードの中で特に印象深い出来事や感情に注目し、現在への影響を探ります。
新たな物語の創造
過去の物語を再評価し、得られる教訓や洞察を基に、新しい物語を創り出すプロセスを促進します。
◆ サビカス理論とナラティヴ・コーチングの関係表
| 項目 | サビカスのキャリア構築理論(CCT) | ナラティヴ・コーチング |
|---|---|---|
| 理論的背景 | 社会構成主義・ナラティヴ心理学・キャリア発達理論 | ナラティヴ・セラピー・コーチング心理学・対話理論 |
| アプローチ | キャリア・ストーリー・インタビューによって、過去の物語からキャリアテーマを発見 | クライアントの語りを尊重し、今ここでの対話から意味を再発見するプロセス |
| 目的 | 意味ある職業的自己を再構成すること | 物語の目的・目標の達成、自己成長、自己理解を深め、望ましい行動変容を促すこと |
| 使う問い | 幼少期のロールモデル、好きな物語、人生のモットーなどから自己の価値観を導く | 「何がここで起きている?」「あなたはどう意味づけている?」「その物語はどこから来た?」などの内省的な問い |
| 成果物 | 自分のキャリア物語(ライフテーマ)と未来の方向性の明確化 | 語り直しによる新しい自己イメージと行動の選択肢の拡張 |
交流分析とナラティヴコーチングの融合アプローチ
二つのアプローチの相乗効果
交流分析の人生脚本理論とナラティヴコーチングは、以下のような点で相互に補完し合い、より効果的な変容アプローチとなります:
- 構造と自由度:交流分析は心理学的な構造を提供し、ナラティヴコーチングは物語を通じた自由な表現を可能にします
- 過去と未来:交流分析は過去のパターンの理解に強く、ナラティヴコーチングは未来の再創造に強みがあります
- 認識と再構築:交流分析は無意識パターンの認識を促し、ナラティヴコーチングはそのパターンの再構築を支援します
- 分析と創造:交流分析は問題の分析に焦点を当て、ナラティヴコーチングは新たな物語の創造を促します
融合アプローチの基本ステップ
1人生脚本のパターン認識
交流分析の手法を用いて、自分の人生脚本、禁止令、ドライバーのパターンを特定します。
2物語としての外在化
ナラティヴコーチングの外在化技法を用いて、人生脚本を「自分自身」から切り離し、客観的に観察できる「物語」として捉え直します。
3オリジナルの脚本の理解
なぜ幼少期のあなたがこの脚本を選んだのかを理解し、その選択に対する共感と尊重を示します。
4オルタナティブストーリーの発見
既存の脚本では見落とされていた例外的な瞬間や成功体験を見つけ、新たな物語の種を発見します。
5新たな脚本の共同創作
コーチとクライアントが協力して、より充実した可能性に満ちた新しい人生脚本を共同で創作します。
6新脚本の実践と強化
新しい人生脚本を日常生活で実践し、その効果を振り返りながら継続的に強化・調整します。
融合アプローチの利点
深い自己理解と効果的な変容
交流分析の構造的理解とナラティヴの創造的アプローチを組み合わせることで、より深い自己理解と効果的な変容が可能になります。
関係性の改善
人生脚本が対人関係に与える影響を理解し、新たな物語を通じて、より健全で満足のいく関係を築く可能性が高まります。
持続的な成長
単なるテクニックではなく、自己理解と自己表現の新しい方法を学ぶことで、継続的な成長と自己実現が促進されます。
実践ガイド:ステップとエクササイズ
自分の人生脚本を発見するステップ
以下は、自分の人生脚本を理解し、ナラティヴコーチングを用いて書き換えるための実践的なステップです:
- 禁止令やドライバーの存在に気づく – 自分の思考や行動のパターンを観察し、「〜してはいけない」「〜しなければならない」という思い込みを特定します。
- 幼少期の自分が禁止令やドライバーを取り入れた理由を探る – 子供時代にさかのぼり、なぜその考え方を受け入れたのかを理解します。
- 禁止令やドライバーを物語として外在化する – これらの思い込みを「自分自身」から切り離し、客観的に観察できる「物語」として捉え直します。
- オルタナティブストーリーを探索する – 既存の脚本とは異なる例外的な瞬間や成功体験を見つけます。
- 新しい物語を創造し、実践する – より豊かで可能性に満ちた新しい人生の物語を創り、日常生活で実践します。
エクササイズ1:禁止令とドライバーの発見
目的:
自分を縛っている禁止令とドライバーを特定し、自覚する
手順:
- 静かな場所で、紙とペンを用意します
- 以下の質問に答えていきます:
- 自分が「〜してはいけない」と強く感じることは何ですか?
- 自分が「〜しなければならない」と強く感じることは何ですか?
- それらの思いが強く出るのはどんな状況ですか?
- その思いは誰から聞いたものですか?
- 特定した禁止令やドライバーを、別の紙にそれぞれ書き出します
- それぞれが自分の人生にどのような影響を与えているかを考えます
ヒント:
自分を責めず、観察者の立場で冷静に見つめることが大切です。まず気づくことが変化の第一歩です。
エクササイズ2:人生脚本の外在化
目的:
人生脚本を「自分自身」から切り離し、客観視できるようにする
手順:
- 繰り返し起きている人生パターンを特定します
- そのパターンに名前を付けます(例:「完璧主義の檻」「承認を求める旅」)
- 以下の質問に書き出して答えます:
- この「○○(名前)」はあなたの人生にどんな影響を与えていますか?
- この「○○」があなたに信じ込ませようとしていることは何ですか?
- この「○○」に従わなかったときのことを思い出せますか?
- この「○○」と距離を置くことで、何が可能になりますか?
ヒント:
問題を「あなた自身」ではなく「あなたの外にあるもの」として扱うことで、新しい視点と選択肢が見えてきます。
エクササイズ3:人生の道のマッピング(ロード・オブ・ライフ)
目的:
自分の人生を視覚的に捉え、新たなストーリーの可能性を見出す
手順:基本的に自由ですが、以下の方法があります。
- 大きな紙を用意し、自分の人生を「道」として描きます
- 重要な出来事、転機、選択を道に沿って記します。仕事とプライベートなどに分けて描きます。
- それぞれの出来事に、感じた感情や学んだことを書き添えます
- 道の途中に「分岐点」を見つけ、別の選択をしていたら進んでいたかもしれない「別の道」も描いてみます
- 未来に向かって、複数の可能性の道を描き、それぞれに名前を付けます
ヒント:
絵や図にすることで、言語化しづらい感情やパターンが見えてきます。創造性を発揮してください。
エクササイズ4:新しい人生物語の創作
目的:
禁止令やドライバーから解放された、新しい自己物語を創る
手順:
- 静かな場所で、物語を書くための紙またはデバイスを用意します
- 「私のベストな自分」という主人公について物語を書き始めます
- この主人公は、これまでに特定した禁止令やドライバーから解放されています
- 主人公がどのように考え、感じ、行動するかを具体的に描写します
- 主人公が直面する挑戦と、それをどう乗り越えるかを書きます
- 物語の最後に、主人公が実現した理想の状態を描きます
ヒント:
「もし〜だったら」と想像力を働かせ、可能性を広げましょう。この物語は継続的に書き直し、発展させることができます。
エクササイズ5:応援チームの構築(リメンバリングとコミュニティ)
目的:
新しい人生脚本を支える人間関係のネットワークを意識的に構築する
手順:
- 紙の中央に自分の名前を書きます
- 次に、あなたを肯定し、支援してくれる人々の名前を周囲に配置します(実在の人、歴史上の人物、架空のキャラクターも可)
- それぞれの人があなたに提供できるサポートの種類を書き添えます
- あなたの新しい物語を支援するために、さらに必要な人や役割を特定します
- 実生活で、応援チームとの関係を育むための具体的なステップを計画します
ヒント:
私たちは関係性の中で成長します。新しい物語を生きるためには、それを支持し、励ましてくれる人々のネットワークが重要です。
□人生脚本とナラティヴ・コーチングにおける統合の質問集
- 「あなたの思考や行動に影響を与えている『こうあるべき』というルールはありますか?」
- 「これまで無意識に従ってきた価値観や信念には、どのようなものがありますか?」
- 「どんなときに制約を感じたり、自分を抑えてしまうことがありますか?」
② 自分が禁止令やドライバーを取り入れた理由を探る
- 「そのルールや価値観を持つようになったきっかけは何ですか?」
- 「それは誰から受け継いだものだと思いますか?」
- 「その考えを取り入れたことで、どのようなメリットやデメリットがありましたか?」
③ 禁止令やドライバーを物語として外在化する
- 「そのルールや価値観を一つの物語として表現すると、どんなストーリーになりますか?」
- 「その物語の主人公はどんな人物で、どんなことを経験していますか?」
- 「もしその物語を客観的に見たとしたら、どんな視点が浮かびますか?」
④ オルタナティブストーリーを探索する
- 「今の物語とは異なる視点で、自分の価値観を再解釈するとしたらどうなりますか?」
- 「もし今のルールを手放せたとしたら、どんな新しい可能性が開けそうですか?」
- 「あなたがもっと自由に選択できるとしたら、どんな人生を歩みたいですか?」
⑤ 新しい物語を創造し、実践する
- 「あなた自身が主人公となる、新しいストーリーを描くとしたら、どんな内容になりますか?」
- 「そのストーリーを現実にするために、今日からできる具体的な一歩は何ですか?」
- 「どんな環境やサポートがあれば、新しい物語を実践しやすくなりますか?」
まとめと次のステップ
人生脚本の書き換えの旅
交流分析の人生脚本理論とナラティヴコーチングを融合させたアプローチは、私たちの人生に新たな可能性をもたらします。このアプローチでは、以下のことを学びました:
- 人生脚本は幼少期の経験から形成されるが、「習慣」として書き換え可能であること
- 禁止令とドライバーが私たちの思考と行動に大きな影響を与えていること
- 物語としての外在化によって、問題から距離を取り、客観的に扱えるようになること
- 新しい物語の創造によって、より自由で充実した人生を選択できること
人生脚本の書き換えは一度で終わるものではなく、継続的なプロセスです。自分自身に対する理解と思いやりをもって、少しずつ新しい物語を創り上げていきましょう。
さらに学びを深めるには
- 交流分析やナラティヴコーチングの専門書を読む
- 交流分析のワークショップやセミナーに参加する
- ナラティヴコーチングの資格取得を目指す
- 心理カウンセラーやコーチングのプロフェッショナルとセッションを持つ
- 日記やジャーナリングを通して自己対話を継続する
日常生活への取り入れ方
- 毎日5分間、自分の思考パターンを観察する習慣をつける
- 禁止令やドライバーが活性化したと感じたら、一旦立ち止まり深呼吸する
- 小さな選択から、新しい物語に沿った行動を始める
- 成功体験を記録し、定期的に振り返る
- 応援チームとの関係を意識的に育む
- 定期的に自分の物語を見直し、更新する時間を設け
投稿者プロフィール

- 徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。
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