心理的安全性とコーチング心理学


コーチング心理学協会では、心理的安全性に関わる研究を積極的に行っております。なぜなら、その研究成果を活かし、エンゲージメントコーチングをはじめとするワークショップに反映させることで、より深い学びと実践的な成長を支援しています。心理的安全性の理解が広がることで、クライエントの可能性を引き出し、より効果的なコーチングへとつながるのです。
コンテンツ一覧
Amy Edmondsonの心理的安全性の概念とは
Edmondson, A. C. (1999, 2018); Nembhard & Edmondson (2006)
コーチング心理学で活用できる質問
| 項目 | 概要 | コーチング心理学で活用できる質問 |
|---|---|---|
| 脆弱性開示と探索の基盤 | クライエントが困難な感情や思考を安心して開示できる環境を提供し、自己理解を深める。 | 「あなたが安心して話せると感じるのは、どのような状況ですか?」 |
| 相互信頼と尊重の構築 | セラピストとクライエントの間に信頼関係を築き、尊重し合うことで、治療的な対話を促進する。 | 「セラピストとの関係の中で、どのような要素が信頼につながると感じますか?」 |
| 安全性の欠如による影響 | 安全性が欠如すると防衛機制が活性化し、治療的変化が阻害される可能性がある。 | 「あなたが防衛的になってしまうと感じる瞬間はありますか?」 |
心理的安全性リーダーシップ
リーダーや管理者が組織内でメンバーが自由に意見を述べたり、リスクを取ったり、失敗を恐れずに挑戦できる環境を創出するためのリーダーシップアプローチです。これは、メンバーが自身の脆弱性や疑問をオープンに共有できる安心感を醸成し、イノベーションや問題解決、成長を促す重要な要素とされています。
具体的には、以下のような特徴があります:
- 信頼と尊重の強調
リーダーがメンバーの意見や感情を尊重し、積極的に耳を傾ける姿勢を示すことで、メンバーが安心して発言できる土壌を作ります。 - 失敗やリスクへの許容
失敗を学びの機会としてとらえ、リスクを取ることを推奨する環境を築くことで、革新的なアイデアや改善案が生まれやすくなります。 - オープンなコミュニケーション
意見交換やフィードバックを積極的に取り入れ、必要な情報が隠されることなく共有される文化を促進します。 - 心理的なサポート提供
個々のメンバーの内面的な状態に寄り添い、問題や不安があれば共に解決策を模索するなど、メンタル面での支援体制が整えられています。
この取り組みを通じて、多くの人が安心して挑戦できる環境を手に入れ、前向きな変化を生み出していくことを目指しています。
そして、結果を反映させて,エンゲージメントコーチングなどのワークショップなどで活用しています。
コーチング現場で活用できる質問例
以下の質問例は、心理的安全性リーダーシップの概念をもとに、クライエントが自身の職場環境やリーダーシップ体験を振り返り、必要な変化や成長のヒントを探る際に活用できるものです。
| カテゴリー | 概要 | 質問例 |
|---|---|---|
| 信頼と尊重 | リーダーや同僚との間で相互の信頼・尊重がどのように構築されているかを探る。 | 「あなたの職場で、リーダーや同僚からどのような対応が最も安心感を感じさせますか?」 |
| コミュニケーション | 意見交換やフィードバックがオープンに行われているか、また改善する余地があるかを検討する。 | 「あなたが自由に意見を言えると感じられる状況はどんな場面ですか?また、どのような環境があればよりよいと感じますか?」 |
| リスクと挑戦 | 失敗を恐れず挑戦できる環境がどれだけ整っているか、またその影響を探る。 | 「失敗を学びの機会とするために、どのようなサポートがあると理想的だと思いますか?」 |
| メンタルサポート | リーダーがどのように個別の心理的ニーズに応じてサポートを提供しているかを問う。 | 「もしあなたが不安や困難を感じたとき、どのような対応があれば心強いと感じますか?」 |
これらの質問は、カウンセリングやコーチングの場で、クライエントが自分自身のリーダーシップ体験や組織内のコミュニケーション・文化を振り返る助けとなり、心理的安全な環境をどのように作り出すべきかに気づきを促すために有用です。
一般社団法人コーチング心理学協会では、【心理的安全性リーダーシップに関しては、心理的安全性リーダーシップスキル自己効力感尺度の開発】を行ってまいりました。(「日本心理学会 第84大会」にて発表を行いました。)
ここでの文脈はサポーター、リーダーなど支援者に関わる視点での研究を行いました。
Edmondson (2014)は,組織行動学の領域において 「チームの心理的安全性(Psychological Safety)」と いう概念を提唱しています。
「心理的安全性の概念」は 「チームが,対人関係においてリスクのある行動をして も,安心できるというチームメンバーにおける共有され た意識」とされており、心理的安全性リーダーシップスキル や自己効力感に関わる尺度を構築することで,チームや 組織においての心理的安全性のリーダーシップスキルの 構造や関連性がわかり,その能力の向上に役立てられる と考え,尺度を構築することにしました。ワークエンゲージメントやレジリエンス、パーソナリティの開放性などに関わる事がわかっています。
いずれ、わかりやすくご紹介できる機会があればと考えております。
研究や実践の知見をいかし、より効果的なアプローチになるようにしてまいりたいと思います。
期間限定で、スライドでシェアにて公開致します。
投稿者プロフィール

- 徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。
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