新エニアグラム心理学入門・脳科学②:9つのタイプのエビデンス 認定資格取得の参考に

新エニアグラム心理学入門:脳科学②:9つのタイプの特徴 認定資格取得の参考に

 

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はじめに

エニアグラムは、人間の性格を9つのタイプに分類する性格類型論です。近年、神経科学や心理学の研究者がエニアグラムと脳の活動パターンの関連性について研究を進めています。このテキストでは、科学的研究に基づいたエニアグラムの概要と各タイプの脳科学的特徴について解説します。

一般社団法人コーチング心理学協会では、新しくエニアグラムに関して心理学・脳科学的な側面を重視し、実態に即したアプローチを採用しています。
とくに、ポジティブ心理学との関係につて調査・研究を行って、楽しい視点、わかりやすい視点、実践的な視点をとりいれ、実践してきます。

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エニアグラムの科学的根拠

エニアグラムに関する科学的研究は限られていますが、徐々に増加しています。Hook等(2021)による系統的レビュー研究では、104の独立したサンプルを分析した結果、エニアグラムの信頼性と妥当性について「混合したエビデンス」が得られたと報告されています。エニアグラムの強みとしては:

  • 一部の因子分析研究で従来の理論と部分的な一致が見られた
  • サブスケールがBig Fiveなどの他の性格構造と理論的に一致する関係性を示した
  • 個人的・スピリチュアルな成長に役立ったとする複数の研究結果がある

一方で、限界点としては:

  • 因子分析研究では通常9つの因子(タイプ)すべては抽出されず、9つ未満の因子しか見出されていない
  • ウィングやタイプ間の移動(統合/分裂の矢印)などの二次的理論要素を支持する研究があまり認められないという指摘があります。

Journal of Clinical Psychology, 2021年

エニアグラムと脳の感情システム

Jack Killen博士(2009)とSaleh Vallander医学博士(2023)の研究により、エニアグラムの3つのトライアド(頭・心・体のセンター)がJaak Panksepp博士が同定した脳内の基本的感情システムに対応している可能性が示唆されています。

三つの基本感情システムとエニアグラムの対応

  1. FEAR(恐怖)システム – 頭のセンター(タイプ5,6,7)

    FEAR

    • 目的:危険を察知し、生命の安全を確保する
    • 脳領域:中脳中心灰白質(PAG)、視床下部、扁桃体
    • 基本反応:警戒、逃避、凍結
  2. PANIC/GRIEF(パニック/社会的苦痛)システム – 心のセンター(タイプ2,3,4)
    panic

    • 目的:社会的絆の維持、保護者との関係確保
    • 脳領域:中脳中心灰白質(PAG)、視床、前帯状回
    • 基本反応:社会的つながりの喪失への不安、悲しみ、他者の注意を引く行動
  3. RAGE(怒り)システム – 体のセンター(タイプ8,9,1)

    anger

    • 目的:欲求や目標達成への障害を排除する
    • 脳領域:中脳中心灰白質(PAG)、視床下部、扁桃体
    • 基本反応:自己主張、抵抗、攻撃的防衛

Enneagram Journal, 2009年; OSF Preprints, 2023年

各タイプの脳科学的特徴

頭のセンター(FEAR システム)

タイプ5(調べる人)

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  • 感情調整方法:FEARシステムの抑制・隠蔽
  • 特徴:恐れに対して知識で武装、内側に撤退
  • 脳内処理:恐れを認識しつつも表に出さず、観察と分析に変換
  • 神経生物学的課題:安全感と知的好奇心のバランス

タイプ6(慎重な人・誠実)

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  • 感情調整方法:FEARシステムの維持・表現
  • 特徴:恐れを積極的に認識し、準備と警戒を行う
  • 脳内処理:恐れのシグナルを増幅、予測と計画に活用
  • 神経生物学的課題:適切な警戒レベルの維持
  • 注目点:ネットワーク分析研究によると最も中心性が高いタイプ

タイプ7(楽観主義・熱中する人)

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  • 感情調整方法:FEARシステムの転換・再構成
  • 特徴:恐れから積極的に注意をそらし、楽観性と可能性に焦点
  • 脳内処理:恐れを快楽や冒険への刺激に変換
  • 神経生物学的課題:苦痛からの逃避と快楽の追求のバランス
  • 注目点:ネットワーク分析研究によると健全なパーソナリティへの橋渡し役を果たす

心のセンター(PANIC/GRIEF システム)

タイプ2(助ける人)

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  • 感情調整方法:PANICシステムの転換・再構成
  • 特徴:自分の感情的ニーズを他者への愛と援助へ変換
  • 脳内処理:自身の社会的結合のニーズを他者のケアに転換
  • 神経生物学的課題:自己と他者のニーズのバランス

タイプ3(達成する人)

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  • 感情調整方法:PANICシステムの抑制・隠蔽
  • 特徴:感情的脆弱性や社会的拒絶への恐れを抑え、業績と目標達成に集中
  • 脳内処理:感情よりも行動と成果に注意を向ける
  • 神経生物学的課題:真の自己感覚と社会的承認の統合

タイプ4(個性を求める人)

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  • 感情調整方法:PANICシステムの維持・表現
  • 特徴:感情、特に喪失感や悲しみを深く経験
  • 脳内処理:感情シグナルの増幅、内省と自己表現の強化
  • 神経生物学的課題:感情の深さと社会的機能のバランス

体のセンター(RAGE システム)

タイプ8(統率・挑戦する人)

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  • 感情調整方法:RAGEシステムの維持・表現
  • 特徴:怒りを力と自己主張の源として活用
  • 脳内処理:境界線への侵害に対する強い防衛反応
  • 神経生物学的課題:力の適切な行使と脆弱性の許容

タイプ9(平和をもたらす人)

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  • 感情調整方法:RAGEシステムの転換・再構成
  • 特徴:怒りを回避し、調和と平和を優先
  • 脳内処理:怒りや対立のエネルギーを鈍らせ、受容と調和に変換
  • 神経生物学的課題:健全な自己主張と調和の均衡

タイプ1(完璧・改革する人)

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  • 感情調整方法:RAGEシステムの抑制・隠蔽
  • 特徴:怒りを道徳的判断や理想に昇華
  • 脳内処理:怒りを内部化し、正義と改善へのエネルギーに変換
  • 神経生物学的課題:批判的思考と受容のバランス

神経可塑性とエニアグラムを活用した個人の成長

神経可塑性(ニューロプラスティシティ)とは、人間の脳が生涯を通じて変化し、新しい神経回路を形成できる能力のことです。この概念はエニアグラムの個人成長モデルと密接に関連しています:

  1. 自己認識の拡大: 自分のタイプの反応パターンに気づくことで、自動的な感情反応を認識できるようになります

  2. マインドフルネスの実践: 自動反応を認識して一時停止することで、新たな神経回路の形成が可能になります

  3. 継続的な実践: 新しい行動パターンを練習し続けることで、脳内の神経経路が強化されます

Killen(2009)は「神経科学的観点から見ると、私たちはタイプに関連する感情的・精神的な「習慣」に気づき、それらを意識的に扱う作業を始めると、実際に新しい神経回路を創りだしています。実践と反復使用によって、これらの回路は拡張され、より多様で微妙な感情反応のレパートリーを生物学的に確立するのです」と述べています。

ストレス対応とエニアグラム

2022年のRamos-Veraらの研究によると、エニアグラムタイプとストレス対応の健全なパーソナリティには興味深い関連性が示されています:

  • **タイプ6(忠実型)**は、ネットワーク内の他のタイプへの影響力が最も大きく、最も中心性が高いタイプとして機能
  • **タイプ7(冒険型)**は健全なパーソナリティへの「橋渡し役」として機能
  • タイプ7・8が健全なストレス対処パーソナリティと特に強い関連性を持つ

これらの知見は、特定のタイプがストレス状況下での柔軟性や適応能力において強みを持つ可能性を示唆しています。

Frontiers in Psychology, 2022年

まとめと今後の展望

エニアグラムと脳科学の統合研究はまだ発展途上ですが、以下のような方向性が見えてきています:

  1. エニアグラムの9タイプは、脳の基本的感情システム(FEAR、RAGE、PANIC)への3つの異なる反応パターン(維持・表現、抑制・隠蔽、転換・再構成)に基づいている可能性がある

  2. 神経科学の視点から見ると、タイプは固定的な特性ではなく、神経可塑性によって変化・成長が可能な脳内処理パターンを表している

  3. エニアグラムを自己認識の道具として活用することで、より適応的な感情調整と行動パターンの発達が促進される可能性がある

  4. 今後の研究では、脳イメージングなどの技術を用いた各タイプの神経学的特徴の検証が有効かもしれない

エニアグラムは単なる性格類型論を超え、人間の脳と行動の複雑な相互関係を理解するための有用な枠組みを提供する可能性を秘めています。

今後の科学的検証によって、その理論的基盤と実践的応用がさらに発展することが期待されます。

参考文献

  1. Hook, J. N., Hall, T. W., Davis, D. E., Van Tongeren, D. R., & Conner, M. (2021). The Enneagram: A systematic review of the literature and directions for future research. Journal of Clinical Psychology, 77(4), 865-883.

  2. Killen, J. (2009). Toward the neurobiology of the Enneagram. The Enneagram Journal, 2(1), 40-61.

  3. Vallander, S. (2023). A Neuroscientific View on the Enneagram of Personality. OSF Preprints.

  4. Ramos-Vera, C., Barrientos-Sánchez, A., Serpa-Barrientos, J., & Bretón-Lopez, J. C. (2022). Enneagram typologies and healthy personality to psychosocial stress: A network approach. Frontiers in Psychology, 13, 1051271.

  5. Sutton, A., Allinson, C., & Williams, H. (2013). Personality type and work-related outcomes: An exploratory application of the Enneagram model. European Management Journal, 31(3), 234-249.

  6. Panksepp, J., & Biven, L. (2012). The archaeology of mind: Neuroevolutionary origins of human emotions. W.W. Norton & Company.

投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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