桜梅桃李と進化心理学コーチング

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桜梅桃李と進化心理学コーチング

|自分らしさを科学で解き明かす

あなたは今、誰かと自分を比べて苦しくなったことはありませんか?

 

SNSを開くたびに輝いている他人が目に入り、「なぜ自分はこんなに平凡なんだろう」と落ち込む。職場では「あの人みたいにできたらいいのに」と焦りを感じてしまう。

そんなあなたにこそ、知ってほしい言葉があります。

それが「桜梅桃李(おうばいとうり)」です。

 

桜は桜らしく咲き、梅は梅らしく香り、桃は桃らしく実り、李(すもも)は李らしく輝く。それぞれが「自分という花」を咲かせることこそが、あるべき姿だ——という古い教えです。

 

この言葉が、現代の「進化心理学コーチング」と結びついたとき、「自分らしく生きる」ことへの全く新しい視点が生まれます。この記事では、その考え方をわかりやすくご紹介します。

 

1|桜梅桃李とは?——比べることの「罪」と「救い」

 

「桜梅桃李」は、東洋の仏教をルーツとしているとされています。それぞれの衆生が自己の人間性を開くという意味を持ちますが、現代的に解釈すると非常にシンプルです。

 

「桜梅桃李」の現代的な意味

 

桜が梅になろうとしても無意味。

梅が桃を羨んでも花は変わらない。

あなたが「あなた以外の何か」になろうとする必要は、そもそもない。

 

自分のままで咲けば、それが最高の花になる。

 

この考え方、実は現代の心理学研究とも深く一致しています。「比較」による自己評価は私たちを不幸にするという研究結果が次々と報告されており、SNS時代においてはその影響がさらに深刻化しています。

では、なぜ人は比べてしまうのでしょうか? ここで登場するのが「進化心理学」の視点です。

 

2|進化心理学が教える「比べたがる脳」の正体

 

進化心理学とは、人間の心理・行動を「進化の歴史」から読み解く学問です。私たちの脳は、現代社会ではなく「数万年前のサバンナ」で生き延びるためにデザインされています。

 

なぜ人は他者と比べるのか

狩猟採集時代、人間は少人数のグループで生きていました。そのグループ内での「自分の立ち位置」を把握することは、生死に直結していました。地位の高い者は食料や繁殖機会を多く得られ、低い者は追い出されるリスクがありました。

 

だから脳は「自分は集団の中で何番目か?」を常に計算するようになった——これが「社会的比較」の本能です。

 

進化心理学から見た比較行動の3つの理由

 

1. 生存のための地位評価:グループ内でのポジションを常に確認する本能

2. 脅威の早期検知:「自分より優れた存在」に敏感になることで危険を回避

3. 模倣による学習:成功している他者を観察し、行動を改善する学習戦略

 

つまり「比べてしまう自分」は、ダメな人間だからではありません。それは何万年もかけて脳に刻み込まれた、生存戦略なのです。

 

ただし——問題があります。私たちの脳は今も「150人程度の小さな村」を想定して動いています。SNSで何万人もの「人生のハイライト」を浴び続けるように設計されていないのです。

 

3|進化心理学コーチングとは何か

 EvolutionaryPsychologyCoaching

「進化心理学コーチング」は、人間性を理解して,人間行動の進化的な背景を踏まえた上で、より良い自己変容を促すコーチングアプローチです。

 

従来のコーチングとの違い

多くのコーチングでは「なぜできないのか」「意識を変えよう」「行動しよう」という働きかけをします。しかし進化心理学コーチングでは、まず「その行動・感情がなぜ生まれるのか」を人間の本質,生物学的・進化的に理解することから始めます。そして,人間としての進化を検討していきます。人間の本質を理解したうえで,困難な出来事を乗り越えていきます。

 

進化心理学コーチングの3ステップ

 

STEP 1|理解(なぜそう感じるのか?)

感情や行動を「進化の産物」として捉え、自己批判をなくす

 

STEP 2|洞察(自分の「本来の強み」はどこか?)

遺伝・気質・環境から形成された独自の適性を発見する

 

STEP 3|再設計(その強みを今の環境に活かす)

古い脳の仕様を理解した上で、現代に合った行動習慣を作る

 

4|桜梅桃李 × 進化心理学——「自分の花」を咲かせる実践法

 

ここからは、二つの考え方を統合した具体的な実践をご紹介します。

 

ステップ1:「比べる自分」をまず許す

「またSNSを見て落ち込んでしまった」と自己嫌悪に陥る必要はありません。それはあなたの脳が正常に機能している証拠です。

進化心理学コーチングでは、まずこの「本能的な比較衝動」を責めることなく認めます。「そうか、私の脳はまだ石器時代にいるんだな」と、少し笑い飛ばしてみてください。

 

ステップ2:「どんな花か」を観察する

桜梅桃李の教えは「自分がどんな花か知ること」から始まります。進化心理学的に見ると、人それぞれに異なる「適応的な強み」があります。

 

以下の問いに答えてみましょう。

 

  • 時間を忘れて没頭できることは何か?
  • 褒められたことがあるが、自分では「大したことない」と思っていることは?
  • 他の人が苦手なことで、自分には自然にできることは?
  • 疲れているのに不思議とエネルギーが湧いてくる場面はいつか?

 

これらの答えの中に、あなたの「桜梅桃李」が隠れています。

 

ステップ3:比較の「軸」を変える

他者との比較を完全にやめることは、脳の仕様上ほぼ不可能です。だとすれば、比較の「軸」を変えることが有効です。

 

比較の軸を変える3つのシフト

 

「他者との比較」「過去の自分との比較」

「結果の比較」「成長プロセスの比較」

「弱点の比較」「強みの比較」

 

「昨日の自分より今日の自分はどうか」——この問いだけが、あなたを本当に前に進ませます。

 

5|この考え方が、あなたの人生を変える理由

 

「桜梅桃李」という古い教えと、最新の進化心理学が指し示すのは、同じ結論です。

 

「あなたはすでに、そのままで完成している」

 

問題は、他の花を羨んで自分の根を枯らしていることです。

あなたの花は、あなたにしか咲かせられません。

 

進化心理学コーチングは、この「自分の花」を科学的に発見し、育てるプロセスを支援します。「自分らしさ」は根性や気合いで生まれるものではなく、あなたの遺伝・経験・価値観が生み出した、唯一無二の適応の形です。

 

比べることをやめるより、「比べても揺るがない自分軸」を持つこと。それが、進化心理学コーチングが目指すゴールです。

 

まとめ:今日からできること

 

この記事でお伝えしたことを振り返ります。

 

  • 「比べてしまう自分」は,人間性の一つであり,脳の本能であり、責める必要はない(進化心理学の視点)
  • 桜梅桃李は「あなたにしか咲かせられない花がある」という普遍的な真理
  • 自分の「強み・没頭・自然にできること」を観察するところから始める
  • 比較の軸を「他者 vs 自分」から「昨日の自分 vs 今日の自分」に変える
  • 進化心理学コーチングは、その科学的な土台を提供してくれる

 

「桜梅桃李」——あなたはどんな花ですか?

 

まだ知らなくて大丈夫。まずは「自分の花」を探す一歩を、今日踏み出してみてください。

 

よくある質問(FAQ

 

Q. 進化心理学コーチングはどのように実施するのですか?

  1. 進化心理学は,人の進化に基づいた心理学とされています。人間の本質を理解しながら,適合の視点でコーチングを実施していきます。まず,自分という人間性を理解しながら,自分はこの時代で,どのようん進化していけばよいか検討します。

 

Q. 「自分らしさ」がまだわかりません。どうすればいいですか?

  1. それは当然のことです。桜の木も、最初から「私は桜だ」とは知りません。季節を重ねてはじめて花が咲く。まず「好き・得意・没頭」を書き出す習慣から始めてみましょう。自分らしいものが見つからなくても,可能性のありそうなものを選択してみましょう。もしかしたら,当たり前になってしまっている可能性もあるため,自分が好きでやってきたことに注目してみるのがよいかもしれません。

 

Q. 桜梅桃李と進化心理学は、どう関係しているのですか?

  1. どちらも「人は生まれながらに固有の特性を持っている」という前提に立っています。桜梅桃李はその哲学的・精神的な表現で、進化心理学はその科学的・生物学的な根拠です。両者は相互補完的に機能します。

 

この記事が、あなたの「桜梅桃李」を見つける一助になれば嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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