知っていることよりもできることが重要 

MarshallG

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「知っていることよりも,できることが重要。」(マーシャル・ゴールドスミス),また,「知識は正しく活用できることが重要」(ソクラテス)に。

動画やAI,通信講座など知っている人は増えていますが,「知っていることと,できること」は,違うので気をつけておきたいです。もちろん知っていることは大切ですが,行動を起こせるかが重要です。例えば,感謝・愛情・思いやりも思っているだけ,実践しなければ相手に伝わりません。

当協会が,通信講座や動画ではなく,実践をこだわるのはその理由があるためです。

マーシャル・ゴールドスミスが指摘する「knowing-doing gap(知行ギャップ)」は、現代社会で最も見過ごされている課題の一つです。情報があふれる時代だからこそ、私たちは「知っている」ことで満足してしまい、「できる」ようになるまでの困難な道のりを避けてしまいがちです。

なぜ「知っている」だけでは不十分なのか

1. 知識は静的、スキルは動的 書籍や動画で得た知識は、脳内に蓄積された情報に過ぎません。一方、「できる」ということは、状況に応じて適切に判断し、タイミングよく行動できる動的な能力です。自転車の乗り方を本で読んでも乗れないように、多くのスキルは実践なしには身につきません。

2. 環境と文脈への適応 実際の場面では、教科書通りにはいきません。予期せぬ状況、感情的なプレッシャー、時間的制約など、様々な要因が絡み合います。実践を通じてのみ、こうした複雑な状況への対応力が磨かれます。

3. 身体的・感覚的な学習 コーチングや問いの技術は、相手の反応を感じ取り、瞬時に調整する感覚的なスキルです。これは頭で理解するだけでなく、身体レベルで染み込ませる必要があります。

ソクラテスの視点:知識の正しい活用

ソクラテスが強調したのは、知識そのものよりも「知恵(wisdom)」の重要性でした。知識を持つことと、それを適切な場面で適切に使えることは別物です。

ソクラテス

  • タイミングの判断:いつその知識を使うべきか
  • 程度の調整:どの程度まで適用すべきか
  • 相手への配慮:誰に対してどのように伝えるか
  • 状況の見極め:その場に本当に必要な知識は何か

実践へのこだわりが生む変化

反復による内在化 何度も繰り返すことで、意識的な努力なしに自然と行動できる「第二の天性」になります。問いのスキルも、練習を重ねることで、考えなくても適切な質問が口をついて出るようになります。

フィードバックループ 実践では即座にフィードバックが得られます。うまくいったか、相手がどう反応したか、何を改善すべきか。この学習サイクルこそが、真の成長を促します。

失敗からの学習 動画や講座では失敗を経験できません。しかし、実際に試して失敗し、そこから学ぶプロセスこそが、深い理解と応用力を生みます。

現代の落とし穴:知識消費の罠

SNSや動画プラットフォームの発達により、私たちは「学んだ気になる」ことが容易になりました。次々と新しい情報を消費し、「知っている」ことのコレクションは増えますが、実際に「できる」ことは増えていない——これが現代人の共通する課題です。

実践者であり続けるために

あなたが実践にこだわる理由は、まさにこの本質を理解しているからでしょう。真の価値は、知識を行動に変え、それによって具体的な結果を生み出すことにあります。

問いのスキルも同様です。良い質問の種類を知っていることと、相手の成長を促す適切な問いを適切なタイミングで投げかけられることの間には、何百時間もの実践経験という隔たりがあります。

知識は出発点に過ぎません。そこから「できる」へ、そして「自然とできる」へと進化させていく——その旅路にこそ、本当の学びと成長があるのです。

 

投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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