平和主義(人間関係重視)のエニアグラム心理学(タイプ9) 〜人との繋がりを大切にしながら、自分らしく成長するための心理学的アプローチ〜
平和主義(人間関係重視)のコーチング心理学 エニアグラム心理学
〜人との繋がりを大切にしながら、自分らしく成長するための心理学的アプローチ〜
📌 キーワード:コーチング心理学 / 平和主義 / 人間関係 / 自己成長 / コミュニケーション / エニアグラム タイプ9
対象:人間関係に悩む方、コーチングに興味のある方

エニアグラム心理学では,各タイプについて心理学的な視点でパーソナリティを紐解きます。
はじめに:平和主義(エニアグラム・タイプ9)の方は「穏やかさ」は弱さではなく、最大の強み
「自分の意見を言うのが苦手…」「つい周りに合わせてしまう…」「争いごとが嫌で、つい黙ってしまう」——そんなふうに感じたことはありませんか?
もしあなたがそう感じているなら、それはあなたが「平和主義」の傾向を持っているからかもしれません。そして実は、その「穏やかさ」や「調和を大切にする心」こそが、コーチング心理学において非常に重要な資質として注目されています。
このブログでは、「平和主義(人間関係重視型)」の視点から見たコーチング心理学について、わかりやすくお伝えします。自分自身の強みを活かしながら、人間関係をより豊かにし、自分らしく成長するためのヒントをお届けします。
1. コーチング心理学とは何か? 基礎をやさしく解説
コーチング心理学の定義
コーチング心理学(Coaching Psychology)とは、心理学の理論や手法をベースにしながら、個人の目標達成・自己成長・ウェルビーイング(幸福感)の向上をサポートする実践的な心理学の一分野です。
一般的な「コーチング」と違うのは、しっかりとした科学的根拠(エビデンス)に基づいている点です。ポジティブ心理学、認知行動療法(CBT)、自己決定理論など、さまざまな心理学の知見を組み合わせて活用します。
| 【コーチング心理学の3つの特徴】
① 答えは「自分の中」にある:コーチは答えを教えるのではなく、クライアント自身が答えを見つけられるようサポートする ② 未来志向・強みベース:問題の原因追求より、これからどうしたいかに焦点を当てる ③ 対話による気づき:質問や対話を通じて、自分では気づけなかった視点や可能性を発見する |
心理療法との違いは?
コーチング心理学は心理療法(カウンセリング)とよく混同されますが、大きな違いがあります。心理療法が「過去の傷や問題の治癒」に焦点を当てるのに対し、コーチング心理学は「現在から未来への成長と最適化」に焦点を当てます。
つまり、今の自分を起点に「もっとよくなりたい」「もっと充実した関係を築きたい」という方にこそ、コーチング心理学のアプローチは強力な力を発揮します。
2. 平和主義(人間関係重視)とはどんな気質か
エニアグラム タイプ9「平和主義」との共通点
「平和主義」と聞いて、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。心理学的なパーソナリティ分類の一つである「エニアグラム」では、タイプ9が「平和主義・仲介者(Peacemaker)」として知られており、まさに平和主義的な人間関係重視の傾向を持っています。
タイプ9の人々は、争いを避け、周囲との調和を大切にします。他者の感情に敏感で、誰かが悲しんでいるとそれを感じ取り、自然と助けようとします。その共感力の高さは、コーチとして非常に重要な資質です。
平和主義の人が持つ3つの強み
- 高い共感力:相手の気持ちを深く理解し、安心感のある関係を築くのが得意
- 調整力・まとめる力:対立する意見を穏やかにすり合わせ、合意点を見つけるのが上手
- 忍耐力・傾聴力:じっくりと相手の話を聞き、急かさず寄り添うことができる
平和主義の人が抱えやすい課題
一方で、平和主義の人にはよくある「悩みのパターン」も存在します。これを理解することが、コーチング心理学を活用するうえで非常に重要です。
- 自分の意見を後回しにしすぎてしまう
- 断れずに疲弊してしまう(いわゆる「NO」が言えない)
- 他者の感情に引きずられ、自分軸を見失いやすい
- 決断を先延ばしにする傾向がある
これらは「欠点」ではなく、強みの裏返しです。コーチング心理学では、こうした課題を「成長の扉」として捉えます。
3. 平和主義のためのコーチング心理学:5つのアプローチ
① 自己決定理論(SDT)で「自分の声」を取り戻す
心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した「自己決定理論(Self-Determination Theory)」は、人間が真に動機づけられるために必要な3つの心理的欲求を示しています。
| 【自己決定理論の3つの欲求】
① 自律性(Autonomy):自分で選択・決定したいという欲求 ② 有能感(Competence):自分には能力があるという感覚 ③ 関係性(Relatedness):人と繋がりたいという欲求 |
平和主義の方は特に「関係性」の欲求が強いため、人の期待に応えようとして「自律性」を犠牲にしがちです。コーチング心理学では、関係性を大切にしながらも、自分の選択・自分の声を尊重するバランスを育むことを目指します。
コーチングセッションでは「あなたは本当はどうしたいですか?」「もし誰も気にしなければ、あなたの答えは?」といった質問を通じて、自分の内なる声を引き出していきます。
② ポジティブ心理学で「強み」にフォーカスする
マーティン・セリグマン博士が提唱したポジティブ心理学では、人の欠点を直すより「強みを活かす」ことで幸福感と生産性が向上することが研究で示されています。
VIA(Values In Action)強み診断などを活用すると、平和主義の方が持つ「思いやり」「公平さ」「スピリチュアリティ(意味・目的の感覚)」などの強みが可視化されます。自分の強みを知ることで、自己肯定感が高まり、「私にはこんな力がある」という安心感が生まれます。
③ アクティブ・コンストラクティブ・レスポンディング(ACR)で関係を深める
コーチング心理学の人間関係アプローチの中で特に注目されているのが、シェリー・ゲーブル博士の「積極的・建設的反応(ACR: Active-Constructive Responding)」です。
誰かが良いニュースを伝えてきたとき、どう反応するかによって、関係の質が大きく変わるという研究があります。たとえば友人が「昇進した!」と伝えてきたとき……
| ✅ 積極的・建設的反応(関係が深まる):「すごい!どんな気持ち? どんな努力が実ったの?」と喜びを一緒に味わう
⚠ 消極的・建設的反応:「よかったね」と短く流す ⚠ 積極的・破壊的反応:「大変になりそうだね」と不安を植え付ける ❌ 消極的・破壊的反応:「ふーん」と無関心 |
平和主義の方はすでに相手を傷つけないよう配慮するため、「消極的・建設的」になりがちです。ACRを意識することで、もっと積極的に喜びを共有し、関係がさらに深まります。
④ 非暴力コミュニケーション(NVC)で「相手の気持ち」を捉え,「自分の気持ち」を伝える
マーシャル・ローゼンバーグが開発した「非暴力コミュニケーション(NVC: Nonviolent Communication)」は、平和主義の方に特におすすめの対話手法です。
NVCでは、相手を責めたり自分を犠牲にしたりすることなく、誠実に気持ちとニーズを伝えることを学びます。4つのステップで構成されています。
| 【NVCの4ステップ】
Step 1 【観察】事実をそのまま伝える:「あなたが会議に遅れてきたとき」 Step 2 【感情】相手の状況を聴き,自分の気持ちを伝える:「先ほどは,遅刻されましたが,どうされましたか?」「私は不安になりました?」 Step 3 【ニーズ】自分が大切にしていることを伝える:「なぜなら、チームで準備を整えたかったから」 Step 4 【リクエスト】具体的にお願いする:「次回は5分前までに来てもらえますか?」 |
このアプローチは、争いを避けながらも自分の意見をしっかり伝えるという、平和主義の方が求めていた「理想の対話法」そのものと言えます。
⑤ マインドフルネスで「今ここ」に安心を見つける
平和主義の方は、他者の感情に敏感なため、「あの人、怒っていないかな」「嫌われたかもしれない」という不安が頭をよぎりやすい傾向があります。そこで役立つのがマインドフルネスです。
マインドフルネスとは、「今この瞬間に、判断せずに意識を向ける」練習です。コーチング心理学では、セッションの冒頭に短いマインドフルネス瞑想を取り入れることで、クライアントが「今の自分」に立ち返れるよう支援します。
日常でも1日5〜10分、呼吸に意識を向けるだけで、不安に振り回されにくくなり、自分の本音に気づきやすくなります。
4. 平和主義コーチング心理学の実践例:よくある場面別ガイド
【職場で】意見が言えないとき
「上司に反論したいけど、空気を悪くしたくない」——平和主義の方に多い悩みです。
コーチング心理学的アプローチ:まず「自分の意見を言わないとどうなるか?」を自分に問いかけます。長期的に自分が疲弊するなら、それは本当の平和ではありません。NVCの手法を使い「私はこう思うのですが、いかがでしょうか?」と柔らかく、しかし確かに伝える練習をします。
【友人・パートナーとの関係で】断れないとき
「友人の頼みを断ったら、嫌われそう」——これは平和主義の方の典型的な思考パターンです。
コーチング心理学的アプローチ:「相手を大切にするためには、まず自分を大切にする必要がある」という自己認知を育てます。断ることは相手を傷つけることではなく、正直な関係を築くための誠実さであると理解することが、大きな一歩となります。
【自己成長において】目標を決められないとき
「やりたいことが多すぎる、または何がしたいかわからない」——自分より他者を優先してきた平和主義の方に多い状態です。
コーチング心理学的アプローチ:「もし時間もお金も気力も全部あったら、何をしたい?」という問いからスタートします。制約を取り除いた問いが、眠っていた「本当のやりたいこと」を引き出します。
5. 平和主義の人が「コーチ」になるとどうなるか?
実は、平和主義の気質を持つ人は、コーチとして非常に優れた資質を持っています。なぜなら、コーチングの核心は「傾聴」と「共感」にあるからです。
平和主義の方が持つ自然な傾聴力・共感力・調和を大切にする姿勢は、クライアントに「この人なら安心して話せる」という信頼感を与えます。これはコーチとして最も重要な土台です。
| 【平和主義のコーチが持つ自然な強み】
● クライアントの感情の機微を敏感に察知できる ● 急がず、じっくりと相手のペースに合わせて関われる ● 判断せずに話を聞く「ニュートラルな場」を自然につくれる ● 複数の視点から状況を見るバランス感覚がある |
ただし、コーチとして成長するためには「自分の境界線(バウンダリー)」を持つことも学ぶ必要があります。クライアントの感情に飲み込まれすぎず、程よい距離感でサポートする力——これがプロのコーチとしての成熟です。
6. コーチング心理学を日常に取り入れる:5つの習慣
特別なセッションがなくても、日常の中でコーチング心理学のエッセンスを取り入れることができます。
- 【習慣1】毎朝「今日、自分はどうしたい?」と自分に聞く:他者ではなく自分の意思に耳を傾ける1分間の習慣
- 【習慣2】感情日記をつける:今日感じた感情を言語化することで、自分の気持ちに気づく力が育つ
- 【習慣3】誰かの良いニュースに積極的・建設的に反応する:「ACR」を意識した会話を1日1回試みる
- 【習慣4】1日5分のマインドフルネス呼吸:不安が浮かんだとき「今ここ」に戻るアンカーをつくる
- 【習慣5】「ありがとう」と「お願い」を具体的に伝える:漠然とした感謝ではなく「〇〇してくれたから助かった」という具体的な言葉で関係を深める
まとめ:平和主義は、最も人間らしいコーチングの源
平和主義(人間関係重視)の傾向は、長年「弱さ」や「優柔不断さ」として自分を責める理由になってきたかもしれません。しかし、コーチング心理学の視点から見れば、それはまったく逆です。
調和を大切にする心、他者への深い共感、人との繋がりを何より重視する姿勢——これらはすべて、人間が豊かに生きるための根本的な力です。
コーチング心理学は、あなたにその力をさらに活かす「土台」と「スキル」を与えてくれます。自分を犠牲にすることなく、しかし人との関係を大切にしながら成長できる——それが、平和主義のためのコーチング心理学が目指す姿です。
あなたの「穏やかさ」は、世界にとって必要な力です。その力を、ぜひ自分のためにも使ってみてください。
| 📌 この記事のポイントまとめ
① コーチング心理学は科学的根拠に基づく「成長支援の心理学」 ② 平和主義の強み(共感力・傾聴力・調和)はコーチングの核心と一致する ③ 自己決定理論・ポジティブ心理学・NVC・ACR・マインドフルネスが有効なアプローチ ④ 日常の小さな習慣からコーチング心理学を実践できる ⑤ 平和主義の気質はコーチとして最高の資質になりうる |
よくある質問(FAQ)
Q1. コーチング心理学とカウンセリングの違いは何ですか?
コーチング心理学は「現在〜未来の成長と目標達成」に焦点を当て、カウンセリングは「過去のトラウマや問題の治癒」を主な目的とします。精神的な不調がある場合はカウンセリングが適切ですが、「もっとよくなりたい」「人間関係を豊かにしたい」という方にはコーチング心理学が有効です。
Q2. 平和主義の人はコーチングに向いていますか?
非常に向いています。コーチングに最も必要な「傾聴力」「共感力」「ジャッジしない姿勢」は、平和主義の方が自然に持っている資質です。境界線を学ぶことで、さらにプロとして成熟できます。
Q3. コーチング心理学を独学で学べますか?
基礎的な概念(NVC、ポジティブ心理学、マインドフルネスなど)は書籍やオンライン講座で学べます。ただし、実際のスキルを磨くには、認定コーチングプログラムや実践(エニアグラム心理学コーチング)への参加が推奨されます。
Q4. 「争いが嫌いで意見を言えない」のをコーチングで変えられますか?
はい。コーチング心理学では「意見を言わない」のではなく「相手を尊重しながら伝える力」を育てます。NVCや自己決定理論のアプローチを通じて、自分も相手も大切にした対話が少しずつできるようになります。
Q5. エニアグラム タイプ9以外の平和主義の人にも役立ちますか?
もちろんです。「平和主義・人間関係重視」は特定のタイプに限らず、多くの方が持つ傾向です。ビッグファイブ性格モデルの「協調性(Agreeableness)」が高い方、HSP(高敏感者)の方などにも本記事のアプローチは有効です。
Q1.一般社団法人コーチング心理学協会では,「平和主義(人間関係)」や「エニアグラム心理学」について学べますか?
はい、コーチング心理学協会では,心理学に基づいた探究を行っており,心理学的な視点で「平和主義」や「エニアグラム心理学」を学ぶことが出来ます。科学的・現代的な視点でエニアグラムの理論を紐解き,実践・研究を行っています。各講座も工夫して,楽しめるようなツールやアプリなどを活用しています。ぜひ,体験してみていただければ幸甚です。
Q2. 一般社団法人コーチング心理学協会では,「平和主義(人間関係)」,「心理的安全性」に関する団体研修・法人研修などを実施してますか?(新入社員・中途社員・管理職研修など)
はい,実施しております。もしご希望でしたら,お問い合わせまでご連絡をいただければ幸甚です。
各組織や会社によって異なりますので,内容に合わせて対応いたしますの。協働で研修なども可能です。
お問い合わせまでご連絡をいただければ幸甚です。
https://www.coaching-psych.com/contact/
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執筆:コーチング心理学ブログ編集部 | 最終更新:2025年
関連タグ:#コーチング心理学 #平和主義 #人間関係 #自己成長 #エニアグラム #NVC #マインドフルネス #ポジティブ心理学
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投稿者プロフィール

- 徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。




