フィードバックの効果 教育・学習編
フィードバックは学習やパフォーマンス向上において非常に強力な影響を持ちますが、その効果はフィードバックの種類や与え方によって大きく異なります。効果的なフィードバックは、学習成果や行動の改善に中程度から大きな効果をもたらしますが、内容やタイミング、個人の特性によってその効果は変動します。
コンテンツ一覧
フィードバックの主な効果
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学習成果の向上
フィードバックは学習成果に中程度の効果(効果量d=0.48〜0.80)をもたらします。特に認知的・運動的スキルの向上に強い効果が見られますが、動機づけや行動面への影響は比較的小さいです(Timperley & Hattie, 2007; Zierer et al., 2020; Bernard & Azevedo, 1995)。 -
内容の違いによる効果
説明を伴う詳細なフィードバック(elaborated feedback)は、単なる正誤や正解提示よりも高次の学習成果に大きな効果をもたらします(Feskens et al., 2013; Bernard & Azevedo, 1995)。 -
タイミングの重要性
即時フィードバックは基礎的な学習に、遅延フィードバックは高次の学習に効果的です。ただし、タイミングと学習内容の相互作用は限定的です(Feskens et al., 2013; Kulik et al., 1991)。
フィードバックの与え方と個人差
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パーソナライズと文脈
個別化されたフィードバックは、特に対面型授業で第一世代大学生など特定の集団に大きな効果を示します(Aucejo & Wong, 2025)。 -
感情・動機づけへの影響
フィードバックは高成績者のモチベーションや感情を高めますが、低成績者には逆効果となる場合もあります。フィードバックの形式(色・音・アニメーションなど)は感情的な反応を緩和することがあります(Lindner & Kuklick, 2021)。 -
行動や倫理への影響
フィードバックの期待や実際の受け取り方が、誠実さや嘘の行動にも影響を与えることが示されています(Ben-Ner & Hu, 2020)。
フィードバックの効果に影響する要因(簡易表)
| 要因 | 効果の傾向 | 引用 |
|---|---|---|
| 内容の詳細さ | 詳細な説明付きが最も効果的 | (Feskens et al., 2013; Bernard & Azevedo, 1995) |
| タイミング | 即時:基礎学習、遅延:高次学習 | (Feskens et al., 2013; Kulik et al., 1991) |
| 個人の特性 | 高成績者に有効、低成績者には注意必要 | (Lindner & Kuklick, 2021) |
| パーソナライズ | 特定集団(例:第一世代学生)に有効 | (Aucejo & Wong, 2025) |
まとめ
フィードバックは学習や行動の改善に大きな効果を持ちますが、その効果を最大化するには内容、タイミング、個人の特性に配慮した設計が重要です。特に説明を伴う詳細なフィードバックや個別化されたアプローチが効果的です。
References
Timperley, H., & Hattie, J. (2007). The Power of Feedback. Review of Educational Research, 77, 112 – 81. https://doi.org/10.3102/003465430298487
Zierer, K., Wisniewski, B., & Hattie, J. (2020). The Power of Feedback Revisited: A Meta-Analysis of Educational Feedback Research. Frontiers in Psychology, 10. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.03087
Feskens, R., Eggen, T., & Van Der Kleij, F. (2013). Effects of Feedback in a Computer-Based Learning Environment on Students’ Learning Outcomes. Review of Educational Research, 85, 475 – 511. https://doi.org/10.3102/0034654314564881
Aucejo, E., & Wong, K. (2025). The effect of feedback on student performance. Journal of Public Economics. https://doi.org/10.1016/j.jpubeco.2024.105274
Ben-Ner, A., & Hu, F. (2020). The effects of feedback on lying behavior: Experimental evidence. Journal of Economic Behavior and Organization, 171, 24-34. https://doi.org/10.1016/j.jebo.2019.12.019
Kulik, J., Morgan, M., Bangert-Drowns, R., & Kulik, C. (1991). The Instructional Effect of Feedback in Test-Like Events. Review of Educational Research, 61, 213 – 238. https://doi.org/10.3102/00346543061002213
Lindner, M., & Kuklick, L. (2021). Computer-Based Knowledge of Results Feedback in Different Delivery Modes: Effects on Performance, Motivation, and Achievement Emotions. Contemporary Educational Psychology. https://doi.org/10.1016/j.cedpsych.2021.102001
Bernard, R., & Azevedo, R. (1995). A Meta-Analysis of the Effects of Feedback in Computer-Based Instruction. Journal of Educational Computing Research, 13, 111 – 127. https://doi.org/10.2190/9LMD-3U28-3A0G-FTQT
投稿者プロフィール

- 徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。
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