社会的ウェルビーイングコーチング入門 認定資格取得の参考に
**社会的ウェルビーイング(Social Well-being)**とは、個人が社会とのつながりの中で良好な関係を築き、充実した生活を送ることを指します。これは、単なる個人の幸福ではなく、コミュニティや社会全体の調和を含む概念です。
ここでは、社会的ウェルビーイングを活用したコーチングについて検討していきたいと思います。

主な提唱者 コーリー・キーズ(Corey Keyes)は、社会的ウェルビーイングの研究で知られる心理学者・社会学者。
研究は、個人の幸福と社会とのつながりの重要性を強調しています。
以下は、理論を反映した名言の一例です:
- 「幸福とは、個人の内面だけでなく、社会とのつながりの中で育まれるものである。」
- 「精神的健康とは、単に病気がないことではなく、社会的な充実感があることである。」
- 「人は社会の中で成長し、他者との関係を通じて自己を見出す。」
- 「社会的ウェルビーイングは、個人の幸福と社会全体の調和のバランスによって成り立つ。」
キーズの研究は、社会的統合・貢献・受容・実現・一貫性の5つの要素を軸に、個人と社会の関係性を深く探求しています。
社会的ウェルビーイング(社会的幸福)は、個人や集団が社会の中でどれだけ良好に機能し、満足感やつながり、貢献感を持って生きているかを示す概念です。社会的ウェルビーイングは、他者や社会との関係性、社会的役割の充実、社会的支援の有無など、多面的な要素から成り立っています。
コンテンツ一覧
主な構成要素
-
社会的統合:社会の一員としての一体感やつながりを感じること
-
社会的貢献:自分が社会に価値をもたらしているという実感
-
社会的受容:他者や社会を肯定的に受け入れる態度
-
社会的適応・支援:人間関係や社会的役割への満足度、周囲からの支援の有無
-
社会的発展:社会や自分自身がより良くなっていくという希望や信念(Keyes, 1998; Larson, 1993; Dunaeva, 2018)
個人と社会の両面
-
個人の社会的ウェルビーイングは、自己評価や社会的地位、性格、育ち、価値観などに影響されます(Stepanova, 2024; Jackson-Nevels et al., 2022)。
-
社会全体のウェルビーイングは、社会的公正、格差の解消、弱者支援、教育や健康、家族の安定などが重要です(Stepanova, 2024; Afanas’eva et al., 2024; Jackson-Nevels et al., 2022)。
社会的ウェルビーイングを高める要因
-
- 家族や友人、地域、職場などの強い社会的つながり
- コミュニティへの参加や信頼関係
- 経済的安定、教育、健康、自己実現の機会(Helliwell & Putnam, 2004; Regan et al., 2022; Jackson-Nevels et al., 2022)
| 社会的ウェルビーイングの側面 | 内容例 | 参考文献 |
|---|---|---|
| 社会的統合 | 社会の一員としての一体感 | Keyes (1998); Stepanova (2024) |
| 社会的貢献 | 社会への価値提供 | Keyes (1998); Dunaeva (2018) |
| 社会的支援 | 人間関係の満足・支援 | Larson (1993); Helliwell & Putnam (2004) |
| 社会的公正 | 格差解消・弱者支援 | Stepanova (2024); Afanas’eva et al. (2024) |
社会的ウェルビーイング(Social Well-Being)の5つの構成要素と、それぞれに該当するポジティブな項目(+)を1つの表に統合して整理しました:
社会的ウェルビーイングの従来の構成とポジティブ項目一覧
| 構成要素 | ポジティブな内容(+) |
|---|---|
| 社会的理解 Social Coherence |
・世界を理解することには価値があると感じる ・社会で起こることを予測しやすいと感じる |
| 社会的実現 Social Actualization |
・社会は進化し続けていると感じる ・社会は人々が暮らすのに生産的な場所だと思う ・世界はより良くなっていると感じる |
| 社会的統合 Social Integration |
・自分はコミュニティの大切な一員だと感じる ・コミュニティの人々と親密なつながりを感じる ・コミュニティは安心感を与えてくれる |
| 社会的貢献 Social Contribution |
・自分には世界に提供できる価値があると感じる ・自分の活動は社会に貢献していると感じる |
| 社会的受容 Social Acceptance |
・人々は親切であると信じている ・人は他人の問題に関心を持っている ・見返りを求めない親切が存在すると感じる |
社会的ウェルビーイングとコーチング心理学の関係
社会的ウェルビーイングとコーチング心理学の関係について、概要と実践的な視点を考えてみましょう。
コーチング心理学は、社会心理学を活用し、特にコミュニケーション、リーダーシップ、集団心理、場の理論、パーソナリティ特性などに関わります。
以下に、社会的ウェルビーイングとコーチング心理学の関係について、概要と実践的な視点を整理した表をまとめました。
社会的ウェルビーイングと社会心理学、コーチング心理学の関係
| 社会心理学 | 社会的ウェルビーイングの視点 | コーチング心理学での応用 |
|---|---|---|
| コミュニケーション(Communication) | 社会的つながりを強化し、対話を通じて信頼関係を構築する | アクティブリスニングや共感的対話を促進し、効果的なフィードバックを提供する |
| リーダーシップ(Leadership) | 社会の一員としての役割を認識し、協力的な関係を築く | クライアントが影響力を持つためのスキルを強化し、リーダーシップスタイルの確立を支援する |
| 集団心理(Group Psychology) | 社会的統合を促進し、共同作業を円滑に進める | チームのダイナミクスを理解し、協働の質を向上させるための戦略を立案する |
| 場の理論(Field Theory) | 個人と環境の相互作用を理解し、適応力を高める | 環境要因がクライアントの行動や決定にどのように影響するかを分析し、適切な対策を講じる |
| パーソナリティ特性(Personality Traits) | 社会的一貫性を持ち、個人の強みを活かして社会と調和する | クライアントの性格特性を理解し、適切なアプローチを設計することで、成長を促す |
この関係性を活かすことで、コーチングは個人の成長だけでなく、社会全体のウェルビーイング向上にも貢献できます。
社会的ウェルビーイングとコーチング心理学の関係
次に、社会的ウェルビーイングの理論を当てはめたコーチング心理学の応用を考えてみましょう。
| 要素 | 社会的ウェルビーイングの視点 | コーチング心理学での応用 |
|---|---|---|
| 社会的つながり(Social Connection) | 家族、友人、職場などとの良好な関係性を築くことで、心理的安全性と幸福度が向上する | クライアントとの信頼関係を構築し、心理的安全性を高めることで、対話の質を向上させる |
| 社会的貢献(Social Contribution) | 他者や社会に貢献することで、自己の価値を実感し、達成感を得る | クライアントの強みを引き出し、社会的役割への自信を高めることで、成長を促す |
| 社会的受容(Social Acceptance) | 多様な価値観を尊重し、包摂的な環境を築くことで、個人の幸福度が向上する | クライアントの自己理解を促進し、自己受容を深めることで、自信と対人関係の質を向上させる |
| 社会的統合(Social Integration) | 社会の一員としての役割を認識し、協力的な関係を築くことで、持続可能な社会を形成する | クライアントが自身の社会的役割を明確化し、チームや組織の中で適切なリーダーシップを発揮できるよう支援する |
| 社会的一貫性(Social Coherence) | 社会のルールや価値観を理解し、適応することで円滑なコミュニケーションと共生を促進する | クライアントの価値観と環境との調和を支援し、柔軟な対応力や適応力を強化する |
この関係性を活かすことで、コーチングはクライアント個人の成長だけでなく、社会全体のウェルビーイング向上にも貢献できるかもしれません。
コーチング心理学に関わる「洞察」と「自己内省」の視点で整理してみましょう。
以下に、社会的ウェルビーイングの5つの要素について、洞察と自己内省の視点で概要を整理した表をまとめました。

社会的ウェルビーイングの要素と洞察・自己内省の視点
| 要素 | 洞察の視点(Insight) | 自己内省の視点(Self-Reflection) |
|---|---|---|
| 社会的統合(Social Integration) | 社会の一員としての役割を認識し、所属感を持つことで自己の価値を見出すことに気づく | 「私は社会の中でどのような役割を果たしているか?」 「コミュニティにどのように貢献できるか?」など振り返る。 |
| 社会的受容(Social Acceptance) | 他者の価値観や多様性を尊重し、安心して関われる環境を作ることに気づく | 「私は他者をどのように受け入れているか?」 「他者との違いをどのように尊重しているか?」など振り返る。 |
| 社会的貢献(Social Contribution) | 自分の能力や経験を活かして社会にポジティブな影響を与えることに気づく | 「私は社会のためにどのような貢献をしているか?」 「周囲に良い影響を与えるためにできることは?」など振り返る。 |
| 社会的実践(Social Actualization) | 社会の発展や変化の中で、自分の可能性を最大限に活かすことに気づく | 「社会の変化に対してどのように適応できるか?」 「成長を続けるために何を学ぶべきか?」など振り返る。 |
| 社会的連携(Social Coherence) | 社会のルールや価値観を理解し、調和の取れた関係を築くことに気づく | 「私の価値観と社会のルールはどのように一致しているか?」 「社会とのつながりを維持するために何ができるか?」など振り返る。 |
これらの視点を持つことで、個人の内面と社会との関係を深く理解し、より充実した社会的ウェルビーイングを実現できる。
以下に、社会的ウェルビーイングの5つの要素について概要とコーチングで活用できる質問を表にまとめました。これらの質問は、クライアントの気づきを促し、社会的なつながりや貢献をより深めるために活用できます。
社会的ウェルビーイングの要素とコーチングでの質問例
| 要素 | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| 社会的つながり(Social Connection) | 家族、友人、職場、地域社会との関係の質を高めることで、心理的安全性や支援を得る | 「あなたにとって最も重要な人間関係はどれですか?」 「どのような方法で周囲とのつながりを深められますか?」 |
| 社会的貢献(Social Contribution) | 他者や社会に対して積極的に関わり、自己の価値を実感する | 「あなたが貢献できる分野や活動は何ですか?」 「周囲に良い影響を与えたと感じる瞬間はありますか?」 |
| 社会的受容(Social Acceptance) | 多様な価値観を尊重し、誰もが安心して参加できる包摂的な環境を築く | 「あなたが他者を受け入れるとき、どんな価値観を大切にしていますか?」 「あなた自身が受け入れられていると感じる環境はどんなものですか?」 |
| 社会的統合(Social Integration) | 社会の一員としての役割を認識し、協力することで持続可能な社会を形成する | 「あなたの強みを活かして、社会の中でどのような役割を果たせますか?」 「協力的な関係を築くためにできることは何ですか?」 |
| 社会的一貫性(Social Coherence) | 社会のルールや価値観を理解し、適応することで円滑なコミュニケーションと共生を促進する | 「あなたの価値観と社会のルールが一致していると感じますか?」 「どのように社会との調和を保ちながら、自分らしさを表現できますか?」 |
これらの質問を通じて、クライアントが社会的ウェルビーイングを深めるための気づきを得られるようになります。
社会的ウェルビーイング尺度を簡易的に評価するため、心理尺度形式の質問表を開発しています。
社会的ウェルビーイング尺度(簡易版)*研究中
以下の質問に対して、最も当てはまるものを選んでください。
評価基準(5段階)
1 = 全く当てはまらない
2 = 当てはまらない
3 = どちらともいえない
4 = 当てはまる
5 = とても当てはまる
質問項目
- 社会的統合(Social Integration)
「私は、自分がコミュニティの一員であると実感している。」
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5 - 社会的受容(Social Acceptance)
「私は、他者を尊重し、異なる価値観を受け入れることができる。」
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5 - 社会的貢献(Social Contribution)
「私は、社会に対して積極的に貢献し、自分の役割を果たしている。」
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5 - 社会的実践(Social Actualization)
「私は、社会の発展に貢献できる能力を持ち、それを活かしている。」
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5 - 社会的連携(Social Coherence)
「私は、社会のルールや価値観を理解し、それに適応できている。」
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5
社会的ウェルビーイングに関する自己効力感尺度*研究中
コーチングの検証では、自己効力感尺度を活用するのが役立つため、以下の社会的ウェルビーイング自己効力感尺度が活用できます。
社会的ウェルビーイングに関する自己効力感尺度(簡易版)
以下の各質問に対して、最も当てはまるものを選んでください。
評価基準(5段階)
1 = 全く当てはまらない
2 = 当てはまらない
3 = どちらともいえない
4 = 当てはまる
5 = とても当てはまる
質問項目
-社会的理解
私は、社会の出来事や変化を理解し、適切に対応できる
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5
– 社会的実現
私は、社会および組織の持続的な成長と発展に貢献できる
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5
– 社会的統合
私は、社会の人たちと連携し、よりよい結果をもたらすことができる
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5
– 社会的貢献
私は、他者や社会に積極的に貢献できる
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5
– 社会的受容
私は、多様な人を受け入れ、良好な関係性を築ける
☐ 1 ☐ 2 ☐ 3 ☐ 4 ☐ 5
References
Keyes, C. (1998). Social well-being.. Social Psychology Quarterly, 61, 121-140. https://doi.org/10.2307/2787065
Stepanova, E. (2024). Contemplating About Well-Being in Turbulent Times. Changing Societies & Personalities. https://doi.org/10.15826/csp.2024.8.3.288
Larson, J. (1993). The measurement of social well-being. Social Indicators Research, 28, 285-296. https://doi.org/10.1007/BF01079022
Helliwell, J., & Putnam, R. (2004). The social context of well-being.. Philosophical transactions of the Royal Society of London. Series B, Biological sciences, 359 1449, 1435-46. https://doi.org/10.1098/RSTB.2004.1522
Afanas’eva, O., Krasnoslobodtsev, V., & Afanas’ev, M. (2024). Social Well-Being as a Criterion for Development of Nations (On the Issue of Assessment Methodology). World Economy and International Relations. https://doi.org/10.20542/0131-2227-2024-68-10-125-136
Dunaeva, V. (2018). NEW APPROACHES IN SOCIAL WELL- BEING STUDIES. PEOPLE: International Journal of Social Sciences. https://doi.org/10.20319/pijss.2018.43.566573
Regan, A., Lyubomirsky, S., & Radošić, N. (2022). Experimental effects of social behavior on well-being. Trends in Cognitive Sciences, 26, 987-998. https://doi.org/10.1016/j.tics.2022.08.006
Jackson-Nevels, B., Reddy, V., & Livingston, V. (2022). Social, Cultural, and Economic Determinants of Well-Being. Encyclopedia. https://doi.org/10.3390/encyclopedia2030079
投稿者プロフィール

- 徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。
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