エニアグラム心理学 各特性の特徴とは? 短所と長所 9+αの特徴 エニアグラム 資格取得の参考に

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人間科学:9+α の特性の長所と短所

当協会では、「エニアグラム心理学」について、本来のエニアグラム理論だけでなく、各項目の正規の心理学的な研究、視点や要素を取り入れ、ポジティブ心理学などとの新しい研究を実施したり、これまでの国際的な研究などを基づいて紹介し、コーチングを実践します。
*今後、ホームページなどで、当協会の研究など、講座や発表では、すべてを紹介できなかった点などについて紹介する予定です。

1日目は、アセスメント(心理データ分析に基づく心理尺度)を前向きに活用した支援について学びます。
アセスメントは、ポジティブ心理学との関係など、新しい視点で研究を行っています。

2日目は、主にカードゲームを活用し、数字などのエビデンスでは捉えづらい、言葉や行間や解釈について「ナラティヴ(物語)」の視点で、実践します。どちらかでも、役立てることができますので、気軽にご参加いただければ幸いです。また、人間関係に関する内容についても扱います。

以下の各特性について、心理学の研究に基づいた長所と短所をシンプルにまとめました。まず、各特性の背景を知っておくと便利です。
講座では、よりわかりやすい視点で紹介しております。

心理学・人間学に基づいたエニアグラムを活用した支援を実践したい方はとてもおすすめです。
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1. 完璧・完全を求める特性(完璧主義)

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完璧・完全を求める特性:長所と短所

定義・意味

完全を求める特性(完璧主義)とは、高い基準を設定し、それを達成しようとする傾向です。物事を正確に、欠陥なく行おうとする姿勢を特徴とします。

長所

  • 高品質な成果物を生み出せる
  • 細部への強い注意力がある
  • 仕事に対する責任感が強い
  • 継続的な自己改善への意欲がある
  • 高い基準を持つことで周囲にも良い影響を与える

短所

  • 失敗への恐れから行動を躊躇することがある
  • 過度な自己批判に陥りやすい
  • 他者への期待が高すぎることがある
  • 完了までに時間がかかりすぎることがある
  • ストレスや不安、燃え尽き症候群のリスクが高まる

研究エビデンス

Smithら(2019)のメタ分析によると、完璧主義には「適応的完璧主義」と「不適応的完璧主義」の2つの側面があります。適応的完璧主義は心理的ウェルビーイングと正の相関がある一方、不適応的完璧主義は不安やうつ症状と関連することが示されています。Stoeber(2014)の研究では、完璧を求める傾向は、適切に調整されれば成果を高め、不健全な形では精神的健康を損なう可能性があることが指摘されています。

参考文献:
Smith, M. M., Sherry, S. B., Vidovic, V., et al. (2019). Perfectionism and the five-factor model of personality: A meta-analytic review. Personality and Social Psychology Review, 23(4), 367-390.
Stoeber, J. (2014). Multidimensional perfectionism and the DSM-5 personality traits. Personality and Individual Differences, 60, 13-18.

2. 他人を助ける特性(利他主義)

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他人を助ける特性:長所と短所

定義・意味

他人を助ける特性(利他性)とは、他者の福利や幸福を自分のものよりも優先し、見返りを求めずに援助する傾向です。思いやりや共感に基づいた行動パターンを持ちます。

長所

  • 強い社会的絆を築くことができる
  • 他者からの信頼を獲得しやすい
  • 「ヘルパーズ・ハイ」と呼ばれる心理的な満足感を得られる
  • コミュニティ内での評判が良くなる
  • チームワークを促進し、協力的な環境を作る

短所

  • 自分のニーズを犠牲にしすぎることがある
  • 「共感疲労」や燃え尽き症候群に陥るリスクがある
  • 他者に依存されすぎて境界線の維持が難しくなる
  • 時に自己主張が不足し、搾取される可能性がある
  • 人間関係のバランスを崩すことがある

研究エビデンス

Furnhamら(2016)の研究は、利他的な行動が主観的幸福感を高め、うつ症状を軽減する効果があることを示しています。一方、Piliavinら(1990)は、過剰な利他行動が個人の資源(時間、エネルギー、感情)の枯渇につながる可能性も指摘しています。特に感情労働を伴う職業では、他人を助ける特性が強いほど燃え尽き症候群のリスクが高まることもわかっています。

参考文献:
Furnham, A., Treglown, L., Hyde, G., & Trickey, G. (2016). The bright and dark side of altruism: Demographic, personality traits, and disorders associated with altruism. Journal of Business Ethics, 134(3), 359-368.
Piliavin, J. A., & Charng, H. W. (1990). Altruism: A review of recent theory and research. Annual Review of Sociology, 16, 27-65.

3. 達成を求める特性(達成主義)

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達成を求める特性:長所と短所

定義・意味

達成を求める特性(達成意欲)とは、困難な課題に挑戦し、高い目標を設定して成功を追求する傾向です。卓越性への志向と結果を出すことへの強い動機づけを特徴とします。

長所

  • 高い目標設定と達成への強い動機づけがある
  • 困難に直面しても粘り強く取り組める
  • 自己効力感が高く、新しい挑戦を恐れない
  • 自己管理能力と責任感が強い
  • キャリアや学業で成功する可能性が高い

短所

  • 過度な競争意識が人間関係に影響することがある
  • 失敗への恐怖から過度なストレスを抱えることがある
  • 過程より結果に焦点を当てすぎる傾向がある
  • ワークライフバランスを崩しがちになる
  • 目標達成に固執するあまり柔軟性を欠くことがある

研究エビデンス

Brunsteinら(2018)の研究によると、達成意欲は学業・職業的成功と強く関連していますが、その効果は個人の目標設定の質や達成プロセスへの取り組み方によって大きく異なることが示されています。Hartら(2007)は、達成意欲の高さが自己効力感や粘り強さと正の相関がある一方、不適切な形では燃え尽き症候群やパフォーマンス低下につながる可能性があることを明らかにしています。

参考文献:
Brunstein, J. C., & Heckhausen, H. (2018). Achievement motivation. In J. Heckhausen & H. Heckhausen (Eds.), Motivation and action (pp. 221-304). Springer.
Hart, J. W., Stasson, M. F., Mahoney, J. M., & Story, P. (2007). The Big Five and achievement motivation: Exploring the relationship between personality and a two-factor model of motivation. Individual Differences Research, 5(4), 267-274.

4. 独自性を求める特性

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独自性を求める特性:長所と短所

定義・意味

独自性を求める特性とは、他者とは異なる自分らしさを表現し、独自のアイデンティティを確立したいという欲求です。一般的な慣習や考え方にとらわれず、独創的な視点や方法を持つ傾向があります。

長所

  • 創造性や革新的な思考が豊かである
  • 既存の枠組みにとらわれない問題解決能力がある
  • 新しいアイデアや視点を生み出すことができる
  • 自己表現が豊かで真正性が高い
  • 多様性が求められる環境で価値を発揮できる

短所

  • 社会的な調和や合意形成が難しくなることがある
  • 他者との協力や妥協が苦手な場合がある
  • 時に孤立感を感じることがある
  • 独自性追求が自己目的化すると効率が落ちる
  • チームワークを要する環境で摩擦が生じることがある

研究エビデンス

Lynnら(1997)の研究では、独自性追求の度合いは消費行動や選好に影響を与えるだけでなく、創造的成果や社会的相互作用の質にも関連していることが示されています。Beckerら(2012)は、文化的背景に関わらず、人は適度な独自性と所属感のバランスを求める普遍的な傾向があることを明らかにしました。ただし、Schumpeら(2015)は、過度な独自性追求が社会的結合や心理的健康に負の影響を与える可能性も指摘しています。

参考文献:
Lynn, M., & Harris, J. (1997). Individual differences in the pursuit of self‐uniqueness through consumption. Journal of Applied Social Psychology, 27(21), 1861-1883.
Becker, M., Vignoles, V. L., Owe, E., Brown, R., et al. (2012). Culture and the distinctiveness motive: Constructing identity in individualistic and collectivistic contexts. Journal of Personality and Social Psychology, 102(4), 833-855.
Schumpe, B. M., & Erb, H. P. (2015). Humans and uniqueness. Science Progress, 98(1), 1-11.

5. 探求・探究する特性

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探究する特性:長所と短所

定義・意味

探究する特性(好奇心・探索性)とは、新しい知識や経験を積極的に求め、未知のことに興味を持って深く理解しようとする傾向です。知的探求心や学習意欲の高さを特徴とします。

長所

  • 継続的な学習と成長への強い動機がある
  • 幅広い知識と深い理解を得やすい
  • 問題解決において創造的なアプローチを取れる
  • 変化や不確実性に対する適応力がある
  • 多様な視点や情報を取り入れることができる

短所

  • 一つのタスクに集中し続けることが難しい場合がある
  • 多くの興味に引かれて焦点が散漫になりやすい
  • 実行や完了よりも探索自体に夢中になりすぎることがある
  • 実用性より知的満足を優先しがちになる
  • 時間管理が難しくなることがある

研究エビデンス

Kiddら(2015)の研究は、好奇心が認知的発達と学習効率を高める効果があることを示しています。好奇心が強い状態では脳内の報酬系が活性化し、より効果的な情報取得と記憶の定着が促進されます。Litmanら(2005)は、探究特性には「知識の欠如から生じる不確実性を減らしたい欲求」と「純粋に新しい知識を得る喜び」という2つの側面があることを明らかにしました。また、Loewenstein(1994)は、好奇心が適度な情報ギャップを埋めようとする心理的メカニズムによって駆動されることを示しています。

参考文献:
Kidd, C., & Hayden, B. Y. (2015). The psychology and neuroscience of curiosity. Neuron, 88(3), 449-460.
Litman, J., Hutchins, T., & Russon, R. (2005). Epistemic curiosity, feeling-of-knowing, and exploratory behaviour. Cognition & Emotion, 19(4), 559-582.
Loewenstein, G. (1994). The psychology of curiosity: A review and reinterpretation. Psychological Bulletin, 116(1), 75-98.

6. 慎重な特性

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慎重な特性:長所と短所

定義・意味

慎重な特性とは、行動や決断を起こす前に、リスクや結果を十分に考慮し、用心深く物事を進める傾向です。注意深さと計画性を特徴とします。

長所

  • リスク評価に優れ、危険な状況を回避できる
  • ミスや失敗が少なく、正確さが高い
  • 計画的で体系的なアプローチを取る
  • 重要な決断において十分な情報収集ができる
  • 安定性と一貫性がある行動パターン

短所

  • 決断に時間がかかりすぎることがある
  • 優柔不断に陥るリスクがある
  • 機会損失を招くことがある
  • 過度な用心深さがイノベーションを妨げることがある
  • 不確実性に対する過度な不安を感じることがある

研究エビデンス

慎重さと意思決定の関係を調査した研究によると、慎重な人は情報処理において体系的なアプローチを取り、複雑な状況での意思決定の質が向上する傾向にあります。Castelfranchiら(2006)の研究では、リスクの高い環境における慎重な行動が長期的な生存と成功に寄与することが示されています。一方で、Kalvaら(2012)は、過度な慎重さが「分析麻痺」を引き起こし、行動の妨げになる可能性も指摘しています。バランスの取れた慎重さは、特にリスク管理や安全が重視される職業において重要な資質となります。

参考文献:
Castelfranchi, C., Falcone, R., & Piunti, M. (2006). Agents with anticipatory behaviors: To be cautious in a risky environment. Frontiers in Artificial Intelligence and Applications, 141, 959.
Kalva, I., & Shyryaev, D. (2012). Behavior in Uncertain Environments, and Prone to Risk or Caution. Problems of Psychology in 21st Century, 3, 21-27.

7. 楽天的な特性(楽観主義)

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楽天的な特性:長所と短所

定義・意味

楽天的な特性(オプティミズム)とは、物事の肯定的な側面に注目し、良い結果を期待する心理的傾向です。困難な状況でも希望を持ち、前向きな見通しを維持する姿勢を特徴とします。

長所

  • ストレスへの耐性が高く、心理的回復力がある
  • 困難に直面しても粘り強く取り組める
  • 対人関係において親しみやすく魅力的に映る
  • 創造的な問題解決ができる
  • 心身の健康状態が良好な傾向がある

短所

  • リスクを過小評価する傾向がある
  • 準備不足や計画の甘さにつながることがある
  • 現実的な問題に対して適切に対応できないことがある
  • 否定的なフィードバックを受け入れにくい
  • 「非現実的楽観主義」に陥るリスクがある

研究エビデンス

Scheierら(2001)の研究によると、楽観的な人々はストレスフルな状況でより効果的な対処戦略を用い、心理的・身体的健康において良好な結果を示すことが明らかになっています。Rasmussenら(2008)は、オプティミズムが免疫機能の向上、心臓病リスクの低減、寿命の延長などの健康上の利点と関連していることを示しました。一方、Forbesの記事(2019)では、極端なオプティミズムが現実評価の歪みを生み、リスクを過小評価することで逆効果になる場合があることも指摘されています。最適なオプティミズムとは、現実を認識しながらも肯定的な可能性に焦点を当てるバランスの取れた姿勢と言えます。

参考文献:
Scheier, M. F., Carver, C. S., & Bridges, M. W. (2001). Optimism, pessimism, and psychological well-being. In E. C. Chang (Ed.), Optimism & pessimism: Implications for theory, research, and practice (pp. 189-216). American Psychological Association.
Rasmussen, H. N., & Wallio, S. C. (2008). The health benefits of optimism. In S. J. Lopez (Ed.), Positive psychology: Exploring the best in people (Vol. 2, pp. 131-149).
Forbes Japan. (2019). 「完璧主義」は長所ではないと示す最新研究. https://forbesjapan.com/articles/detail/49776/

8. 統率する特性

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統率する特性:長所と短所

定義・意味

統率する特性(リーダーシップ)とは、集団を導き、影響を与え、共通の目標達成に向けて人々を動かす能力です。方向性を示し、チームをまとめ上げる役割を担う資質を指します。

長所

  • 明確な方向性とビジョンを示すことができる
  • 集団の目標達成を促進できる
  • 他者の強みを引き出し、チームの結束を高める
  • 困難な状況でも冷静に判断し、決断できる
  • 変化や危機的状況における安定感をもたらす

短所

  • 責任の重圧によるストレスが大きい
  • 支配的になりすぎる傾向がある
  • 他者への権限委譲が難しいことがある
  • 批判を個人的に受け止めやすい
  • 孤独感を抱えることがある

研究エビデンス

Lordら(2017)の研究によると、リーダーシップは固定的な特性ではなく、状況や文脈によって適応変化する動的なプロセスであることが示されています。効果的なリーダーは状況に応じて異なるリーダーシップスタイルを使い分けることができます。Procházkaら(2018)は、特定の性格特性(誠実性、外向性、開放性)がリーダーシップの有効性と関連していることを明らかにしました。また、Ramchunderら(2014)の研究では、自己効力感と感情知性がリーダーシップの効果に重要な役割を果たすことが示されています。

参考文献:
Lord, R. G., Day, D. V., Zaccaro, S. J., Avolio, B. J., & Eagly, A. H. (2017). Leadership in applied psychology: Three waves of theory and research. Journal of Applied Psychology, 102(3), 434-451.
Prochazka, J., Vaculik, M., Smutny, P., & Jezek, S. (2018). Leader traits, transformational leadership and leader effectiveness. Journal of East European Management Studies, 23(3), 474-501.
Ramchunder, Y., & Martins, N. (2014). The role of self-efficacy, emotional intelligence and leadership style as attributes of leadership effectiveness. SA Journal of Industrial Psychology, 40(1), 1-11.

9. 平和を求める特性(平和主義)

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平和を求める特性:長所と短所

定義・意味

平和を求める特性とは、調和や和解を重視し、対立や紛争を回避しようとする傾向です。協調性を大切にし、周囲との良好な関係性を維持することを優先する姿勢を特徴とします。

長所

  • 対人関係において調和を生み出す能力がある
  • 他者の視点や感情に配慮できる
  • 対立解決やコンフリクト調整に長けている
  • 安定した社会的環境を構築できる
  • ストレスの少ない穏やかな雰囲気を作れる

短所

  • 必要な対立を避けすぎることがある
  • 自分の意見や立場を犠牲にしがちになる
  • 問題の直視を先延ばしにする傾向がある
  • 過度な妥協によって最適な解決策を逃すことがある
  • 時に本音を隠すことでストレスが蓄積する

研究エビデンス

Bar-Tal(2000)の研究によると、平和志向の強い人々は対立状況において協調的な解決策を模索する傾向が強く、関係修復に優れた能力を示します。Bonta(1996)は、平和的な社会における紛争解決の研究から、平和を求める特性が集団の結束力と長期的な安定に寄与することを示しました。一方、Bar-TalとHalperin(2013)は、過度に平和を求めるあまり、必要な対立や直面すべき問題を回避することで、かえって根本的な解決を困難にする「平和的回避」のパラドックスを指摘しています。健全な平和追求とは、対立を恐れるのではなく、建設的な対話と相互尊重に基づいた解決を目指す姿勢であると言えます。

参考文献:
Bar‐Tal, D. (2000). From intractable conflict through conflict resolution to reconciliation: Psychological analysis. Political Psychology, 21(2), 351-365.
Bonta, B. D. (1996). Conflict resolution among peaceful societies: The culture of peacefulness. Journal of Peace Research, 33(4), 403-420.
Bar-Tal, D., & Halperin, E. (2013). The nature of socio-psychological barriers to peaceful conflict resolution and ways to overcome them. Conflict & Communication, 12, 1-16.

10. 希望がある特性 ・・・ポジティブ心理学・コーチング心理学の視点

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希望がある特性:長所と短所

定義・意味

希望がある特性とは、望ましい目標の達成可能性を信じ、それに向かう意志と道筋を見出す能力です。将来に対する前向きな期待と、目標達成に向けた行動力を特徴とします。

長所

  • 困難な状況でも粘り強く取り組める回復力がある
  • ストレスや挫折に対する心理的抵抗力が強い
  • 目標達成に向けた行動の動機づけが高い
  • 柔軟な問題解決と代替手段の模索ができる
  • 肯定的な感情状態と心理的ウェルビーイングの維持

短所

  • 現実的な限界を過小評価することがある
  • 達成が難しい目標に固執するリスクがある
  • 期待と現実のギャップによる失望が大きくなりやすい
  • 計画の実現可能性を正確に評価しにくい
  • 過度の楽観によって必要な対策を怠ることがある

研究エビデンス

Kardasら(2019)の研究によると、希望は心理的ウェルビーイングの重要な予測因子であり、生活満足度や自己効力感と強い相関があることが示されています。Randら(2020)は、希望が学業成績や目標達成と正の相関があることを明らかにし、希望の高い学生は困難に直面しても粘り強く取り組む傾向があることを示しました。同時に、Pleeging(2021)の研究では、希望と現実的な見通しのバランスが重要であり、非現実的な希望は失望や目標放棄につながる可能性があることも指摘されています。希望の持つ力を最大限に活かすには、目標設定の適切さと、目標達成への具体的な道筋の両方が必要です。

参考文献:
Kardas, F., Cam, Z., Eskisu, M., & Gelibolu, S. (2019). Gratitude, hope, optimism and life satisfaction as predictors of psychological well-being. Eurasian Journal of Educational Research, 19(82), 81-100.
Rand, K. L., Shanahan, M. L., Fischer, I. C., & Fortney, S. K. (2020). Hope and optimism as predictors of academic performance and subjective well-being in college students. Learning and Individual Differences, 81, 101906.
Pleeging, E., Burger, M., & Van Exel, J. (2021). The relations between hope and subjective well-being: A literature overview and empirical analysis. Applied Research in Quality of Life, 16, 1019-1041.

特性のバランスと活かし方

これら10の特性は、どれも単独では「良い」「悪い」と判断できるものではありません。長所と短所は表裏一体であり、状況や度合いによってその影響は大きく変わります。

自分自身の特性を理解し、長所を活かしながら短所に対処することで、より充実した人生や効果的な対人関係を構築できるでしょう。また、自分にない特性を持つ他者との協力によって、互いの弱点を補い合うことも可能です。

心理学的に基づく科学的研究は、これらの特性がどのように働くかについての理解を深め、より効果的に活用するための知見を提供してくれます。

 

さらに、心理ネットワーク分析など、新しい研究などを基に実践していきます。
enna network©️一般社団法人コーチング心理学協会

投稿者プロフィール

徳吉陽河
徳吉陽河
徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。

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