自由特性論入門 パーソナリティ心理学コーチング入門 認定資格取得の参考に
自由特性論(Free Trait Theory)**は、カナダの心理学者ブライアン・リトル(Brian R. Little)によって提唱されたパーソナリティ心理学の理論であり、人間が自らの性格特性に反して行動することが可能であるという考え方に基づいています。
これは、従来の「ビッグファイブ」などの固定的な性格理論に対する補完的視点や考え方を提供しており、コーチング心理学協会のパーソナリティ心理学コーチングでは、この自由特性論のアプローチを採用したワークを実践します。
パーソナリティ心理学コーチング入門として案内いたします。
コンテンツ一覧
自由特性論の基本

| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 創始者 | ブライアン・リトル(Brian R. Little) |
| 核心アイデア | 人は目的や文脈に応じて性格と違う行動を取ることができる |
| 特徴 | 自発性・柔軟性・動機との関係が重視される |
| 応用分野 | 教育・職場・カウンセリング・パーソナリティ発達 |
TED日本語 – ブライアン・リトル: 自分はいったい何者なのか ― 性格の謎を解き明かす
🔑 自由特性論の基本的な考え方
1. 人間の行動には「特性的行動」だけでなく「自由特性的行動」もある
-
特性的行動(Trait-consistent behavior):その人の性格傾向に一致した行動。たとえば、内向的な人が一人で読書を楽しむ。
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自由特性的行動(Free-trait behavior):その人の性格傾向に反するが、特定の目標や意味ある目的のために取る行動。例:内向的な人が重要なプレゼンのために外向的に振る舞う。
カテゴリ 概要 コーチングで活用できる質問 特性的行動 (Trait-consistent behavior) 人の性格傾向に一致した自然な行動。
例:内向的な人が一人で読書を楽しむ。・あなたの性格に合った行動とはどんなものですか?
・日常生活で自然にできることは何ですか?
・その行動が自分らしさをどのように表していますか?自由特性的行動 (Free-trait behavior) 性格傾向に反するが、目標や重要な目的のために意図的にとる行動。
例:内向的な人が重要なプレゼンのために外向的に振る舞う。・あなたが目標のために意識的に変えている行動はありますか?
・どのような場面で本来の性格と異なる振る舞いをしますか?
・その行動によって、どのような成果や変化を感じていますか?
💡 自由特性論の要素(リトルによる)
自由特性理論と要素、コーチングで活用できる質問法
| カテゴリ | 概要 | コーチングで使える質問 |
|---|---|---|
| パーソナル・プロジェクト | 人は意味ある目標を持ち、それを達成するために性格を「演じる」ことがある。 | ・あなたが達成したい目標は何ですか? ・目標を達成するためにどのような振る舞いをしていますか? ・どのような自分を演じていると感じますか? |
| 社会的役割や責任 | 親、教師、リーダーなどの役割が自由特性的行動を引き出す。 | ・あなたが担っている社会的役割は何ですか? ・その役割を果たすためにどのような性格や行動をしていますか? ・その役割があなたにどのような影響を与えていますか? |
| アイデンティティと真正性 | 性格に反した行動をしても、それが自分の価値観に一致していればそれを大切にする。 | ・自分の価値観とは何だと思いますか? ・価値観に沿った行動をとるために、どのような工夫をしていますか? ・周囲の期待と自分の本来の性格の間で葛藤を感じることはありますか? |
| 回復の場 | 自分らしくいられる場、環境を構築すること。 | ・どのような環境や人間関係の中で最も自分らしくいられますか? ・自分がリラックスできる空間を作るためにどんな工夫をしていますか? ・ストレスを感じたとき、どのように自分を回復させますか? |
🧠 理論の意義
-
性格は柔軟に変えられるものではないが、状況や目標によって調整可能である
-
精神的・身体的コストが伴う:性格と異なる行動を続けると「役割疲労(role fatigue)」や「偽りの自己感(inauthenticity)」を感じることがある。
以下のように、性格の調整可能性と精神的・身体的コストについて分かりやすくまとめ、コーチングで活用できる質問を表にしました。
| カテゴリ | 概要 | コーチングで活用できる質問 |
|---|---|---|
| 性格の調整可能性 | 性格は本質的には変えられないが、状況や目標に応じて行動を調整することは可能。
例:普段は慎重な人でも、仕事の場面では決断力を発揮する。 |
・あなたが状況に応じて調整している行動は何ですか? ・その行動はどのような目的のために取っていますか? ・その調整がもたらすメリットは何だと感じますか? |
| 精神的・身体的コスト | 性格と異なる行動を続けると、「役割疲労(role fatigue)」や「偽りの自己感(inauthenticity)」を感じることがある。
例:外向的に振る舞い続けることで疲労を感じる内向的な人。 |
・長期間続けている行動の中で、負担を感じるものはありますか? ・その行動を続けることでどんな感情の変化がありましたか? ・負担を軽減するために、どんな工夫ができると思いますか? |
この表を使うことで、コーチングの際にクライアントが自身の性格や行動のバランスを見つめ直すことができます。
🎓 貢献
-
自由特性論は、人格心理学に「目的志向的・動機的・文化的文脈」の視点を持ち込み、性格と行動の柔軟性に関する理解を拡張しました。
-
現在では、教育・ビジネス・カウンセリング領域などでも応用されています。
🌟 ブライアン・リトルの名言集

1.
“We enact free traits in the service of core personal projects.”
「私たちは、自分にとって重要な個人的プロジェクトのために、自由特性を演じるのです。」
🔎 出典: Little, B. R. (2007). Personal projects and free traits
📘 解説: 本来の性格に反して行動するのは、意味ある目標があるからこそだというメッセージ。
2.
“Acting out of character can be a profoundly authentic experience.”
「性格に反して行動することが、実は深く『本物の自己』に近づく体験となることがある。」
🔎 出典: Little, B. R. (2014). Me, Myself, and Us
📘 解説: 自分らしさとは必ずしも「性格に忠実であること」ではなく、「価値観に沿って行動すること」にあると語っている。
3.
“Restorative niches are essential sanctuaries for returning to our true selves.”
「回復の場(restorative niche)は、私たちが真の自己に立ち戻るための聖域である。」
🔎 出典: Little, B. R.(講演・インタビュー)
📘 解説: 社会的に無理をして行動する人にとって、静かな時間や安心できる場所が必要だという思想。
4.
“Traits tell us what people are like; personal projects tell us what they are trying to do.”
「性格特性はその人が“どんな人か”を語り、個人的プロジェクトは“その人が何を目指しているか”を語る。」
🔎 出典: Little, B. R. (1999). Personality and motivation
📘 解説: 性格を超えて人を理解するには、その人の目標や動機を見るべきだという視点。
5.
“We are not simply bundles of traits—we are bundles of stories, goals, and roles.”
「私たちは単なる特性の集合ではなく、物語、目標、そして役割の集合体である。」
🔎 出典: 講演より(Cambridge University)
📘 解説: 性格を固定的に捉えるのではなく、文脈と時間と意味で動的に理解すべきという哲学。
📚 参考文献(代表的なもの)
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Little, B. R. (2007). Personal projects and free traits: Personality and motivation reconsidered. Social and Personality Psychology Compass, 1(1), 420–433. https://doi.org/10.1111/j.1751-9004.2007.00030.x
-
Little, B. R. (2014). Me, Myself, and Us: The Science of Personality and the Art of Well-Being. PublicAffairs.
-
McAdams, D. P., & Pals, J. L. (2006). A New Big Five: Fundamental principles for an integrative science of personality. American Psychologist, 61(3), 204–217.
✅ 要約
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 創始者 | ブライアン・リトル(Brian R. Little) |
| 核心アイデア | 人は目的や文脈に応じて性格と違う行動を取ることができる |
| 特徴 | 自発性・柔軟性・動機との関係が重視される |
| 応用分野 | 教育・職場・カウンセリング・パーソナリティ発達 |
投稿者プロフィール

- 徳吉陽河(とくよしようが)は、コーチング心理学研究会・コーチング心理学協会の創設者の一人であり、日本・世界のおけるコーチング心理学のパイオニア。コーチング心理士、公認心理師・キャリアコンサルタント、認定心理士(心理調査)、ポジティブ心理療法士、として教育・医療・福祉・産業分野で活動する専門家。東北大学大学院博士後期課程で研究し、国際コーチング心理学会、国際ポジティブ心理学会など、世界で学び、研究を発表。教育プログラム、心理尺度開発なども専門としている。著書に『ポジティブ大全』『科学的に正しい脳を活かす「問いのコツ」 結果を出す人はどんな質問をしているのか?』『ナラティヴ・セラピー BOOK』、『コーチング心理学ガイドブック』『コーチング心理学ハンドブック』などの翻訳書などがあり、科学的なエビデンスと物語(ナラティブ)に基づくコーチングとウェルビーイング教育を推進している。累計4000名のコーチ、カウンセリング実績」(ワークショップを含む)、「累計6000回以上のセミナー実績」以上の実績がある。国土交通省 航空保安大学講師、元東北文化学園大学講師、元仙台医療センター看護学校講師、元若者サポートセンター講師など。教育機関、海外・国外の法人企業などで講師を担当実績がある。学校法人・企業法人・医療法人(リハビリ)など、主に管理職に関わる講師を数多く担当。座右の銘は、「我以外皆我師」、失敗・挫折もたくさんしており、「万事塞翁が馬」大切にしている。「自己肯定感が低いからこそ成長できる」ことを大切にしている。
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